多くの企業や団体が取り入れているコンテンツマーケティング。言葉自体はかなり浸透していますが、その概念はもちろん、結果につながる実践方法は理解できているでしょうか。今回は大枠の理解から具体的な実践まで、順に学べる本をご紹介します。
従来は、テレビCMやネットのバナー広告など、売り手が一方的に商品・サービスの宣伝をして人々の注意をひく形のマーケティングが多用されてきました。しかし、ネットやSNSの普及により、消費者側が「自分で情報を取りに行く」ことが容易となった現在、一方的に売り込んでくる広告は邪魔者扱いされるようになっています。
そこで出てきたのがコンテンツマーケティングです。読者の潜在ニーズを把握して必要なコンテンツの発信を行うことで、消費者の心をつかみ、ファンをつくることができるこの手法は、新しいマーケティングスタイルとして注目されています。
コンテンツには、自社のホームページをはじめとしたオウンドメディア、ブログ・SNSなどのアーンドメディア、費用を払い外部媒体に出稿するペイドメディアなど多様な種類があり、これらを組み合わせて潜在顧客にアプローチを試みている企業が大半です。
また、コンテンツマーケティングを行ううえで大事なことは大きく分けて次の3つと考えられます。
戦略:誰をターゲットとし、どのタイミングで、どの方法で、どのようなコンテンツを提供するのか、効果測定はどのように行うのかなどを明確に定めているか。
コンテンツの中身:ターゲットとなる顧客にとって有益な情報であるか。
届け方:コンテンツが最も届きやすい媒体を使い、届きやすい言葉で伝えられているか。
この3点を押さえ、効果的なコンテンツマーケティングを行うためにはどうすれば良いのでしょうか。それぞれに適した本もありますし、全体の流れを学べる本も数多くあります。ここではその中から、特におすすめしたい本を5冊ご紹介していきます。
本書は、コンテンツマーケティングについて知りたい人への初めの1冊です。タイトルに『いちばんやさしい』とあるように、基礎基本の用語解説などから教えてくれる入門書となっています。
- 著者
- ["宗像 淳", "亀山 將"]
- 出版日
- 2015-10-23
“なぜ今コンテンツマーケティングなのか?”という本質的な話から、コンテンツマーケティングの目的・コンテンツの種類や特徴・拡散方法など、とことん初心者に合わせて書かれているのが特徴です。
また、Web上のコンテンツだけでなく、プレスリリース・書籍・セミナーなど、リアルなコンテンツの活用方法も網羅しています。さまざまな角度から顧客にアプローチできる、コンテンツマーケティングの広さを感じることができます。
通常、マーケティングの本は概念的な話が多くなりがちですが、本書の著者はコンテンツマーケティングの第一人者というだけあって具体的な事例も豊富に差し込まれており、情報量では他の本を圧倒しています。
はじめの一歩から、実践・活用方法、その先の展望まで伴走してくれる本なので、多くの人におすすめできる1冊です。
企業がWebサイトを持っていることは当然となり、Webサイトがあれば勝手に訪問者が増えて認知が広まるという世の中ではなくなりました。そこで必要になってくるのが「戦略」です。認知度が上がり、収益にもつながるWebサイトにするためには、戦略は必要不可欠なのです。
- 著者
- ["権 成俊", "村上 佐央里", "木村 純", "鳴海 拓也", "春日井 順子", "佐藤 晶子", "後藤 裕美子"]
- 出版日
- 2017-02-23
本書は、Web戦略とは何か、戦略の立て方とは、など戦略構築におけるノウハウを詳しく知ることのできる本となっています。SEO対策についての考え方、オウンドメディアのつくり方など、初心者にもわかりやすく解説されています。
またWebサイトでは、どのようなページデザインにするのか、リスティング広告をどう活用するかといった具体的な落とし込みまでも重要な戦略ですが、そこまで踏み込んで考えられる人は多くありません。本書はその点をフォローする役割も担っています。
これから新しいオウンドメディアを立ち上げたい、あるいは、多額の資金を投下してWebサイトをつくったものの効果が感じられない、と悩む企業の担当者は、ぜひ読んでおきたい1冊です。
コンテンツマーケティングにおいて大事なことはさまざまありますが、核となるのはやはり「コンテンツの中身」。本書では、ユーザーに好まれ、良好な関係を築くことができるコンテンツとは何かを学ぶことができます。
- 著者
- 成田 幸久
- 出版日
- 2017-02-28
コンテンツは今、内容いかんによっては“バズる”ことも珍しくありません。それが良質なコンテンツであり、的確に拡散されれば、多くの読者を集めることができます。そしてその読者の中から、商品・サービスに関心を持つ人も出てくるはずです。
コンバージョン(※商品の購入や問い合わせ、会員登録など、各Webサイトで目標とされる顧客行動)につなげるためには、良いコンテンツをつくることが求められます。2016年には、信用性に欠ける記事を乱発していたキュレーションメディアが問題となりましたが、記事を低コストで大量生産して、SEO対策するだけでは信用は得られなくなりました。
本書では、「愛されるコンテンツ」を作ることを目的とし、その特徴や作り手に必要な能力を解説しています。一読すれば、魅力的なコンテンツを活用したファンづくりのコツもわかるはずです。
SNSは、仕事・プライベート問わず多くの人が使っているツールであるため、使い方によっては強力な武器になります。一方で、SNSに流れる情報量は膨大なため、マーケティングとして活用するためには、その流れに埋もれない工夫も必要です。
- 著者
- 株式会社グローバルリンクジャパン/清水将之
- 出版日
- 2016-10-03
SNSの強みは、Webサイトやメルマガ、ブログなど、他のコンテンツと連動して、拡散できるところ。かつ、広告料がかからずコストが少なくて済むので、導入している企業がとても多いのです(人件費はかかりますが)。だからこそ、これからは戦略的に使っていくことが大切です。
本書では、SNSの代表的なものとして、Facebook、Twitter、Instagramの効果的な使い方を示しています。すでに導入済みの企業も多いと思いますが、思うように集客できていないなど、手ごたえを感じていない場合は、情報の「届け方」を見直す必要があるのではないでしょうか。
基本的な運用方法ももちろんですが、効果測定とその結果による改善のプロセスをうまく回せていないと感じる企業・団体は、本書によって大きな学びを得られることでしょう。マーケティングを目的としたSNSの使い方をマスターするのには適した本です。
最後は、ストーリー形式でコンテンツマーケティングの流れをおさらいしつつ、成功イメージをつくるための1冊です。元はWeb連載で大人気となったコンテンツを書籍化したもので、テンポの良い会話が流れる読みやすい構成となっています。
- 著者
- 松尾 茂起
- 出版日
- 2015-01-30
謎のマーケッター「ボーン・片桐」が依頼を受け、企業のWebサイトを救うというストーリー。依頼人とのやり取りを眺めながら必要な知識やスキルを学べるのが特徴です。
SEOの仕組み、Webデザイン、Webライティング、ソーシャルメディア運用など、ここまで各書籍で学んできたような、コンテンツマーケティングに不可欠な素材が本書にはたっぷり詰まっています。
横書きで堅苦しくなく、また、ゴルゴ13のようなハードボイルド感のある登場人物が楽しませてくれます。読者は楽しくインプットすることができるはず。基本的なことは網羅されているので、この本を読んだ後にそれぞれの分野に専門特化した書籍を読めば、より理解が深まるでしょう。