2001年より「週刊少年ジャンプ」で連載された、ギャグ主体のスポ根野球漫画……それが『Mr.FULLSWING』(ミスターフルスイング)です。さまざまなパロディやネタに溢れながらも、ジャンプらしいスポ根は忘れず、ドラマCD化まで果たしました。 そんな爆笑必至の名作を徹底紹介!なお、ネタバレ込みでのご紹介ですのでご注意を!
本作は、週刊少年ジャンプで2001年から5年間に渡り長期連載されました。ギャグとシリアスがミックスされた魅力的な作品です。
小説やドラマCDを展開するほどの人気作でしたが、なぜかアニメ化はされなかったという珍しい作品でもあります。ちなみに2018年5月現在、5年以上連載された「ジャンプ」作品で、アニメ化されなかったのは「ルーキーズ」と、この「ミスターフルスイング」だけです。
ちなみに作者・鈴木信也は、2018年5月現在「ジャンプ+」にて子育てエッセイを連載中。ミスフルのラインスタンプも発売するなど精力的に活動しています。
- 著者
- 鈴木 信也
- 出版日
- 2011-10-18
女子が大好きで非モテな主人公・猿野天国(さるのあまくに)は、ある日、野球部マネージャー・鳥居凪に一目惚れしてしまいます。彼女とお近づきになるため、今までやった事もない野球の世界に足を踏み入れることに。
彼が入部した先は、かつて伝説のスラッガーが在籍していたという、古豪・十二支高校の野球部。レギュラーを勝ち取る事はもちろん、練習や入部試験から生半可な道のりではありません。
野球素人の猿野は、この野球部でレギュラーを勝ち取り、凪を甲子園に連れていくことが出来るのでしょうか?
さて、ミスフルの魅力と言えばやはりギャグパートです。全編通して、いろいろと怒られそうなパロディ系ギャグと変態的な下ネタが満載。第1巻からフルスロットルです。
1巻から例えると、特に猿野が女装して野球部に入部するシーンは衝撃です!
凪とお近づきになるため女装をかまし、野球部の女子マネージャーとして入部する猿野。こんな「野球スポ根マンガ」の主人公が今までいたでしょうか。
他にも、女装したまま、親友・沢松の頬にちゅーをプレゼントしたり、どこぞの夜のお仕事のような格好で現れたり、トレーニングと称して女子高に乱入したりとやりたい放題です。
- 著者
- 鈴木 信也
- 出版日
- 2011-10-18
変態的な要素も盛りだくさんで、野球の試合中、猿野のとある部分を仲間内にみせつけ、「ツチノコ」と叫ばせたり、伏字必須な言葉を連発するなど、随所に下ネタも散りばめられています。
また、パロディもてんこ盛りです。「ガン○ム」や「エ○ァンゲ○オン」と言った有名作品ネタが多く登場するので、いくつわかるか挑戦してみるのもいいかもしれませんね。なお、本当に怒られたかは作者のみぞ知ります……。
ギャグ要素にばかり目がいきがちですが、やっぱり野球もおもしろい。ミスフルの野球描写で注目いただきたいのは、なんといっても「とんでも」野球。その解説不可能な技の数々……。今回は一部ご紹介します。
鹿目が投げる魔球。恐ろしいほどの指のひねりで放つことにより2段階曲がります。
別紅が投げるカーブです。それだけです。普通のカーブと違うところは、別紅が放つということだけ。本人達はいたって真剣なのですが、だからこそギャグなのかシリアスなのか分からず笑ってしまいます。
猿野のライバル、犬飼が放つ恐ろしい魔球です。ボールを天高く放り投げ、フライかと思われたその球は、なんと猛スピードでミットへ向かって急落下!物理法則を完全無視した、まさに魔球です。
ちなみにこのボールについて「これを狙ってやっているのですから 恐ろしいコントロールの持ち主ですね」と解説の方はコメントしています。何の説明にもなってません。
- 著者
- 鈴木 信也
- 出版日
- 2011-11-18
虎鉄が開発した打法で、空高く打ち上げた球がイナズマのようにぐねぐねとうねり、不規則に落ちてきます。ボールに付いた土が空気抵抗の歪みを生み出すことで、そのような変化を得るのだそう……。
兜鍬が使用した打法です。特徴として、ボールを打つときの背景にクワガタのイラストが現れます。それ以外、どこら辺がノコギリなのかはわかりません。
蛇神が使用した打法。打法というより能力かもしれません。呪文のようなものを呟き片手でスウィング。すると相手の放った球が止まって見えるようになり、ブレ球を難なく攻略することができます。しかしこの能力には欠点が!なんと無明眼を使った蛇神は、目が見えなくなってしまうのでした……。
と、軽く紹介しただけでも、なんだこれ、と思うような「とんでも」野球ばかり。ぜひ直接見ていただいて、お気に入りのワザを見つけてみてくださいね。
- 著者
- 鈴木 信也
- 出版日
- 2011-11-18
ここでは、筆者が個人的に選んだ最強打線をご紹介します。
私立華武高校のキャプテンで、地道な努力をおこなうストイックな性格の持ち主。牛尾と反対の野球人生を歩んでいることで、牛尾をライバル視しています。ピッチャーとして非常に優秀な選手で、トルネード投法から放たれるジャイロボール「五光」は強力です。
十二支高校の伝説・村中の息子であり、強力な捕手です。後に猿野とともに修行を経て、強力な打法「覇竹」を取得します。幼い見た目で愛嬌のある性格。選球眼にも恵まれており、投球を何度か見ると、その玉の攻略法が分かってしまいます。
十二支高校のファーストであり、猿野からはキザトラ先輩・マリファナ先輩と呼ばれる破天荒な男。女子と見るやすぐにナンパを始める軽さがあります。しかし、野球には至極真剣。特殊なアッパースイング「ダウン・アッパー・ブイ・ストーム(DUVS)」を得意としています。
犬飼・辰羅川と幼馴染で、いつもフーセンガムを食べている態度に問題ありな、いわゆる問題児です。体のバネを最大限に活かした打法「ターニングダイス」を使用し、十二支を苦しめました。修行を経て、静かな打法「空蝉」を取得します。
牛尾に並ぶ、十二支高校の主軸で、古風な口調で喋るのが特徴です。皆金属バットを使う中、1人木製バットを使用する一風変わった先輩。得意とするのは、「六道眼」という技。玉を見通すことができます。
目つきが悪く、頭に蜘蛛の巣模様のヘアバンド、唇にピアスを付けているヴィジュアル系な見た目をしています。非常に無口で、フェンスの壁を重力無視で走り、球を捕球する「蜘蛛走脚」を使用する、まさに「鉄壁の守備」を誇ります。
セブンブリッジのエースで4番を張る、猿野の師匠とも呼べるほどの実力者です。十二支マネージャー・凪の兄でもあるのですが、実は重大な病気を抱えている描写も……。猿野を越えるパワーヒッターでもあり、また、「正体不明の魔球」を持っており、その正体はいまだ謎のままです。
目の下の逆三角形の日除けペイントが特徴の、小学生のような見た目が特徴の男の子。非常に足が速く、その速さは作品随かもしれません。バッターとしても優秀で、上から振り下ろす「ギロチン」という打法を得意としています。
十二支高校のキャプテンであり、心から野球を愛している男。オールラウンダーな器用さを持つがゆえに、全ての能力が平均以上。牛尾コンツェルンの御曹司であり、学業も優秀。カリスマ性に溢れたまさにトップに立つ男です。主に、「振り子打法」という打法を使用します。
攻守ともに最強クラスのメンバー!こんなチームがいたら、正直勝てる気はしませんが……。こうやってドリームチームをいろいろ考えてみるのも面白いかもしれません。
最終巻は、猿野の実の兄との対決が描かれています。お互いに絶対に負けたくないもの同士のぶつかり合い。熱くないわけがありません!
いよいよクライマックスになってくると、ギャグも少なめに。まるで普通のスポ根野球漫画のようになっていて、ミスフルだということを忘れそうになります。特に、決着前に猿野の母が初登場するのですが、その時叫んだことが感動的……。
猿野の兄が所属している、大阪代表。相手もここまで勝ち残ってきた強豪です。一筋縄ではいきません。それに、兄にとってもこの試合、絶対に勝たなくてはならないある理由があり……。
どっちも応援したくなる、手に汗握る展開に興奮間違いなしの展開です。
- 著者
- 鈴木 信也
- 出版日
- 2012-05-18
決勝戦後、時は過ぎて2年後。猿野たちは3年生になっており、引退も目前です。
1年生だった彼らもいろいろ成長した様子で、なんと子津が十二支高校野球部のキャプテンを務めていました。ちなみに元・キャプテンの牛尾は自分で球団を立ち上げるとか。規模が違います。
そしてついに引退の時、グラウンドに立ち、思い出すのはあの入部試験でした。
ライバル犬飼と初めて出会ったのもこのグラウンド、あの入部試験。犬飼にとっては、絶対の自信があった球を猿野に打たれた屈辱的な思い出です。一方猿野にとっては、まさか打てるとは、という奇跡の1戦。
そして2人は、あの日の勝負に本当の決着をつけるため、今再びマウンドで向かい合うのでした。
そんな最終巻での結末は、笑いあり涙ありの名シーンだらけ。ぜひ読んでみてくださいね。
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冒頭からとんでもない下ネタ、ギャグ要素に爆笑してしまう本作。ギャグメインではありますが、様々な学校との熱い野球バトルも見逃せません!他にも魅力的なキャラクターが多数登場しますので、最後まできっちり読んでみてほしい1作です。そんな『ミスターフルスイング』、ぜひ実際に読んでみてくださいね。