映画『あゝ、荒野』が無料で観れる!?菅田将暉がキャリア最高の演技を披露!

更新:2020.12.15

2017年10月に前編・後編の2部作で劇場公開された映画『あゝ、荒野』。菅田将暉主演で話題になっている本作がネットで、無料で観れることをご存知でしょうか?

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菅田将暉の最高傑作!映画『あゝ、荒野』が無料で観れる!

著者
["大石 直紀", "寺山 修司", "港 岳彦", "岸 善幸"]
出版日
2017-10-06

 

寺山修司の唯一の長編小説『あゝ、荒野』の映画化作品が2017年10月公開されました。前編・後編合わせて5時間超えと長すぎる上映時間にノックアウトされてしまいそうになる本作ですが、はじめにこれだけは書かせてください。

2017年で一番凄い邦画、かもしません。

この記事を書いている段階でまだ前編しか観ていませんが、後編の出来次第では、年間100回以上映画館に行くそこそこ映画好きの僕の2017年邦画ベストになるかもしれない作品です。

150分超の前編を見終えた第一の感想は、やばい映画を観てしまった、です。圧倒的なエネルギーが通り過ぎていった感覚が残り、早く後編を観たい、その前にもう一度前編を観たい、とテンションが上がってきました。

仕事の隙をついて映画館に行くことを計画していたところ、U-NEXTで観れることを発見。いや、実は観れることは知っていたのですが、まさか丸々観れるとは思いませんでした。

そう、全部無料で観れるんです!

というわけで、映画好き、菅田将暉好き、ヤン・イクチュン好きなどなど圧倒的なエネルギーを感じたい方は、U-NEXTに無料登録して、とりあえず観てください。

R-15指定で濡れ場もがんがんある作品なので、セックス&バイオレンスが苦手な方はやめた方がいいかもしれませんが、何か面白い映画ないかなぁ、最近凄い映画観てないなぁという方は騙されたと思って是非観てください!

 

映画『あゝ、荒野』あらすじ

映画『あゝ、荒野』あらすじ
(C)2017「あゝ、荒野」フィルムパートナーズ

2021年の新宿が舞台。

3年間少年院に入って出てきた新次(菅田将暉)は、兄貴分を半身不随にした元仲間への復讐を考えていました。

吃音症を抱えるバリカン(ヤン・イクチュン)は、父親とふたりで暮らしていましたが、金をせびり、暴力を振るう父親の元を離れたいと考えていました。

そんなふたりは、片目の元プロボクサー堀口(ユースケ・サンタマリア)に、プロボクサーにならないかと誘われて……。

菅田将暉がキャリア最高の演技を披露!

菅田将暉がキャリア最高の演技を披露!
(C)2017「あゝ、荒野」フィルムパートナーズ

菅田将暉は10kg増量し、筋肉と体幹を鍛え、撮影前日まで炭水化物を控えてと、リアルボクサーな身体づくりをして撮影に臨んだとのこと。ボクシングシーンは超本格的で、格闘技映画としても傑作と言っていいレベルに仕上がっています。

身体を鍛えたことも関係しているのかもしれませんが、菅田将暉から発せられるエネルギーが何しろ圧倒的。ボクシング、濡れ場、狂ったようにわめくシーンと、役者魂の圧力を全身で感じることができます。

「魂を削り、魂を吸い取られ、魂を与え、魂を受け取った作品です」と菅田が語った意味は本作を観ればわかります。

もちろん、菅田将暉が素晴らしいのは本作だけはありません。『そこのみにて光輝く』もいいキャラしてますし、『ディストラクション・ベイビーズ』のクズ男役も大好きです。『帝一の國』も2017年の邦画マイベスト10に入るくらい好きな作品です。

しかし、2017年10月現在、菅田将暉出演作をひとつだけ選べと言われたら、全力で本作をおすすめします!

狂気スレスレの圧倒的なエネルギーと無邪気さを感じさせる笑顔が作る絶妙なバランス。菅田将暉の今が観れるのは本作です。

吃音症を抱えるバリカンを演じるヤン・イクチュン

吃音症を抱えるバリカンを演じるヤン・イクチュン
(C)2017「あゝ、荒野」フィルムパートナーズ

傑作バイオレンス映画『息もできない』で知られる名優ヤン・イクチュン。同作はキネマ旬報の外国映画ベスト・テンで第1位に選ばれ、ヤン・イクチュンは監督、脚本、主演をつとめました。『あゝ、荒野』では吃音症を抱える気弱な青年バリカンを演じていますが、『息もできない』では真逆と言っていいような暴力的なチンピラを演じています。

今回の『あゝ、荒野』で注目すべきはめちゃくちゃリアルな吃音症の演技です。

軽度の吃音を抱える僕の目から見ても、違和感なく、共感できました。それを外国語でやっているのですから、凄まじいの一言でしょう。

菅田将暉演じる新次を動とするなら、ヤン・イクチュン演じるバリカンは静。繊細さが求められる演技です。

吃音症を抱え、哀しげな目をした男が、新次に少しずつ心を開いていくのが伝わってくる演技でした。思い返してみると、この映画の主人公ふたりの感情を表す重要なポイントは笑顔かもしれません。セリフの少ないヤン・イクチュンの笑顔は、千の言葉より雄弁にバリカンの感情を語ります。

原作のアレンジが素晴らしい!

原作のアレンジが素晴らしい!
(C)2017「あゝ、荒野」フィルムパートナーズ

原作へリスペクトを捧げつつ、大胆にアレンジすることで映画版は『あゝ、荒野』の本質である「愛と憎しみ」をより明確に描き出すことに成功しました。

ここでは、特に大きな3つのアレンジポイントを見ていきたいと思います。

1:1960年代から2021年へ

寺山修司の原作の舞台は1960年代の新宿、対して映画版の舞台は2021年の新宿です。東京オリンピックが終わり、より閉塞感が強くなった時代背景になっています。

映画では介護問題や東日本大震災が描かれますが、これらは原作にはないエピソード。2017年現在と地続きで、少しだけ息苦しく、生きづらくなっているであろう世界の描写には、本当にそうなってしまうかもしれないと思わされます。

不安が漂う世界観は、登場人物たちの孤独を導きます。孤独がゆえに愛を求めるのです。

原作小説に、本作のテーマを象徴する一文があります。

「彼が、盗むという行為で誰かに憎まれ、憎まれることによって、一番位の低い愛を手に入れようとしているとまでは、誰もわかってやろうとはしないのであった。」 
(『あゝ、荒野』より引用)

「憎しみは一番位の低い愛」と寺山修司が書いていることは、本作を理解するうえでカギになってくるだろうと思います。

2:映画オリジナルの復讐

映画『あゝ、荒野』のストーリーの軸になる新次の復讐は、実は原作小説にはない設定です。

このアレンジは、まずストーリーを面白くするうえで完璧に近い正解と言っていいと思います。復讐という設定が、本作の重要なテーマ「憎しみ」につながり、物語を引っ張り、ある種感動的な前編ラストシーンを導いているのです。

この復讐というオリジナル設定をどう処理するのかが後編の肝になるだろうと思われます。

3:ふたりの女【ネタバレ注意】

この部分だけ少々ネタバレをさせていただきます。ここで言うふたりの女は木村多江演じる君塚京子と木下あかり演じる曽根芳子です。

まず、木村多江演じる京子は、菅田将暉演じる新次の母親です。新次が幼いころに父親が自殺し、精神的に参った京子は新次を教会に預けて姿を消します。以来、新次は京子を憎んでいました。

新次の持つ憎しみのおおもとになる重要なエピソードですが、これも原作にはない設定です。京子、新次の親子関係がどうなるのかも後編の大きな見どころと言えるでしょう。

木下あかり演じる芳子は、原作ではそれほど登場シーンの多いキャラクターではありませんが、映画版ではヒロインとして強い存在感を放っています。

おそらくこれは、新次と京子の憎しみの関係性とバランスを取るために、新次と芳子の愛の関係性を強調するアレンジだと思われます。

原作から大きく変更されたふたりの女の設定は、新次を中心として、本作の重要なテーマ「愛と憎しみ」を担っているのです。

少々長くなりましたが、とりあえず映画『あゝ荒野』を観てください!

著者
["寺山 修司", "鈴木 成一"]
出版日
2009-02-25

冒頭でも書きましたが、映画『あゝ荒野』はU-NEXTで、無料で観ることができます。よくわかりませんが、本当です。ちなみに記事内で紹介した『息もできない』も無料で観ることができます。

個人的におすすめな本作の楽しみ方は

 

  1. 1:U-NEXTで無料で観てみる 
     
  2. 2:原作小説を読んでアレンジの素晴らしさを知る 
     
  3. 3:満を持して映画館で観る 
     

 

上記の3ステップを踏むと、最高の映画体験ができるでしょう。映画館で菅田将暉の圧倒的な演技を堪能し、エンドロールで流れるBRAHMANの「今夜」を聴いた僕は、全身に鳥肌が立ちました。

映画館での上映は2週間限定ですので、まず、早いうちにU-NEXTで無料で観てみることを全力でおすすめいたします!

Photo:(C)2017「あゝ、荒野」フィルムパートナーズ

 

※本ページの情報は2017年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

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