公務員には大まかに中央省庁で働く国家公務員と、地方の役所で働く地方公務員があります。今回はそのうちの地方公務員の仕事内容・職種・資格などを見ていきます。将来的に地方公務員を目指したい人は特に参考にしてみてください。
まずここでは、地方公務員と国家公務員との違いから見ていきましょう。
国家公務員との違いは働く場所だと上記でも書きましたが、具体的に見ていくと国家公務員の場合は中央省庁で採用されます。こちらは国家公務員試験に合格しなければなりません。
それに対し、地方公務員になるためには、地方公共団体が実施している試験を受けなければなりません。これは民間でも同じであり、一般的に採用試験と呼ばれるものです。ちなみに政令指定都市の区で処理している行政サービスに関しては、東京都で管理しています。
地方公務員には職種がいくつかありますので、それぞれについて見ていきましょう。
[学校事務]
学校に事務担当の職員がいるのをご存知の方もいるかもしれませんが、実は彼らも地方公務員です。学校の先生とは異なり、地方公務員として採用されます。
[都道府県勤務]
地方公務員というと、身近な市町村役場を想像しますが都道府県庁舎に勤務している人も、また地方公務員です。出向の形で中央官庁から来ている人もいますが、大部分は地方公務員となります。
[市町村]
転出、転居をした場合、必ずお世話になるのが市町村役場です。役所で対応してくれる職員が、地方公務員。地域生活に密着したサービスをしてくれています。
[東京特別区(23区)]
大きな市になると、区分けされてそれぞれ区役所がありますが、勤務している職員は地方公務員です。都市の中で管轄の区の行政サービスを行っています。
[警察事務]
警察官は国家公務員ですが、警察事務は地方公務員になります。警察に勤めているという部分では同じですが、実は雇用形態が異なるんですね。採用方法は別途の試験によって実施されます。
[理系公務員]
この職種は聞いたことがない人も多いかもしれませんね。各自治体に専門家として様々な分野に配属されている人々です。何よりこちらは、国家公務員か地方公務員を選べるという特殊な部分もある、変わり種です。
ここからは具体的な仕事内容、給料はどうなっているのか見ていきます。公務員と聞くと、給料的に安定している職業だと聞きますが実際はどうなのか確認していきましょう。
給与は地方自治体が定める給与表に沿ったものです。
[都道府県勤務、市町村勤務]
都道府県勤務は市町村では対応しきれない業務や、国と市町村との橋渡し役を担っています。市町村で対応出来ない業務は、インフラ整備・社会福祉分野など多岐に渡っていますので、市町村との連携が不可欠です。
市町村勤務の場合は、都道府県勤務では細かく見られない住民サービス業務を行っています。
給与も地方自治体によって差がありますが、勤続年数によって徐々に増えていく傾向のようです。平均給与額は約37万円ほど。試算のベースは40代の給与ですので、若い職員だとこの給与より少ないでしょう。
都道府県庁・政令指定都市だと地方の市町村より給与は高くなります。
[東京特別区(23区)]
上記で少し触れたように政令指定都市との違いもありますが、特徴として挙げるなら町村の役割を短縮した形で担っているということが言えます。地方公務員として、区内の細かな行政サービスをおこなうのが仕事です。
上記の地方自治体の平均給与額からすると、東京都・東京特別区は全国平均より高い給与水準となっているかと思われます。
[学校事務、警察事務]
事務職の地方公務員は、その仕事として補佐の役割を担っています。学校事務の場合、地域にもよりますが仕事内容は総務や人事などの学校の事務処理です。
警察事務の場合だと、やはり犯罪捜査についてのデータ分析など側面からサポートをするのが仕事となっています。
学校事務の給与額は地方自治体、年齢、経験によって違いますが、平均給与は約30万円ほど。給与は年々上がって行きます。次に警察事務の平均給与ですが、約24万円くらいです。学校事務より低い水準となっています。
[理系公務員]
土木・建築・情報といった分野の専門職として採用されます。専門職ですから、地方自治体の管轄分野においての仕事です。
平均給与は、30万円ほど。こちらも地方自治体や勤続年数によって給与は変わります。
試験の主な等級は、上級・中級・初級です。
この他に東京都の場合は、Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類と分けられています。以上のような区分になっており、学歴要件ではありません。
倍率は地方自治体の大きさによって差が出てきますので一概には言えませんが、目安として、一般事務、警察事務、学校事務の平均は上級および初級は10倍程度、中級は5倍程度です。
では試験の内容を見ていきます。
[試験内容]
地方公務員試験は筆記試験、面接が行われます。この次の試験をおこなう地方自治体もありますので、採用試験を受ける際は確認が必要です。
採用試験はどこが重視されるのかといいますと、筆記試験の結果が重視されていたようですが、傾向として人物重視になっているようです。
ではここから地方公務員についての本を紹介していきます。
- 著者
- 山田 朝夫
- 出版日
- 2016-10-19
霞ヶ関の中央官庁に勤める官僚は、主にキャリアとノンキャリアに分かれます。キャリア官僚ともなれば、将来的に安泰だと誰もが思うところです。しかし、キャリア官僚の地位を捨てて地方行政に取り組んでいく一人の男がいました。
この本の著者である山田朝夫は、地方行政にキャリア官僚から飛び込んだ稀有な存在です。この本はそんな山田の地方行政実践録となっています。
- 著者
- 山野肆朗(やまのしろう)
- 出版日
- 2013-03-04
東日本大震災で取り上げられるのは、津波とその後の暮らしぶりです。ですが、人が生活しているのですから不自由な生活は人の心をむしばんでいきます。
この本は警察署員の視点から、震災後に起こった人々のトラブルに対応してきたという体験記。震災が人々の心にも傷を負わせていたこと、現場に携わらなければ分からないことが詰まっている1冊です。
- 著者
- 岩貞 るみこ
- 出版日
- 2013-07-05
緊急時、事件なら警察へ電話します。病気や火事の場合は消防署へ連絡し、出動要請をしますが、この本では彼らがどのような想いで仕事をしているのかにフォーカスした1冊です。
消防署は救急や火事に出動する職業ですが、実際にどのような仕事をしているのか外から見えづらいので、仕事内容を知りたい方には特におすすめです。
- 著者
- 安道 理
- 出版日
- 2016-08-10
発達障害、児童虐待は児童福祉の世界において相談を受けることの2大巨塔です。発達障害という診断を受け入れられない親は、悩みます。虐待をしてしまう親は、虐待をした事実に苦しみます。
この本の著者である安道理はペンネームになりますが、実際に児童相談所の職員として働いている職員です。なのでフィクションではありますが、リアルな児童福祉の世界観が分かる1冊にしあがっています。