2017年7月に映画化される『銀魂』。このジャンプの超人気漫画が実は最初は全く人気がなかったことをご存知でしたか?今回はそんな「落ちこぼれ」だった本作の魅力をキャラ紹介からお伝えします!
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2004-04-02
累計発行部数5000万部、4期のアニメ化、2017年7月には小栗旬主演で実写映画化もされる大人気の人情ギャグ漫画『銀魂』。実はこの作品が連載当初は「ジャンプの落ちこぼれ」だったことをご存知でしたか?
実は本作はジャンプのアンケート順位では10週くらいまで下位にあり、最初は人気が出なかったのです。作者・空知英秋は当時何も知らなかったから頑張れたが、今だったら最初の段階でアンケート結果がこれくらいだったら諦めてしまったかもしれないと振り返ります。
しかし徐々に人気が出始め、11話「べちゃべちゃした団子なんてなぁ、団子じゃねぇバカヤロー」で順位が上がり、「派手なのをやろう」という気持ちで勝負をかけた17話「酔ってなくても酔ったふりして上司のヅラ取れ」で上位層に食い込んだそうです。
そして最低部数で発売された1巻はすぐに売り切れ、重版。そこから現在の人気へと繋がっていったのです。
そんな『銀魂』は時事性の高いネタもいれてくるギャグパートと、人情味のある泣けるパートのギャップも魅力的ですが、何といってもキャラクターたちに惹かれる作品となっています。
空知英秋は、たくさんいるキャラクター全員を拾ってあげたい、主人公の銀さん以外も「みんなを主役にしたかった」という気持ちがあったそうです。
しかも本作の舞台設定は架空の江戸時代末期、激動の時代。そんな時代では人間のいいところも悪いところも全てむき出しになります。カッコつけてる場合ではない、それでもカッコつけることが武士道なんだ、というテーマで描かれた物語だそうで、キャラクターひとりひとりが作品の中で躍動しているのが感じられるのです。
今回はそんな「ジャンプの落ちこぼれ」から始まったレジェンド漫画『銀魂』の魅力的なキャラクターたちをご紹介します!第4回公式人気投票ランキングの順位で発表!彼らの本当に実在するかのような多面的な顔を知っていただければと思います。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2013-07-04
第4回人気ランキング1位はもちろん主人公の坂田銀時、通称・銀さん。実写映画では小栗旬がその役どころを演じます。作品の攘夷戦争時代に活躍した「攘夷四天王」のひとりで、今までもランキングでずっと1位をとり続けている不動のナンバーワンです。
銀さんが生きている江戸は地球外生物に支配され、侍というものが落ちぶれてきている場所。彼のかっこよさはこの時代背景だからこそ、ふらりと生きているところにあるのではないでしょうか。
風来坊のような雰囲気でありながらも、心の中には熱いものを持っている銀さん。それがいざという時のかっこよさに繋がっています。
熱い想いを持っているからこそ肩の力を抜いて生きる彼は、空知英秋の武士道を体現した唯一無二の主人公なのです。
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当初は主人公は土方になる予定だったのだそうですが、どうしても既存のイメージを崩しにくいということで生まれたキャラクターなんだとか。そんな銀さんはジャンプの人気作品の主人公でありながら、どうしようもないタイプです。
基本的にやる気がなく、目はいつも無気力。お金に意地汚いくせにパチンコ狂で、生活費であろうと何であろうと有り金すべてをつぎ込みます。なのでたいてい万事屋の家賃や新八に渡す給与も滞納してしまうのです。
そして人をおちょくるのが大好きで、新八の本体がメガネであるかのような扱いをしたり、本気で怒っている相手を横目に、鼻をほじりながらにやにや笑っていたりします。本当にどうしようもありません。
ダメダメすぎる性格で当初はこれが主役で大丈夫かと思わされるような銀さんですが、やっぱりいざという時は本当にかっこいい人物です。
ダメなところを見せつけた後に、1話目からそのかっこよさを発揮してくれます。それは我が物で地球を支配し、すべて自分たちのものだと言う天人へのこの返し。
「国だ空だァ?くれてやるよ、んなもん
こちとら目の前にあるもん護るのに手一杯だ(中略)
俺にはもうなんもねーがよォ
せめて目の前で落ちるものがあるなら拾ってやりてェのさ」
一見いつもと変わらないような表情ですが、確かにその目の奥に熱いものを感じさせます。
このあとも銀さんは数々の名言を生み出しますが、1巻のこの言葉は彼の生き様を物語っているようです。特別なことではなく、困っている人がいたら、自分のことや状況など考える前に自然と手を差し伸べてしまう銀さん。
この力んでいない、でもとても熱い性格が彼の武士道なのです。
実は銀さんの生い立ちはあまり詳しいことは分かっていません。吉田松陽という師匠に出会うまでは孤児のようだった彼。戦時下でそころへんに転がっていた死体の持ち物を盗って生活していたのです。
おそらく戦争孤児ではないかと思われますが、以前のことについては描かれていません。そして松陽と出会ったあともしばらくはまったく話さず、もしかすると言葉も知らなかったのかもしれないのです。
ここからは考察になりますが、銀さん意外に奇抜な色の髪をしているキャラは天人以外ほとんどいないので天人と人間のハーフだったり、過酷すぎる過去によって銀髪になってしまったりという背景があるのかもしれません。
そんな彼ですが、徐々に松陽の温かい心によってその緊張はほぐれ、彼は同じ門下生である高杉や桂と健やかに成長していきます。
このままであってほしいと思った時、逆恨みした者からあらぬ噂を流された松陽が幕府に逮捕されてしまいました。その時彼は銀時に「仲間を みんなを 護ってあげてくださいね」と頼みます。
その後銀さんと高杉、桂は先生を助けるために攘夷戦争に参戦するのですが、同志たちは次々と処刑され、松陽を助けようとした高杉と桂も捕まってしまいました。
そこで彼らを助けに行った銀さんでしたが、そこで「師か仲間か」どちらか選べと言われてしまうのです。彼の脳裏には松陽に言われた言葉と、高杉に言われた「もし俺がおっ死んだら先生を頼む」という言葉が交錯します……。
そして銀さんは、松陽の背後に立ち、首を斬るのです。
親を知らない幼少期を過ごし、そのあと父のような師匠や仲間たちと出会えたのに自分の手でそれを壊さなくてはいけなかった銀さん。それでもなお何事もなかったかのような顔で生きている彼を見ていると泣けてきてしまいます。
ダメダメなようでカッコいい銀さん。しかし彼のギャップはそれだけではありません。実は銀さんはかなり可愛いのです。
お化けがめちゃめちゃ苦手で怖がっているくせに強がって全く怖くないと言ったり、ピンクの苺柄パンツを履いていたりと中身も見た目も可愛いところがあります。
そして彼はスイーツ男子、いやそんな言葉では軽いほどの甘党です。週に一度は糖分を摂取しないとイライラし出し、血糖値は糖尿病寸前までいっています。まだ若いだろうに……。
ギャップ萌えの銀さんですが、かっこよくて可愛いとあればモテないはずがありません。しかも彼は素で女性を胸キュンさせてくる言葉を言うのです。
九兵衛という男に触れられるとその人を投げ飛ばしてしまうキャラが船から落ちるのを助けた時に案の定投げ飛ばされた時は、とっさに銀さんの手を握り「僕が手を伸ばすと信じていたのか」と聞く彼女にこう言います。
「…こうでもしねーとさわれそーになかったんでな 無茶して損したぜ
なんてこたァねェ
ただの綺麗な女の手だ」
こんなこと言われて落ちない女性などいないのではないでしょうか。かっこよすぎます。
また様々なヒロインと噂になる銀さんですが、最近の有力候補が吉原の最強番人の月詠です。彼女は顔に傷を負っているのですが、それを気にするようなことを言った彼女に銀さんはこう言います。
「てめーのツラは醜くなんかねェよ
傷一つねェ魂持った キレーな顔(ツラ)だ」
本当にこんなことをさらりと言えてしまうのですから何度も言いますがモテないはずがありません。本当に天然の女殺しです。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2005-08-04
2位は江戸の治安を維持する幕府の下部組織の「真選組」の副長・土方十四郎。実写映画では柳楽優弥が役を演じます。第1回、2回では3位、第3回目以降から2位になっているキャラクターです。
土方は真選組のブレーンとして認められるほどの頭がキレる人物。その戦況を見抜く目と、真選組局長とは正反対のスパルタで隊を引っ張っていきます。
主にツッコミ役として活躍する彼ですが、すべてのボケを拾う優しさからか、銀さんや同じく真選組の所属する沖田にはバカにされがち。ついついムキになってしまうところが可愛らしくもあるキャラです。
土方家の遊び人の当主の妾の子供として生まれた土方。複雑な環境下に生まれた彼ですが、唯一優しくしてくれた長男に可愛がられて比較的平和な日々を送っていました。しかし11歳の時に大震災に乗じて暴漢が家に押し入り、長男が失明してしまったことから、我を忘れて敵を斬りつけ、それ以来疎遠になってしまいます。
それからの土方は喧嘩ばかりする「バラガキ(手のつけられない悪ガキ)」と呼ばれ、様々な道場を破っていましたが、その時に近藤に目をつけられ、拾われたのでした。彼によってまた居場所を見つけた土方は彼を「大将」と呼んで慕い、忠誠を誓うようになります。
真選組でスパルタに部下たちをしごくのも、尊敬する近藤のため、そして組織全体のためなのです。
沖田の姉であるミツバと真選組結成前から思いを通わせていた土方。しかし両思いではあるものの、命の危険と隣り合わせの暮らしをしている彼は彼女にもっとふさわしい相手がいるからと身を引いていました。
土方の上京が決まった時に勇気を出して「ついていきたい」と告白するミツバでしたが、やはり土方は彼女を突き放します。もちろん自分以外の男と幸せになってほしいからこそ冷たい言葉をかけたのです。
ところがある日真選組として処罰することになった相手はミツバの婚約者。彼女の余命がもう短いことを知っている沖田は、少し様子を見て彼女が息をひきとるまではその人をいい婚約者のままでいさせてほしいと願いますが土方は耳を貸さず、その男を捕らえる算段を話し続けます。
その頃、ミツバの容態は悪化。土方はこんな時に沖田を連れて姉の婚約者を捕まえるなど可哀想すぎるからやめてあげてほしいと隊員に言われますが、自分の婚約者が死にかけているという時でさえ裏商売をやめようとしない男に怒りをあらわにし、計画を続行します。
そしていざその現場に足を踏み入れるとその婚約者の男は最低な性格で、真選組の後ろ盾を手に入れるためにミツバと婚約したこと、そのための道具としては愛していたことを悪びれもせずに言い放ちます。それに対して土方はこう返すのです。
「外道とは言わねぇよ 俺も似たようなひでー事腐る程やってきた(中略)
俺ァただ…
惚れた女にゃ、幸せになってほしいだけだ」
そう言って後から来た隊員たちと一気に彼らを制圧します。
そして息を引きとるミツバ。土方はその場にはいませんでしたが、屋上で辛いせんべいを食べて涙を流します。
本人には伝えないものの、相手をまっすぐに思う気持ちの強い土方。それ以来恋をする様子もなく、不器用で一途な想いを抱えたまま生きてるであろう人物です。
土方は極度のマヨラー。そしてタバコ中毒です。あらゆる料理に本体が見えないほどのマヨネーズをかけ、タバコを吸える場所がないときは宇宙まで足を伸ばします。すべてにおいて桁違いです。
特にマヨネーズ愛は尋常でなく、焼きそばという普通に合いそうなものから、お茶漬け、かけそばなどのあっさり系の料理にもマヨネーズをてんこ盛りにしてかけ、それも足りないとぼやきます。
中でも大好物が「土方スペシャル」。普段は何にでも満足するくらいのマヨネーズをかけることをそう呼ぶのですが、究極の土方スペシャルはただ白米と合わせるだけ。どんぶりご飯に3、4倍ほどのマヨネーズをかけて食べるというもので、周囲からは「犬のメシ」と呼ばれています。しかし想像がつく通り、犬からも嫌がられてしまううのです。
マヨネーズにタバコという、どちらもとても体に悪そうなものを好んで食べる土方。それでもあんなにかっこいい体を維持できるということは真選組は本当に大変なのでしょう……。
フォロ方十四フォロー。
このフォロー要素でしかできていないようなあだ名をつけられたのは銀さんたちが新八という青年の文通相手・うららへの返事を考えている時でした。
新八ではなくイケメンの沖田を新八であるかのように仕立てたり、下ネタに走ったりと迷走する銀さんに、ギャルゲーでは人気者だけど現実となるとモテない近藤と、まったく頼りにならない面々。
そんな時にやってきたのが土方です。近藤と沖田に挟まれながら真選組を統一する彼が一度新八の代わりに筆をとると、そこには素晴らしい文面が生まれていきます。
落ち込んでいるうららを突き放すように見せかけてしっかりとフォロー、彼女の姉・きららのことまでフォロー、最後に新八に合わせた内容に修正して彼をフォロー。
「完璧……完璧だ……!!これが、フォロ方十四フォロー!!」
団体行動で培われたフォロー力は並ではありません。これぞフォロ方十四フォローの実力なのです。
悲しい過去を抱えながらも今を楽しく生きようとする優しい土方。生き様を背中で語るような男です。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2005-10-04
3位は真選組1番隊隊長の沖田総悟。彼は爽やかなルックスとドSで腹黒いというギャップで女性ファンが多い人物です。実写化では吉沢亮が役を演じます。
沖田はイケメンで女子がきゅんとしてしまうギャップのある人物。普段はドSで腹黒で、真選組随一の剣の腕前も合わさり、迫力が滲み出ています。
しかし近藤やミツバなど、慕う相手にはとことん心を開き、キャラが変わってしまうほどの懐きっぷりを見せるのです。
吉沢亮が出演した作品を見たい方は、こちらの記事もおすすめです。
中性的な顔立ちで、栗色の髪の毛、つぶらな瞳のイケメン・沖田。どちらかというと可愛い系の顔立ちの彼ですが、ドSという女子にはたまらないギャップを持っています。
土方のナイスなフォローで文通相手・うららと会うことになった新八。沖田は彼と会う前に紳士的に彼女をエスコート中だと言いますが、そこにいたのは、何と首輪をつけられて散歩させられているうららでした。
これには思わず銀さんも「エスコートじゃねえだろあれ、ドSコートだろ!」。うまい例えです。
さすがに新八も怒って彼女を助けに行こうとしますが、逆に彼女に返り討ちにされてしまいます。完全に沖田が調教済みです。
「すいやせん 思った以上に覚醒しちまったようで」
悪びれもせずにそう言う沖田は心なしか、いい顔。ノーマルな女性の人格を変え、短時間で猫のようにまで育ててしまう沖田のドSっぷりにはほれぼれしてしまいます。
ドSで性悪な沖田ですが、ミツバと近藤だけは別格。ふたりには素直な一面を見せます。
両親を幼い頃に亡くした沖田姉弟は、姉のミツバが母親代わりになって成長しました。頼れる存在が姉しかいなかったせいか、彼女にべったりの沖田はミツバを「お姉ちゃん」、「姉上」と呼んで慕います。
しかも一人称も変わり、自分のことを僕と言い、猫かぶった性格を見た周囲からは笑われてしまいます。普段はバカなことをしてもどこか様になってしまう彼ですが、姉といる時だけは別人のようです。
そして幼い頃から慕っているのが近藤。友達の少なかった彼を道場に誘い、世界を広げてくれた人物です。
そんな大好きなミツバをフり、後から登場したのに近藤の一番近くで副長として働く土方には複雑な想いを抱いており、隙あらば彼をどうにかしてやろうと考えているよう。
ギャグパートでバカにするのはもちろん、沖田は土方が副長の器にふさわしくないと思えばすぐさま失脚させようとする怖さを持っています。
しかし沖田もそんなことをしていても結局は真選組のことを一番に思っており、土方のことも嫌いになりきれないそぶりを見せます。
ミツバに近藤、そして真選組など、大切にしたいものには捨て身で行動する沖田は本当にかっこいいです。
沖田は本当にギャップの宝庫。意外にもノリが良く、カブト狩りの時には自らがカブトムシの着ぐるみを着て捕まえようとしたり、ゲロを吐く近藤の一芝居に付き合って彼を抱きかかえたりと、迷わずギャグパートに参加することもあります。
そして可愛いのがSに見えて、というかだからこそ繊細なところ。そしてそれを自分で言っちゃうところです。みんなで遊園地に来てジェットコースターに乗ることになった時。一緒に乗ったチャラ男に短剣を差し向けて「帰ってくるまでにうんこしろ」と脅迫します。
怖いけど、言ってることがお子様。時々ありえないくらい子供っぽいことを言うのも沖田の魅力なんですよね。そして安定のドSっぷり。
と思いきや、彼はジェットコースターのベルトを締め忘れてしまいます。そして前の座席の部分に捕まって目を回しながらもどうにか振り落とされないよう必死。
「Sだからこそ打たれ弱いの!
ガラスの剣(つるぎ)なの!
たたた助けてェェ!!土方コノヤロー!!」
そして前に乗っている土方の頭を掴むのです。テンパりながらも上から目線で。
どんな時もかっこよくて、ちょっとだめなところも可愛い沖田。彼には夢中にならない訳ありません。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
4位は攘夷四天王のひとりで、攘夷浪士で構成された「鬼兵隊」の総督・高杉晋助。おそらく幕府を倒すことを目的としている集団です。実写化では堂本剛が演じます。
高杉は攘夷志士たちの中で最も過激で危険な男と呼ばれながらも、人を惹きつけるカリスマ性も備えた恐ろしい人物です。
しかし実は銀さん、桂という主要キャラたちと同じ、松陽を慕って道場に通っていた門下生であり、それぞれ別の道を歩んでいく中で最も暗いところを辿ってしまいます。
もともとは下級武士の生まれで、実はいいとこ育ちの高杉。名門私塾に通っていましたが、その時から身分をかさにきて偉そうにする同級生や権威にへりくだる父親とは意見が合わず、鬱屈とした幼少期を過ごしていました。
そんなある時、喧嘩の最中に止めに入ってきた銀さんと吉田松陽に興味を抱きます。
そして自分が勝つまで勝負すれと松下村塾に通いつめて銀時と戦い、「一族の面汚し」だと父親に罵られるまで負け続けましたが、ある時やっと彼に勝ち、そこで初めて屈託のない笑顔を見せます。そして、同じ名門塾に通っていた桂小太郎と松下村塾に入塾するのです。
そして平和な時を過ごすのですが、松陽が幕府に捕らえられてしまい、結局自分も助けに行こうとして捕まり、そこで銀時によって師匠をころされてしまいます。
銀さんが松陽に刀を振りかざした時、カッとなって銀さんにとびかかろうとした高杉は、敵の放った小刀によって左目を傷つけられ、それが片目だけに包帯をしている理由です。
そして様々なことに絶望した高杉は「俺は、ただ壊すだけだ。この腐った世界を」と決意するのです。
高杉の魅力は見た目や雰囲気のつかみどころのなさ、色気にあります。女物の美しい着物を着こなし、片目だけに包帯を巻き、キセルをくゆらし、常に狂ったような微笑をたたえています。
シリアスな過去とミステリアスな雰囲気から本作では珍しいボケもツッコミもしないキャラクターなのですが、だからこそ魅力が引き立っています。着物から覗く胸元や足首などは絶妙なセクシーさがあり、危ない魅力に惹かれてしまうのです
登場回数が少ない割に人気があり、物語の大筋の重要な部分には関わってくるという、おいしい役どころの高杉。他の人物たちとの違いが際立つ魅力があります。
恵まれない幼少時代、そこから救ってくれた師匠との別れ。不遇な目にばかり遭う高杉は、設定といい、見た目といい、中二心をくすぐる人物です。特にぽつりと発する言葉は悶えてしまうほどの良さがあります。
例えば銃口を突きつけられるというピンチに陥ってもこんな余裕のひとこと。
「今日はまた随分とデケー月が出てるな。 かぐや姫でも降りてきそうな夜だと思ったが、とんだじゃじゃ馬姫が降りてきたもんだ」
全く動じず、月を眺める余裕すらにおわせます。
しかし銀さんと同じく内には熱いものをたたえている高杉。松陽の処刑を命じた憎き相手・徳川定定を前にした時には普段からは考えられないほど感情を見せてこう叫びます。
「例え将軍だろうと、天であろうと誰にもお前は裁かせねェ。お前を裁くのは、この俺だ!!」
普段はクールな雰囲気で周囲を俯瞰しているようなタイプの高杉ですが、いざという時にこんな風になれるところもまた魅力的で、中二病心をくすぐられてしまいます。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
5位は攘夷四天王のひとりで、攘夷集団を率いるリーダー格の桂小太郎。実写化では岡田将生が役を演じます。彼は指名手配犯なのですが、「逃げの小太郎」と呼ばれるほど、逃げ足が速く、万事屋にも気がつくといます。
ほとんどギャグパートで活躍し、戦うことも少なくとにかく逃げる桂ですが、いざという時は強く、国のことを真剣に憂う様子には指名手配犯ながらも民間人からの人気も高いキャラです。
銀さん、高杉たちとともに攘夷四天王と呼ばれた桂。彼は見た目から「狂乱の貴公子」と呼ばれることもありましたが、「逃げの小太郎」という呼び名でも呼ばれていました。
幼い頃に両親を亡くした桂はお婆と一緒に屋敷を追い出されてしまいます。その時彼は彼女に軍を率いるのに必要な資質について臆病でなくてはならないと言われました。誰よりも臆病になり逃げ続けることで、大将として首を取られなければ戦いが負けることはないのだと。
「生き残れ 小太郎」
お婆からそう言われた桂は彼女が死んだ後も剣術の練習に明け暮れ、名門塾に特待生として入るまでになるのです。この時の桂は今からは考えられないほど真面目で可愛らしい少年。
逃げ足の速さはギャグパートで活かされることも多いですが、実はこんな過去によるものでもあったのです。面白いだけでなく、こんな事情があるのだと知ると余計に彼に惹かれてしまいます。
本人は堅物、周囲からは電波として認知されている桂。彼が出てくると、お、出てきた、とついつい嬉しくなってしまいます。彼の決め台詞といえば「ヅラじゃない、桂だ」です。
彼は様々な変装をして登場し、その言葉を言います。ある時は「カマっ娘クラブ」というオカマバーでヅラ子として、ある時は宇宙海賊キャプテンカツーラとして、ある時はマリオとして登場します。まさに変幻自在。
しかもすべて真面目な顔でやられるから笑ってしまいます。もう何度聞いたか分からないというくらいになってもやっぱり面白い。そんなクオリティを維持したギャグを読者にお届けするのが桂なのです。
その美貌と設定からヒロイン感があるとしても話題なのが桂。まずは何といっても彼の容姿で最も目立つところといえばその長髪でしょう。
黒々として綺麗な髪は風になびくほどにサラサラのツヤツヤです。紅桜編ではショートヘアになる彼ですが、それはそれでまたかっこいい。
それもそのはず、桂は見た目がイケメン。「カマっ娘クラブ」というオカマバーでヅラ子として登場すると、『銀魂』女性陣の中に混じっても遜色ないと思われるほどの完成度を見せます。
しかも整っているのは顔だけではなく脚も綺麗。ノースリーブのドレスを着た時、二の腕は結構しっかりしているのですが、脚はほっそり。銀さんと身長がほとんど変わらないのに、9kgも体重が違うというのも納得してしまいます。
見た目の麗しさから貴公子と呼ばれたり、ヒロイン枠に入れられたりする彼の性格は本当に残念なのです。
女性にも見られるほどの顔立ちと黒い長髪が似合うイケメンの桂ですが、中身が本当に残念。
まず流行にとても疎いです。未だにゲーム機の最新機種がファミコンだと思っていたり、「バイビー」や「ニャンニャン」などの死語を連発します。
そしてだめ押しのように女性の趣味が熟女。人妻専門のエロ本に目を光らせたり、ギャルゲー対決でヒロインを「おとす」という対決では、ヒロインを崖から突き落とし、ヒロインの母親の心を落とします。
この残念ささえなければ……。でもその残念さをとるともはや桂ではなくなってしまうほど「電波」なところが核であるキャラです。
キャラクターそれぞれに人生があり、それが丁寧に拾われることで読者を引き込んでいく『銀魂』。空知英秋のキャラたちへの愛情が感じられる作品です。
まだまだこの作品は魅力的な登場人物がいっぱい!絶対好きになる人物がいるはずの本作でぜひ本推しキャラを探してみてください!