平田オリザのおすすめ本5選!映画にもなった『幕が上がる』の著者

更新:2021.11.9

平田オリザという人物をご存知ですか?ちょっと珍しい「オリザ」という名前はなんと本名。ここでは劇作家であり、演出家でもある彼の本について紹介していきます。

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平田オリザとは

1962年、東京都に生まれた平田オリザ。シナリオライターの父と、心理カウンセラーの母とのあいだに生まれました。母方の叔父は、「時をかける少女」などで有名な映画監督の大林宣彦がいます。

オリザという珍しい名前は、父親がラテン語のoryza(オリューザ)からつけたもので、日本語にすると「稲」という意味があります。我が子が一生食べ物に困らないように……という願いからつけられました。

彼は高校2年生の時に学校を休学し、自転車で世界一周の旅に出ます。後にその時の体験を元にした、旅行記を出版しました。

1982年、国際基督教大学に入学。翌年には劇団青年団を結成します。1984年には、奨学金で韓国の延世大学に1年間留学しています。

大学卒業後は、彼の父親が借金をして「こまばアゴラ劇場」をつくり、オープンさせます。オリザは若くして劇場経営者となり、そこから精力的に劇作家・演出家として活躍するようになりました。数々の舞台が認められ、多くの賞を受賞しています。

2012年には処女作となる小説『幕が上がる』が映画化され、ベストセラーに。多彩な才能を活かし、大学教授やコメンテーターなど、活動の幅を広げています。

 

 

平田オリザの代表作、これぞ青春小説

舞台はある地方の高校演劇部。顧問として弱小演劇部を指導することとなった女性教師は、部員たちに全国大会を目指すよう指導します。その女性教師は、かつて「学生演劇の女王」と呼ばれていた人でした。

全国大会出場という目標を掲げた部員たちの意識はどんどん変化し、演劇の世界へのめり込んでいきます。

演劇強豪校からの転入生の出現、葛藤する役者と演出家、など次々と壁を乗り越えて、少女たちは必死に成長していきます。果たして全国大会への出場は叶うのでしょうか?

 

著者
平田 オリザ
出版日
2014-12-12

平田オリザの小説処女作ながら、累計10万部を売り上げたベストセラーで、2015年には映画化もされて話題になりました。

よくある青春小説でしょ?なんて言わずに、ぜひ1度手に取ってみてください。いつの間にかひたむきな少女たちに感情移入し、夢中で読み進めてしまうはずです。

コミュニケーション能力、ありますか?

いまでは珍しくない「コミュニケーション能力」という言葉。しかしよく耳にはしますが、これって具体的にはどのようなスキルなのでしょう。

そんな疑問をわかりやすく解決してくれるのがこの本です。オリザが独自の視点から、現代日本のコミュニケーションのずれを解説しています。

著者
平田 オリザ
出版日
2012-10-18

「最近の若者は、ネットやメールばかりでコミュニケーション能力がない」と言う大人たち。その一方で、「空気を読んだ発言」や「相手の気持ちを汲み取った立ち回り」も求めてきます。

果たして、本当にそれが良いコミュニケーションなのでしょうか。近年、世界のビジネスマンたちが求めるコミュニケーション能力は、「異文化理解能力」だといわれています。グローバルな環境のなかで、多文化の人々の価値観などを認め、自分の意見を主張する……日本で求められているものとはなんだか違っています。

なぜそんなズレが起こってしまっているのか、オリザがその答えを教えてくれます。

平田オリザが考える、これからの日本のこと

平田オリザが、これからの日本について考察している一冊です。

小豆島の「小さな島の挑戦」、但馬の「コウノトリの郷」、讃岐の「学びの広場を創る」、女川・双葉の「復興への道」など、地方で取り組まれている活動を中心に書かれています。

著者
平田 オリザ
出版日
2016-04-13

オリザはこの本のなかで、現代日本が抱える「3つの種類の寂しさ」について解説しています。

1つ目は、日本がもう工業立国ではないということ。2つ目は、もう日本が成長社会に戻ることはないということ。そして3つ目は、「アジア唯一の先進国というのが過去のことである」という寂しさに日本は耐えていかなくてはいけないということです。

どれも、これからの日本は大丈夫なのだろうかと不安になってしまう内容ばかりですが、この3つの寂しさを解決する糸口が、地方で実践されている活動のなかにあるというのです。

彼が日本各地を訪れ、そこで目にした地方で頑張る人々。その活動内容を本書で読み進めていくと、まだまだ頑張れる、と勇気付けられることでしょう。日本のこれからについて、ちょっと真面目に考えてみたくなる一冊です。

演劇の基本がつまった一冊

数々の舞台を成功させてきた劇作家であり演出家のプロである平田オリザが教える、芝居作りの技術がつまった一冊です。

「リアルな台詞とは何か」「演劇の起こる場所」「登場人物を考える」「演出家と俳優の関係」など、演劇をするうえで必要なことが凝縮されています。
 

著者
平田 オリザ
出版日
1998-10-20

幼稚園の学芸会に小中学校の文化祭など、1度は演劇に関わったことがある人が多いのではないでしょうか。本作は、そんな演劇についてのノウハウが書かれています。

演劇に興味がある、こんど劇をすることになった……そんな時にはぜひ一読してみてください。演劇の知識がない人にもわかりやすく、ていねいに解説されています。

また演劇の技法だけでなく、物の感じ方、他者との接し方など、実社会に活かすことができる内容も学べるので、おすすめです。

平田オリザが教える演劇のメカニズム

『演劇入門』から、さらに具体的に演技とは何か?演出とは何か?を解説した内容になっています。

「人それぞれイメージが違う」「俳優の条件」「椅子を何と呼ぶか?」「間をとる意味」「演出・演技を言語化する」など、論理的に演劇・演出のテクニックを説明しているのでわかりやすいです。また、オリザが各地で実施しているワークショップの内容を知ることもできます。

著者
平田 オリザ
出版日
2004-06-21

この本は、単なる演劇と演出を学ぶためだけのものではありません。他者との良いコミュニケーションの取り方を学ぶこともできます。

 

例えば彼は、豊かなコミュニケーションというのは、ただ表面的な情報を交換するだけではないと解説しています。

「『趣味は何ですか』と聞いた時に、ただ単に相手の趣味を知りたいのでなくて、本当は、その質問を通じて、相手の性格や人柄を知りたいのだと思います。」(『演技と演出』から引用)

コミュニケーションは我々が生活していうくうえで必要不可欠なものです。演劇自体には興味がない人も、ぜひ読んでみてください。

 

平田オリザの本は、演劇だけではなく実生活の中でも活用できそうなスキルがたっぷり詰まっています。演劇に興味がない人も、ぜひどうぞ!

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