絶対にキュンキュンするおすすめ漫画33選!

更新:2021.11.25

漫画を読んでいると様々な感情が生まれますが、こと恋愛漫画においては、胸キュンできるか否かがとても重要。胸が締めつけられるような感覚は、実際の恋に似て、共感を呼びます。ここでは絶対にキュンキュンするおすすめ漫画作品をご紹介いたします。

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キュンキュンが止まらないピュアな王道青春ラブストーリー

『君に届け』は、北海道を舞台にした、高校生たちの青春ラブストーリー。登場人物たちがとにかくピュアで、真っすぐなところが魅力の作品です。少々意地悪な事を言うライバルも登場はしますが、憎めない役どころ。読んでいて嫌な気持ちになるような場面は、ほとんど見られません。これぞ青春、という爽やかさが作品全体を包みます。
 

著者
椎名 軽穂
出版日
2006-05-25

主人公の黒沼爽子は、その名前とは裏腹に、真っ黒で長い髪と青白い肌という容姿から、ホラー映画に登場する「貞子」のあだ名が定着していました。あだ名から推察するイメージが独り歩きし、霊感がある、呪われる等の噂がありましたが、事実無根。努力家で、人の役に立つことを自分の喜びとする、純粋で心の優しい少女でした。

クラスに上手く馴染めなかった爽子でしたが、明るい性格でクラスの人気者の風早翔太と仲良くなったことをきっかけに、少しずつ人の輪の中へ。素の自分を出すことで、状況が変わっていきます。クラスメイトや親友との関わり、そして風早への恋愛感情が、爽子を大きく成長させていきます。

爽子はとにかくピュアで真面目で良い子なため、好きという感情を表す時も、驚くほど真っすぐでストレート。純粋な想いを受け取った風早の赤面する姿に、ついにやりとしてしまいます。逆に、風早の愛情表現も真っすぐで、爽子を大切に想っていることが、これでもかというほど読者にも届きます。互いを思いやる気持ちを感じるたびに、キュンキュンが止まりません。恋のライバルや、将来のことなど、高校生らしい変化も絡めながら、ゆっくりと進んでいく2人の恋、王道だからこその破壊力を実感できるはずです。

高校生が一つ屋根の下で生活!クール系女子に惚れる

シェアハウスという言葉が身近になり、恋愛関係にない男女でも、同居生活をするということが珍しくありません。しかし、それは自立した大人の話で、未成年となると話はだいぶ違ってきます。何か問題や事情がある、青少年の同居生活となると恋愛は必須要項。甘酸っぱい空気を感じ、そわそわとしてしまいます。
 

著者
森下 suu
出版日
2016-01-25

『ショートケーキケーキ』は、クールでサバサバした性格の高校1年生、芹沢天が主人公。彼女の住む街には中学校までしかなく、高校まで片道2時間をかけてバス通学していました。ある日、友人のあげはに誘われ、学校の近くにある下宿先を訪れます。そこで出会った本好きのイケメン男子、千秋の言葉に背中を押され、天も下宿をすることに。

千秋の他にも、チャラい理久、謎の和装男子などが登場し、天の周辺はイケメンだらけに。しかし、クールな性格の天は逆ハーレム状態に浮かれることはありません。しっかりと地に足の着いた考え方をし、かけられた言葉や、自分自身が乗り越えなければならない出来事に、真摯に向き合います。

注目すべきは、チャラ男理久が恋の落ちる瞬間。これは恋に落ちるしかない、という天のセリフと、理久の赤面する表情にキュンキュンすること間違いありません。一つ屋根の下だからこそ起こりうるエピソードとともにお楽しみください。

『ショートケーキケーキ』について詳しく知りたい方は<【最新10巻】『ショートケーキケーキ』の甘々&ピュアな魅力ネタバレ紹介!>をご覧ください。

仮面をかぶる毎日が、大切な日々へ

県内随一の進学校に在籍する宮沢雪野(みやざわゆきの)は、子どもの頃から賞賛を浴びるために日々努力して、成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能な優等生。ただ極度に見栄っ張りな彼女は優等生を「演じていた」だけで、家でのギャップは激しいものでした。もう一人の登場人物有馬総一郎(ありまそういちろう)は、全国模試で1位、剣道インターハイでは優勝など非の打ち所がありませんでした。彼は演じるでもなく、本当に優等生だったのです。

著者
津田 雅美
出版日

ある日、ふとしたことがキッカケで雪野は彼女の本性を総一郎に知られます。そこから雪野は、本当の自分を認められるようになり、優等生の仮面をあっさり脱ぎ捨てるのでした。一方総一郎は、雪野との出会いを通して、幼少の頃に受けた虐待など心の奥に抱えていた深い闇に気付き、恐怖を感じます。彼はまた、自分自身も仮面をかぶっていたと知った雪野から見放されてしまうのではないかという恐怖も抱くようになっていくのでした……。

少しブラックな話に感じるかもしれません。ただ誰しも仮面はかぶっているもの。この点から、多くの人が共感できる内容となっています。

イケメン男子の行動にキュンキュンが止まらない!

『アオハライド』の主人公、吉岡双葉の場合は少々事情が違ってきます。男子が苦手だった中学生時代、照れ屋で背が小さく、容姿も男らしくなかった田中洸に惹かれていた双葉でしたが、告白する機会はなく離れ離れに。高校生になり、女子に嫌われたくない一心でイメージチェンジした双葉の前に現れたのは、クールで少し影のあるイケメン男子に成長した洸でした。
 

著者
咲坂 伊緒
出版日
2011-04-13

双葉が恋した田中洸と、高校で再会した馬渕洸は、諸事情により名字が変わっているほか、性格も大きく変化していましたが同一人物。複雑な事情を抱えた洸と、友人関係で臆病になっていた双葉の成長や恋愛を主軸とした、高校生活が描かれます。

ガサツに見せていますが、実はかなり女子力の高い双葉もかわいらしいのですが、本作の最大の魅力は洸のイケメン力。容姿はもちろんのこと、ちょっとした仕草や視線の動きにも、双葉の気持ちが移ったかのように、読者もドキリとしてしまいます。甘えるタイミングや、優しさだけでなく厳しさも見せるところも高ポイント。成長を見守ってくれていると感じられ、双葉への想いの大きさにじんわりと心が温かくなります。

洸以外にも、爽やかでドストレートな恋のライバル、菊池冬馬などが登場、双葉とともに読者の心拍数も上がり続けます。恋のエピソードはドラマチックで、こんな風に言われたい、迫られたい、と思わず口にしてしまうほどの破壊力。キュンキュンするシーンが多いのも魅力です。自分らしくある事の大切さ、難しさも感じられる青春ラブストーリー、イケメン男子はやはりイケメンなのだと、悟り十分にイケメン力を堪能しましょう。

学園生活と恋愛の徒然を描いています

若林稔弥による連作4コマ漫画作品です。大筋のストーリー展開は、web上で公開されているものと同じですが、より細かい描き込みがあったり、登場人物達のその後が描かれていたり、とコミックスでしか読めない物語が盛り込まれているので、違いを探しながら読んでみるのも面白いですよ。

著者
若林 稔弥
出版日
2014-08-16

両思いなのに、なかなか想いが伝えられない男女や、真面目ゆえに告白に対してうまく返事のできない男子高生など様々なキャラクターが学園生活に恋にと織りなすラブコメディをオムニバス形式で楽しめます。

4コマまんがという特性上、オチを付けるとネタっぽくなりすぎますが、本作の素晴らしいところは、奇をてらったオチが無くても、描かれている日常生活での何気ない会話が既にオチているところです。

中でも、好きな子になかなか告白できない女の子が、テンパって「明日こそ好きって言う」と盛大に告白してしまうオチなどは、天然な子ならありそう、と思わせる親近感にあふれています。

青春時代の甘酸っぱい気分を、「あるある!こんなこと」と共感しながら読み進められるおすすめの1冊です。

冷酷な国王のギャップに萌える

下級役人の娘であった主人公の汀夕鈴(てい ゆうりん)は、ある日「割のいい仕事」を紹介され、王宮に赴きます。しかしその仕事というのは、冷酷非情な立ち振る舞いから「狼陛下」と呼ばれている国王、珀黎翔(はく れいしょう)の花嫁を演じる事でした。

そんなことに下級役人の娘が耐えられるはずもなく、一度は逃げ出そうとする夕鈴。しかし夕鈴は、狼陛下であるはずの黎翔が、非常に優しくおっとりとしている面がある、ということを偶然知ってしまいます。彼の二面性を知ってしまった夕鈴は、断ることができずに花嫁のふりをすることに。しかも黎翔は、夕鈴を思いのほか気に入っている様子。偽の花嫁はどうなってしまうのでしょうか。

著者
可歌 まと
出版日
2009-12-04

オンとオフの差が激しい狼陛下、黎翔。国王として公の場で振る舞う際の冷酷非情な面と、彼のオフ時の面である、優しくおっとりとした、子犬のような性格とのギャップは凄まじい破壊力と、守ってあげたくなるような母性本能をくすぐられます。

2度の小説化、ドラマCD同梱の単行本が発売されるなど、非常に人気の高い恋愛漫画です。

告白から始まる斜め上ゆるふわラブコメディ

『僕と君の大切な話』は、告白から始まるラブコメディです。とはいっても、告白から失恋を経験。友人関係になってから相手の魅力に気が付き、逆告白で両想いに、といったような展開はありません。大切なので重ねますが、そういった展開は一切ありません。告白をしてからの返答の意外さに、一瞬無言になり、対で笑いがこみ上げてきてしまいます。
 

著者
ろびこ
出版日
2016-03-11

相沢のぞみは、ストーカー気質の女の子。密かに同じ学校の東司朗に片想いをしています。とはいえ、男子と話をするのが苦手なのぞみは、募る恋心に身を焦がし、ついにはその恋を拗らせるまでになりました。意を決して告白をしますが、帰ってきた言葉は告白の返事ではなく、のぞみの行動についてのお説教。告白はうやむやになり、のぞみは司朗とお友達関係になります。

男性が苦手なのぞみと、女性にトラウマのある司朗は、それぞれ誰とも付き合った経験はありません。しかし、様々なことで話し合う2人の間にある議題は、恋愛や男女の違いというのが面白いところ。付き合った経験はないものの、持論を展開する姿は自身に満ち溢れ、妙な説得力があるところがツボ。的を射ている言葉もあり、異性の扱いに悩む人には、参考になる事柄も多いでしょう。

ほぼ1話完結のオムニバス形式で進み、恋愛に進展がないのかと思いきや、小さな変化が感じられ、キュンとなる場面も。ストーカー的行動でドン引きしてしまいますが、恋するのぞみはとても可愛らしく、一喜一憂する姿に共感する読者も多いのではないでしょうか。真剣でありながら、ゆるい雰囲気がクセになる、男女差について考えさせられるラブコメディです。

恋愛漫画の王道!教師と生徒の恋は爆笑必至?

恋愛漫画における王道は様々ありますが、教師と生徒の恋愛というのも、王道設定のひとつと言ってよいでしょう。障害のある恋ほど燃えると言いますが、身分差という障害が無い現代において、世間から見て禁断といえる恋というのは、まさに大きな壁がある状態。燃え上がらないはずがありません。『センセイ君主』は、そんな教師と生徒の恋愛が描かれたラブコメディです。
 

著者
幸田 もも子
出版日
2013-11-25

高校1年生の佐丸あゆはは、単純でちょっとおバカな女の子。恋多き少女ですが、告白は7連敗中と振るいません。告白して玉砕したある日、ヤケ食いのために立ち寄った牛丼店で、食後に財布の中身が空だったことに気が付きます。焦るあゆはでしたが、困っていたところを端整な顔立ちの男性に助けられます。翌日、担任教師が急病のため、代理としてやってきた教師は昨日助けてくれた男性でした。恋に落ちたあゆはは、相手が教師であることをももろともせず、猛アタックを仕掛けます。

あゆはの性格は、ちょっとおバカで単純、深く考えないからこそ裏表がありません。そんな女子だからこその、猛アタックという行動は、称賛されるべきもの。恋の奥手の女子は、羨ましく感じるかもしれません。とはいえ、恋のお相手である弘光由貴は、クールかつ俺様。少々Sの気があり、あゆはに対しても時折冷たい態度をとる姿も見られます。

そんな由貴だからこそ、徐々に気持ちがあゆはに傾き、恋に落ちた瞬間は拍手喝さい。少しずつあゆはに優しくなり、本音を見せる姿には、気持ちが通じ合ったからこその気安さがあり、思わずキュンとなってしまいます。コメディタッチなので肩の力を抜いて読めるのが最大の魅力。笑って胸キュンできる極上のラブコメ作品です。

『センセイ君主』については<漫画『センセイ君主』の名言を13巻まで全巻ネタバレ紹介!【映画化】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

チャラ男が見つけた本当の恋に胸キュンのおすすめ恋愛漫画!

結平はモテるけれど誰か特定の女の子とは付き合わないふらふらした男の子。蒸発した叔母が残した娘、ゆずゆの世話を家族から任され、高校生にして子育てをすることに。当初はぎこちなく彼女と触れ合っていた結平ですが、徐々にゆずゆを本当の娘のように可愛いがっていくようになり……。

著者
槙 ようこ
出版日
2002-11-15

ゆずゆのお世話をするようになり、少しずつ変わっていく結平。当初は軽蔑の目を向けていたクラスメイトの心も、彼が懸命にゆずゆを守ろうとする様子に心をほだされていきます。そして結平も心の笑った顔に一目惚れ。徐々にふたりは近づいていきます。

この結平と心の心境が変わっていく様子はキュンキュン。結平はふらふらしているようでステディをつくらないというところはぶれず、心も繊細で傷つきやすい少女なので人間関係に対してぎこちないところがありました。それぞれの頑なだった部分が恋によって変わっていく様子が丁寧に描かれています。

本作は心とゆずゆ、それぞれ母親に関してトラウマがあるふたりに代表されるように、恋愛漫画ではありますが家族関係や社会問題などを扱ったシビアな漫画作品でもあります。ぜひその読み応えばっちりの内容を作品でお楽しみください。

ヤンデレストーカー恋愛の新常識?

主人公荘敦大(かがりあつひろ) は、彼女の片桐のんに対して超がつくほどツンデレです。のんといると全く笑わないどころかガン無視したり、あげくのはてには暴言を吐き、触ることすら拒絶したりするのです。しかし裏ではヤンデレでストーカ気質の彼。のんが天使すぎて生きているのも辛いほどです。一緒に帰らない日は尾行までしています。一方のんは、そんな彼のことをむしろかわいいと思うほどで……。

著者
杜若 わか
出版日
2014-02-27

敦大の行為を淡々と連ねていくと怖いだけですが、彼の親友松尾とのんがそれを笑いへと変えてくれます。なぜなら松尾は敦大の危険行為にツッコミを入れ、のんは広い心で受け止めてくれるのですから。

行き過ぎた愛情というぶっ飛び感、主人公のヤンデレへのツッコミが癖になる作品です!

癒やし系ぽっちゃりさんと残念イケメンの恋愛

主人公は、ポジティブでぽっちゃりさんな本橋紬(もとはしつむぎ)と、そんな紬の後輩でぽっちゃり好きのちょっと変わったイケメン田上幸也(たがみゆきや)です。ヒロインである紬は、料理好きの母親が食べ残しを悲しむため、気を遣って食事をするうちにぽっちゃりになってしまったという、おっとりした癒やし系。

著者
平間 要
出版日
2012-10-19

ある日、紬は残念イケメン幸也に告白されます。幸也は彼女をいきなり抱きしめようとますが、拒絶されます。そして彼女は、まずは友達からスタートしようとお願いし……。

しばしばスタイル抜群の女の子が主人公となる少女漫画。作者のぽっちゃり好きゆえに生まれた本作は、世の中のぽっちゃりさんたちに夢を与えてくれるような設定かもしれません。もちろん幸也のような「ぽちゃ好き」にもたまらない作品となることでしょう。

過去の罪、託された愛……

ある日、主人公紅林照(くればやしてる)は、たったひとりの肉親である兄紅林奏一郎(くればやしそういちろう)を病により亡くします。そんな照の心の支えは、奏一郎から渡された携帯電話に届くDAISY(デイジー)という謎の人物からのメールでした。DAISYの正体は、学校で働く金髪公務員で天才ハッカーの顔を持つ黒崎祐(くろさきたすく)。実は黒崎は生前に奏一郎から、照を守るように託されていたのでした……。

著者
最富 キョウスケ
出版日
2007-10-26

本作では、身寄りがなく貧乏な主人公照と、黒崎のコミカルでじっれたい恋愛が描き出されます。

主人公の兄奏一朗は、黒崎に対して「お前の罪を忘れるな」という言葉を残して亡くなります。奏一朗の言葉の真意は一体なんなのか? 笑えてなおかつ考えさせられる本作に、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなしです。

年下男子と長女女子の恋の仕方は?

高校2年生の七草美幌は、4人の弟がいるお姉ちゃん。いつものようにお弁当作りや弟達の世話に慌ただしい朝を過ごした後、登校途中に道端にうずくまっている少年を見つけました。具合でも悪いのかと声をかけた美幌でしたが、少年は自転車のチェーンが外れてしまったのだと答えます。

宮尾智英(みやおちえい)と名乗ったその少年は学校の後輩で、ふたりは美幌の自転車で一緒に登校することになります。人懐っこい宮尾が可愛くなった美幌でしたが、ある日、つい弟のように接してしまったところ、宮尾は不機嫌になってしまい……。

著者
ひろ ちひろ
出版日
2015-09-25

すっかりお姉ちゃん気質が身に染みついている美幌と、タイトル通り「年下の男の子」である宮尾智英の学園系ラブコメです。友達からは「甘い」と言われるくらい面倒見の良い美幌は、宮尾に対してもつい弟を面倒見る気分で接してしまいますが、「俺、年下だけど弟じゃないから」と言われたことをきっかけに、「弟じゃない年下の男の子って、どういう距離感でいたらいいんだろう」と考えるようになります。

年下キャラの宮尾ですが、人懐っこい末っ子的な性格である一方で、好きになった美幌に対して割とぐいぐい迫ってくる肉食っぽい部分もあります。強引な部分は、場合によっては読者に嫌な印象を与えてしまうこともあるかもしれませんが、宮尾はその辺りのバランスがうまく描かれているので、とても好印象のキャラクターになっています。

ヒロインの美幌も、優しくて癒し系のキャラクターなので、とてもほのぼのとした気持ちでストーリーを追いかけることができます。全3巻で完結しているので、お姉ちゃんなヒロインと年下の男の子の恋の結末は、どうぞ手に取って確認してみてください。

小説家と家政婦のレトロ風恋愛

母を亡くし父親とふたり暮らしの高校2年生の大野ふみは、家計をやりくりしながら家事をこなす頑張り屋。ある日突然、父親から借金が出来たことを告げられます。借金返済のため父親はマグロ漁船に、ふみは、木曳野暁(きびきのあかつき)という小説家の家で住み込みの家政婦をすることになります。

くよくよしていてもしょうがないと気合いを入れて木曳野暁の家へ向かったふみでしたが、そこで出会ったのは予想していたよりもずっと若い男の人。しかも暁はふみを見るなり、使えなさそうな小娘だと断じた挙句、自分の邪魔をするなと言い捨てて……!?

著者
やまもり 三香
出版日
2015-08-25

借金苦の女子高生が帰る場所を失い、新しく暮らすことになった場所で若い異性と出会うというストーリーは、少女漫画のあらすじとしては王道ですが、本作はヒロインが女子高生でありながらどこかレトロで落ち着いた雰囲気のある作品になっています。

それは、メインとなるふたり、高校生ながら家事は完璧で落ち着きのあるふみと、時代小説家であるがためかどこか古めかしい雰囲気を持つ暁のキャラクター性であるがゆえとも言えます。

キャラクターが落ち着いているため、一見派手な個性は見えませんが、そのぶん、ふみと暁の気持ちを丁寧に読み進めることができます。変わったストーリーよりも王道のストーリー、派手な展開よりも落ち着いて丁寧に物語を楽しみたい方におすすめの作品。男性にも親しみやすい少女漫画です。

大自然の中で育まれた恋!遠距離恋愛の行く末は?

東京には物や人が集中し、住みやすいイメージがありますが、地方には地方の良さがあります。しかし、進学や就職で故郷を離れる人は多く、それによって人間関係が疎遠になることも。特に恋愛では、心も物理的な距離を超えることが難しく、自然消滅なんていうことも珍しくありません。

『僕等がいた』は、北海道と東京を舞台にした恋物語。主人公、高橋七美たちが青春時代を過ごした場所は、北海道釧路市。観光地としてもお馴染みで、釧路川沿いの美しい風景などが人気です。しかし、そこは北海道、一歩町中から外へ踏み出せば自然の多い、のどかな景色を楽しむことができます。

著者
小畑 友紀
出版日
2002-10-26

釧路市内の高校に進学した七美。そこで学年の女子の興味関心を一気に惹きつけてしまったイケメン男子、矢野元晴と出会います。多くの女子が矢野に想いを寄せる中、意地悪ばかりする彼の存在を苦手に想っていた七美ですが、接していくうちに優しさや影のある部分に惹かれ、徐々に恋心を抱くようになります。

明るく無邪気な性格の七美と、過去に恋人を事故で亡くした経験のある矢野の恋は、危うさがありつつも、心が温かくなるような、優しいものでした。しかし、矢野が高校2年生の時に東京へ引っ越し、遠距離恋愛になってしまってからは事情が変わってきます。消息不明となり、七美が進学や就職のために上京した後に再会しましたが、別人のような状態に。過去を捨てようとする矢野と、苦しい恋を胸に抱いた七美の想いが交差します。

高校生の恋を胸に抱いたまま、大人の恋を展開していく姿は、どこか痛々しく不安定に映ります。そのせいか、雪深い土地での恋が暖かく感じるほど。矢野と七美、双方の事情が分かるだけに、読者も恋の行方に胸を痛めることになります。美しい風景とともに語られる恋物語、帰る場所はどこなのか、ふと自分に問いかけてしまいたくなる作品です。

恋に落ちる瞬間、姿を現します

『町田くんの世界』で注目を集める安藤ゆきが手がける珠玉の短編集です。表題作の「透明人間の恋」は、地味目なめがね女子が、めがねを取ったら本当はかわいくって……という王道のストーリーですが、それだけで終わらないラストへの展開がみどころです。

表題作のほか、「マトリョーシカ」「drop」など読み切りが4編収録されています。

著者
安藤 ゆき
出版日
2013-05-24

初めて告白した相手に「鏡を見ろ」と言われて、久々に鏡を見る地味目な主人公・田辺さんがだんだんあか抜けて可愛くなっていく様子が展開されています。

改めて自分の姿を見てみた田辺さんが、「あ、自分ってそうなんだ」と気づきながら自分を改革していくストーリー構成が面白いです。「見返してやろう」とか「可愛くなってやる」といった感情が働いている様子はないのに、可愛くなっていく田辺さんの行く末を見守りたくなるキュートな作品です。

また、同時収録の「そこは注文の多い料理店」は、10ページにも満たない短編ですが、オチが秀逸で印象に残ります。料理がおいしく、イケメンのオーナーシェフがいる「ビストロ山猫軒」を舞台にしたラブストーリーなのですが、ラストのオーナーシェフのひと言に「キュン死」してしまうこと請け合い!

何気ない日常の中で、恋に落ちる瞬間を描いた作品たちばかりなので、読み終えた後にはきっと恋をしたくなるはずですよ。

人と想いを乗せて、バスは走る

『マイガール』で人気を博する佐原ミズの短編集。バス停を舞台に繰り広げられる、それぞれの日常を切り取った短編で構成される表題作「バス走る。」をメインに、短編2編から成る「ナナイロセカイ」が同時収録されています。

透明感のあるやさしい絵柄と、思わず「かわいいっ」と言ってしまうストーリーが満載で、最後まで飽きずに読了できますよ。キレイなカラーページがたくさん収録されているのも特長です。

著者
佐原 ミズ
出版日

様々な人や、その想いを乗せて走るバスとバス停で出会う人々を描き出すストーリーが、全員かわいらしくってたまりません! 冒頭に収録されている「空曲がり停留所」は、女子高生と営業マンとの出会いからストーリーが展開していくのですが、名前も知らない2人が心を通わせていく姿にキュンとします。

色々な形で「バスと人」を描き出す短編集。恋っていいな、と思わせてくれる物語の世界に浸ってみてください。

また、「ナナイロセカイ」のうち「めがね泥棒」と題された作品は、「好きな男の子にノートを見せるため、勉強嫌いなのに毎日一生懸命ノートをとる女の子」と「好きな女の子と話したいがために、目が悪い振りをして毎日ノートを借る男の子」の淡い恋心を描いたもので、もどかしさと初々しさ満点の良作です。おすすめですよ。

ときめきを感じる瞬間を切り取った

高橋那津子による、恋のはじまる瞬間を描いた短編漫画集です。プロローグを含めると、全8編からなる恋愛漫画がぎゅっと詰まっています。

表紙がプロローグに繋がっているのですが、細かい描き込みと温かみあるタッチが物語に「ぬくもり」を与えています。まるで目の前で物語が展開しているかのような気分を味わえますよ。

また、全編に渡って恋愛を描いていますが、ちょっと不思議に感じる物語も収録されているので、マンネリを感じることなく読み進めることができます。

著者
高橋那津子
出版日
2013-11-15

ふとした瞬間に、キュンとしてしまうことってありますよね。そんなキュンとする瞬間を切り取った物語を違った切り口から楽しめるなんて贅沢な1冊です。

「蓮先生の書斎」は特に印象的で、普段はぐうたらで髪もボサボサ、ねぐせも付いてる叔父さん=蓮先生なのに、仕事をしている時にはものすごく格好よく見えてキュンとしちゃう……。先生、その格好良さ反則です。きっと主人公にはときめきフィルターがかかっているんですね。よく分かります、その気持ち。でも、普段はやっぱり冴えないおじさんなんですよね……。だからこそのギャップ萌え、恋に落ちるのも必然です。

「恋の気づき」に焦点を当てた正統派とも言える恋愛漫画なので、登場人物達のピュアな想いに共感しながら読んでみてください。

ウブウブな恋心はちょっぴりエッチ

『大家さんは思春期!』が人気の水瀬るるうによる短編が1冊にまとまった『はじめてのお泊まり』は、表題作をはじめとするウブな恋心を描く恋愛物語5編が収録されています。

加筆修正を加えたり、書き下ろしが収録されたりとお得な1冊でもあります。

著者
水瀬 るるう
出版日

とにかく、初々しくってかわいらしい登場人物ばっかりで、読んでいるこちらがドキドキしてしまいます。

表題作の「はじめてのお泊まり」は、終電をなくした会社の先輩・藤巻さんが家にやってくる……!?という展開で、お付き合いの始まりを描いたラブストーリーです。細いタッチとかわいらしい絵柄が物語をより魅力的に演出してくれています。

収録作の中で珍しいのは、「花咲く恋心」でしょうか。男装女子とお花屋さんの淡い恋愛を描いており、いつも挨拶してくれる女の子が急に来なくなった思っていたら実は男装していて、気付かなかったけど近くにいた、なんて斬新な展開ですよね。

ほかにも、「風邪、その後に」「酔っ払いにはご注意!」のような女の子同士の恋を浮き彫りにした衝撃作や、宇宙人との恋愛を描いた作品など、幅広い物語を楽しめます。

男女の恋愛はもちろん、女の子同士の恋模様(百合展開)まで、様々に描きだす純粋でウブな甘酸っぱさが全開の1冊。ぜひ1度、手に取ってみてください。

両片想いの恋が切ない!北の大地の熱い青春ストーリー

人生は誰でも一度きり。幼少期も小学、中学、高校とたった一度の時間を重ねていきます。特に密度が濃いのが、高校生。子どもというには何も知らないわけではなく、大人というには少し幼い、曖昧な時期です。何かにまっすぐに取り組める時期でもあり、部活動に打ち込み、夢を追う気持ちを持ち始めた時期、という人も多いのではないでしょうか。

『青空エール』は、吹奏楽と野球、それぞれに打ち込む高校生が主人公。今目指すべき目標に向かい、迷い苦しみながらも進んでいく姿と、切ない恋模様が描かれます。モデルとなっているのは、北海道札幌市にある、札幌白石高校。創部40年以上となる吹奏楽部は、全国大会で金賞を受賞するほどの強豪校です。

著者
河原 和音
出版日
2008-12-25

高校野球の応援で行われる、ブラスバンドの演奏をテレビで見て以来、ほのかな憧れを持っていた小野つばさ。初心者ながら、吹奏楽部の名門、白翔高校に入学し吹奏楽部へ入部、トランペットの担当になります。甲子園を目指している野球部の応援演奏に行ったとき、レベルの高い練習についていけず挫折しそうになったつばさを励ましてくれた山田大介がミスをしている場面に遭遇。グラウンドに立ち尽くす大介を励ますため、つい1人で演奏をしてしまいます。

つばさは大介に恋心を抱いており、告白をしますが玉砕。大介は、自分がチームメイトの甲子園出場という夢をつぶしてしまったと自責の念を抱いています。自分が甲子園に行くまでは、野球一筋で彼女も作らないと、意志の強さを見せるのでした。互いに目標に向かって突き進む姿は大変爽やかで素晴らしいのですが、この両片想い状態が、読者には辛いところ。互いが気になりつつも決定的な言葉が無い生殺し状態に、ヤキモキしてしまいます。

つばさに横恋慕する後輩が現れるなど、恋愛方面の展開も多め。しかし、強く印象に残るのは、それぞれの目標に向かって、前へ進もうともがく、つばさと大介の姿です。一生懸命はカッコ悪い事ではありません。1度しかない青春に全力で取り組む高校生のエネルギーに、勇気と元気をもらうことができる作品です。

彼を守るために戦う!兵器となった少女のピュアな恋愛漫画

君のためなら死ねる、とまでは言いませんが、何かあったら守ってくれる男性を、女性は頼もしいと感じるものです。しかし、誰かを守りたい、という気持ちを持っているのは男性だけではありません。身体能力では男性に劣るかもしれませんが、女性の一途な想いは、時として大きな変化を生み出すのです。

突如として、謎の「敵」に空襲されるようになった現代。病弱なちせと、交際をし、幸せな生活を送っていたシュウジは、突然戦争に巻き込まれることになってしまいました。敵の攻撃から逃げ惑う人々、空襲で焼けた街は、見慣れた景色を変えていきます。そんなとき、突如ちせの身体が変形。剛鉄の翼を持ち、腕から巨大な武器を生やした、兵器となってしまいました。

著者
高橋 しん
出版日

病弱で、よく東京の病院に通っていたちせは、検査の結果、適合があると認められ、身体を兵器へと改造されてしまいます。有事の際には身体を武器へと変化させ、戦う兵器となってしまったちせ。その群を抜いた戦闘能力から「最終兵器」と呼ばれるようになります。

ちせが兵器となる道を選んだのは、大好きなシュウジを守るため。気弱で、心優しいちせが、誰かを守るために戦う、という選択をした事に驚きますが、その選択により、2人の関係がすれ違ってしまうことに心が痛みます。兵器となることで、様々な不安にさいなまれるちせと、そんなちせとどう接していいのかわからず、距離を置いてしまうシュウジ。始まりが純粋な想いだけに、迷走していく2人の関係が一層辛く感じられます。

舞台となるのは、北海道。ちせもシュウジも北海道の高校に通っています。作中には高台から見える小樽市内の風景や、モデルとなっている展望台、地獄坂といった実在の風景が登場。空襲時には札幌市内の風景も多く登場します。兵器となってしまったちせとシュウジの恋はどうなってしまうのか、人の強い気持ちが生み出した、痛みとやるせなさの残る物語をお楽しみください。

『最終兵器彼女』について気になった方は<『最終兵器彼女』完結から約15年。名作漫画をもう1度考察【ネタバレ注意】>

ピアノとバイオリン×毎春に読みたい×恋愛漫画

アニメや映画にもなった『四月は君の嘘』。『ONE PIECE』作者の尾田栄一郎も絶賛し、話題になりました。

寸分の狂いもない精密なピアノ演奏で、数々のコンクールで優勝したかつての神童・公生は、ある出来事をきっかけにピアノが弾けなくなり、音楽から離れてしまいます。

そんなとき出会ったのが、同い年のバイオリニスト・かをり。その強烈な個性を放つ演奏に衝撃を受け、公正はかをりに音楽の世界へと連れ込まれていき……。

著者
新川 直司
出版日
2011-09-16

この作品の見せ場は迫力ある演奏シーン!幼いころは厳しい母の教えを受け、楽譜に縛られていた公生が、徐々にそれらを越えて音楽家としての才能を広げ始めていきます。そんな公生の心情の動きが、演奏シーンのなかでも表現されています。かをりとの協演では、二人がぶつかり合い、認め合う姿が描かれており、まるでスポーツ漫画を読んでいる時のように胸が熱くなるでしょう。

かをりに惹かれていながら、気持ちを伝えられない公生。二人の恋の行方はどうなるのか。そしてタイトル『四月は君の嘘』の「嘘」の正体とは?ラストには感動と衝撃が待っています。

ラブコメ代表のおすすめ傑作!読まないと人生損する!?

おんぼろアパート「一刻館」。そこに住むのはそろいもそろって変わり者ばかりです。そんな「一刻館」の新管理人になった音無響子と彼女に恋をした五代。けれど、彼女との恋は一筋縄ではいきませんでした。

『らんま1/2』や『うる星やつら』でおなじみ高橋留美子が描く不朽の名作。ラブコメ好きは絶対に読むべき!

著者
高橋 留美子
出版日
2007-04-27

『めぞん一刻』に出て来るキャラクターはとにかく個性が強い!それぞれに固有の魅力があって、全員を好きになってしまいます。特に作品中期辺りで登場する八神いぶき。彼女が登場することで物語は大きく展開していきます。決して動くことのなかった響子の気持ちが揺らぎ始め、五代との関係が徐々に変わっていく。これからどうなっていくのか、全く読めない展開にドキドキしっぱなしです!

日常で使いたくなるような高橋留美子独特のギャグもふんだんに織り交ぜながら、感動と衝撃を読者に与える作品。読んでみると、長く愛され続けるその理由が分かります。終わり方は、もう完璧の一言しかありません。伏線がすべて回収され、幸福感と爽快感に包まれて終わる、最高のラストです。

ラブコメ漫画を代表する『めぞん一刻』。この話は決して面白いだけの漫画ではありません。ギャグの中にある複雑な人間関係や、胸キュンの裏にある寂しさや哀しみ。そんな奥深さが心に染み、読んだ後には胸がいっぱいになります。愛おしいほどに魅力的な彼らをぜひ一度ご覧になってみてください。

部活とアルバイト×年の差×恋愛漫画

女子高生と中年男性の恋を描いた『恋は雨上がりのように』。年上男性との恋物語というと、 女性の扱いに慣れていてリードしてくれる男性が定番ですが、この恋愛漫画は一味違います!

著者
眉月じゅん
出版日
2015-01-09

主人公あきらが想いを寄せる男性は、バイト先のファミレスの店長・近藤。店長として自分より若い客にも頭を下げ、バイトたちに厳しく注意もできない、頭には10円ハゲ……などなど、いったいあきらはどこに惚れたんだ?と思ってしまうくらい、近藤は情けない中年男性に見えます。

対して、人前でほとんど笑わない黒髪美人のあきら。近藤があきらの視線を「ごみを見るような目」で睨まれている、と勘違いするほどぶっきらぼうです。しかし逆に、近藤のことを想って一喜一憂するあきらのかわいさがひきたっています。

こんなダメな中年男性と黒髪美女の女子高生、というと男性向けの作品かと思うかもしれません。しかし、あきらの恋心の描写や、いろいろなものを諦めてきてしまった近藤への愛しさは、女性もきっと共感できることでしょう。

ダメな中年男性の近藤と、無愛想なあきら。読んでいるうちに二人のことを愛しく、応援したくなってくる恋愛漫画です。

住人は変人ばかり

父親の転勤の機会に、憧れていた1人暮らしをしたいとお願いする男子高校生、宇佐。父親の勝手な計らいで、食事付きの河合荘(かわいそう)に下宿することになります。そこにはなんと憧れの先輩、河合律も住んでいて……。

著者
宮原 るり
出版日
2011-05-30

憧れの彼女との距離をどうにかしたい宇佐ですが、この河合荘の住人は何だか変わった人ばかり。人畜無害でMなルームメイトをはじめ、男運のない美人、華やかだが腹黒な女子高生、といった強烈な下宿メンバーに振り回されます。

しかし、宇佐の持ち前のコミュニケーション能力、変ショリ(変人処理)のおかげでいろいろなハプニングを乗り越えるのです。そうやって周りのみんなと打ち解けていく中で、憧れの律との距離も近づいていくことに……。変人ばかりの住人に振り回されながらも、律の心をしっかりと掴むことができるか、2人が付き合えるのかどうかが気になって仕方ない!

そしてこの作品のヒロインである河合律の可愛さといったら……もう、たまりません!性格も表情も、どれをとってもめちゃくちゃ可愛い律ちゃんにも注目しつつ、宇佐と律の進んでは戻り、また進んだかと思えば止まる、なかなか進まないもどかしい恋の話をお楽しみください。

2人の関係は友情以上恋愛未満?田舎が舞台の青春物語

夏と言えば、青々とした作物が育つ田畑に、舗装されていないあぜ道。手足を小麦色に焼いた子どもたちが、麦わら帽子をかぶって川辺に行き、釣りや水泳を楽しむ。そんな田舎の夏らしさを味わえる場所は、もう多くありません。しかし、皆が思い浮かべる夏の景色は、日本人の心に沁みついた原風景だと言えるのでしょう。

『みずいろパーフェクト』は、そんな山と川が美しい田舎が舞台の物語。都会から田舎に転校してきた、女子高生と男子高生の青春が物語の主軸です。美しい風景描写と詩的なモノローグ、田舎の夏休みという、どこか郷愁を誘うような空気が物語全体に流れ、なんとも切ない気持ちにさせてくれます。

著者
大石 まさる
出版日

東京の高校から転校してきた川上清美は、いつもクラスでつまらなそうにしていました。その清美を観察している加藤猛は、麦わら帽子ひとつかぶって、学校に手ブラで投稿するような彼女が、田舎の生活を満喫していることを知っていました。

駄菓子屋の店主とも親しくなっていたり、犬や子どもたちとも顔見知りだったり。都会的な清美の涼やかな雰囲気に憧れていた猛でしたが、清美自身の持つ自然な明るさに惹かれていきます。作中には、清美が吹くケーナが、風や雨を呼ぶというシーンが登場。清美に惹かれる猛の心情を表しているように感じられ、人が恋に落ちる瞬間の甘酸っぱさを感じることができます。

田舎だからこそできることの表現とともに、微妙な高校生男女の恋が語られる本作。猛と清美は、友達よりも親しく、恋人ではない横並びの関係を続けていきます。多感な少女らしさを持ちながらも、健康的で田舎の生活を愛する清美がとにかく魅力的。清美との田舎暮らしの美しさにどこまでも惹かれる1作です。

都会女子と田舎男子の夏休み限定の恋!?

物や人が溢れ、流行の最先端を追うことができるのが都会の魅力ですが、田舎には田舎にしかない良さがあります。特に夏は、山も田畑も緑が生命力にあふれ、美しい季節。澄んだ水の流れと青い空に、開放的な気持ちになります。

その土地にしかない魅力があるように、その土地に住む人に備わる魅力という者もあります。『青Ao-Natsu夏』は、都会からやってきた少女と、田舎に住む男子の恋物語。田舎ならではの制約や、物理的な距離間、時間など様々な要素が、2人の恋を盛り上げます。

著者
南波 あつこ
出版日

運命の出会いを夢見て、夏休みは合コン三昧するぞ、と意気込んでいた理緒でしたが、急遽田舎にある母方の祖母の家で過ごすことに。緑の美しい山と、きれいな川、夜には満天の星空が見えるこの地で、理緒は吟醸という酒屋の一人息子と知り合います。

田舎の魅力を教えてくれる吟醸に惹かれる理緒でしたが、恋は夏休み限定。吟醸は都会に出ることは一切考えておらず、期間限定となってしまう恋に、2人は二の足を踏んでしまいます。吟醸はとても硬派で、恋にはあまり積極的ではないところが、少女漫画のヒーローとしてはちょっと新鮮。時折気持ちを抑えきれずに行動してしまうところに、胸きゅんとしてしまいます。

理緒も都会的な少女ではなく、大らかで祖母を大切にする素直な性格。2人の恋模様は大変可愛らしいのですが、ライバルやさまざまな制約に、やきもきさせられてしまいます。イナゴの佃煮の描写の登場に怯む方もいるかもしれませんが、そこも田舎の醍醐味。制約のある恋の行方がどうなるのか、その結末を見守りましょう。

ご先祖さんが見える少女と止まった夏の日

もう一度会いたい人はいませんか。日本ではお盆に、死者が帰ってくると言われています。迎え火や祭りなど、地域によって風習は異なりますが、先祖を家で迎え、再び送り返す。夏休みも後半に差し掛かり、じりじりと迫る現実を感じ、死者を懐かしむとともに、どこか焦りの感情を覚えた人も多いはずです。

『盆の国』は、お盆の時期の不思議な出来事を描いた物語。元々webで公開されていた作品です。六堂町という長命だけで、場所は特に明記されていませんが、関西訛りの柔らかい言葉と街並みが京都を思わせ、より雰囲気を盛り上げます。

著者
スケラッコ
出版日

進学先の話で、友人との間に気まずさがある中学生の秋。耳の奥がチカチカと鳴る時、お盆で帰ってきたご先祖様(おしょらいさん)の姿を見ることができます。ある日、気まずい友人と会うのが嫌だし、おしょらいさんが帰ってしまうのも寂しいと考えた秋。お盆がこのまま続けばいいと願ってしまいます。そして、あくる日から日付は進まず、ずっと15日のまま。永遠に続くお盆の中で、秋は自分に助言を残して消えた謎の青年、夏夫と出会います。

ご先祖様が見える少女、夏の盛りに和装の色白な青年、春の雷、先祖が帰ってくる井戸など、不思議な舞台装置をばっちり配備。謎の多い物語を盛り上げていきます。アイスや飲み物、そうめんといった夏のアイテムが多く登場するせいか、夏の暑さをじわじわと感じられるところもポイント。田舎町の空気に包まれる心地よさを味わうことができます。

ご先祖さんは等身大だったり、小さかったりと姿は様々。特に猫のしじみの手乗りサイズにデフォルメ姿がとってもキュート。秋は止まった時間を進めることができるのか、日本ならではのSFファンタジー要素と、少女の成長をお楽しみください。

家出少年と同居?爽やかで可愛い短編集

夏には冒険という言葉がよく似合います。山や海など、日本は自然が豊かなため、夏だから、とアウトドアにチャレンジする人も多いでしょう。夏休みは特に時間がたくさんあるため、何かをはじめるきっかけとなる期間になることも、人生が変わるような体験をすることも、珍しくはありません。

『家出少年と夏の夜』は、表題作を含む5編の物語が収録された短編集。可愛い絵柄と、明るく素直なストーリーに定評のあるヒナチなおですが、本作は特にハッピーエンドな作品が多め。片想いの切なさも、両想いのドキドキも、可愛らしい物語の中にたくさん詰まっています。

著者
ヒナチ なお
出版日

表題作「家出少年と夏の夜」が、夏をテーマにした物語。家出少年という言葉に、思春期の複雑な想い、やりきれなさを思い出す大人もいれば、ほのかな憧れをもってしまう同年代の方もいるでしょう。家出をしてきた少年と、ひと夏の恋をしてしまうのが、子の物語の主人公、タエです。

家出をしてきたカナタと、同居することになってしまったタエ。住人がみんな知り合いというような、小さな田舎町でのことで、最初はドギマギ。しかし、接するうちにカナタのぶっきらぼうな優しさに触れたタエは、カナタに惹かれていきます。

謎めいた少年と、田舎町での夏休み限定の恋というシチュエーションが生かされた本作。限られた時間の中で、互いを理解し惹かれあう過程が丁寧に描かれています。あまり暗く辛い展開にならないのもポイント。甘酸っぱくて、でもキラキラした青春のひと時を、肌で感じられるような1冊です。

恋する者よ、強くあれ!

高校時代生物部に所属し、カメオタクだった主人公の秋。まったくモテない高校生だった秋ですが、恋をきっかけに大変身します。彼が恋した女の子ユイ。完璧なモテ男に変身した秋は、ユイと同じ大学に進むことに……。どれだけ周りの女に言い寄られても求めるのはひとりだけ。唯一の存在への想いを通して、秋は自分というものを探し、見つけていきます。

著者
山田 玲司
出版日

単なるラブコメとは一味違う。これは恋愛ものを敬遠している人こそ読むべき、青春ストーリーです。人を好きになるとは?本当の自分とは?そんなことを考えさせられる漫画になっています。

自分も他人も欺いてモテ男を演じる秋。若さゆえに彼は悩み、葛藤します。その描写が何とも生々しく、読んでいるこちらが苦しくなるほどです。笑いあり、涙あり、時に胸を抉られるような衝撃で読者を唸らせる1冊。恋愛漫画ではありますが、これは男性の方が共感することも多いかもしれません。男には男にしか分からない苦労や悩みもありますよね。女性も女性で、「あぁ男の人はこんなことを考えて恋愛しているのかな?」と新しい発見があるかも。

どれだけ望みが薄くても、どれだけ苦しんでも、好きな人を好きでいるということ。それは想像以上に困難なものです。主人公の秋は、恋をすることで絶対に諦めない気持ちを手に入れました。恋は苦しんだ分だけ人を成長させます。恋する者は強い!そう思わせてくれる作品です。

まさに綺麗なバラには棘がある漫画

高校生のりずと颯太は幼馴染。幼い時から泣き虫だった颯太は、りずに守られ、甘やかされて育ったせいか、りずがいないと何も出来なくなってしまいました。イケメンである颯太は芸能事務所や女の子から追いかけまわされるので、それをりずが追い払うのです。

そんな日々を見かねたりずの友人は、「このままじゃ結婚もできないよ」とりずに吹っ掛け、慌てた彼女は彼氏をつくります。しかしそんな急につくった彼氏と上手くいくはずもなく、りずは彼氏から襲われそうになってしまいます。そんな時に助けてくれたのは、りずがいないと何もできない颯太でした。

その一件から颯太離れを諦めるりずですが、実は颯太は、裏でりずの「彼氏」をシメていたのです。りずの知らない俺様な一面がある颯太……2人の関係はどうなってしまうのでしょうか。

著者
柚月 純
出版日
2015-09-11

りずの前ではなよなよして放っておけない男子、でも彼女がいないところでは超のつくオラオラ俺様系と、ギャップの激しすぎる王子様こと颯太。もはやロールキャベツ男子というのも生ぬるいのではと思う程、外見とのギャップが激しい登場人物です。

そんな颯太ですが、主人公のりずを想う気持ちは本物。イケメン男子のギャップが好き、守られたいし守りたい、そんな方々は必見です。

想いが錯綜…胸キュンが止まらない少女漫画

高校進学を間近に控えた由奈は、仲良しだった友達を見送るために駅へやってきました。すると、そこで突然、女の子に声をかけられます。女の子はお財布を忘れて電車に乗れずにいたのですが、どうしても見送りたい人がいるため、財布を取りに戻っている時間がない、だからお金を貸してほしいと頼んできたのです。

由奈はその頼みを受け入れ、お金を貸してあげます。女の子は、明日必ず返すからと言い、代わりにブレスレットを由奈に預けていくのですが……。

著者
咲坂 伊緒
出版日
2015-10-13

正反対な性格の由奈と朱里、そして朱里の義理の弟の理央、由奈の幼馴染の和臣の4人の高校生の恋心を描いた作品です。由奈は内気で大人しいタイプの女の子で、少女漫画のようなドキドキする恋愛に憧れています。自分に自信が持てず、そのため憧れはあっても恋愛に対しては消極的でした。

そんな由奈が唯一気負わずに話すことのできる男子が、幼馴染の和臣(かずおみ)です。恋愛に興味はありませんが、いきなり女子をドキッとさせる台詞を吐くことがありました。それも、狙って言っているわけではなく、元来の天然な性格ゆえでした。

ひょんなことから由奈と仲良くなった朱里は、和臣に対して恋心を抱くようになります。朱里は内気な由奈とは反対で、明るく活発な女の子。消極的な由奈の背中を押す存在でもあります。その朱里の弟が理央ですが、2人は義理の姉弟。理央のことを王子様だと思って恋心を抱いているのが由奈です。

それぞれのキャラクターにスポットライトが当てられ、背景や心情が丁寧に描き込まれています。群像劇だからこそ、4人それぞれの気持ちが理解でき、関係性を深く読み解くことができるでしょう。

ストーリーを俯瞰的に読むのもおもしろいですし、お気に入りのキャラクターを特に追いかけて読むのもおすすめです。4人の恋愛がどういう結末を迎えるのか、ぜひ手にとって確認してみてください。

胸キュンWEB漫画の代表作!

片桐高校に通う堀京子(ほりきょうこ)は、学校では成績優秀で活発な人気者です。しかし両親が共働きということもあり、家ではスッピンで家事をこなしながら弟の面倒を見る日々。友人との付き合いもろくにできません。同じクラスの宮村伊澄(みやむらいずみ)は、地味で長髪、年中ブレザーのメガネ男子です。一見目立たない彼ですが、長髪で隠れた耳にはピアスが8個、ブレザーの下には刺青があって……。

著者
["HERO", "萩原 ダイスケ"]
出版日

そんなふたりは落ちた消しゴムを拾うぐらいの共通点しかなく、学校ではまともに喋ったことすらない関係でした。ある日、怪我をした京子の弟を伊澄が家まで連れて行きます。京子は学校にいるときは雰囲気の違う伊澄の姿に驚きつつも、ふたりは次第に距離を縮めていくのでした。

一見性格が真逆に思える彼らの「超微炭酸」化学反応には笑いあり、胸キュンあり、感動あり!ぜひお手にとってみてくださいね。


恋愛漫画における楽しみのひとつは、胸キュンでしょう。恋愛のドキドキと同じような、心躍らせる瞬間をお楽しみください。

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