『ダンジョン飯』を5巻まで本気でネタバレ考察!wikiより詳しく!

更新:2020.12.24

ファンタジーRPGの主人公たち冒険者は、店舗がない地下迷宮ではどのように食いつないでいるのか。おそらく誰もが思ったことがある疑問への回答を物語に取り入れた『ダンジョン飯』。この新しいファンタジー漫画について考察してみましょう。

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ファンタジーの新ジャンル、迷宮グルメ漫画『ダンジョン飯』をネタバレ考察!

著者
九井 諒子
出版日

RPGの冒険者は直ぐに宿屋や酒場に入れる訳ではない地下迷宮に長期間潜るとき、食事をどうしているのだろう。RPGで遊んだことがある人ならきっと誰もが考えたことがあるでしょう。そしてそれを実際に物語に組み入れたおそらくはじめての漫画が『ダンジョン飯』です。

本作はファンタジーRPGの世界でお馴染みの魔物たちを、読者にも馴染みがある調理方法でおいしく食べる「迷宮グルメ」という新境地を拓きました。しかし、毎回魔物を狩って食べるだけのお話ではありません。

ある日小さな村に現れた地下迷宮、遙か一千年昔に栄えたという黄金の国、古代の魔法……迷宮での移動と戦いと食事の狭間に、小さく謎が散りばめられています。主人公ライオス一行は魔物を食べながらどこへ向かうのか、何を発見するのか、情報を整理しながら考えてみましょう。

『ダンジョン飯』ネタバレ考察1:ダンジョンって何だ?

『ダンジョン飯』ネタバレ考察1:ダンジョンって何だ?
出典:『ダンジョン飯』1巻

ダンジョン(dungeon)とは何か、という問いの答えは、英語の意味としては中世頃の城などにあった「地下牢」のことなのですが、ファンタジーの世界では「地下迷宮」を指すことが多いです。

さて『ダンジョン飯』の世界では何を指すでしょうか。

実は、作中では主人公ライオスたちが冒険している迷宮を「ダンジョン」と呼ぶ人はいません。ライオスたちが冒険している場所はただ「迷宮」と呼ばれています。単行本第1巻第1話「水炊き」の冒頭に「地下墓地の底が抜け」という記述があることから、これも地下迷宮であることが分かります。本記事では作中に従って「迷宮」と呼ぶこととします。

第4巻第22話「地上にて」冒頭に地図があります。迷宮がある島は時代時代において所有者が変わりそれに連れて呼び名も変わってきましたが、作中現代においてはただ「島」と呼ばれています。島のほぼ中心部にある小漁村「メリニ村」の地下墓地の底が抜け、一人の男が現れ、このような内容のことを言いました。

自身は一千年前に滅びた黄金の国の王である。かつて栄えたその国は、現在「狂乱の魔術師」によって地下深く囚われている。狂乱の魔術師を倒した者には国のすべてを与えよう。

言い残すと男は塵となって消えたと言います。

それが、作中の「現在」からどれだけ以前のことかは分かりませんが、それ以来、数多の冒険者が地下迷宮に挑戦し、それによってメリニ村周辺には冒険者のための宿屋や食堂などの施設が並ぶようになり、いまの姿になったようです。

第4巻までの間に明らかになっているのは地下5階までです。当初の目的であったレッドドラゴンの棲処が地下5階であり、そこに辿りついてレッドドラゴンを倒したところで第4巻は終わっています。地下5階よりもさらに地下層があるのか、地下5階が最下層であるのか、まだ明らかではありません。

地下迷宮の各層は次のようになっています。

・地下1階

もともとの地下墓地。迷宮の入口があって、往来も多い場所です。冒険者のほか商人なども行き交う村一番のにぎやかな場所で、商人たちの店が並ぶ「初心者の広場」があります。第1巻第1話では墓石に肘をかけながら話し込む人の姿が見られます。

・地下2階

地下1階とは異なり、風変わりな風景が見られます。木々が生い茂り、たくさんの樹木の間に吊り橋が渡されていて、そこを歩いて巡らねばなりません。人喰い植物やマンドレイクが獲れ、食材となりました。地下深くにある黄金城の尖塔部分があり、そこから城の内部へと入ります。

・地下3階

黄金城の内部で、迷宮で生活するセンシがもともと拠点としていた場所です。城の護り手としてゴーレムがいて、元来もっと深い階層に棲んでいるオークがレッドドラゴン出現のために避難してきています。また、地上にはいられない事情の持ち主が潜んだりしていて、治安はよくありません。

・地下4階

水がある階層です。岩盤から魔力を帯びた地下水が流れ出していて、それが貯まって湖となっています。城の部分もありますが、行き来するためには水上歩行の魔法を使って水の上を歩いて移動する必要があります。水中にはやはり魔物が棲んでいます。

・地下5階

黄金城の城下町です。元来のオークの集落があった階層でもあります。煉瓦積みの建物が密集して狭い通路が縦横に走る街並みを利用して、ライオスたちはレッドドラゴンと戦いました。

迷宮の各階層には魔物が徘徊していて、魔物のうちには肉食のものも草食のものもいます。草食のものがいるということは植物が生えているということであり、植物が生えているということは土と光と水があるということです。ライオスはここに着目し、生態系が存在している――迷宮内で自給自足していけると自説を立てて、魔物食を決断したのでした。

迷宮を擁する島は「島主」と呼ばれる領主が治めています。遙か昔にはエルフとドワーフが争い、ドワーフが地下に坑道を掘ってそれが地下迷宮となったのだと第4巻第22話「地上にて」で島主が述べています。エルフの王がトールマン(人間)に与えたものであるらしいですが、島主にはエルフから「地下迷宮は我々の遺産であるから返上せよ」との要求が届いています。

また、迷宮の主である狂乱の魔術師はエルフである可能性が高いと見られています。迷宮全体には不死の魔法がかけられており、人の魂を肉体に束縛していると言います。そのためにどれだけ肉体を損傷しても損傷さえ治れば蘇生が可能です。この説についてノームの学者タンスが第3巻第19話「テンタクルス」でこのように述べています。

「死んだ者が生き返っているのではない。ここでは死自体が禁じられているのだ」(『ダンジョン飯』第3巻)

迷宮での死を禁じたのは狂乱の魔術師なのでしょうか。なぜ、死は禁じられたのでしょう。そして狂乱の魔術師とはいったい何者で、どこにいるのでしょうか。

第3巻第17話「木苺」で、魔術学校はじまって以来の才女と呼ばれたマルシルが迷宮についてこう述べています。

「とにかくこの迷宮はとんでもない場所なの。何重にも計算を重ねて、膨大な魔力を循環させ続けてる」

「狂乱の魔術師がもし実在するならば……間違いなくまともな存在ではない」

(以上『ダンジョン飯』第3巻から引用)

作中で人物が「ダンジョン」という言葉をはじめて使ったのは、実はマルシルです。前述の迷宮について述べたのと同じ第3巻第17話での魔術学校での挿話で「安全なダンジョンの作り方を研究してるの」と言っています。ダンジョンを研究していた才女だからこそ分かる、迷宮をかたちづくる底知れない魔力とその組成の複雑さ、そしてそれをつくった者の異常なまでの能力。

恐るべき迷宮を探索した先には恐るべき魔術師との邂逅があるのでしょうか。ライオスたちの迷宮での冒険は魔物を食べながら続きます。

『ダンジョン飯』ネタバレ考察2:迷宮を探索する人たち

『ダンジョン飯』ネタバレ考察2:迷宮を探索する人たち
出典:『ダンジョン飯』1巻

物語を進行していくのは、主に迷宮で魔物を食う人たちです。また、その人たちに関わる人たちもいます。黄金城に至る狂乱の魔術師の迷宮を探索する人たちはどのような人なのか、各々確認してみましょう。

『ダンジョン飯』登場人物1:ライオス

『ダンジョン飯』登場人物1:ライオス
出典:『ダンジョン飯』4巻

物語の主人公です。プレート・メイルを着けたトールマン(人間)の剣士。妹ファリンとともに迷宮探索の途中でギルドのメンバーとともにレッドドラゴンと出会い、戦いますが、疲労と空腹のために窮地に陥ります。あわや全滅、というすんでのところでファリンが転移の魔法でギルド全員を迷宮の外へ脱出させますが、当のファリンだけはレッドドラゴンに食われてしまったために迷宮の中に取り残されてしまいます。

所持品も装備も迷宮の中に置いたままです。金もなければ食糧もない。しかし早くもう一度迷宮深層へ赴いてレッドドラゴンを倒さなければ、食われたファリンはレッドドラゴンの胃袋で消化されてしまって魔法で再生させることさえできなくなってしまいます。

そこで節約のために迷宮内の魔物を食って生きることを決断したライオスですが、実はこれ以前から魔物には随分と興味津々だったのです。「迷宮グルメガイド」という本を熟読していて、常に持ち歩いています。この事態に陥らなくても早晩魔物を食べるという行為に及んでいたでしょう。

魔物についての知識が豊富で、よく知るが故にほかの冒険者がやらないような撃退法を取ることがあります。第1巻第3話「ローストバジリスク」ではバジリスクを相手に「手足を広げて身体を大きく見せて、大きな音(声)を出して威嚇する」ということを、第3巻第15話「雑炊」では聞く人を惑わせるという人魚の歌を無害化するべく、人魚に合わせて歌うということをしています。人魚の歌のときは人魚が直ぐにその場を離れてしまったので「また最後まで歌えなかった」と残念がっています。

第1巻第6話「動く鎧ー1-」でそれまで使っていた剣を動く鎧に折られてしまいましたが、策を用いてこれを倒し、以降は動く鎧が持っていた剣を使うことにしました。この剣にも群生である動く鎧の個体が棲みついていたのですが、これに気付いたのはライオスだけです。これを秘密にしながら「ケン助」と名付けて大事に携行していましたが、第4巻第24話「炎竜(レッドドラゴン)2」でチルチャックに看破されてしまい、同巻第28話「炎竜6」でギルド全員に告白することになるのでした。

第27話「炎竜5」で念願叶い、ファリンを復活させることができましたが、よろこびも束の間、ファリンは様子が不穏になり、突如現れた褐色の肌をしたエルフの魔術師とともに行方を絶ってしまいます。

妹のためなら何だってしてしまおうとするライオスですが、もともとファリンを助け出して地上へ戻るだけの物資しか持たなかった一行です。そのままファリン捜索へ向かいたいところを説得され、一旦地上へ戻ろうとします。

同じ頃、かつて同じパーティで行動したシュローや、カブルーなる戦士率いるパーティがダンジョンを探索し、やがてライオスたちと出会います。カブルーは何やらライオスたち兄妹を知りながらも悪印象を持っている様子。この出会いはライオスや一行に何をもたらすのでしょうか。

『ダンジョン飯』登場人物2:ファリン

『ダンジョン飯』登場人物2:ファリン
出典:『ダンジョン飯』3巻

ライオスの妹で、魔法を使います。主に回復や除霊などの、RPGで言う「僧侶系」の魔法を得意とします。魔術学校出身で、学生時代にマルシルと知り合っています。

おっとりしている部分もあって、魔術学校では孤立しがちで成績も振るわなかったようですが、「魔術学校はじまって以来の才女」と謳われたマルシルから見るとかなり高度な技術の持ち主です。特に除霊に関してはマルシルにも使えない技術を用いていたようです。

兄ライオスやマルシル、チルチャックたちとともに迷宮を探索している際にレッドドラゴンと戦い、窮地にあったライオスをかばってレッドドラゴンに食われながらも転移の魔法を用いてギルド全員を迷宮の外へと脱出させましたが、自身だけは転移できませんでした。

食われてしまったファリンがレッドドラゴンの胃袋に消化されてしまう前に、と救出に向かったライオスたちは迷宮地下5階で再び戦い、苦戦の末に倒しましたが、既に胃袋にはその身体はありませんでした。しかし、消化しづらいものとして別所に骨格のみが入っていたので、それを魔法陣の上で一片残らず組み立てて、マルシルが身につけた秘術とレッドドラゴンの血肉とを使って再生させました。

再生したファリンはドラゴンの胃袋に入ってしまう以前のファリンと変わらず、おっとりしていて、兄を慕い、めずらしいものをよろこびます。再会できたことを兄ライオスたちはよろこびますが、その深夜にファリンはふらふらと寝所を出てダンジョンをさまよいます。

行った先はライオスたちが倒したレッドドラゴンが倒れている場所。そこにいた褐色の肌をしたエルフがファリンを見知った相手のように話しかけます。その声に頭を抱えるファリンは、連れ戻しに来た兄を猛烈な腕力を発揮して振り払ってしまいます。どうやらファリンとしての意識がないような様子です。

ライオスたちがレッドドラゴンを倒したときには骨しか残っておらず、ドラゴンの血肉を使って復活したファリン。褐色のエルフが「竜」と呼ぶファリンは、ファリンではないのでしょうか。その彼女も、褐色のエルフとともに行方が分からなくなってしまいます。

ライオスたちが再会できたはずのファリンはどこへ行ってしまったのでしょうか。

『ダンジョン飯』登場人物3:マルシル

『ダンジョン飯』登場人物3:マルシル
出典:『ダンジョン飯』1巻

エルフの魔術師。ライオスと同じギルドで迷宮探索をしていて、ファリンがレッドドラゴンに食われる現場にいました。ファリンとは魔術学校に在籍した頃からの仲よしです。金銭も装備も失いギルドを離れた者たちがいる一方で、ファリンを救出したい気持ちが強くギルドに残り、再度レッドドラゴンに出会うべく迷宮に入っていきます。

魔術学校で「はじまって以来の才女」と呼ばれるほどの秀才で、授業で精霊の繁殖実験を行ったときには誰よりも巧く「ダンジョニウム」と呼ばれる飼育槽をつくりました。しかし、上手にできたとは言えないダンジョニウムで大量に精霊を繁殖させたファリンに興味を持ち、それをきっかけに仲よくなりました。

ファリンをとても大切に思い、再度の迷宮探索やレッドドラゴンとの対峙もいとわなかったマルシルですが、魔物食には大変強い拒絶を長い間見せています。第1巻第1話でライオスが歩き茸を食べようと言い出したときは三点倒立をしながら、第3巻第16話「蒲焼き」でやはりライオスがジャイアントクラーケンに寄生していたジャイアント寄生虫を見て「料理すれば食べられる」と言い出したときには地団駄を踏みながら、最早や顔芸と言えるほど大きく表情を崩していやがっていました。

しかし、空腹に負けて食べざるを得なくなり、いざ食べておいしいことが分かったときに、最もよい食べっぷりを見せるのもまたマルシルなのです。

それだけいやがっていながら第3巻第18話「焼き肉」では、ウンディーネの攻撃を受け、血と魔力を失ったためにギルドでは水棲馬(ケルビー)の焼き肉が供されましたが、血をつくるための栄養素が多く含まれるレバーばかりを食べさせられて「他のとこも食わせろ!!」と怒鳴りましたし、同巻第20話「シチュー」では魔力切れのために地上へ戻らざるを得ないとなったときには、それを回避するため自ら「ウンディーネを飲む」という決断をしました。実は魔物食が好きなのかもしれません。

「アンブロシア」と名前がついた魔法の杖を携えて数々の魔法を使うマルシルですが、実は専門に研究するのは禁忌とされている古代魔法で、ファリンを復活させるときもこれを用いました。使用した魔法陣を消しておけば大丈夫、と言ったものの、消されないままで施術の場を離れています。この消し忘れの魔法陣が、今後の物語の展開に関わってきそうです。

ファリンとの再会をよろこんだのも束の間、彼女が出ていった先にいた褐色のエルフが詠唱したのが古代魔法であることを看破したマルシルは「術を直接書き換える」という方法で古代魔法による攻撃を回避しました。

古代魔法を使う者、即ち「狂乱の魔術師」であると考えたマルシルは褐色のエルフに「あなたと話が……」と語りかけますが、魔法によってダンジョンの地面に穿たれた穴に落とされ、対話はできませんでした。ダンジョン創造の主ともファリンとも一時の邂逅しかできなかったマルシルはさらに長い探索を覚悟し、ライオスに回復魔法を教えるのでした。

『ダンジョン飯』登場人物4:チルチャック

『ダンジョン飯』登場人物4:チルチャック
出典:『ダンジョン飯』2巻

ハーフフットの男性。ハーフフットの特徴である短身童顔からは想像しがたいですが、年令は29歳です。人間と比べてハーフフットが長命なのか短命なのか分からないので、この年令が思いのほか年長なのか幼いのかは判断し得ません。第2巻第13話「塩茹で」で年令を聞いたマルシルとセンシが「子供」「幼い」と言っていますので、エルフやドワーフに比べれば短命だということが推測できます。ライオスが「さん」をつけて呼ぶ一幕もあり、ライオスよりは年長のようです。

ハーフフットは身軽で器用なため、迷宮では鍵師として扉や宝箱の鍵を開けたり罠の解除を主に担当し、迷宮内の仕掛けに精通しています。しかし、戦闘は得意ではありません。ギルドのほかのメンバーに比べて沈着で、迷宮内での行動に関しては多少神経質な部分もあります。これは軽率な行動が罠の作動に繋がることもあり、罠の種類によってはギルドの全滅に直結することもある危険があるため、罠の解除及び回避を担う者として神経を尖らせているためもあるのでしょう。

安全、つまり生き延びることにいつも気を付けています。これが他者には「臆病」と映ることも多いようですが、ただ怖気づいているのではないのです。ライオスやマルシルはともすれば目的のために危険な道を選びがちですが、チルチャックは常の沈着さで他の方法を示し、自分だけでなくほかの者たちの安全をも図ります。ただ、少しばかり素直さに欠けたところがあり、「無事でいてほしい」だとか「死なせたくない」というようなことをなかなか口に出すことができません。

しかし、第5巻第30話「良薬」でチルチャックは、わずかながら目に涙を浮かべながら、万全ではない身体でファリンを探しに行こうとするライオスにこのように言います。

「俺はお前たちを失いたくない! お前が妹を思う気持ちにはかなわないかもしれないがこっちは3人分だ」(『ダンジョン飯』5巻から引用)

ライオスが妹ファリンを思うのと同様に、チルチャックは仲間であるライオス、マルシル、センシをそれぞれに思っているのだということを、めずらしくも言葉で表したのです。それほどチルチャックは仲間を大事にしていて、今後の探索は危険に満ちているのだということでしょう。

魔物食についてはあまり乗り気ではないものの、マルシルほどはいやがっておらず、取り敢えず食べてみる姿勢が見られます。しかし、やはり人間の姿に近い亜人種や安全が不確かなものは避けたいようです。

『ダンジョン飯』登場人物5:センシ

『ダンジョン飯』登場人物5:センシ
出典:『ダンジョン飯』1巻

ドワーフの男性。名はドワーフの言葉で「探求者」という意味。その名の通り迷宮の中で10年以上も魔物食を探求し続けています。ライオスが大サソリを食べようとしているところに現れてその食べ方を見咎め、適切な調理方法を教授しました。それをきっかけにライオスたちのギルドに参加し、一緒に迷宮を探索することになります。

ドワーフらしい短身ながら膂力に富みそうな体躯と大きな目玉、豊かな髭という姿で、武器として斧を装備しているほか、鍋や包丁、スライム干し網など調理のための道具をたくさん携行しています。斧を使った戦闘能力は高く、また調理をするためか魔物の構造についても詳しいため、戦闘を有利に進めることも多いです。魔法を殊にいやがり、時折魔術師であるマルシルと衝突することもあります。

魔物と見ればまず食べることを考えるところはライオスと似ているかもしれません。しかしそれにとどまらず、すべてのことに調理・食事を優先する傾向があり、第1巻第13話「かき揚げ」では迷宮内の炎や煮え油や落とし刃の危険な罠でさえ調理の道具にしようとしてチルチャックに怒られたり呆れられたりすることもありました。

食材や調理、及び食育に関わる部分については一家言持っていて、折りにふれて食のバランスや栄養摂取の大切さを説きます。第1巻第3話では迷宮初心者たちにどうすれば強くなれるかを問われ、「食生活の改善・生活リズムの見直し・適切な運動の3点に気をつければ自ずと強い身体がつくられる」と答えています。

そのように魔物食と健康について詳しい一方で、ドワーフでありながら鉱物の見分け方や武器の手入れには疎く、そのため先祖代々受け継がれてきた、貴重な素材であるアダマントでできた盾を盾としてではなく、鍋として使用しています。斧の手入れはしませんが、鍋の手入れは欠かしたことがないそうです。

『ダンジョン飯』登場人物6:ナマリ

『ダンジョン飯』登場人物6:ナマリ
出典:『ダンジョン飯』3巻

ドワーフの女性。年令は61歳です。ドワーフらしく各種武器の扱いに長け、他人の武器にも「信用できる店で手に入れろ」だの「手入れをきちんとしろ」だのと細かく口を出します。それは戦士として迷宮で武器を疎かにするととても危険であるということが分かっているからなのです。

ファリンを失ったときのライオスのギルドの一員でしたが、地上に転移した後、ギルドを脱けました。学者のタンス夫妻に雇われて迷宮に入り、探索中にライオス一行と再会します。ライオスたちと別れたのは決して薄情だからではなく、ナマリはナマリで第4巻第22話に見られるように、自分で蘇生所に出向いてファリンの身体が届いていないかを確認したり、気にかけてはいるのです。

『ダンジョン飯』登場人物7:シュロー

『ダンジョン飯』登場人物7:シュロー
出典:『ダンジョン飯』3巻

ナマリとともに以前ライオスのギルドにいた一人。長い髪を総髪にしてまげのようにくくった、着物風の出で立ちの剣士です。結婚を申し込むほどファリンのことが好きで、現在もライオスたちとは別ルートでファリンを探しているようです。

第5巻第33話「シーサーペント(後編)」では独自のギルドを組んでの途上、見知らぬギルドを窮地から救い出しています。そのとき、助けたギルドの一人が「ファリン・トーデン」の名を出したことでシュローは大きく動揺していることから、ファリンを探しているのは事実だと分かります。その後、ライオスたちと合流しますが、無事にファリンと再会できるのでしょうか。

以前のギルドではほかのメンバーには周知のことだったようですが、ライオスはシュローがファリンに想いを寄せているということにはまったく気付いていなかったようです。

『ダンジョン飯』登場人物8:タンス夫妻

『ダンジョン飯』登場人物8:タンス夫妻
出典:『ダンジョン飯』3巻

ノームの学者夫妻。迷宮がある島の主からの依頼で迷宮内の魔法陣の調査を行っています。褐色の肌をした男性剣士カカと女性のクロスボウ使いキキ、そしてナマリを連れての調査中にライオスたちと遭遇しました。夫は210歳、妻は204歳と長命のノームのうちでも高齢と見られ、蘇生や帰還などの高度な魔法を使います。

他者に対して横柄であるようでいて、血は繋がらないものの生活を共にするカカやキキはとても大切に扱いますし、ナマリに対しても攻撃を避けるために盾にするなどひどい扱いをする他方で、調査中ながらライオスたちが気になるナマリの心情を汲んで猶予を与えたりしています。

魂が肉体に束縛される不死の魔法が迷宮全体にかけられていることを調査で知り、「迷宮では死自体が禁じられている」という説を唱えます。迷宮全体にかけられた巨大な魔術には必ず設計書があり、迷宮の主がそれを所持しているだろうと島主に示唆しています。

『ダンジョン飯』登場人物9:狂乱の魔術師

『ダンジョン飯』登場人物9:狂乱の魔術師
出典:『ダンジョン飯』1巻

メリニ村に現れた黄金城を含む迷宮をつくったとされる魔術師。実在するのかどうかも定かではありません。しかし、迷宮から現れた黄金の国の王を自称する男は「魔術師を倒した者には我が国のすべてを与えよう」と言い残しています。

第5巻第29話「炎竜5」で夜ふけに出ていったファリンを探すライオスたちが出会った、古代魔法を操る褐色の肌をしたエルフはのちにオークの証言で「迷宮を支配する者」だと分かります。どうやらこれが「狂乱の魔術師」である目算が高いようです。

このエルフと第2巻第12話「宮廷料理」でライオスが生ける絵画の中で出会ったエルフは同一人物らしく、ライオスに対して「絵画の中をうろついていたな」と発言しています。ライオスの絵画の中での体験と、褐色のエルフと、迷宮との間にはどのような関係があるのかが注目されます。

『ダンジョン飯』登場人物10:隊長(ゾン族長の妹)

『ダンジョン飯』登場人物10:隊長(ゾン族長の妹)
出典:『ダンジョン飯』5巻

第2巻第9話「オーク」で登場した、センシの知り合いであるオークの族長の妹です。「隊長」と呼ばれ、自分たちの集落周辺の警備に当たっているところで、迷宮の「壁」を抜けてきたライオスたちと遭遇します。最初こそ敵と認識したものの、経緯を聞き、怪我をしたライオスたちのために薬を調合しました。

素直さに欠けるチルチャックに「素直に死なせたくないと言えばいいのに」と助言したのは実は彼女。謗りの裏に隠されたチルチャックの思いにいち早く気づいたのでしょう。おかげでチルチャックはライオスたちの無謀な迷宮探索を思いとどまらせることができたのでした。

『ダンジョン飯』登場人物11:カブルー

『ダンジョン飯』登場人物11:カブルー
出典:『ダンジョン飯』5巻

迷宮探索をする6人組ギルドのリーダー。褐色の肌の、おそらくトールマン。破天荒と言えるライオスたち一行と比して優等生的冒険者です。表面上は人当たりがいい感じですが野心も強い様子で、ほかの誰でもなく自分たちこそが「狂乱の魔術師」を倒すのだと信じて探索を続けている様子がうかがえます。

ライオスたちのギルドを自分たちの装備品を盗んだ犯人と信じていて、トーデン兄妹、つまりライオスとファリンには昔から悪印象を抱いていたと言います。島主同様、島に対する大きな影響力を持たせてはいけないと。シュローを介してライオスに近づいたカブルーですが、何を目論んでいるものでしょうか。

『ダンジョン飯』登場人物12:リン/ホルム/ダイア/ミックベル/クロ

『ダンジョン飯』登場人物12:リン/ホルム/ダイア/ミックベル/クロ
出典:『ダンジョン飯』5巻

カブルーとともに迷宮を探索する一行です。

リンは東方人のトールマンで魔法を使います。ホルムはノームの魔法使い。リンとは使う魔法の領域が異なるようです。ダイアはドワーフで、同族のナマリの素性をいくらか知っています。ミックベルはハーフリングでクロの雇用主でもあります。クロはコボルトという犬の姿の亜人種で、ミックベルに雇われてギルドにいますが、ミックベルを「よい雇用主」と認識しているようです。鼻がよく利き、匂いで人や魔物を識別する能力があります。

彼等はみなカブルーを信用し、カブルーこそが「狂乱の魔術師」を倒し、国を手に入れる者だと信じ、協力しています。それだけに団結力は強そうです。

『ダンジョン飯』ネタバレ考察3:迷宮を巡るアイテムたち

『ダンジョン飯』ネタバレ考察3:迷宮を巡るアイテムたち
出典:『ダンジョン飯』1巻

ファンタジーRPGの世界では冒険の場とキャラクターと、もうひとつ大切なものがあります。アイテムです。ファンタジーRPGの世界を踏襲した『ダンジョン飯』の世界にもちょっとめずらしいアイテムが登場しますので、それをここでは見てみます。

第1巻第1話「水炊き」では、レッドドラゴンとの戦いを回避して何もかもなくしたライオスが、迷宮の探索には武器や防具以外に照明や薬や寝袋、食料などが必要であると思案を巡らせています。冒険者たちはそれ等をできるだけコンパクトにまとめて携行するのですが、ライオスはこの荷物の中に一冊の本を入れています。

「迷宮グルメガイド」です。

ライオスが持っているこの本を見せてもらったチルチャックが「随分年季が入ってる」と言っていました。それはライオスがたくさん書き込みをするなどして使い込んでいるからなのか、この本が出版されて長い時間経っているからなのか、そのどちらなのかあるいは両方なのか、分かりません。いずれにせよ、ライオス以前にも迷宮の魔物を食べることを考え、そして実行した上で可食種や調理法をまとめて書き残した人がいるということがこの本の存在から分かります。

同じく第1話で出会ったセンシも10年以上前から迷宮内に住み魔物を調理して食べて生活していますが、「迷宮グルメガイド」を書いたその人ではないようです。この本の出版がもしも十数年程度の昔であるなら、ライオスはもしかしたら、今後著者と出会う機会があるかもしれません。

魔物が好きで姿や鳴き声などの生態を学んだライオスですが、そうしているうちに味も知りたくなったと第1話で言っています。そうした折りに出会ったのが「迷宮グルメガイド」という本だったのでしょう。迷宮探索の際には常に持ち歩いているようです。

魔物好きが高じて、第1巻第2話「タルト」でライオスは人食い植物の種を地上へ持ち帰って植えようとしましたし、さらに物語が進んだ同巻第7話「動く鎧-2-」では倒した動く鎧が持っていた剣を破損した剣の代わりに持って行こうとして、その剣にも動く鎧の「本体」が棲んでいるのを見つけ、のちに「ケン助」と名付けてともに迷宮を探索しています。多少の意志を持った「生きた剣」です。

同様に、マルシルも常に携える魔法の杖を、第3巻第21話「大ガエル」で「アンブロシア」と呼んでいますが、これはマルシル自身が名付けたのか誰かほかの者から名を得たのかは分かりません。木の根を編んでつくられた、魔力を反映する植物が絡んだ杖です。持ち主の魔力が尽きてくると、絡んだ植物の双葉の部分がしんなりと元気がなくなってしまいます。

「アンブロシア」とは読者が住む現実の世界では、古代ギリシャの言葉で神々の食べもののことで、「不死」を意味します。この食べものには不死の効力があるのだと言われています。転じて、現代ではフルーツサラダの一種をこう呼ぶようになっています。

現実の世界で「不死」を意味するこの名は、『ダンジョン飯』の世界ではどのような意味を持つのでしょうか。やはり「不死」の意味を持ち、マルシルが使う蘇生術と何か関係があるのでしょうか。魔術の研究に長じたマルシルは魔術学校時代には高成績を修めており、精霊の繁殖に使用するダンジョニウムも巧くつくっていました。

第3巻第17話「木苺」のマルシルの回想場面に登場したダンジョニウムは瓶の中に土と木の板を交互に重ねて、結界を張って魔力で満たしたのちに、中に精霊を封じたものです。精霊は瓶に満たされた魔力だけで生きるため、魔力が濃すぎても薄すぎても育たないと言います。この環境及び構造が魔物たちが巣くうダンジョンに似ているので、精霊の繁殖に使う瓶を「ダンジョニウム」と呼ぶのだそうです。水生環境を模した水槽をアクアリウムと呼ぶのと似ています。

魔法に長けるマルシルとは正反対に魔法を忌避するのはセンシです。「魔法に頼ってはいけない」ということをたびたび言いますし、魔法を使おうとしたマルシルを止める場面も見られます。魔法を避けるからには物理戦闘を得意としているのかと思えば、そうではありません。弱くはありませんが模範的な戦士とは言えず、武器として携行する斧もほとんど手入れしていません。

しかし、調理に関しては一家言あり、道具も大切にしています。第3巻第20話「シチュー」で、先祖代々受け継がれてきた家宝でできた鍋は欠かさず手入れしていると自ら発言しています。これはもとは盾だったものを使い途がないからと鍋に仕立て直したとも言っています。この鍋を、武器の善し悪しを見分ける目を持つナマリはアダマント製であると見抜きます。アダマントとはナマリが言うには、

「武器となれば竜の骨を砕き、防具となれば竜の牙をも通さぬという全鍛冶屋が金属のひとつ」(『ダンジョン飯』第3巻から引用)

かなり貴重な素材のようです。

また、包丁はミスリル製で、あらゆる魔物の骨や皮を断つとセンシは言います。ファンタジーに造詣のある人は既にご存じのことでしょうが、ファンタジーの世界ではアダマントもミスリルも、大変希少で価値が高い、秀れた性能を持つ金属です。武具とするにはこれ以上のものはないでしょう。鍋はもともと盾だったと言いますから、包丁ももとは剣か斧だったのかもしれません。

ここがセンシの謎です。

先祖代々受け継がれてきたという、もとは武具であったものをわざわざ調理器具に仕立て直しているところを見ると、センシは戦いたくないのでしょうか。しかし、それだと何故迷宮に住み魔物を食べて生活しているのかが疑問になります。迷宮で魔物を相手にする限りはどうしても戦わなければなりません。

魔法を避けるという点もそうです。魔法を避けたいのなら、どうして魔法によって構築されている迷宮に拠点を置いているのでしょうか。ドワーフでありながら鉱物の見分けもできず武器にも関心がなく、しかし第4巻第26話「炎竜4」での本人の言によると、かつて炭鉱で働いていた時代があるとのことです。

炭鉱での労働を辞めた理由や魔物食に至った理由なども併せて、センシの謎は物語の進行とともに解明されるでしょうか。明らかになることがあるなら、それは物語の深いところに大きく関わる可能性があると考えられます。

『ダンジョン飯』ネタバレ考察4:世界観

『ダンジョン飯』ネタバレ考察4:世界観
出典:『ダンジョン飯』1巻

本作はファンタジー漫画です。しかし、ひとくちに「ファンタジー」と言ってもその世界観は多種多様なものです。ここでは『ダンジョン飯』の世界について改めて見ていきましょう。

『ダンジョン飯』の世界には、さまざまな種族が暮らしています。直立するヒト型の生きものは人間だけではありません。たとえば、ライオスとファリンはトールマン、マルシルはエルフ、チルチャックはハーフフット、センシはドワーフという種族で、一見一様に人間であるように見えますが、それぞれ異なる種族です。

トールマンは、現実世界でいう人間に相当するようです。

エルフは耳殻の上端が尖っているのが特徴。魔法を能く使い、かなり長命な種族のようです。

ハーフフットは人間の子供のような容姿をしています。童顔で、体躯は小柄。頭蓋骨に対して大きめの耳殻を持ち、音がよく聞こえそうです。身軽で器用ですが戦闘には向かない様子です。

ドワーフは小柄ながら重厚な体躯を持ち、斧などの重量がある武器を能く使います。遙か昔にはエルフと争った時代があったと言います。地中の坑道を掘って生活する文化があり、鉱物の目利きなどにも長けているようです。

このほか、直立した犬のような姿のコボルトや、小柄で大きな耳と手を持つノームなどの種族がいることが分かっています。

これ等複数の種族はどうやらそれぞれに異なった言語を持ち、異種族間では「共通語」と呼ばれる言語を用いて会話をしているようです。第4巻第24話「炎竜2」でこのような会話が見られます。

「くそっ、共通語は罵倒の語彙が少なすぎる!」

「あっ、なんだかよくわからない言語で罵られている」

(以上『ダンジョン飯』第4巻から引用)

ライオスが魔物付きの剣を使っていたことを、共通語のままならなさに苛立ったチルチャックは、おそらくハーフフットの言葉で罵ったのでしょう。トールマンであるライオスにはその言葉が分からず、しかし状況と語勢からそれが罵倒であることを悟ったのだと考えられます。

各種族で使われる言語はそれぞれ異なり、多種族がひとつのグループとして活動するためには共通の言語が必要になることがこの描写から窺い知れます。

迷宮を探索する冒険者のグループを「ギルド」と称するようです。現実世界のギルドとは職業別の組合を言い、多くのファンタジーの世界でも似た意味で使われています。「剣士ギルド」、「魔術師ギルド」のような感じで用いられますが、『ダンジョン飯』の世界では少々異なることが、第1巻第1話での「ギルド」の使い方から分かります。

集まったギルドの面々は迷宮を探索します。メリニ村の地下墓地に現れた迷宮は一千年前に栄えたという黄金の国の城を擁して、「狂乱の魔術師」と呼ばれる者によってつくられました。迷宮にはヒトの魂を肉体に束縛する強力な魔法が施されており、作中現代の魔法とは異なる古代魔法というものも存在したことが分かっています。

死を禁じる魔法がかけられているために迷宮では死者を蘇生させることができます。それは死の直後でなくとも、死体の損傷がひどくなければ蘇生術を行う術者の技量次第でいくらでも可能となります。そのため、「蘇生屋」や「死体回収屋」といった業者も存在しています。

迷宮の中層、黄金城内には食堂があり、そこには多くの絵画が飾られていますが、それ等は「生ける絵画」なる魔物です。この魔物は絵画の中へと冒険者を引きずり込んで出られなくしてしまいます。しかし第2巻第12話「宮廷料理」でライオスは絵画に描かれた食べものを食べたいと命綱をつけて絵画の中に入ります。

そこでは「デルガル」という名の男性が生まれ、成長して結婚し、戴冠する様子が見られました。どうやら黄金城の過去のできごとをライオスは絵画の中で見たようです。デルガルなる男性は黄金の国の王子として誕生し、やがて結婚し、王となったのです。

しかしデルガル王子の結婚式で王は毒杯を以て暗殺され、長い耳を持った褐色の肌のエルフが倒れた王に駆け寄っていました。王子誕生の際にも結婚式でも料理を食べ損ねたライオスはようやく戴冠式の絵画の中で豪奢な料理にありつきますが、そこで褐色の肌のエルフに城の関係者ではないのにその場にいたことを見咎められてしまいます。

褐色のエルフは王子誕生の絵画の中にも、結婚式の絵画の中にもいました。戴冠式の絵画の中でライオスを捕まえてこう言います。

「何をしている? 王子の誕生の日や結婚式にもいたな」(『ダンジョン飯』第2巻から引用)

絵画の中は時間軸が共通して繋がっていて、絵画の中の住人は記憶を持っているようです。果たしてこの人たちは過去の黄金城に実在した人たちで、絵画の中で起こったことは史実なのでしょうか。褐色のエルフは王に仕える身の者らしく、王座を狙う者ではないかとライオスを疑い、魔法で焼殺しようとしました。そして、第4巻第28話「炎竜6」では絵画の「外」に現れ、マルシルが消し忘れている古代魔法の魔法陣を見つめています。

このエルフは古代魔法を使う者でした。しかも絵画の中でライオスを見かけたことを覚えています。この地に存在するすべてがデルガル国王のものであり、そのうちのひとつであるレッドドラゴンを屠り食べたライオスたちを「汚らわしい盗賊」と呼びます。「狂乱の魔術師」と思しきエルフは敵意を持ち、ライオスたちを迷宮の彼方に追いやったのち、蘇生したファリンとともにどこかへ行ってしまいます。

禁忌の古代魔法を使うエルフはほんとうに「狂乱の魔術師」なのでしょうか。エルフとともに姿をくらませたファリンはどうなるのでしょうか。これからもライオスたちの冒険から目が離せません。

『ダンジョン飯』ネタバレ考察5:迷宮に巣くう魔物たち

『ダンジョン飯』ネタバレ考察5:迷宮に巣くう魔物たち
出典:『ダンジョン飯』1巻

迷宮の中には多種多様な魔物が徘徊していて、生態系をつくり出しています。その魔物たちを食べながらライオスたちは進んでいきます。ここでは第4巻までの間に登場した魔物を見てみましょう。中には食べていない魔物もありますので、そういったものの種名には※をつけました。

歩き茸

歩き茸
出典:『ダンジョン飯』1巻

迷宮の浅い階層に現れる魔物です。その名の通り歩く茸で、二本の足で歩きます。ヒトの背丈の半分ほどの大きさでしょうか。マルシルが杖の一撃で倒してしまうくらいで、難敵ではないようです。「迷宮グルメガイド」によると「肉厚で癖のない味わい」とのこと。足がおいしいそうです。

大サソリ

大サソリ
出典:『ダンジョン飯』1巻

大きなハサミと毒がある尾を持つ節足動物。ゆでると赤くなるらしいです。毒は人間が食べても大丈夫なものとのことですが、食べるときは尾は落とした方がいいです。毒があるためではなく、尾はまずいからだそう。確かにライオスは尾をひとかじりして嘔吐していました。

スライム

スライム
出典:『ダンジョン飯』1巻

ゼリー状の不定形生物。半透明の身体で、地面だけでなく壁や天井を這うこともあります。柑橘類の果汁を加えた熱湯で洗い、水分を拭って天日干しすると高級食材となるのだそうです。センシは迷宮探索をしながらスライムを干せる自作の「スライム干し網」を持ち歩いています。

人食い植物

人食い植物
出典:『ダンジョン飯』1巻

「人食い植物」は俗称で、実際は生きものを捕らえて食べる訳ではなく、動きを封じて土に還したり分泌液で溶解したりの手段で堆肥をつくるのが目的。動物を捕らえて養土とする養土型のパラセリア、茎などで動物を釣って捕まえる釣り型のミアオーク、他の植物の栄養を拝借する依存型のベタン、動物の身体に種を植えつける捕食寄生型のシャドーテールなどがあります。実は食用になります。

バジリスク

バジリスク
出典:『ダンジョン飯』1巻

胴は鶏、尾は蛇という姿の魔物、と言われていましたが、実は蛇が頭で鶏が尾なのだということが研究によって分かったのだとか。牙と蹴爪を持ち、毒があります。別名は「蛇の王」。二、三日ごとに殻のやわらかい、扁平なかたちの卵を産みます。頭(脳)が二つあるため、複数方向からの同時攻撃を受けると混乱してしまうのだそうです。調理すると鶏そっくりの味。

マンドレイク

マンドレイク
出典:『ダンジョン飯』1巻

薬などに使われる根菜。根はヒトの姿に似ています。魔術にもよく用いられます。土から抜くと悲鳴を上げますが、それを聞くと最悪の場合は落命すると言います。センシは土から抜いた瞬間に悲鳴を上げる暇も与えず「頭」の部分を切り落として採取していましたが、悲鳴を上げさせた方が色が鮮やかで味がいいということが食べ比べることで分かりました。

大蝙蝠

大蝙蝠
出典:『ダンジョン飯』1巻

成人ドワーフ一人分ほどの大きさのコウモリ。木のうろや洞窟など暗い場所に潜んでいます。皮を剥いでしまうと可食部は驚くほど少なく、骨はとても軽くて頑丈。天ぷらにする際は鶏肉と同じ下拵えでいいようです。

動く鎧

動く鎧
出典:『ダンジョン飯』1巻

中には誰もいないのに人が入っているように自在に動く全身鎧。魔法によって操られて動いているのだと思われていましたが、ライオスたちが遭遇したものは鎧のような殻を持った軟体動物の群生でした。よく見ると動く鎧には隙間があり、そこに刃物を差し入れて閉殻筋を切断すると本体を鎧から外すことができます。ライオスたちは炒めものやスープ、焼き動く鎧など、貝類と同じ調理法で食べていました。

ゴーレム ※

ゴーレム ※
出典:『ダンジョン飯』2巻

土や泥、石などを材料につくられたヒト型の魔法生物。大体はヒトよりも大きくつくられていて、中心には呪文が刻まれた人形が埋め込まれています。主人の命令には忠実に従い、宝物庫などの番人として使われます。土くれなので食べられませんが、センシは土でできていることを利用してゴーレムの背中を畑として野菜を栽培しています。

オーク ※

オーク ※
出典:『ダンジョン飯』2巻

角と牙と尖った耳を持つ、日本の鬼に似た容貌の亜人。地上をエルフなどに追われて迷宮地下5階に棲んでいましたが、「赤い竜」が集落周辺に現れるようになったため、地下3階に避難しているところにライオス一行が遭遇しました。虐げられた歴史があり、他種族に対して攻撃的な面がありますが、中には話せば分かる者もいるようです。

宝虫

宝虫
出典:『ダンジョン飯』2巻

一見宝石ですが、実は昆虫という生きもの。宝石がついたティアラのようなものもありますが、ティアラ部分は巣とのこと。貨幣そっくりのコイン虫、真珠のネックレスの姿の真珠ムカデもいます。宝物そっくりの姿ですが、よく見ると触覚や足や羽があります。いずれも宝箱の中などに潜んで宝物と間違えた犠牲者を襲います。

霊 ※

霊 ※
出典:『ダンジョン飯』2巻

死者の、肉体から離れた部分です。還るべき場所も肉体も失って何らかの理由で悪霊となったものは迷宮をさまよい、死体に取り憑いたり、ときには生者の肉体を奪おうとしたりすることもあります。生者に霊が取り憑くと霊の人格と生者の人格とが混ざり合ってしまうこともあるそうです。

生ける絵画 ※

生ける絵画 ※
出典:『ダンジョン飯』2巻

黄金城内の食堂に何枚もの絵画が飾られており、そのすべてなのかそのうちの数枚に限りなのかは分かりませんが、生ける絵画があります。名の通り生きていて、通りかかった犠牲者を捕まえて絵画の中に取り込んでしまいます。絵画は食べられませんが、絵画に描かれた食べものをライオスは食べようとして、敢えてわざと絵画の中に入りました。

ミミック

ミミック
出典:『ダンジョン飯』2巻

宝箱を棲処とする魔物です。宝箱の大きさによってサイズはまちまちですが、巨大なヤドカリのような形態をしています。甲殻類であるため頑丈で、チルチャックが遭遇したものは槍の罠でも倒せず、落とし格子の下敷きにしてやっと動きを封じました。ゆでると弾力があり噛むほど味がしみ出して美味だが甲羅のミソはうまくないとのこと。

水棲馬(ケルビー)

水棲馬(ケルビー)
出典:『ダンジョン飯』2巻

迷宮地下4階の湖に生息する馬の姿をした雑食の魔物で、たてがみは水草、尻尾の先はヒレになっています。ヒトを油断させて水中に引き込み捕食します。ライオス一行が出会った一頭はのちに焼き肉とシチューになりました。

人魚 ※

人魚 ※
出典:『ダンジョン飯』3巻

迷宮地下4階の湖に棲む半人半魚の魔物。哺乳類の人魚と魚類の人魚がいます。哺乳類の人魚は上半身がヒトとよく似ていて、歌を歌い、歌に魅了された犠牲者を水中に引きずり込みます。魚類の人魚は顔が魚に酷似、頭には海草が生えています。同じ湖に棲む刃魚などを捕食するようです。

刃魚 ※

刃魚 ※
出典:『ダンジョン飯』3巻

三日月形のヒレを持つ魚。センシによると煮る、焼く、蒸す、燻製、生食など、どう食べても美味とのこと。現実世界でのトビウオのようなものでしょうか。

ジャイアントクラーケン

ジャイアントクラーケン
出典:『ダンジョン飯』3巻

湖に棲む、過ぎるほど巨大なイカ。ライオスたちが遭遇したものはことのほか大きい個体だったようです。巨大ではあるものの基本は普通のイカと同じらしく、急所や捌き方も同じでした。しかし、味までは同じではなかったようで、期待して食べたライオスは生臭さとえぐみにひどいめに遭っていました。

ジャイアント寄生虫

ジャイアント寄生虫
出典:『ダンジョン飯』3巻

普通のイカと同じようにジャイアントクラーケンにも寄生虫がいたのですが、身体の巨大さに合わせて寄生虫も巨大です。大きさは立派に育った鰻ほど。鰻のように捌かれ串を打たれて白焼きと蒲焼きにされました。焼いたものはかなりおいしかったようですが、生食すると寄生虫なのにさらに寄生虫がいて腹痛を起こすというおまけつきです。

ウンディーネ

ウンディーネ
出典:『ダンジョン飯』3巻

水の精霊です。小さな精霊の群体が水でできた球体のような姿になります。高圧で水を細く光線のように発射しての攻撃は煉瓦づくりの建物にさえ切り込みをつくってしまいます。マルシルは大腿部を貫通されています。魔力を帯びているので、マルシルは消耗した魔力を回復するためにウンディーネを飲みました。

テンタクルス

テンタクルス
出典:『ダンジョン飯』3巻

触手状の刺胞生物。他の生物の皮膚に触れると毒刺を出し麻痺させてしまいます。毒刺が刺さるとミミズ腫れになり、顔が被害に遭うと人相が変わってしまうほどです。ライオスが調べたところによると遭遇したものはアイビーテンタクルスという種で、直径5cmほどの蔦あるいは根のような植物です。上皮を剥けば食べられるらしく、ねっとりとした食感だと言います。味自体はあまりなく、酢の味に消されてしまう程度のようです。

大ガエル

大ガエル
出典:『ダンジョン飯』3巻

チルチャックをまる飲みできそうなほど巨大なカエルです。攻撃を受ける前に敵の武器を狙って舌を伸ばして奪うという知恵があります。テンタクルスが繁る場所に棲みながら刺胞によって麻痺もしていないことから、その皮膚には毒刺を無効化する働きがあることをチルチャックが発見しました。そして倒した大ガエルの皮膚はテンタクルスから身を守る防護スーツに、身はニョッキの具になりました。

レッドドラゴン(炎竜)

レッドドラゴン(炎竜)
出典:『ダンジョン飯』4巻

迷宮地下5階に出現する、ファリンを捕食した魔物です。センシによるとレッドドラゴンは巨体を維持するためにほとんどを眠って過ごすので、消化も遅いとのこと。捕食されたファリンも消化されてしまう前に発見できるだろうと見込んでいましたが、実際には骨以外は消化されていました。血肉をファリンの再生のために使い、残りはテールスープとローストにされました。ライオスによるとレッドドラゴンのローストはしっかりとした歯応えで味は濃厚、唯一無二の「竜の味」だそうです。

魚人 ※

魚人 ※
出典:『ダンジョン飯』5巻

魚類の頭部を持った亜人種です。人魚と同様に地下4階の水辺に出現し、姿は魚類の人魚と酷似しています。しかし、魚類の人魚の頭部が魚の姿であるのに対し、魚人の頭部は必ずしも魚ではなく、タコやサメなど魚以外の魚介類である場合もあるようです。

シーサーペント ※

シーサーペント ※
出典:『ダンジョン飯』5巻

水中に棲む、蛇に似た巨大な生物です。普段は水の中にいて、水辺を行く人影を見つけると水中から姿を現して獲物を捕食しようとするようです。大きなヒレと長い牙を持ち、巨大な口を開いてカブルーたちに襲いかかってきますが、通りすがったシュロー一行に倒されました。

ドライアド

ドライアド
出典:『ダンジョン飯』5巻

裸身の人の姿に見えて、実は植物の花だという魔物です。人を見ると襲いかかってきます。剣などで斬りつけると出血するように見えますが、出てくるのは血ではなくきわめて微細な粒子の花粉です。これを吸い込むとたちまち花粉症の症状であるかゆみとくしゃみに襲われ、涙も止まらなくなります。

花は人型ですが、実はカボチャに人の顔がついたような姿です。蕾には顔はありません。実はポタージュとして、蕾はソテーしてチーズをかけて食されました。実には甘みが、蕾には苦みがあるそうです。蕾は一晩おいておくだけで変色するほど劣化が早く、採取したら早めに食べた方がいいようです。

コカトリス

コカトリス
出典:『ダンジョン飯』5巻

迷宮地下5階の壁に潜む、鶏の身体に蛇の尻尾がついたような姿の魔物です。浅い階層に現れたバジリスクによく似た姿ですが、コカトリスの方が数倍危険な魔物で、蛇の部分に噛まれると石化してしまいます。噛まれてしまったらできるだけ身を縮めて脇を締め、耳を手で覆うポーズを取っておくと、石化しても砕けて修復不可能ということにならずに済むとライオスは言いましたが、噛まれてしまったマルシルはその点から言うと幾分危険なポーズで石化してしまいました。

コカトリスはマルシルに手傷を負わせたもののライオスたちに倒され、その肉は塩漬けにされたのち、アイスバイン風に調理され、おいしく食べられてしまいました。調理の間にマルシルの石化も解けています。

ダンジョンクリーナー

ダンジョンクリーナー
出典:『ダンジョン飯』5巻

ごく小さな生物で、迷宮のごみを分解し、壊れた部分を補修します。この生物がいるおかげで迷宮は適度に清潔で劣化も防がれているのです。爆発時の残骸や魔物の死骸なども分解してしまうので、ダンジョンクリーナーがいる迷宮はいつも片付いています。逆に、ダンジョンクリーナーがいない迷宮は早晩崩壊してしまうと言います。

センシはコカトリスの肉と卵を使った親子あんかけ丼をつくりましたが、そのときの器に迷宮のレンガを使いました。このレンガが、実はダンジョンクリーナーでできていたのです。以前から食べてみたかったらしいライオスはよろこんで食べましたが、味はお世辞にも誉められたものではなさそうです。

食べたことがない食材ばかりで味の想像もしようがないのに、なぜだかおいしそうに感じてお腹が空いてしまう『ダンジョン飯』ですが、料理の部分だけでなく、今後の物語の進展や謎の解明にも気をつけながら読んでみてくださいね。


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