グローバル化にともなって、外国人に日本語を教える「日本語教師」のニーズが高まっています。日本語教師になるには資格が必要なのか、教える知識や技術の学習方法、主な就職先など、日本語教師に興味がある方に役立つ情報をお伝えします。日本語指導の楽しいエピソードや、指導ノウハウ等が学べる書籍も紹介しますので、ぜひご参照ください。
日本語教師とは、日本語を母国語しない人に対して、日本語を教える仕事です。国語指導ではなく、日本語の文法、発音、会話や読み書き等を体系的に教えるため、日本語の成り立ちや文法の知識、指導するための専門的な知識と技術が必要です。
また言語を教えるのと同時に、日本に関心がある学生に対し、日本の文化や生活習慣、礼儀作法やマナー等も伝える役割を担います。
そんな日本語教師の給料は、働く場所や雇用形態によって差があり、日本国内で多いケースは、非常勤講師として経験を積み常勤へとステップアップするケースです。非常勤では1コマ1800円~2000円前後が一般的で、担当コマ数によって収入が変わります。常勤では、月収20万円前後が一般的な相場となっていますが、働く国や勤務先の待遇、経験年数等によって違いがあります。
今のところ、日本語教師になるために必須とされる資格はなく、教員免許取得の必要もありませんが、教育現場では、日本語指導の専門的な知識や技術が求められています。
そのため日本語教師として就職を目指すには、大学や専門学校で該当するコースを履修し専門知識や技術を学ぶケースが多いです。
国内の多くの日本語学校に就職するためには、以下に記載した条件のいずれかに当てはまっていることが求められています。
全国の大学や専門学校などは、北海道から沖縄まで、2018年5月現在、140校ほどあるそうです。ご自身の住んでいる場所から近いところで絞って探してみても、多くの選択肢がありそうですね。
四年生大学では、教育学部や人文学部、文学部に当該コースが置かれていることが多く、大学以外では専門学校等で、日本語教員養成講座、日本語教育能力検定試験対策講座を受講することができます。
大学や専門学校で当該コースを受講した場合には、学校の就職相談室で各種求人を探し応募することが可能です。
国内はもちろん、日本語を学びたい外国人は世界中にいるため海外でもニーズが高まっており、インターネットで求人検索をすることができます。応募する際はメールで履歴書を送り、skypeなどのインターネット通話で面接をおこなうケースも増えてきています。
民間の日本語学校以外に、日本語学科のある大学や、JICAが実施する海外ボランティア派遣制度(青年海外協力隊)などでも、日本語と日本の文化を伝えるために日本語教師が活躍中です。
国内外問わず、学校以外にも企業や民間の団体、地域団体など、範囲を広げて情報を多角的に得ることで、実現できるチャンスを広げられるでしょう。
- 著者
- 小柳 かおる
- 出版日
- 2004-11-01
本著は、上智大学文化比較学部日本語・日本文化学科助教授であり、言語習得論、日本語教育を専門とする小柳かおる氏による言語習得研究について述べられた1冊です。
まずはじめに第一言語習得(FLA)研究の基礎的内容が述べられ、その後、第二言語習得(SLA)の様々な研究トピックと、日本語教育に役立ちそうな語学習得の研究と仮説について展開されていきます。
具体的な内容としては、初期のことばの発達や脳の発達、言語習得メカニズム、第二言語の発達過程、SLAと教室環境、学習者の言語学習開始年齢、社会文化的要因の研究等が述べられています。言語指導する際の知識の土台を固めることができそうな、網羅的な内容です。
日本語教師を目指している方、すでに教えているが、あらためて言語習得の基礎知識を身につけたい方、言語習得のメカニズムに関心がある方など、幅広い層におすすめの1冊です。
- 著者
- 荒川 洋平
- 出版日
- 2004-05-01
登場人物の3名は、ひょんなことから外国人に日本語を教えることになりました。試行錯誤しながら教えることにチャレンジしますが、思いもよらない質問やハプニングも起こり……。そのような日本語を教える際に直面する具体的なエピソードを通して、日本語教育について楽しく学べる1冊です。
第1章、第2章では「授業準備と授業実践」が描かれ、授業をおこなうために準備しておくと役立つものや、日本語を指導する際の工夫点、実践に役立つノウハウが紹介されています。
第3章では、実際の授業の流れにそって「わかりやすく教えるためのステップ」「日本語の教え方の枠組み」を知ることができます。
第4章「扉の向こうへ」では、日本語教育の世界を大きな枠組みから解説。日本語教師不足の状況や、独学ではなく専門技術を習得することの必要性等、著者の日本語教育への思いが語られます。
実際に日本語を教える際に起こる問題や、分かりやすく伝えるための工夫、実践で活かせるアイデアを学びたい方におすすめです。
- 著者
- 蛇蔵&海野凪子
- 出版日
- 2009-02-20
日本語学校で学ぶ外国人生徒の、外国人ならではの日本語の使い方や疑問点を紹介するコミックエッセイで、シリーズで発売されている人気作です。
愛すべき様々な外国人のキャラクターが登場し、日本語を母国語とする日本人には思いもよらない疑問や使い方をなげかけます。「なるほど」「爆笑」「日本語再発見」と書籍説明にあるのですが、そのとおりで、日本語学校の先生との楽しいやりとり、外国人ならではの視点に、新鮮な驚きや学びを多く発見できる1冊です。
コミックで大変読みやすい構成になっていますが、文法の説明や、日本語検定の問題なども盛り込み、日本人も知らない日本語のトリビアや言葉の成り立ちが数多く紹介されています。
日本語教育現場で起こるハプニングや楽しいエピソードに触れながら、あらためて「日本語の魅力」「日本文化」を再考したい方、ご一読してみてはいかがでしょうか。