渋沢栄一の本おすすめ5選!500超の企業の設立に関わった日本資本主義の父

更新:2017.10.5 作成:2017.10.5

日本の資本主義の父と呼ばれ、江戸時代末期から昭和初期にかけて日本の発展に尽力した渋沢栄一。そんな彼の功績や哲学を学ぶのに最適な作品を今回は5冊ご紹介していきます。

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目次

渋沢栄一とは

渋沢栄一は江戸時代末期から昭和初期にかけて活躍した実業家で、日本の資本主義の父と呼ばれている人物です。設立にかかわった企業は500社を超えるといわれ、東京商工会議所や日本赤十字社設立など社会活動にもその手腕を発揮しました。

渋沢は1840年に現在の埼玉県で生まれました。家が裕福な農家であったため、作物の原料の買い付けや販売など実務的な部分を担うことが多く、その才覚はこの頃育まれたともいわれています。

その後、尊王攘夷運動にも参加しますが、京都で徳川慶喜に仕えることになり、慶喜が将軍となると幕臣になります。パリ万博に幕府から派遣され、ヨーロッパを視察し、諸国の進んだ社会制度に感銘を受けました。その後パリに留学しますが、明治維新が起こり新政府から帰国を命じられます。

明治維新後、渋沢は大蔵省に入省し、さまざまな条例の制定に関わりました。その後退官し、実業界に転身します。

彼が手がけた企業や組織としては東京ガス、一橋大学、東京急行電鉄、東京証券取引所、日本女子大学、帝国ホテル、理化学研究所などさまざまな分野にわたり、日本の資本主義の発展に対する貢献の度合いは計り知れません。

徳とお金の両立は可能か

渋沢栄一の講演、演説を文字に起こしてまとめられた、彼の哲学がつまった1冊です。通底するのは論語であり、「徳」と経済活動の折り合いをどうつけるべきかを説いています。

金儲けにどうもいやらしい印象を持ってしまう日本人に向けて、対照的な価値観にある「徳」と「金」の追求をいかに両立させるかを論じており、結果的に現代でもまったく色あせない経営論となっています。

それは利己主義に走らない経済活動というべきもので、私利私欲に邁進しがちななか、それが道徳的に正しいのかどうかを常に自問するべきであるという考え方です。まさに偉大なる資本主義の父の言葉といえるでしょう。

著者
渋沢 栄一
出版日
2010-02-10

彼は経済の巨人には2通りあり、徹底的に利潤を追求するタイプと社会と事業の調和を図るタイプに分けられると考えていますが、面白いのはその両タイプとも最終的にはその活動が社会貢献に帰結するということでしょう。ここが巨人と凡人の分かれ目になるのです。

本書はそういった渋沢の考え方だけではなく、論語に関しても詳しく語られているので論語入門としても面白いと感じれるでしょう。論語が手放しで礼賛されるべきか否かはさておき、徳と利益を共存させる考え方はいまこそ求められるべきものかもしれません。

巻末には渋沢の経歴などの資料も掲載されており、彼がどのような人物でどのようなことを考え、実践していたかを知るための最適なテキストとなっています。

渋沢栄一の言葉を知る

子孫である渋澤健によって編集された、渋沢栄一の名言集です。彼の訓言と渋澤健の解説が見開きで展開される構成となっており、抽象的な渋沢の言葉が具体的に説明されるので、内容の把握が容易になっています。

11章からなる本書は、さまざまな「教え」を我々に提示してくれます。その根底にあるものは、やはり社会、そして世界との関わり方です。

明治時代を生きた男の語った言葉なので分かりにくいところもありますが、渋澤健が自身の経験も含め絶妙な解説を加えています。章立ての的確さも含め、非常に読みやすい内容です。

著者
渋澤 健
出版日
2010-08-03

かのドラッカーも渋沢栄一を尊敬していたそうで、社会的存在としての個人を中心に据えていた考え方は共通するものがあります。その点で行き過ぎた金満志向に対して再考させられる内容となっているのが本書です。

その根底には「いかに生きるか」があり、読みようによっては非常にストイックな部分もありますが、「こういう風に生きたい」と思わせるさわやかさがあります。そして渋沢栄一は「楽しく生活する」ということを志向していたことがだんだんと分かるでしょう。

100の訓言が見開きで見られ、その内容も丁寧に解説されている本書は、経営が順調な人にも若干不調な人にもおすすめできますが、それ以前に人としてどのように生きるべきかを考えている人にもおすすめの1冊です。

シブサワ・スピリッツを会得する時空を超えた冒険

高校生が幕末にタイムスリップして渋沢栄一と行動をともにし、彼の生きざまを学んでいくというSF小説仕立ての作品です。元武士であった渋沢の哲学を日常でどう実践していけばよいか、奇天烈な設定ではありますが非常にうまく表現されています。

主人公の高校生は一家離散という悲惨な状況に陥ってしまい、定時制高校に通うことを余儀なくされます。そんな彼が突然タイムスリップし、足が3本あるヤタガラスの姿となって渋沢栄一と幕末を過ごすのです。その後、現代に戻り、彼の精神を継承し起業家を目指していく……というストーリーになっています。

小説仕立てなので渋沢栄一研究とその実践を1冊にまとめることに無理がなく、物語もテンポよく進むので快調に読み進めることができるでしょう。

著者
["香取 俊介", "田中 渉"]
出版日
2014-07-24

「シブサワ・スピリッツ」というキーワードが本書で書かれています。それは「富」に関して主人公が得た結論、「みんなが豊かになる」という考え方のこと。このように、物語は渋沢栄一が考える「富」の概念をバックボーンに展開されていきます。

渋沢の著作『論語と算盤』を意訳したもの、という捉え方もできる内容です。思想なき経営を両断する爽快な切り口が小説仕立ての本作においても健在なのは、さすが渋沢といえるでしょう。

まさに雰囲気はライトノベルであり、渋沢について詳しくない中高生でも手に取りやすくなっています。渋沢栄一について、初めて知る読者向けの入門書といえるでしょう。

経営者としての渋沢栄一。彼の実践力を垣間見る

渋沢栄一は幕臣から官僚、そして民間人として活躍するというように段階を経ていますが、ここでは彼の動きの大きな部分ではなく、彼が関わったさまざまな企業を実際にどう経営したかに焦点を当てています。

元々政府の重要人物であった渋沢栄一が、いち民間人の立場から国に提言をし、自身もさまざまな事柄を実行してきました。とりわけ、本書では民間企業がどう自立していくかについて、明治維新直後から実践していた彼の能力と行動力が浮き彫りになっています。

全5章からなり、明治維新後の近代的な産業の創出や人的ネットワーク、公共事業を通した国作りなどが収録されています。その背後にある教育者としての姿も見逃せません。

著者
島田 昌和
出版日
2011-07-21

実業家としての発端は大学と銀行の設立だったわけですが、そこでは、すでに彼が社会に貢献していこうとしていた経済活動の一端が垣間見えます。それにしても、活動の質はさることながら、ものすごい行動量だったことを再確認でき、驚かされるのです。

彼が設立した企業、組織の多くは現在でも一流として健在なものが多いわけですが、彼のような人物は洋の東西を問わず類を見ないでしょう。この書の冷静な研究、解説により彼の行動の源泉が何だったのかを読み取ることができるかもしれません。

読んで分かるとおり、渋沢の行動力には尋常ならざるものがあります。本書はそういった意味で、渋沢の人間研究とは別の、彼の実績を俯瞰して把握させてくれる作品ともいえるでしょう。

本人が語る渋沢栄一の歴史

本書は渋沢栄一の自伝です。裕福な農家出身から武士になり、幕末~明治維新を経験し、昭和初期までを生きた男の青春時代が語られています。

著者
["渋沢 栄一", "長 幸男"]
出版日
1984-11-16

本書を読むと、とにかく国のために努力していった渋沢栄一像が浮かびあがってくるでしょう。流され人生的な生き方をしているかのように自身を描いていますが、ありとあらゆるものに興味を持つ性格が彼をあそこまでの人物にしたことがわかります。

江戸時代から明治にかけて活躍した人は数多くいますが、ここまでまとまった形で回想している人物はあまり多くはないでしょう。当時の社会がどういうものだったかを知りたい、という方にもおすすめできる内容になっています。

農民から武士、武士から官僚そして下野してからさらに活躍、と普通の人の何倍もの人生を生きた渋沢栄一ですが、今回は、彼の生い立ちからその精神を理解するのにうってつけの作品をご紹介しました。自分のやっていることが正しいのか自問せよ、という彼のメッセージがどの作品からもにじみ出ています。