本作は、身長152㎝という小柄な体格の少年・潮火ノ丸が本気で横綱を目指す本格スポ魂マンガです。「週刊少年ジャンプ」で連載されて好評を博し、すでにアニメ化まで決定した大注目の作品。この機会にぜひチェックしてみてくださいね。
スポーツ系漫画の題材としては比較的マイナーな「相撲」をテーマにしながらも人気を博している『火ノ丸相撲』。
相撲の知識がまったく無い方でも問題なく楽しめる作品に仕上がっており、本作を読んでから相撲に興味を持ったという読者も少なくありません。
阿部敦や佐藤拓也など、有名な声優が演じています。詳しい情報はアニメ「火ノ丸相撲」公式サイトへ。
この記事では、息をつかせぬ熱い展開で幅広い世代を魅了している『火ノ丸相撲』の魅力や見どころをご紹介していきます。
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相撲イコール体の大きい男がぶつかりあっているスポーツ、という印象しかない貴方。この「ぶつかり合い」がどれだけアツいものか知っておくべきです。今回は、名作相撲漫画5作品の魅力をご紹介していきます。
- 著者
- 川田
- 出版日
- 2014-09-04
主人公の潮火ノ丸(うしおひのまる)は、小学生の頃に「国宝・鬼丸」という異名で知られた次世代の横綱候補でした。しかし体格に恵まれなかったため、いつしか無名選手に成り下がり、相撲界から姿を消してしまいます。
ただ火ノ丸は相撲を諦めていたわけではなく、猛特訓のすえに圧倒的なパワーを身に着けて高校相撲界に舞い戻ってくるのです。
しかし彼が入部した「大太刀高校相撲部」は、部員が1名しかいない超弱小であるばかりか、部室を不良たちに乗っ取られてまともな練習すらできない状態でした。それでも火ノ丸はひるむことなく相撲を続け、弱気だった部長や不良の親玉までもを巻き込んで、相撲部を再建していくのです。
友情・努力・勝利が詰まった、男たちのリアルなかっこよさを見ることができます。
火ノ丸の活躍によって、辛うじて活動を再開することができた大太刀高校相撲部。
しかし地区予選でいきなり「国宝・三日月宗近」が所属している石神高校と対戦することになってしまいます。
- 著者
- 川田
- 出版日
- 2014-11-04
「国宝・三日月宗近」こと沙田美月(さだみづき)は、火ノ丸のいなくなった学生相撲界で中学生横綱に上り詰めた名選手。天性の運動神経を持ち、ほとんどの選手は彼のマワシに触ることすらできずに負けていくという筋金入りの強者です。
わずか2巻にして、作中で最強クラスの選手と相対するというスピード感あふれる展開に、度肝を抜かれた読者も多いのではないでしょうか。普通のスポーツ漫画では、このような最強クラスの選手との序盤での闘いは、いわゆる「負けイベント」として扱われることが多いです。
しかし本作の面白いところは、全編をとおして1試合たりとも捨て試合が無く、すべての試合が最後の最後まで「どちらが勝つか分からない」状況で進んでいくこと。ましてや火ノ丸と沙田の試合は、いわば「国宝対国宝」の頂上決戦……そう簡単に決着がつくわけがありません。
かつて小学生横綱の座に君臨していた火ノ丸か、それとも火ノ丸なき相撲界で中学生横綱に上り詰めた沙田か……はやくもクライマックスのごとき盛り上がりを見せるのです。
この試合はファンの間で語り継がれる屈指の名勝負のひとつなので、ここではあえてどちらが勝ったのかは書きませんが、まるで現実の大相撲の取り組みを観ているかのような臨場感のある描写と、ラスト数コマまで予想がつかない衝撃の決着はぜひ皆さんで確かめてみてください。
地区大会を終えた大太刀高校相撲部は、休む間もなく関東新人大会にエントリーします。この大会は今年相撲部に入部した選手だけが出られるもので、大太刀高校からは部長を除いた全メンバーが出場することになります。
ちなみにこの大会からは元レスリング国体王者の國崎千比路(くにさきちひろ)、そして火ノ丸に憧れて相撲部に入部した三ツ橋蛍(みつはしけい)の2人が大太刀高校相撲部に加わりました。
- 著者
- 川田
- 出版日
- 2015-02-04
関東新人大会は、火ノ丸にとって最大の宿敵になる久世草介(くぜそうすけ)が登場します。彼は歴史に名を残す大横綱・大和国(やまとくに)の息子であり、あまりの強さから「あいつが出ると他の若い芽を摘んでしまう」と学生相撲に出ることすら禁じられていたほどの男です。
そのため大会に出場した実績はほとんど無いものの、火ノ丸の相撲を見て奮起をし、「眠れる国宝・草薙剣」として真の力を発揮しはじめるのです。
2巻までの沙田の強さも相当なものでしたが、久世の強さは国宝と呼ばれる選手たちのなかでも群を抜いています。
久世は身長195㎝、体重142㎏という力士として恵まれた体格を持っており、取り組みのスタイルはまさに「横綱相撲」。火ノ丸の上位互換のような選手なのです。
強さは認められたうえで、それでも観客や仲間たちからも「勝ち目がない」と言われてしまう火ノ丸。しかしそんな厳しい状況でも1歩も引けを取らずに戦い抜く雄姿は必見です。
また、関東新人大会が終わった後は、大太刀高校相撲部に辻桐仁(つじきりひと)が加入。彼はかつて火ノ丸と同じ相撲クラブに所属しており、火ノ丸を負かして「国宝・鬼切」と呼ばれていたかもしれないという逸材です。
しかしここでの桐仁は、選手ではなく監督として相撲部に関わることになります。彼が相撲を取らないのにはあるワケがあるのですが……。
大太刀高校相撲部は、「異能力士」と称して、おのおのがもっとも得意とする能力を極限まで高める修行をしていました。
國崎はレスリングを応用した相撲を、3年生の佑真は空手を応用した突き技、部長は圧倒的な足腰の強さを活かした相撲、蛍はいつ変化するかわからない心理戦…… そして火ノ丸は、力士としては小さすぎる上背を武器にした独自のスタイルを確立していきます。
- 著者
- 川田
- 出版日
- 2016-02-04
学生相撲の頂点を決めるインターハイに向けて、大太刀高校相撲部はインターハイの千葉県予選に参加します。他のスポーツ同様、インターハイは高校3年生の選手たちにとって「最後の大会」。相撲の団体戦はトーナメント形式になっており、1回でも負ければそこで終わりです。大太刀高校のみならず、どの高校も必死になって勝利に食らいついてきます。
しかし大太刀高校のメンバーにとっては、別の大きな目的がありました。インターハイで優勝することが、火ノ丸を大相撲へと送り出す唯一の手段でもあったのです。
多くの学生力士たちは、高校を卒業した後も相撲を続けてさえいれば大相撲の道へと進むことは可能でしょう。ところが身長が152㎝しか無く、新弟子検査を通過することができない彼が堂々と大相撲に進むためには、インターハイに優勝して「高校最強の称号」を得ることが最低条件だったのです。
とはいえ、漫画にありがちな主人公補正でアッサリ優勝できるわけではないのが本作の面白いところ。この段階はあくまでも「県予選」なのに、火ノ丸はかつて闘った最強の敵のひとりである沙田と再び相まみえることになるのです。
関東新人大会の久世との興奮も冷めやらぬなかで、またしても国宝対国宝の熱い闘いが始まります。
また県予選でもうひとつ注目したいのが、「個人戦」。ここでは高校ごとのチームに関係なく、すべての実力者たちが己の身ひとつでぶつかることになります。これまでは頼れる仲間だった國崎や部長が、強敵として火ノ丸に立ちはだかる熱い展開を見逃さないでください!
10巻は、全編をとおして「修行」をしていくパートになっています。
しかし『火ノ丸相撲』では、たとえ修行でも血沸き肉躍る展開になってしまうのです。
- 著者
- 川田
- 出版日
- 2016-07-04
火ノ丸たち大太刀高校相撲部の面々は、柴木山親方のはからいで「現役力士」の巡業に付き添うことになりました。厳しい相撲の世界で生きるプロの力士たちとともに稽古ができることは、日本一を目指す学生力士にとって願ってもない機会だといえるでしょう。
それだけでも充分すぎるほど恵まれた環境ですが、相撲部のなかでも実力が飛び抜けている火ノ丸には「大関との稽古」という特別待遇が与えられました。関取以上の力士だけが集まる稽古場にとおされ、プロ中のプロである関取たちと真剣勝負をおこないます。
しかし火ノ丸は、「プロの世界の現実」を目の当たりにしてしまうのです。学生レベルとはいえ数々の強豪や国宝をなぎ倒し、県内トップを勝ち取ったはずの必殺技「百千夜叉堕」は1度見ただけで攻略され、プロの世界では通用しないことを思い知らされてしまいました。
一筋縄ではいかない厳しさが読者にもひしひしと伝わってきます。
プロと自分の間にある壁の厚さに絶望する火ノ丸を救ったのは、元横綱の駿海です。すでに力士としても指導者としても引退している駿海ですが、「俺なら小鬼を鬼神にしてやれる」と宣言し、火ノ丸を新しい弟子として引き取りました。
並大抵の力士では3日で逃げ出してしまうという稽古に必死に食らいつき、彼の相撲は新たなステージへと進むのです。
火ノ丸が大相撲の世界に進むためには、プロを除いた高校・大学・社会人の全力士最強を決める「全日本選手権」への切符を手に入れる必要があります。
そのためには、インターハイの個人戦で優勝して「高校横綱」の地位を獲得するか、団体戦で国宝を有するチームをすべて倒して「団体全国一位」の座を得なければなりません。
- 著者
- 川田
- 出版日
- 2016-09-02
もちろん、その道は決して平坦なものではありません。インターハイには全国各地から国宝や国宝級の選手たちが集まり、大太刀高校相撲部はまだまだ弱小チームに過ぎないのです。
際立っているのは、「栄華大附属高校」と「鳥取白楼高校」の強さでした。栄華大附属高校には名横綱・大和国の生き写しと言われるまでに成長した久世が、鳥取白楼高校には昨年の全日本選手権で優勝し、名実ともにアマ日本一である「国宝・童子切安綱」こと天王寺獅童(てんのうじしのう)が所属しています。
本作は「第一部・高校相撲編」と「第二部・大相撲編」に分かれているのですが、このインターハイ編は高校相撲編の集大成です。
この後に大太刀高校相撲部は一旦解散し、大相撲に進む者、大学に進む者、それ以外の夢へと向かう者とそれぞれの道へ進んでいくことになります。
彼らがどんな未来を掴むのか、11巻以降で徐々に明かされていきます。
16巻と17巻では、いよいよインターハイ編の大詰めを迎えます。
大太刀高校相撲部が決勝で対戦するのは、栄華大附属高校。かつて火ノ丸を圧倒した「国宝・草薙剣」こと久世のいるチームです。
- 著者
- 川田
- 出版日
- 2017-09-04
しかし、栄華大附属高校の実力者は久世だけではありません。個性的な選手こそ少ないものの、レギュラーは全員身長180㎝以上、体重120㎏以上の巨漢揃いです。
もちろんすべての選手が高い技術力を有しており、突出した個性が無い代わりに弱点らしい弱点も見当たらないというのが強味になっています。
ここまで一戦残らず名試合をくり広げてきたインターハイですが、特に注目したのは二陣戦の「辻桐仁VS澤井理音」、そして大将戦の「潮火ノ丸VS久世草介」です。
鳥取白楼高校との試合で負傷してしまった蛍に代わり、決勝には桐仁が出場することになります。火ノ丸をも凌ぐ実力があるとされていながら、先天的な肺の病で相撲の世界から退いていた桐仁。「20秒しか戦えない」という圧倒的なハンデを背負ったまま、1歩も引かずに闘う姿は圧巻のひと言です。
そして言わずもがな、大将戦である火ノ丸対久世の取り組みは見ごたえ抜群。17巻の大部分はこの取り組みですが、一瞬の出来事を見事に描き切っていて、本作のなかでも屈指のベストバウトといって間違いないでしょう。
学生相撲の頂点を決める火ノ丸対久世の試合を終え、長く続いたインターハイ編は18巻でようやく決着を迎えます。
- 著者
- 川田
- 出版日
- 2018-01-04
後日談のなかでも注目したいのが、大太刀高校相撲部の面々による「送別相撲」のエピソードです。インターハイから数ヶ月、彼らはそれぞれが別の道を歩むことになり、送別会の代わりとして、火ノ丸と他の全メンバーが相撲を取ることになりました。
激しいインターハイを全力で闘い抜いた彼らが手を抜くわけもなく、これまでのどの大会にも負けない気迫で立ち向かいます。「第一部・高校相撲編」の締めくくりに相応しい試合です。
しかし、『火ノ丸相撲』そのものが終わるわけではありません。ここからは、火ノ丸や彼のライバルたちが大相撲の世界に飛び込み、最強の力士である横綱の打倒を目指す「第二部・大相撲編」が始まります。
高校相撲でも臨場感たっぷりの取り組みを見せてくれていましたが、ここからはいわゆる「プロの世界」での相撲が見られると思うとワクワクしますね。さらに熱く激しくなっていく彼らの闘いから目が離せません。
インターハイの様子が描かれた高校編が終わり、19巻ではプロの世界での戦いが描かれはじめます。高校編に負けず、さらに白熱する戦いが展開されていきます。
火ノ丸は「鬼丸国綱」と四股名を名乗ってプロ入り。一度は腕の怪我によって幕下下位まで降格した彼でしたが、息もつかせぬ努力によって再び幕内に戻ってきました。
- 著者
- 川田
- 出版日
- 2018-03-02
さっそく開幕した名古屋場所。7日目、鬼丸の対戦相手は以前バカにしてきた因縁の相手「岩竜」です。集中力を高め、鬼のごとく表情が険しくなっていきます。
相撲は非常にスピード感のあるスポーツ。張り詰めた空気、力士同士がぶつかり合う勢いなど、言葉では簡単に言い表せない雰囲気を迫力満点に描かれています。
特に印象的なのが、岩竜との戦い中、鬼丸の足から土俵の地下深くに太く頑丈な根が張ったように描かれるシーン。強力なパワーを感じさせられる場面です。因縁の相手との決着はいかに?岩竜との対決の後、元監督だった桐仁との戦いも控えています。
さらに熱く描かれていくプロ相撲の世界、ぜひ堪能してみてください。
主人公・潮火ノ丸(うしおひのまる)。152cmで79kgという恵まれない体格で、中学時代は、ほぼいい成績を残すことはできなかったが、諦めず地道な努力を積み重ね、大太刀高校入学を機に相撲界へ完全復活を果たしました。
大太刀高校相撲部の部長・小関信也(おぜきしんや)。弱小な相撲部でありながらも、自身の真面目さゆえに一度も稽古をサボったことはない。
大太刀校不良グループトップ・五條佑真(ごじょうゆうま)。はじめ相撲競技をバカにしていたが、火ノ丸に打ち負かされた後は、所詮自分は限られた場所だけでの最強だったのだと改心し、自ら入部を志願する。
レスリング部だった國崎千比路(くにさきちひろ)。当初、自身がレスリング部に所属していたこともあり、負ける重みがないと言って相撲を甘く見ていたが、学園祭で火ノ丸に敗北して認識を改め、足腰を鍛えるために転部する。
小柄で中性的な男子・三ツ橋蛍(みつはしけい)。自分の気弱さや軟弱さをコンプレックスに思っており、同じような体格でも真っ向勝負していく火ノ丸に憧れて相撲部の門を叩いた。
相撲部監督の1年・辻桐仁(つじきりひと)。火ノ丸とは親友の間柄で、分析能力に長けており、的を射たアドバイスや弱点を指摘し監督に就任しました。
生徒会副会長・五條礼奈(ごじょうれいな)。兄・佑真が大好きで、当初は相撲部への入部を快く思っていませんでしたが、徐々に興味を引かれていくように。後にマネージャーを務めるようになります。