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漫画『3月のライオン』14巻までの見所を全巻ネタバレ紹介!

更新:2020.12.2 作成:2017.12.9

孤独な少年プロ棋士は、人と闘うことと人を愛することを知る。 幼いころに家族を失い、将棋を通してしか生きていくことのできなかった少年・桐山零の人生を描く『3月のライオン』。孤独で不器用だった少年が、様々な人との関わりの中で成長していく姿に、胸が熱くなることまちがいなしの傑作漫画です。 この記事では、最新14巻までの各巻を一挙ご紹介します!一部ネタバレが含まれますのでご注意ください。本作はスマートフォンのマンガアプリでも無料で読むことができるので、ぜひチェックしてみてください!

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漫画『3月のライオン』が無料で読める!どのキャラからも目が離せない展開を14巻まで全巻ネタバレ紹介!

漫画『3月のライオン』は、雑誌「ヤングアニマル」で連載中の大人気コミック。高校生プロ棋士の桐山零が、棋士としてのみならず人として成長していく姿を描いています。

日本将棋連盟の協力のもと、プロ棋士である先崎学九段の監修を受け、将棋ファンの目線にも十分耐えうる厚みのある構成です。さらに回を重ねるごとにキャラクターたちが活き活きとしていくストーリー展開も魅力的。

ふんわりとした優しいタッチの絵柄で、女性読者だけでなく、男性のファンも多く獲得しています。

著者
羽海野 チカ
出版日
2008-02-22

作者の羽海野チカの代表作は、少女漫画『ハチミツとクローバー』。美大を舞台にした青春群像劇を描いた作品です。

そのイメージが強いからか本作の連載がはじまった当初は、活動の場を青年誌に移したこと、そして将棋をモチーフにしたことで、読者のあいだに衝撃が走りました。

しかし、登場人物が感じている痛みや悩みに深く心を揺さぶられるストーリーは読者の幅を広げ、「ハチクロ」のような作品を期待していた人も、よい意味で裏切られる結果となったのです。2016年にはアニメ化、2017年には実写映画化も果たしました。

この記事では、最新の14巻までの見どころをご紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
 

漫画『3月のライオン』は老若男女みんなにおすすめしたい名作!【あらすじ】

漫画『3月のライオン』は老若男女みんなにおすすめしたい名作!【あらすじ】
出典:『3月のライオン』1巻

 

主人公の桐山零(きりやまれい)は17歳。中学生の頃からプロ棋士として活躍しています。

小学生の頃に事故で家族を失い、父の友人であるプロ棋士の内弟子として引き取られたことをきっかけに将棋の世界に入りました。

人と関わることが苦手で、友人もほとんどいなくて、家族の縁にも恵まれず、ただただ将棋にしがみつくようにして生きてきた零。しかしひょんなことから川本あかりと出会い、棋士たちと切磋琢磨していくなかで、徐々に感情を表せるようになっていくのです。

また、あかりの妹であるひなたが巻き込まれたいじめ騒動や、離婚のため別居していた彼女たちの父親がもたらしたトラブルを通じて、人として、男としても成長していきます。

零と彼を取り巻く人々を優しく見守りたくなってしまう作品です。

 

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橋を渡って三月町へ。川のある風景【1巻ネタバレ注意】

舞台は東京の下町。主人公の桐山零が住む六月町と、川本家のある三月町の間には大きな川が流れています。

三月町も六月町も実際の地名ではありませんが、隅田川下流域、東京のウォーターフロント地区がモデル。高層マンションが立ち並び、ライトアップされた橋が美しく水面に映える洗練されたエリアですが、どことなく江戸の情緒も残している懐かしい気配のする地域です。

零は小学生の頃、両親と妹を交通事故でいっぺんに失い、父の友人であった幸田八段に内弟子として引き取られました。しかし幸田家とうまく折り合うことができません。

零にとって将棋とは、大好きな人との共通言語であり、生きるための手段。得意ではないけれど、頑張れば幸田に真剣に相手をしてもらえる……そう思い必死に取り組んだ結果、同じく将棋の道を志していた幸田家の子供たちが彼に追いつくことがでなくなってしまいました。

長女の香子(きょうこ)は奨励会に所属していましたが、零に敵わないため辞めさせられることに。また零と同じ歳の歩も将棋を刺すことを放棄し、引きこもるようになってしまいました。

零が将棋に力を入れれば入れるほど、幸田家の人々の間に溝が生まれてしまう……その不協和音から逃れるためには、彼はプロになって自立するしかなかったのです。

中学生でプロ棋士になったのは史上5人目。零はかなりの若年層で、同年代の二海堂晴信(にかいどうはるのぶ)四段や、先輩の松本一砂(まつもといっさ)五段、三角龍雪(みすみたつゆき)六段などとは交流がありますが、そもそも人と関わることが苦手。高校でも浮いた存在でした。
 

著者
羽海野 チカ
出版日
2008-02-22

ある晩のこと、先輩棋士に銀座でお酒を飲まされ、路上でへたり込んでしまった零。そこへ声をかけて助けてくれたのが、伯母の営むスナックでホステスをしている川本家の長女・あかりでした。

彼女は零の家が自宅に近いことを知り、家へ連れ帰って介抱します。この一件以来、零にとっては彼女の家が弟子入り先の幸田家よりも安らげる場所となりました。

あかりの妹で次女のひなたは元気いっぱいの中学2年生。和菓子職人の祖父の手伝いをすることが大好きです。まだ保育園児の末妹・モモの面倒もよくみてくれる優しい女の子ですが、憧れている野球部のエース・高橋君に差し入れのお弁当を渡しそびれて涙する、純な一面もあります。

そんな川本家、三姉妹ということでさぞ賑やかかと思いきや、母と祖母を亡くしたばかり。お盆にはしんみりとしてしまいます。迎え火を焚き、ご馳走を用意して、送り火を焚いて……と作法に従って家族を悼むのは、悲しみをなぞる辛い儀式でした。それをそばで見つめることしかできない零もまた、自身の家族を思って川を見つめます。

かなりの情報が詰め込まれている1巻ですが、まさに六月町と三月町の間の川の流れのように、自然と零の性格や置かれている状況や周囲の人々について把握できる内容になっています。

嵐の海の向こう側にあるもの【2巻ネタバレ注意】

2巻は比較的将棋に比重を置いた展開が続きます。中学生棋士として鮮烈にデビューしたものの、プロ生活2年目に入って伸び悩む零。自らの状況を「中途半端だ」と苦しみながらも、対局に向かいます。

将棋界では、圧倒的強さを誇る宗谷冬司(そうやとうじ)名人がほとんどのタイトルを独占し、タイトル戦のトーナメントにはほとんど登場しない状況が続いていました。零たち新人ではなかなか会うことすら叶わない、遠い人。ちなみに彼もまた、中学生の時にプロデビューをして以降トップに君臨し続けている逸材です。

宗谷のいる場所まで、どれほどの努力をしたらたどり着けるのでしょうか。

将棋の世界で生きるということに、嵐の大海原で島から島へと泳ぎ続けるような苦しさを感じて前に進めなくなっていた零でしたが、「心友」である二海堂からテレビ越しにメッセージを受け取り、浮上するきっかけをつかみました。

そんな折り、幸田の長女、香子が零を訪ねてきます。4歳年長の美しい彼女はマイペースで、時にきつい言葉をぶつけて零を困らせます。先輩棋士である後藤九段と不倫関係にあり、そのことで零と後藤がトラブルになったこともありました。

家族になりきれず、かといって他人とも割り切れない彼女と零の関係には、熱はあっても温もりは感じられないのでした。

著者
羽海野 チカ
出版日
2008-11-28

さて、プロ棋士である以上、「仕事」である対局が優先。そのため零は学校を休むことも多いようです。通常の授業だけでなく、宿泊をともなう移動教室などのイベントに重なってしまう場合も対局は休めません。

ただ友人のいない零は、普段よりもクラスメートと密度の濃い時間を過ごさねばならないイベントごとは辛く、出席できないことにほっとしていました。

そんな様子を察した担任の林田は、もう少し高校生としての活動にも目を向けたらどうかとアドバイスをするのですが、零は返事に困ってしまいます。

その日の夜、偶然ひなたと町で会い、ファストフード店に立ち寄った2人。そこで彼女が想いを寄せる高橋少年と居合わせました。

祖父や父が将棋好きで、零のことも知っているという高橋少年から「なんでわざわざ高校に進学したんですか」と真正面から聞かれた零は、うろたえてしまいます。

「逃げなかったという記憶が欲しいので」としどろもどろになりながらも誠実に答える零に、高橋少年も共感。まったくタイプの違う2人が理解し合うシーンにほっこりします。

格の違い【3巻ネタバレ注意】

年末年始に風邪をこじらせ、川本家に厄介になっていた零。大事なタイトル戦のひとつ<獅子王戦>に向けて研究に力が入ります。

賞金と注目度の高さに棋士たちの士気も高まる大会なのですが、彼にとっては幸田家の人間を傷つける後藤九段と盤上で戦える機会でもあります。

ヤクザのような凄みをまとう後藤は、自分の持ち味を心得ていて挑発するかのように零を煽るのですが、そばにいた三角が間に入り、その場を収めてくれました。

実際、次に後藤と対戦するのは零ではなく三角で、零と後藤との対戦はお互いが勝ち上がって初めて実現するのです。しかし零はとにかく後藤に照準を定め、過去の対戦記録(棋譜)を集めて研究を続けます。

そんな彼の姿と自分を比べた三角。そこまでのビジョンが持てない自分の強みは「軽さ」であると開き直りますが、あえなく撃沈してしまいました。そのうえ持ち味を生かすなら迷うなと諭されてしまい、格の違いをまざまざと思い知らされてヘコんでしまいます。

一方、視野狭窄に陥っていた零の目を覚まさせてくれたのが島田開八段でした。二海堂の兄弟子でもある彼は、零の思い上がった将棋を打ち砕き、落ち着いて最後まで勝負を続けるようリードしてくれたのです。

格上の棋士の実力を体感し、恥ずかしさのあまり引きこもってしまいました。

<獅子王戦>は、挑戦者のポジションを争う島田と後藤の肉弾戦のような激しい攻防が見どころ。後輩棋士たちと一緒に、読者もおもわず正座しながら見守ってしまうかもしれません。
 

著者
羽海野 チカ
出版日
2009-08-12

もうひとつ、零の高校生活に小さな転機が訪れます。きっかけは島田と後藤の1回目の対局を見学するために、林田が彼を早退させたことでした。

実は林田のカウントミスで、零の出席日数が足りておらず、彼は進級するために山のようなレポートを提出させられる羽目になってしまうのです……。

レポートを書くためには化学の実験が必要で、零は理科クラブに助けを求めました。温厚な部長の野口をはじめとする放課後の科学者たちは温かく彼を受け入れ、零にとって笑って過ごせる場所がひとつ増えたのです。
 

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一流の思考・天才の視点【4巻ネタバレ注意】

<獅子王戦>のタイトルホルダー・宗谷名人への挑戦権を得たのは島田でした。彼の研究会に参加することになった零は、二海堂とその同期の重田とともに島田の家に集まり、盤を囲んで熱い議論を交わします。

研究会とは、少人数で将棋の対局をしながら戦法や戦略について意見を交換しあう集いのこと。気の強い棋士同士が顔をあわせると、うっかり険悪になってしまいがちです。

ただこれまで独学で研究してきた零にとって、他の棋士との交流の機会が増えたことはプラスになることも多く、その縁で<獅子王戦>の前夜祭にも出席し、一流棋士の仕事を垣間見る機会に恵まれました。

その席で幸田八段と久しぶりに話す機会があり、香子が自分をダシにして家を空けていることを知りますが、何も知らない様子に彼女と後藤とのことを暴露するわけにもいかず、言葉が見つかりません。

嘘をついて家を空けていたことを親に叱られた香子。零に八つ当たりをして口論になっているところを、川本三姉妹に見られてしまいました。

まだ幼いモモは彼女を見て「魔女」と恐れますが、出口の見えない恋路に苦しむ魔法の使えない女の子の姿に、読者は切なくなってしまうでしょう。

後日、「あの人は義姉だよ」と三姉妹に説明する零でしたが、あかりは香子と零の間にあった微妙な空気から、2人の関係を正確に読み取ります。

著者
羽海野 チカ
出版日
2010-04-09

<獅子王戦>第二局を前にした島田の研究会。零は島田が去年の獅子王戦で負けを喫した時の駒の配置を見て、「3七銀が残ったままなのが気持ち悪い」とコメントします。

それはくしくも、宗谷が実際の対局を見ていた時に放った言葉と同じでした。

それ以来、島田は零の視点に一目置くようになり、宗谷名人の視点に近い気がすると<獅子王戦>の研究相手として付き合うよう頼まれます。

島田はすでに3連敗で後がない状況。地元・山形で開催される第六局まで持ちこたえるには、なんとか2つ白星を挙げなければなりません。故郷に錦を飾ることができないと、夜もまともに眠れていない様子です。

そんな彼を案じ、零は第四局が開催される京都へ同行。そこで、極限状態で戦う一流棋士の勝負を目の当たりにし、嵐の海の向こうにあるものを悟ったのでした。

お日様に向かって飛ぶ虫【5巻ネタバレ注意】

<獅子王戦>ストレート負けの傷も癒えないまま、島田は山形県天童市でおこなわれる「天童・桜まつり」に出席するため、地元を訪れました。地元の人々に癒され、英気を養います。

一方、獅子王のタイトルを防衛した宗谷は、<名人戦>で隈倉(くまくら)九段と対峙します。将棋会館で勝負の様子を見守る人々の無責任なおしゃべりが島田を揶揄するものにおよんだとき、彼らを容赦ない舌鋒で黙らせたのは後藤でした。

後藤は実力の伴わない人間のさえずりが嫌いなだけなのですが、零は今まで一方的に家族の敵と思い込んでいた彼の意外な一面を知り、戸惑います。

まとわりつく香子を完全に拒絶することなく、適度にあしらうオトナの狡さと弱さがうかがえる後藤。この2人の関係がどうなるのかも気になるところです。
 

著者
羽海野 チカ
出版日
2010-11-26

4月になり、零は高校2年生、ひなたは中学3年生にそれぞれ進級しました。林田は零の担任を外れましたが、高校生活を楽しむために将棋部を作ろうと顧問を申し出ます。

なかなか希望者が集まらず困っていたところ、意外なところから解決策が見つかりました。なんと野口の理科クラブも部員不足による廃部の危機に瀕していたのです。将棋とサイエンスの化学融合が起き、将科部として合併したのでした。

小学生の頃、いじめを避けるために気配を消して将棋にのめり込んだ過去のある零にとって、部活動に参加することはかなり画期的なことだといえます。

一方のひなたは、進級したクラスでいじめが起きてしまいました。ターゲットになったのは、彼女の小学校からの親友・佐倉ちほ。ひなたは懸命に守ろうとしましたが、ちほは不登校になり、そのまま引っ越してしまいました。

そして今度は、ちほを庇ったひなたがいじめの対象になってしまったのです。

無視をされ、靴を隠され、担任に訴えても「勘違いじゃない?」などと言われる始末。しかし泣きじゃくりながらも、「自分は間違ったことをしていない!」と顔を上げる彼女のまっすぐな強さに、零は勇気づけられていきます。

傷ついているひなたに零がてんとう虫の名前の由来を教える場面は、優しさが染み入る名シーン。必見です。

永世新人王を阻止せよ!【6巻ネタバレ注意】

ひなたを助けたい、と頭をフル回転させる零。林田に相談をしてみると、彼は親身になって話を聞き、一緒に悩んでくれました。ただ先走って空回りしている零の様子に、林田も考えあぐねている様子です。

ひなたは相変わらずクラスメイトから無視をされていて、いじめがエスカレートしていきます。また担任教師はそれを認めようとせず、関係はどんどんねじれていきました。
 

著者
羽海野 チカ
出版日
2011-07-22

零と二海堂は<新人戦>のトーナメントを勝ち上がり、それぞれ準決勝まで駒を進めていました。お互いあと1勝すれば決勝で対決できる、というところまできたのですが、二海堂が現王者の山崎順慶(やまざきじゅんけい)五段との対局の最中、発作を起こして倒れてしまいます。

そこで零は、二海堂が幼い頃から深刻な病気と闘いながら勝負の世界を生き抜いてきたことを知ったのです。

厳しい食事制限があり、運動も満足にできない二海堂が元気いっぱい暴れまわることができるのは、81マスに区切られた盤上のみ。将棋の世界では自分は無敵のヒーローになれる、なりたいのだと。まるで冒険小説のような彼の棋譜に目をとおした零の視界は、涙で曇りました。

大阪でおこなわれる決勝に進んだ零と、ほぼ同時期に修学旅行のため京都へ行くひなた。それぞれの場所で奮闘する2人ですが……。
 

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「教える」と「育てる」【7巻ネタバレ注意】

「めがねっ娘」が好きな人であればハートを打ち抜かれてしまう、ひなたのメガネ姿が印象的な表紙の7巻は、ようやく彼女の辛い季節が終わろうとしている暗示のようでもあります。

<新人戦>に勝利した後、余韻に浸ることなく京都へ急行した零。自由行動中なのに河原でひとり座っているひなたを見つけだします。

驚いた様子でしたが、張り詰めていた緊張がゆるみ、零にしがみついて号泣。表紙のメガネ姿は、他校の生徒と一緒にいるところが見つかってはまずかろうという零の配慮でした。

修学旅行の後、一向に手応えのないひなたに業を煮やしたいじめっ子たちは、担任をもターゲットにします。それが決定打となり、担任は心を病んで休職。さすがの学校側も事態を把握して、全面介入してきました。 
 

リーダー格の生徒にまだ反省の色は見えませんが、ひなたにとっての苦難の日々は終わりを迎えます。そのタイミングで転校したちほから便りが届き、少しずつ元気になっている様子がうかがえ、ひなたはまたも号泣するのです。

著者
羽海野 チカ
出版日
2012-03-23

<新人王>の称号を受けた零に、宗谷名人との記念対局の話が降ってきました。会長からは頼りにしてるぞと背中を叩かれ、面映ゆい気持ちになります。

学校でも、将科部の3年生たちがお祝いの宴を開いてくれました。零に明るい学生ライフをもたらしてくれた彼らは、この夏で引退が決まっています。

あっという間に再び部としての存続が危ぶまれることになってしまいましたが、部員募集のポスターを作ったところ、なんと校長・教頭・学年主任が集まってきました。それに顧問の林田を入れて、ぎりぎり5人。超法規的に部の存続が確定したのでした。

将棋界では、<棋匠戦>の挑戦権を島田が得ます。棋匠・柳原は通算10期棋匠の座をかけて、島田は初タイトル奪取を狙っての勝負です。展開から目が離せません!

真っ白な、音のない世界【8巻ネタバレ注意】

仙台でおこなわれる新人王と名人の記念対局。宗谷名人は、まさにふわりと舞いおりる鳥のように零の前に現れました。

どこか似たタイプの2人の対局は、対話するように静かに進んでいきます。他の対戦相手と違って思考がトレースできない宗谷を相手に、真っ白な空間で、ただ駒音だけが響くような不思議な時間。不安もない、ただ思考だけが占める世界は、零にとってとても心地よいものでした。

東京への帰路、豪雨で新幹線が止まってしまいます。他の乗客が次々と車両を後にするなか、座ったままの宗谷を見つけ、声をかけた零はある事実に気づきました。

2人は駅近くのビジネスホテルで1泊することになるのですが、その晩会長から受けた電話で、零は宗谷の耳に問題があることを聞かされるのです。

聞こえたり聞こえなかったりをくり返す病を受け入れ、治療する道を選ばない将棋の神様。そんな彼との白い世界での対局が、零の心をずっと占めていました。

東京へ帰ると、退院した二海堂が周りの心配をよそに元気に復活。彼もまた、将棋のことしか考えられない人間のひとりです。入院中ずっと考えていたという手を実践で試し、有効だったと喜ぶ笑顔を見て、零は手放しで笑います。

著者
羽海野 チカ
出版日
2012-12-14

さて<棋匠戦>もいよいよ終盤。島田は初タイトルをかけて柳原棋匠との戦いに挑みます。柳原棋匠は通算10期勝つことで得られる「永世棋匠」を得るべく、気合十分。2人ともボロボロになりながらも、死闘をくり広げるのです。

季節は移ろい、夏を迎えます。川本家の姉妹は、三月町の夏祭りに屋台を出すため、メニュー作りに頭を悩ませていました。白玉団子を扱うことは決めたのですが、何と合わせるかで迷っているのです。

トッピングにタピオカを入れたり、ミルクティ風味や冷やし汁粉風と食いしん坊のあかりとひなたらしいメニューに、祖父の相米二(そめじ)も「若い者が好きそうでいい」と賛成してくれました。

ひなたの親友、ちほが作った梅シロップも使うことになり、ほっこりと癒しを感じる夏の夜です。

当たり前の毎日から、1歩前へ【9巻ネタバレ注意】

ひなたは進路に迷っていました。志望校選びの参考になればと、零は放科部のメンバーとの流しそうめん大会に三姉妹を招待します。友人とはしゃぐ彼の楽しそうな姿を見て、ひなたも零と同じ高校を受験することを決めました。

ちなみにこの時林田が、あかりに一目惚れしてしまったことも、今後の注目ポイントのひとつです。

冬がくると、ひなたは零とあかりのサポートを受けながら受験勉強に集中。受験直前に風邪を引いてしまうハプニングもありましたが、無事に合格を果たしました。

彼女がずっと想いを寄せていた高橋少年は、四国の高校に進学するため、旅立っていきます。ひなたはそれを見送らず、区切りをつけるために髪を切るのですが、小学生のようなおかっぱ頭にされてしまい……おちょくられていじける姿がかわいすぎます。

著者
羽海野 チカ
出版日
2013-09-27

また季節は巡り、<名人戦>。今年の挑戦者は土橋九段です。あまり感情をあらわにしない彼ですが、壮絶な努力と研究を重ねる姿に、そばで見守っている両親は胸を痛めている様子。今度こそタイトルを取れるのか、それとも努力が報われずに終わるのか。本人以上に勝負の行く末を案じてしまう家族の視点が描かれます。

また今回は、将棋界きっての疎まれ者、滑川(なめりかわ)七段が登場。実家は葬儀屋、身につける服は常に喪服、崖っぷちの対戦相手をきっちり崖下に突き落とす厄病神は、見た目も行動も不吉そのものというキャラクターです。

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招かれざる客【10巻ネタバレ注意】

4月、ひなたは零の後輩として駒橋高校に入学してきました。新しくできた友達・つぐみと、のびのび高校生活を送っています。

そんな彼女を見守りつつ、大学受験をしない零にも、のんびりと学生生活を楽しむ余裕が出てきました。友人がおらず、イベントをことごとく欠席するのも変わりありませんが、それでも高校に通ったことは無駄ではなく、きちんと彼の糧になっているのかもしれません。

夏になると、川本家の祖父・相米二が倒れ、入院することに。そして招かれざる客が川本家を訪ねてきました。三姉妹の父親、誠二郎です。

浮気をしたあげく、相手の女性に子供ができたので離婚を申し出て家を出て行った誠二郎。これまでの溝を埋めるために川本家に同居したいと言い出しました。

著者
羽海野 チカ
出版日
2014-11-28

誠二郎についてSNSで調べてみたところ、どうやらまた女性関係で問題を起こし、職と住まいを失った様子。「妻子捨男」というニックネームをつけられました。

到底受け入れることのできない自分勝手な話に、三姉妹も唖然とします。マシンガントークで丸め込もうとする誠二郎に真っ向から対峙するあかりと零。

しかし理詰めで追い詰めようとした零の口から、突然爆弾発言が飛び出します。緊迫した場面が一気にとろけてしまったその一言とは……!?

晴れた気持ちのいい朝に【11巻ネタバレ注意】

零の投じた爆弾は、あかりと相米二にとってかなりインパクトのあるものでした。しかし矛先を向けられたひなたが「すっごい作り話!」とさらりと交わしたため、なんとなく宙に浮いたままです。

一方、零は大阪へ。タイトル戦のひとつ<玉将戦>の予選です。

対戦相手は藤本棋竜。対局中にやたらと話しかけてくる彼は、若くて才能のある棋士が大好きなのでした。そんな彼にややイライラしながら、零はちらりと時計を気にします。

それを藤本に見咎められると、うっかり「婚約者がストーカーにあっていて……」と言ってしまいました。

著者
羽海野チカ
出版日
2015-09-25

藤本棋竜をなんとか振りきって東京に帰ってきた零。彼の留守を狙っていた誠二郎と遭遇します。神経をすり減らす応酬のすえ追い払いましたが、ここで力尽きてしまい、川本家の玄関先でうずくまってしまいました。

ちょうど帰宅したあかりたちに家の中に担ぎ込まれ、疲れていた4人はそのまま居間で雑魚寝をします。

翌朝は晴れた日曜日。ファストフードでゆったり朝ごはんを食べ、散歩して、夕飯の買い出しをして……幸福感で満たされていたところに、すっと影がかかりました。誠二郎が、娘の手を引いて現れたのです。今度は情に訴える作戦でしょうか。

盾になろうとした零を抑えて、あかりは父親に向きあいます。

「全部終わらせるなら、こんな気持ちのいい日がいいね」(『3月のライオン』11巻より引用)

あかりとひなたが決然と誠二郎に引導をわたす姿は、痛々しい反面、毅然とした態度に清涼感すら覚えるでしょう。

そんな様子を見た零は、なんとかあかりに相応しい男性を見つけなければと、脳をフル回転するのですが……?
 

激闘!?棋竜戦【12巻ネタバレ注意】

何かとバラエティに富んだ印象の12巻は、前巻に引き続き、零の勝手な「あかりさんにふさわしい人の格付け」が続いています。野口と林田を分析していますが、どんな採点になったのでしょうか?

また、二海堂の愛犬・エリザベスが登場します。心の声で「坊ちゃま」と二海堂のことを呼ぶエリザベスが、どんなに彼のことを愛して守ろうとしているのか、その一端をうかがうことのできるシーンです。

本巻のメインイベントは、鹿児島の指宿でおこなわれる<棋竜戦>。挑戦者は土橋九段、受けて立つのは藤本棋竜です。零は藤本から招待を受けて、見学に訪れていました。

しかしこの対局で、夫の大一番に応援に駆けつけた妻子と、彼が入れ込んでるキャバクラ嬢がかち合ってしまうのです。いろんな緊張感に満ちたタイトル戦の行方は……?
 

著者
羽海野チカ
出版日
2016-09-29

後半は零と死神・滑川七段との対局です。滑川は、不気味な挙動とクセのある棋風で対戦相手のペースを乱し、後々まで祟る曲者ですが、零自身も空気を読まないことには長けています。

彼が滑川を徐々に追い詰めるシーンは滑稽でもありますが、不気味な男の可愛らしい一面が見えてくると、なんとも憎めなくなってしまうでしょう。

そして季節は巡り、三月町はまた夏祭りの時期です。今年は力仕事を担当するために林田と野口が、売り子につぐみが加わり、準備万端。

お店が忙しくなると幼いモモの面倒をみる人がいなくなるため、零は二海堂を呼び出してお世話を頼みました。

二海堂も二つ返事で引き受けてくれて、ふとした思い付きで兄弟子である島田も誘います。

しかし、この機転が大人たちのロマンスのスイッチを切り替えることに。あかり、島田、林田の三角関係の歯車が回りだすのです……。

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死と向き合う時間、流れていく時間【13巻ネタバレ注意】

林田はあかりへの気持ちを自覚し、悶々としています。憧れの棋士である島田八段と女性を争うという事実に臆しつつも、まずは行動しなければと、銀座にある彼女の店を訪ねました。

チャージだけでいくらかかるのかとドキドキしていたところ、横から声をかけてきたのは、なんと島田八段でした。自然体でかっこいい島田の姿に敗北感を味わった林田は、うっかり飲みすぎて前後不覚に……。

あかり自身も夏祭り以降、林田と島田をほんのり意識しはじめている様子で、大人たちの恋の行方から目が離せなくなりそうです。

著者
羽海野チカ
出版日
2017-09-29

二海堂はトーナメントを勝ち上がり、宗谷名人と対戦。実力でもぎ取った機会を全力で楽しんでいます。宗谷も対局中に聴力が戻り、大冒険活劇のような展開を見せる対局に、観戦中の棋士たちも羨ましそうな様子です。

しかしこの勝負の決着は、意外な形で訪れました。

 

一方、香子は後藤との関係の終焉を予感します。不倫の関係と零への気持ちで揺れ動き、どちらにも落ち着くことのできなかった彼女ですが、ようやく前へ進む時が来たようです。

 

恋愛展開多めで、胸キュン!【14巻ネタバレ注意】

あかりとひなたは、三月町のお祭りのあとから、今あるお店をどう盛り上げていこうかということにご執心。自分たちのお店に屋台のようなイートインスペースを儲けるのはどうかという会話になります。そのために、まずは秋のお祭りに向けてメニューを考えます。

その案として、ちほの知り合いから教えてもらった台湾のスイーツを再現してみようとするのですが、生ピーナッツの皮むきに苦戦。それを見ていた零は、これはあかりが将来の伴侶を決めるために男たちを呼び出す絶好のチャンスだと、島田と林田に連絡するのですが……。

著者
羽海野チカ
出版日

14巻は、あかりと島田、林田、零とひなたの恋愛展開が見所。本作は今まで辛い場面が多かったですが、この巻では少しお休み。彼らの甘酸っぱい恋の様子や、学園風景にほんわかしてしまう内容です。

苦労人の島田、優しいけれどちょっと情けない林田。14巻の様子では島田優勢か、と思われますが、果たしてあかりとはどうなるのでしょうか?恋愛展開ならではの萌える気持ちがありつつ、林田に感情移入すると辛い様子は、ぜひ本編で。

そして零とひなたの恋愛展開にも進展が。学生生活最後の学校祭にも関わらず、校長や林田たちにおされて、将棋職団戦の付き添いに来ることになった零。

そこに、ひなたから何とも可愛すぎるメールが届きます。しかしそんなメールを送っておきながら彼女は自分の気持ちに気づいておらず、あかりと零がくっつけばいいと思っている始末なのでした。

今までもその鈍感な様子は描かれてきたので読者としては道のりはまだ遠いかな、と一瞬思うのですが、ついに彼女もただ鈍感でいるだけではないのだと思わされる出来事が起こるのです。

恋愛展開、心がほんわかするエピソードが多い14巻。将棋シーンは少なめですが、『はちみつとクローバー』のキャラたちも出て来るので、そちらもお見逃しなく!


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ストーリーとは別の視点で注目してもらいたいのが、川本家の食卓!お手軽かつおいしそうな料理であふれています。差し入れのお弁当、風邪をひいた時のおかゆやうどん、夏祭りの屋台料理など、再現したくなること請け合いです。