ビジネスを行ううえで必要不可欠となったWebマーケティング。具体的にどんな施策があり、どんな効果があるのか、正しく理解していますか?今回は、Webマーケティングの担当者、経営者などにおすすめの5冊をご紹介します。
Webマーケティングとは、文字通り、Webを活用したマーケティングのこと。マーケティングは「売れる仕組み」と訳されることが多いように、いかに顧客を集め、購買につなげられるかがWebマーケティングの根幹となります。
インターネットが身近でなかったころは、多くの企業がテレビCMや看板広告、折りこみチラシなどで消費者を惹きつけ、来店を促すマーケティングを主に行っていました。さらに、店頭では、推しの商品を目立つように配置し、POPをつけたり、キャンペーンを行ったりしながら、販売促進してきたのです。
しかし、インターネットが一般家庭にも普及し、多くの人が携帯電話を持つようになると、Webサイトを活用したマーケティングが効果を発揮するようになりました。各企業がホームページをつくり、顧客を誘導し、その場で注文できるようにしたり、メールアドレスを取得してメルマガを配信したりと施策を打っていきました。
ネットショッピングなどが珍しくなくなり、多数の人がスマホやタブレットを持っている現代では、Webマーケティングがマーケティング施策の大部分を占める企業も多くなっています。
ネット販売専門店もたくさんありますし、SNSを活用してマーケティングを行う企業も激増しており、Webは企業にとっても顧客にとってもなくてはならないものになっています。
マーケティングをWebで行うメリットは、従来のマーケティング手法に比べてコストが安く、すぐに実施できる点にあります。また、ページビュー数やクリック数、コンバージョン数など、さまざまな指標を数値化することができ、分析や改善がしやすいという特徴もあります。
さらに、特定の層・ターゲットへのアプローチがしやすいのもメリットと言えるでしょう。このような特徴は、特にヒト・モノ・カネという資源の少ない中小企業にとってとても魅力的です。コストが低く、参入へのハードルも高くないため、「マーケティングを行うのはまずWebから」という企業が大多数ではないでしょうか。
このように、多くの企業がWebマーケティングを行うようになり、情報がWeb上にあふれ、企業の商品やサービスの情報が埋もれてしまっているのが今の状況です。ターゲットに的確にアプローチし、顧客になってもらうためには、Webマーケティング施策をひと工夫もふた工夫もしなければならない時代に突入しているのです。
Webマーケティングにはどのような施策があり、それぞれどんな効果を狙ったものなのでしょうか。マーケティングの段階として、集客→成約(購買)→リピートというステップがありますが、ここでは集客施策を中心にお伝えします。
・SEO
まずはSEO(Search Engine Optimization)です。「検索エンジン最適化」とも言われます。SEOについては、聞いたことのある人も多いでしょう。GoogleやYahoo!に代表される検索エンジンは、Webページを回遊し、ある基準(アルゴリズム)で、キーワードに対してどの順番でページを表示させるかの判断を下します。
その基準を読みながら、自分のページが上位に表示されるように工夫するのがSEOです。上位表示されれば、当然アクセス数は増えますし、認知度アップや信頼度向上に役立ちます。検索エンジンのアルゴリズムは頻繁に変更されますが、良質なコンテンツを蓄積しておくことで、長期的にメリットが見込まれる施策です。
・リスティング広告
何かのキーワードで検索したときに、上から2~3個のサイトが「広告」と書かれているサイトになることがありますよね。これがリスティング広告です。リスティング広告はSEOと違い、企業がGoogleやYahoo!にお金を払って上位表示させるものです。
リスティング広告の中での順番は、キーワードごとに入札が行われ、オークション形式で決まります。費用をかけるほど上位に表示できるという仕組みです。
・アドネットワーク広告
アドネットワーク広告は、複数のWebメディアに、バナー広告などを出せる仕組み。「Google Adsense」や「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク」が代表的です。Webメディアに広告を出したいと思ったときに、一つひとつのメディアに依頼する手間を省ける点が魅力です。
また、キーワード検索されないとアクセスが期待できないリスティング広告などと違い、メディア閲覧者にアプローチできるため、より多くのアクセスを集められる可能性があります。
・アフィリエイト広告
アドネットワーク広告とは異なり、特定のメディアやブログと提携して広告を掲載してもらうのがアフィリエイト広告。出した広告経由でアクセスや商品購入などの行動を起こしたら、その分だけの費用を支払う、「成果報酬型」となっているケースが多いです。
必要以上の費用を支払うことはないため、効率はいいのですが、その商品ターゲットにふさわしいメディアを選ばないと、「まったく効果が出ない」ということにもなりかねない施策と言えます。
・SMM(ソーシャルメディアマーケティング)
Facebook、Twitter、Instagramなど、SNSを使ったマーケティングのことです。現在多くの企業が採用していることと思います。自社の商品、サービスや取り組みをPRしたり、ユーザーとのコミュニケーションを深めたりする目的で活用します。
SNSはネット上の口コミなので、情報の質やインパクトによっては一気に拡散される点も魅力です。各SNSでユーザーの年齢層や求めるものが違うため、特性を生かした投稿をすることが大切です。
・SNS広告
SNS広告は、SNSのタイムライン上に広告を表示させることができる有料の施策です。Webの活用場面が、若者を中心に。検索エンジンからSNSへと変化していることから、この施策の需要が高まっています。
SMMと同様に、SNSごとの特性があるので、適切な形でアプローチすることが肝心。個人をターゲットに、かなり絞り込んだ出稿も可能です。
ここからはWebマーケティングを有効活用したい人におすすめしたい本を5冊紹介していきます。入門的な本、各施策に対応した本、市場を限定した本など、それぞれの状況に合わせて読んでいくといいと思います。
まずは入門書をご紹介します。Webマーケティングは、上でも説明したとおり、数多くの施策があります。これらを全部やるには負担が大きいですし、かといって、どれから手を付けていいのかわからない方も多いでしょう。そこでWebマーケティングの基礎から学べるのがこの本です。
- 著者
- 西 俊明
- 出版日
- 2015-01-24
Webマーケティングの初心者には特におすすめで、コンバージョンやCPAといった用語がよくわからないという方でもすぐに理解できるようになっています。はじめに大切なのはマーケティングを行ううえでの考え方。自社の状況、強みに合わせて施策を打っていく必要があります。
本書ではそれらに加え、具体的に何をすればいいのかという実践レベルまで解説。成果を出せる行動とは何かを学ぶことができます。Webマーケティング初心者だけでなく、経験者にとっても、基礎を再確認し、考えを整理するうえで役立つ1冊です。
次も入門者的な位置づけの本です。こちらはWebマーケティングの実践例をマンガで表現した本。理論はわかっていても、なかなか実践できない、という場合、その実践イメージが明確にわいていないケースがあります。その場合に役立つのが、実際の企業、担当者が行なったケーススタディなのです。
- 著者
- 村上佳代
- 出版日
- 2017-02-17
Webマーケティングは無機的なものではなく、各担当者や経営者が一つひとつ考え、悩みながら実施していく、体温のあるものです。主人公の瞳がさまざまな出来事を乗り越え、Webマーケティングスキルを上げていくため、読者も自分が実践するときのイメージもつきやすいと言えます。
また、担当者目線だけでなく、Webマーケティングを取り入れようとする経営者の目線からも役立つ視点が満載です。最新の情報も合わせて学べるので、初心者から上級者まで、読んでおいて損はない内容です。
次はSEOに特化した本です。SEOは外部対策(被リンク対策)と内部対策にわけられます。GoogleやYahoo!という検索エンジンは日々アルゴリズムの精度を上げ、良質なコンテンツを載せているサイトを見きわめる力を高めています。だからこれからは、安易な外部対策をするよりも、内容そのものに着目して実施していく必要があるのです。
- 著者
- 瀧内 賢
- 出版日
- 2017-03-04
とはいえ、内部対策は何をすれば良いのかわからない人も多いですよね。本書では、検索エンジンの構造という技術的視点からも、対策法が書かれています。まずは内部対策の基盤をつくり、それを応用・発展させ、全体のバランスを取って運用していきます。
各種ツールの紹介や、AMP(モバイル端末で高速表示させるフレームワーク)のポイントなど、初心者からでも役立つスキルを身につけられることと思います。また、こうした内部対策をさらに生かすための外部対策も記載されているため、総合的なSEO対策のヒントになるでしょう。
SNSを使ったマーケティング手法はいまや主流になりつつあります。しかし、公式アカウントなどをつくっても、効果的に運用できている企業や団体は多くありません。そこでこの本では、Facebook、Twitter、LINE@を活用したマーケティング施策のやり方を詳しく紹介。知識ゼロの状態から、お金をかけずに集客できることを目標としています。
- 著者
- 福山 大樹
- 出版日
- 2013-08-10
内容は、前置きとしてWebマーケティングの基礎知識を解説したあとは、Facebook、Twitter、LINE@の運用方法を各章でかなりのページを割いて説明されています。LINEなどは多くの人が利用しており、そのSNS自体の使い方は理解している人が多いと思いますが、ビジネス目的で利用するためにはきちんと知識を持っておくことが大切です。
戦略は「プッシュ型か、プル型か」や、SNSが「ストック型か、フロー型か」など、特徴によって使い分けることも重要。さらに、SNSは日々変化していくものなので、情報が古くなるのも早いです。最新の情報をキャッチすることも忘れないようにしましょう。
最後は、海外市場の販路を開拓するWebマーケティングの方法を紹介した本です。この先数十年縮小し続ける日本だけでなく、海外のマーケットに自社商品を売り込むことができれば、長期的に収益を上げ続ける見込みが立ちます。そのために必要なのが、海外市場を 理解し、自社の強みを理解したうえでマーケティングを行うことです。
- 著者
- 高岡 謙二
- 出版日
- 2016-10-20
Webが活用されるようになり、昔と比べてはるかにリーチしやすくなった海外市場。ですが、自社のWebサイトをただ外国語に翻訳するだけでは、成果は上がらないのだそうです。では、国と言語を乗り越えて信用され、注目されるには、どうすればいいのか。Web施策の具体的な運用方法を教えてくれるのがこの本です。
今は日本国内しかターゲットにしていない企業でも、グローバルに通用するテクニックを知っておいて損はありません。また、本書を読めば、海外市場が決してハードルの高いものではないということもわかるでしょう。担当者だけでなく、経営層の方もぜひ読んでおくといいと思います。