『七つの大罪』がひとり、ブリタニア一の魔術師マーリン。彼女についての情報は、徐々に明かされつつありますが、未だ謎多き人物です。ここでは、彼女の魔力や正体、10年前の裏切りなど、考察をまじえながら紹介していきます。30巻までのネタバレも含みますので、ご注意ください。
2012年から「週刊少年マガジン」で連載中の、鈴木央原作のファンタジー漫画です。カトリックの「七つの大罪」をモチーフとした登場人物、多くの謎と疑問を残す手法で、多くのファンを獲得しています。
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
- 2013-02-15
『七つの大罪』の単行本は、2018年2月現在30巻まで刊行されており、物語の舞台は、最強最悪の魔人族「十戒」との最終決戦に突入しました。大罪のメンバー7人が久々に顔を揃えるなか、未だ謎に包まれた大罪人がブリタニアいちの魔術師マーリン。
アニメで彼女の声を演じるのは坂本真綾です。8歳から芸能活動をしていて、アニメデビューは1996年と実力派の声優。謎多き魔術師で、感情の起伏も少なめですが、妖艶な雰囲気がなんとも魅力的なキャラクター。その色気を引き出すような声に注目です。
マーリンに関しての情報が少しずつ明かされていますが、そのほとんどは闇の中です。一体何者なのか、10年前メリオダスから力を奪った目的とは、本当に彼女は裏切ったのかなど、考察を交えて解説していきます。30巻までのネタバレもありますのでご注意ください。
『七つの大罪』のストーリーをおさらいしたい方は<漫画『七つの大罪』の魅力を全巻ネタバレ紹介!アニメ2期前に復習!>の記事もおすすめです。
ブリタニアいちの魔術師であり、大罪メンバーのひとりである暴食の罪(ボア・シン)マーリン。ある意味、非常に危険な人物であり、その力は「十戒」の闘級3万9000のグレイロードでさえあっけなく捕獲するほどです。
罪状である暴食の罪(ボア・シン)に関しての情報は未だ描かれていません。一体彼女はどんな人物なのでしょうか。それは24巻で明らかになりました。
十戒を前にして、「自分はベリアルインの娘だ」という彼女。続けて「十戒なら名前は聞いたことがあるだろう?」と言っています。
過去に何があったのかは明らかになっていませんが、十戒でも名前を聞いただけで恐れおののくということは、実際に何か大きな出来事があったに違いありません。
ベリアルインは当初彼女の母の名かと推測されていましたが、実はベリアルインは地名だということが分かりました。『七つの大罪』「罪約聖書(シンやくせいしょ)」によると、彼女の出身地:ベリアルインと書かれています。
また、その名を聞かされた「十戒」のグレイロードは様子がおかしくなり、フラウドリンが体を乗っ取っているドレファスからはこんな言葉も出ています。
「ベ…まさか お前があの生き残りだと!?く…口から出まかせを!!」(『七つの大罪』24巻から引用)
両者ともかなりの慌てようでした。グレイロードに至っては、複数の顔が違う方向に逃げようとしたため、バラけたところをマーリンの「終わりなき渦(エンドレス・ワール)」で、実験台として捕獲されています。
また、このときに彼女は自分の本当の名前も名乗っているのです。
「我が真の名は…×××」
「すまんな 人間には発音できんのだ…」(『七つの大罪』24巻から引用)
人間に発音できないということは、人間ではないと考えられます。彼女が人間だとしたら、人間には発音できないという言い方も変ですし、そもそも彼女自身も発音できないのではないでしょうか。
29巻では、彼女の本来の姿が判明します。
〈豚の帽子〉亭に現れたメリオダスの師匠、チャンドラー。彼の目的は、メリオダスの奪還とエリザベスを打ち取ることでした。
パーフェクトキューブの中でメリオダスを守っているエリザベスは、チャンドラーを睨みつけます。チャンドラーが杖を振った次の瞬間、なんとキューブの守りが破壊されてしまいます。
エリザベスとメリオダスに迫る危機。その時、チャンドラーの背後からマーリンが攻撃を仕掛けます。しかし、さすがはメリオダスの師匠。抜かりなく察知し、全反撃(フルカウンター)をくり出します。
魔法を跳ね返された結果、彼女はなんとも可愛らしい幼い子供の姿に。これが、彼女の本当の姿だったのでしょうか……。ますます謎は深まるばかりです。
ベリアルインについては、後ほどもう少し深く考察していきます。
15巻で十戒のガランと対峙したときのこと。彼女は十戒が欲するものを用意することを条件に、ここで一旦引いてくれないか?とかけ合います。
しかし実際には頭の中で、仲間たちを全員逃し、キャメロットにこれ以上の損害が出ないようガランを退却させる方法を模索していました。
その結果、嘘をついていると見なされ、戒禁「真実」に逆らったとして石化されてしまうのです。
大魔術師である彼女がやられてしまって、七つの大罪は絶体絶命のピンチ。ですが、16巻では姿を現しています。なんと、完全に石化する前に魂を神器「明星アルダン」に移していたのだそう。幻影を映し出し、仲間たちと難なく意思疎通を図っています。
反則級の術を多種多様に使い分けるマーリン。24巻では、さらなる事実が明らかになっていきます。それについては、後ほど「暴食の罪」の考察でご紹介していきます。
「暴食の罪」については、まだはっきりと明かされていません。ここでは、現段階で分かっていることを踏まえ、彼女が過去に何を暴食したのか、考察していきます。
24巻で気になるシーンがいくつかありました。ガランに石化されたはずのマーリンが登場し、十戒のグレイロードと対峙していた場面。敵の放った術をハウザーが盾になって守ろうとしたとき、彼女はこう言いました。
「全く 余計な真似を。私にかけてくれた魔法を勝手に横取りするからだ」(『七つの大罪』24巻より引用)
お姉様の発言がかっこよすぎて、側で見ていた聖騎士たちはドン引き。魔法を「横取りされた」ととらえる、マーリンの貪欲さが感じられるセリフです。
また、グレイロードの戒禁「不殺」に逆らえば、時間を奪われて滅びていくのですが、なぜか彼女には変化がありませんでした。そもそも彼女の魔力は「無限(インフィニティ)」で、時間が止まっていました。そのため、戒禁が効かなかったのです。
時間には限りがあり、そのなかで自らの知識欲を満たすことは困難。世界では次から次へと新たな事象が生まれ、探究欲は満たされるばかりか、飢えていく一方である……。これが、マーリンが自らの時間を止めた理由でした。
その後、「ベリアルインの娘」という一言を聞いただけで怖気づいたグレイロードをとらえ、試験管につめてしまいます。戦いの舞台となった城を破壊してしまったことには目もくれず、実験動物を得てニンマリ。結果として十戒を倒せましたが、バンも呆れかえっています。
「暴食の罪」は、知識欲を満たそうとするばかりに、大変な惨事を引き起こしてしまったことに由来するのでしょうか?
それではここで、「ベリアルイン」について考察してみましょう。ベリアルインというのは、『七つの大罪』の造語だと思われますが、悪魔、堕天使のひとりで「悪」を意味する、「ベリアル」がモデルになっていると考えられます。
ベリアルは、ルシファーに次いで創造された強大にして強力な王で、悪魔を率いた美しい天使の姿。そのベリアルという堕天使を、マーリンの出身地に見立てると、美しい闇の世界が連想できますので、暗闇の魔神族とは、少し違う種族ではないかと考えられます。
それでは、ベリアルインの「イン」は何を示しているのでしょうか?英語にすると「〜の中に」、「宿」の2通りの意味が考えられます。本作の場合、後者をとらえて「悪魔の宿」という語源が推測されますが、ベリアルインについて真相は明らかになっていません。
魔神族であれば、名前の発音ができるはずなので、マーリンの出身地は、もしかしたら神の域にまで及ぶかもしれませんね。ただ「生き残り」という発言や、「十戒」の尋常でない驚き方からすると、ベリアルインは魔神族にとって、恐るべき場所なのかもしれません。
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
249話では、ベリアルインの謎が明らかになりました。これより以下、最新30巻のネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
十戒のもとに現れたゼルドリスによって明かされた、マーリン出生の謎。実は彼女は、魔神王と最高神によって祝福を受けた娘であったことが明らかになりました。
昔、賢者の都と呼ばれたベリアルインは魔神と女神のどちらの立場につくことなく、中立な位置にいました。その地で突然生まれたのが、「無限」の魔力を持った天才児・マーリンだったのです。
噂を聞きつけた魔神王と最高神は、どうしても壮大な魔力をもつ幼子を自分たちの味方につけたいと彼女を取り合います。
そのやりとりをみて、幼い少女は自ら両者のもとにおもむき、「気にいる贈り物をしてくれた方に味方する」という交渉をするのです。
そこで魔神王が贈ったのは、「魔界の秘術についてのありとあらゆる知識」と「女神の洗脳術から身を守る」というものでした。
一方、最高神が贈ったのは、「どんな闇の呪い、戒禁すら無効にする」という加護。
両者から最高の贈り物をもらったにも関わらず、幼い少女は、どちらにもつかないという選択をするのです。
当然魔神王と最高神は怒りに震えます。その結果、ベリアルインを荒地にしてしまうのです。幼い少女も滅びたかと思われましたが、神からの贈り物によって、その身は無事でした。
この幼女が、現在のマーリンだというのです。やっと謎だったベリアルインの地について、詳細が明らかになりましたね。やっぱり彼女は、生まれながらにして壮大な力を持っていたのです。「無限」の力があれば、彼女を倒せる敵はもはやいないようにも思われます。
2人の関係としては、エスカノールが彼女にゾッコンであることは間違いありません。エスカノールが初めて彼女を見た時の顔は、まさに一目惚れという感じでしたよね。
しかも「エジンバラの吸血鬼」では、エスカノールが彼女に対して「頭脳明晰な美人で、クズでダメ人間な自分に対しても優しくしてくれる慈悲深い人……」というように褒めたたえています。
また、エスカノールの初登場でガランを倒したときは、彼女を自分の太陽にも例えていました。今まで、人間として扱ってもらえなかったエスカノールを、唯一「人間」として扱ってくれた彼女に、彼が恋するのも無理はありません。
ただ、面白いことに2人には意外な共通点があるのです。『七つの大罪』「罪約聖書(シンやくせいしょ)」のプロフィールでは、「後悔していること」の項目で、マーリンが「生まれたこと」、エスカノールも「生まれてきたこと」と書いています。
エスカノールの「生まれてきたこと」に対し、マーリンの「生まれたこと」と言い回しが異なるのが、少し気になるところではあります。それでも、双方とも「生を受けたこと」を後悔しているような感じですよね。
彼女の闘級は明かされていますが、この数字が彼女本来の数字だとすると、物足りない気がしませんか?では、これが全闘級ではないと考えると、未だ未知数ということで、エスカノールの測定不可能と似通っている感じもします。
そして何より、彼女はエスカノールの能力が呪いによるものだということも知っていました。その呪いも決して解けないということも……。もちろん魔術師なので、呪いに関してはよく知るところだとは思いますが、もしかしたらエスカノールのセリフにヒントがあるかもしれません。
「すべての種族の頂点に立つ者でもある」というのは、「傲慢」ならではのセリフですがその強さからするともっともです。しかし、これも「傲慢」という大罪に隠された伏線かもしれませんね。
エスカノールは普段人間ではありますが、「傲慢」になったときに「すべての種族の頂点」にいる最強の種族に変わる、なんていうこともあるのかもしれません。
または、2人が実は同じ種族だったとか、前世から繋がっていたなんてことも。そういった違う視点から考えていくのも、それはそれで面白い展開かもしれませんね。
エスカノールについては<『七つの大罪』傲慢の罪エスカノールが最強すぎる!【29巻ネタバレ注意】>の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
マーリンの神器「明星アルダン」は、球状の神器で、無数のルーン文字が刻まれています。神器の能力としては、
など、さまざまな用途があります。
彼女が神器を取り出した15巻でのこと。
「さて…キャメロットの状況を確認するか…」
「アルダン」(『七つの大罪』15巻から引用)
この一言でキイインキイインと音を立てて、マーリンの手のひらに現れた「明星アルダン」。近くにいたホークや、リオネス王国聖騎士のスレイダーが、「何の音」だと反応するほどの珍しい音のようです。
「当初の予定を変更…ただちにキャメロットに向かうぞ。キャメロット付近で異常な魔力の動きが確認された」(『七つの大罪』15巻から引用)
「アルダン」は、その場にいなくとも離れた場所の状況を察知するといった使い方もできる、万能な神器。しかし「アルダン」には、もっと違う力や可能性が含まれていると思われますので、今後明かされる情報にも注目したいですね。
魔力は「ブリタニアいちの魔術師」というだけあって、闘級4710のほとんどを魔力と気力が大半を占めています。数値だけ見るとそこまで強くないように感じますが、反則級の魔術を駆使して戦うため、かなりの無敵キャラです。
いったいどんな魔力を使うのか、早速彼女の魔力について紹介していきましょう。
魔力「無限(インフィニティ)」が明かされたのは、24巻でギルサンダーや他の聖騎士たちが、グレイロードとドレファスと戦っているシーンでのことです。マーリンがガランに掛けられた戒禁を解除して現れました。
もちろん敵は石化されていたはずの彼女が姿を現したので、仰天しています。敵に「なぜだ!」と言われていたときに、彼女は「実験に夢中になってしまって」と余裕の表情でした。石化していたことすらも実験材料となってしまうんですね。
そしていよいよ彼女からグレイロードへの攻撃で、「殲滅の光(エクスターミネイトレイ)」を放つわけですが、グレイロードの戒禁は「不殺」です。
「不殺」の戒禁は、攻撃した相手の余命が奪われてしまうというものですが、マーリンには何も起こりませんでした。これが彼女の持つ魔力「無限(インフィニティ)」の力です。
「どれほど持続困難な魔法でも 一度発動させてしまえばよい 炎は燃えつづけ…氷は凍りつづけ…時は止まりつづける」
「自分自身で再び解除しない限りは……な」(『七つの大罪』24巻から引用)
これまで謎に包まれていた彼女の魔力が、ここにきて初めて明かされました。反則級の魔力です。戒禁への耐性が備わっていることも、先々の重要な「アイテム」となるかもしれませんね。
他の魔力(技)に関しては、この他にも多々明かされています。
今のところこの程度ですが、「十戒」も怯えるほどの魔術師なので、もっと強力な魔力を放出するかもしれませんね。
次に、作中で用いられる魔法具(マジックアイテム)をおさらいしてみましょう。
「七つの大罪」と「十戒」の強さを考察した<「七つの大罪」と「十戒」の強さを30巻までネタバレ考察!神器と闘級も紹介>の記事もおすすめです。
普段の身長は3階建てのビルほどもある巨人族のディアンヌですが、13巻では普通の人間サイズになって登場しました。この時に用いられたのが、マーリンお手製の「ミニマム・タブレット」。1粒飲むと、7時間効果が持続するようです。
小さくなったディアンヌをみて、キングは驚きを隠せませんでした。けれど、小さくなってもディアンヌには変わりないね、と言って微笑みます。彼女の違った一面を見れて、嬉しかったのでしょう。
身長が小さくなっている間、マーリンはボロボロになった服を新しく作り直していました。魔術師である彼女は、大罪のメンバーひとりひとりの様子をしっかり管理してくれているお姉さま的存在なのです。
14巻で登場した魔法グッズが、ゴウセルに与えていた小粒の薬。マーリンから飲め、と言われて素直に飲み込んでいる様子が描かれていました。これは何のための薬だったのでしょうか。
ゴウセルが初めて姿を現したとき、鎧を被っていたのは覚えていますか?実は、あの鎧もマーリンが作ったもの。ゴウセルは自分で能力をコントロールできず、暴走してしまうことがあるので、鎧を着せていたのです。
今回渡されていたのは、同じく暴走を止めるための薬でした。マーリンの目の前では、大人しく飲み込んでいるゴウセルですが、次のシーンでは口からぺッと吐き出し、もらった薬瓶を捨ててしまっています。
案の定、そのあと暴走を止めることができなくなってしまうのですが……。詳しくは14巻をご覧ください。
エスカノールが最弱男の姿のときにかけているメガネ。これは、マーリンが特別に作ってくれたものでした。
バイゼル大喧嘩祭りのときに、ゴウセルがぶつかってきた反動で壊れてしまい、わなわなと泣き叫んでいました。
大好きな人からの贈り物ですから、嘆くのも無理はありません。ましてやメガネ。視力が悪いものにとって、メガネが割れることほど絶望的なことはないでしょう。
実はこのメガネ、マーリンがゴウセルに与えていた薬と同様、魔力を抑える働きがありました。この後、エスカノールが真の強さを見せることになるのですが、その恐ろしい能力は20巻でご確認ください。
リオネス王国の実権を聖騎士に奪われたときに、マーリンを連れたキャメロット王国の若き王アーサーがやってきました。
アーサーが王になったのも、特別ないきさつがあるようですが、そのことに関しての詳細は明かされていません。10年前に「七つの大罪」が追われる身になった後、マーリンはキャメロット王国に身を寄せていました。
そして、リオネス王国の窮地を救うため、アーサーに同行してきましたが、なぜ行動を共にしていたのかなど、詳しいことが明かされていないのです。
アーサーは「ブリタニアを先導する定めの王」であり、彼曰くマーリンは「なくてはならない友人、そして師」とのこと。
お互いの信頼の深さがよくわかります。しかし、「十戒」とのバイゼル大喧嘩祭りのあと、アーサーは異国剣士のナナシと行動を共にしながら、魔神族たちと戦う描写のあとから姿を現していません。
マーリンも、使い魔を使って必死で探していますが、行方が分からないままです。しかし、メリオダスとの会話のなかで、こんなことが語られています。
お前の目的は、国を救ったり、十戒を倒したりすることではなく、「アーサーを守ること」だろ?と核心をつかれるのです。それに対して、彼女は「アーサーは私にとって希望だから、失うわけにいかない」とも言っています。
アーサーが彼女の希望そのものということや、メリオダスが目的を知っていることから、もしかしてベリアルインと何か関係があるのでしょうか?それとも、彼女の夢である「全ての知識を手に入れる」ことと関係があるのでしょうか。
しかし『七つの大罪』の「罪約聖書」によると、アーサーの後悔していることの項目には「マーリンを護れなかったこと」と記してあるのです。
この「護れなかったこと」というのが、何を意味しているかは不明ですが、やはり彼女の隠された部分に関係がありそうですね。
29巻では、消息がわからなかったアーサーが再び登場します。
十戒に占拠されたキャメロット城の実態を調査するため、マーリンは使いのオルロンディを現地に送っていました。オルロンディはコウモリのような羽を持ったひとつ目の小動物です。
魔神族が跋扈する王都で隠れて生活をしなくてはならないことに嘆き、「マーリン様助けて!!」と泣き叫んでいたところ、アーサーに見つかりました。
久しぶりに登場したアーサーは、修行を積んでかなりかっこいいキャラに成長しています。魔神族が気づかないほどの駿足で移動することができるようになっていました。
聖剣エクスカリバーさえあれば、十戒を打ちのめすことができると言っていましたが……。まだまだアーサーの謎は深まるばかりです。
メリオダスを裏切ったと一時期囁かれていましたが、それは裏切りではなく事実上、彼を救ったことにもなる出来事です。
10年前、当時聖騎士長だったザラトラスが惨殺され、犯人にされた「七つの大罪」のピンチを救ってくれた少女がいました。
しかし、その時の少女が怪我を負わされてしまい、メリオダスは怒りで我を忘れて暴走してしまうのです。その威力は、ダナフォールを滅んでしまったときと同様のものでした。
そこでマーリンは、メリオダスの魔力を奪い取ることで、暴走を阻止したのです。ただ、ひとりではとても抑えきれない魔力なので、ドルイドの長に協力を頼んで奪った魔力を封印していたのです。
奪ったというよりも、奪わずには得なかった状況で、暴走を止めていなかったら今頃リオネス王国もダナフォール国と同じように地図から消滅していたとのこと。
メリオダスから力を奪った理由として、マーリンは「あまりにも力が強すぎて、危険だったから」と告げています。
メリオダスの記憶には当時の記憶がすっぽり抜けていたようで、1巻で仲間を捜そうとしていた理由に自分も聞きたいことがあるようなことを言っていましたが、それは「すっぽり抜けた10年前の記憶」だったようです。
これまでにも何度か暴走しかけたことがありますが、マーリンいわく「本来の力からすれば残りカスのようなもの」だといいます。あれが残りカスというのであれば、本来の力を取り戻したメリオダスは、はるかに危険ですよね。
しかし「十戒」が復活した今、封印したその力が必要なので、メリオダスに戻すためにドルイドの村を訪れました。ただその力は本当に危険なので、いくら「十戒」が復活したからといって早々返すわけにはいきません。
そのまま返しても、再び暴走して「十戒」と戦うどころか、国まで滅ぼしかねないので、ドルイドの試練を受けてから返すということになったのです。
これでマーリンが裏切ったのではない、ということがハッキリしました。また、メリオダスが売ったという神器「魔剣ロストヴェイン」は彼女が買い戻していたので、無事に元に戻っています。
メリオダスが十戒と戦う理由は、魔神王を倒し、エリザベスと自分にかけられた呪いを解くためということも明らかになりました。
では、マーリンの出生地として明かされている「ベリアルイン」では、過去に何があったのでしょうか?この事実が、彼女が十戒を倒すために旅を続けている理由のひとつとなるかもしれません。
年齢や出身地など、いまだ謎に包まれたままであるマーリン。エリザベスを姉々と呼んでいたなど、気になるところが多いです。
24巻に収録されている番外編「大罪Vacation」では、さらに気になる一言がみられました。
「エリザベスに何かプレゼントをしたいんだ」と言うメリオダスに対して、マーリンは「彼女には十分あげているだろう?」と返します。彼女いわく、メリオダスがエリザベスに与えているものは「自分には与えてくれなかったもの」なのだとか。
この発言、かなり気になりますよね。エリザベスに与えているものとは、すなわち「愛情」ということでしょうか。遠くを見つめながら、こう告げる彼女の姿は麗しく感じられます。
このシーンから察すると、マーリンは昔メリオダスに恋をしていて、告白したことがあるのかもしれません。謎深き関係ですね。
28巻では新展開が描かれていて、どうやらエリザベスは、マーリンを幼い頃から知っているとのこと。それが3千年前なのかは不明ですが、過去の記憶を取り戻したエリザベスとおかしなやりとりがありました。
「あんなに幼かったのに、大きくなったわね……」としみじみ言われるのです。さらに、「まだベリアルインに1人でいるの?」といった謎めいた発言も残しています。
これは、かなり真相に迫った情報ですよね!これが3千年前だとすると、マーリンの年齢も推測できますし、メリオダスとの付き合いも数千年に及ぶということになります。
さらに、229話で完全に記憶が戻ったとみられるエリザベスは、「もう昔みたいに姉々って呼んでくれないの?」と言い寄ります。毅然とした態度で振る舞うマーリンも、このときばかりはエリザベスの発言にたじたじになっていました。
いやぁ、しかしあのクールな女性が「姉々(ねえねえ)」と呼んでいたなんて。呼んでいるところ、見てみたかった……と願う方も多いのではないでしょうか。
そんな方に朗報です!最新29巻では、どさくさに紛れて「姉々」と呼んでいるシーンがありました!
237話でメリオダスの師匠、チャンドラーが七つの大罪に襲いかかってきたとき、反撃するマーリンがエリザベスに向かって「伏せろ姉々!!!」と言っています。
シリアスなシーンでしたが、昔の呼び名がとっさに出てきてしまったのでしょう。ごく自然に呼んでいるため、今までよく間違えて呼ばなかったなぁ、と関心してしまうほど。「姉々」なんて呼んでいたら、もっと早くにエリザベスの記憶が戻っていたかもしれませんね。
2人が3千年前にどういった関係だったのか。ベリアルインの謎とともに、明らかになることが待たれます。
「誠意は悪意に 実像は虚像に意味なきことに意味が生まれる」
「考えろ そして 自分たちで答えを見つけるのだ 人は考えることをやめたらおしまいだぞ?」(『七つの大罪』14巻から引用)
このセリフは、ドレファスがフラウドリンに乗っ取られていることを知らずに、一方で味方を殺害し、もう一方では命がけで味方を守るという、ドレファスの行動に疑問を抱いた、聖騎士たちに放った言葉です。
聖騎士長がこんなことをするわけがない、でもどうしてあんなことをしたんだ、という疑問があるのなら、その考えを一度取っ払って、違う視点で考えろという意味なのでしょう。誠意の人として考えれば、辻褄が合わないのなら、悪意があるのを前提で考えてみたらどうか、ということなのです。
「10年前…私が団長から奪ったもの 本当に返してもいいのだな?」
「誤解するな あくまで団長殿のためを思っての進言だ」(『七つの大罪』14巻から引用)
この名言のシーンは、封印が解かれた「十戒」の復活を察知したメリオダスが、10年前、マーリンに奪われた魔力を返してもらいに行ったときのセリフです。
この場面で、彼女はメリオダスを裏切ったのか?という考察があがりましたが、実は違う理由が存在していました。この理由については、後ほどご紹介します。
「忘れてはいまいな 我々はまだ全ての<十戒>を討ったわけではないのだぞ?」
「残るは<十戒>「敬神」のゼルドリス キャメロット及びあの地方一帯が 奴の完全な支配下にあると言っていいだろう」
「迂闊に手を出せば確実に やられるぞ 相手の力は未知数だ!!」(『七つの大罪』27巻から引用)
「十戒」との最終決戦に向けての士気上げや、ゴウセルが過去の記憶を取り戻したこと、そして「七つの大罪」が再び集結したとして、夜会が開かれたときのシーンです。
浮かれる団員たちに対して、注意喚起したということでしょう。それは、マーリンが身に染みて感じたことであり、その強さと危険性を、甘く見てはいけないというもの。
現に、キャメロット王国に使い魔のオルロンディを、送り込みましたが、ゼルドリスに見つかって攻撃されてしまいます。その攻撃をマーリンが身代わりとなって受けて、大きなダメージを受けてしまいました。
いかがでしたでしょうか。マーリンには、まだまだ多くの謎が隠されているようですね!なんといっても、エリザベスの言葉は衝撃的なので、この後もアーサーとの関わりや、出身地や本名、メリオダスとの関わりなど明かされるのを、ただただ心待ちにするばかりですね。