【第8回】つぶやきシローのつぶやき読書/でも、会いたい先生はいる。

【第8回】つぶやきシローのつぶやき読書/でも、会いたい先生はいる。

更新:2021.11.13

小説家としてもデビューをしているつぶやきシロー。しかしどうやら、読書に対してはかなりの抵抗があるらしい。彼に「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。 第8回の今回の本は、学生時代を思い出させてしまいました。

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担任が、体育の先生

学校生活、あの頃に戻りたいですか?
僕は戻りたいとは思わない。

よくも一日に6時限も7時限も我慢できたもんだ。
今だったら無理だろうな~。
車の免許更新の時の講習だけでもしんどい。
途中、映像が入るのに。
あのテンション下がる映像ね。

新しい学年になって、まず時間割をチェックしたもんね。重要なのは、体育の時間と技術家庭の時間が何曜日のどこにあるかが問題。一年間それで生活するわけだから。

月曜日の1限目に体育があったら、最悪の一年だからね。やっぱり体育は、給食の前後の4限目か5限目が僕的にはベストだったね。

朝から、数学やら堅苦しいのを3限我慢する。
これは4限目に体育があると思えばできるのだ。
体育が終わって、お腹すいたところにそのまま給食。そして昼休みと続けば、長く楽できるイメージ。

5限目体育の場合は、午前中は捨て。
フリが長い分楽しみは倍増する。
4限目が終わり、やっと給食、からの昼休み、からの5限目プール、からの6限目ぐったりと木漏れ日の中おねむ。
この日の午前中の4限のうち、技術家庭があったらそれで2限つぶれるから、黄金の日。

この頃から、こんな考えで勉強嫌いだったのに、戻りたいと思うわけがない。

でも、会いたい先生はいる。もっと話せばよかったなと思う先生。

高校の時の先生でね、お弁当忘れた生徒に「俺の弁当一緒に食べるか?」なんて、スクールウォーズの滝沢先生並に面倒見のいい先生がいたんだ。学校の文化祭のあとの後夜祭ってあるじゃない。ウチの学校は、文化祭で作った催し物を校庭に山のように一つにまとめて、全校生徒が周りを囲み、弓道部が火のついた矢をその山に向かって放ち、キャンファイヤー的な行事を開催する予定だった。先生方や全校生徒も、もうちょっと陽が落ちた方が演出的には良いだろうと思っているのか、校庭に出てきてはいるが、バラバラでまとまりはない。すると、その先生が何故か僕を連れて山を一周しながら、「みんなの青春の証だよな」って言いながら、もはやゴミと化した木材や段ボールをさわる。そうして「これ本当に燃えるのかな?」って言って、ライターを近づけた。そしたら、見る見るうちに火が燃え移り、手で消そうとしていた先生も身の危険を感じたのか諦めてその場から離れてしまう。全校生徒が急に集まり出す。弓道部員は、慌てて矢に火を点け放った。校長先生の挨拶や弓道部の火をつける儀式とか段取りを一切無視して、火は火事のように燃えている。急に「みなさん歌いましょう!」となった。

この先生に、会いたい。
何でそんなことしたのか、その先生に聞きたい。
今なら真相を話してくれるかもしれない。
たぶん、ふざけただけだと思うけどね。

卒業後、友達と母校にその先生を訪ねた。
なんか、様子がおかしいなと思ったら、ぼくのことは覚えていなかった。

タイトル「残念な教員」

著者
林 純次
出版日
2015-02-17

著者の、生徒のために教師はもっと頑張らなければならないという強い信念が窺える本。
でも、先生も人だし、完璧じゃないからね。
中学生の時とか、先生は怖いし、聖人君子のような存在だったけど、自分がその当時の先生の年齢に達し、そして超えてみると、たいしたことなかったんだなってね。
それより、大学出たての若者が「先生、先生」って呼ばれて、それを演じるのも大変だったろうな、と思う。

鈍感教員という項目がある。
確かに、先生も一度は生徒をやっているはずだから、生徒の気持ちがわかるはずだ。
なのに、授業のチャイムが鳴ったら、すぐ来る先生ね。早いんだよ!休み時間の余韻が欲しいの!5分後くらいでいい。10分後に来る先生は神。あまり遅くて騒いでると、隣のクラスで授業していた先生が怒りに来ることがあるけどね。

あと、最近の先生は本を読んでいないという。
月に2冊すら読まない先生が8割いるんだって。
意外だね。こんなところまで本離れが。
ホンシェルジュ頑張れ!

あと、教育学部出身じゃなくても教員免許を取得できる日本の制度に対して、受験勉強はできるが、教育への情熱や生徒に対する愛情が薄い傾向にあるという。

生徒への愛情ね。子供たちは、そこんとこ敏感だからね。たまには昼休みにドッヂボールに参加した方がいいよ、先生。生徒たち最初だけはテンション上がるから。毎回だと気使うし面倒くさがられるけどね。

あと、役に立たない「いい先生」
すぐ殴る先生もいれば、優しい先生もいていいんじゃない、学校内は社会の縮図だから。
小学校の頃の「いい先生」って言ったら、雪が降った日は、算数の授業でも「今から外で雪合戦!」って言ってくれる先生が「いい先生」だったな。
小学生の頃って、雪合戦をずーっとやっていられるんだよね。疲れ知らず。

あと生徒が授業で感じる3大ストレスは、
「見えない、聞こえない、わからない」だそうだ。
最後の、「わからない」は、先生のせいにしちゃ悪いと思うけどね、僕なんか難しい問題は、何がわからないのかがわからなかったからね。

あと、生徒の人生を変えるダメなプリントとある。
プリントごときで、「人生」ってちょっと大げさな気もするけど、著者は真剣です。

プリントを配る時に、指を舐める先生がいてね。
最初の一枚目が唾で染みてるの。あれ、嫌だったな、みんなその一枚を避けて後ろに回していたな。
それと、テストのプリントをやり終わって、裏返しにしたら、裏にも問題があった時の衝撃ね。

こうやってトラウマになっているということは、ちょっとは人生を変えたのかもしれないね。

結局僕が言いたいのは、
卒業式で、生徒の名前を間違えるのが、一番残念な教員だね。



連載第1回を読みたい方はコチラ。

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  • つぶやき読書

    お笑い芸人のつぶやきシローさん。小説家としてもデビューをしています。しかし、「本を1冊読むのに数ヶ月かかることもある」など、読書に対してかなりの抵抗があるらしい。「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。隔週金曜日更新!

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