臨床検査技師は、診療に必要となる専門的なデータを分析することによって、医師に提供する検査のスペシャリストです。医師の指示のもとで、患者さんの血液・尿などの検体検査を行ったり、心電図・脳波測定などの生理学的検査をおこなうことによって、専門的なデータを作成し、医師による病気の診断や治療をサポートするのが仕事となります。この記事では、臨床検査技師の仕事内容や年収、おすすめの書籍などについて詳しく説明していきます。
臨床検査技師は、医師の指示の下で、患者さんの健康状態を知るためにさまざまな検査をおこなうのが仕事です。検査の結果を分析して、患者さんが患っている可能性がある病気を早期に発見することで、予防医療に役立てたり、患者さんの健康状態を医師に正しく伝えることによって、診断や治療のサポートを行います。
臨床検査技師がおこなう仕事の内容は、大きく分けると検体検査と生理学的検査の2つに分類することができます。
検体検査とは、簡単に言えばモノを対象にした検査です。たとえば、患者さんの身体から採取した血液や尿、血液、細胞を調べる検体検査などを行います。
一方で、生理学的検査は「ヒト」に対する検査です。たとえば、脳波や心電図、肺活量、脳波、エコー検査、血圧測定などを行います。これらの検査に加えて、臨床検査技師は診療の補助として採血と検体の採取も可能です。
臨床検査技師のおおよその平均年収は470万円程度です。もちろん、臨床検査技師が活躍する場は病院だけではなく、専門的な検査機関や治験をおこなう病院、など様々。そのため、所属する機関や組織によって収入が平均よりも高いこともありますし、低い場合もあります。
臨床検査技師になるなためには、国家資格に合格しなければなりません。しかし、国家試験を受けるためには、さらにその前にまず受験条件を満たしている必要があります。
臨床検査技師を目指す最も一般的な方法は、高校卒業を卒業した後、大学や専門学校などの養成施設で臨床検査技師に必要とされる知識と技術を4年間(専門学校は3年間)学び、国家試験を受験して合格することです。
高校を卒業した後、3年制の専門学校などの養成施設で臨床検査技師を目指す場合、短期間で臨床検査技師の国家試験の受験資格を得ることができます。
一方、大学に進学して臨床検査技師を目指す場合、専門学校などの養成機関とは違い、4年間通学しなければなりませんが、その分、時間をかけてみっちり勉強できるため、将来の選択の幅が広がります。
一般に医療系の専門学校や私立大学は学費が高い傾向にありますが、国立大学を選ぶことで学費を抑えることも可能です。高校卒業後、どのような進路を選んだとしても臨床検査技師に合格できる確率に違いはほとんどありません。
ただし、医療系の大学を卒業しておくと大卒の資格が得られるのに対して、専門学校の場合には学位を得ることはできません。そのため、高卒という扱いになります。将来的に研究機関などで臨床検査技師として働きたい場合には、大学を卒業しておいたほうが就職の際の選択の幅が広がります。
臨床検査技師は、現代医療において、診断・治療・予防など、あらゆる場面で検査をおこなうために必要不可欠な存在です。そのため、医師に専門的なデータを提供できるだけの知識と技能が求められます。
高度な専門知識が求められることから、臨床検査技師になるためには、試験に合格しなければなりません。臨床検査技師試験の科目として課されるのは以下の通りです。
臨床検査技師は、医師が診断や治療方針を決定するために必要となる臨床検査データを提供するだけが仕事ではありません。今後、臨床検査技師には臨床検査を通じて幅広くチーム医療に貢献していく必要があります。
高齢化社会を迎えるにあたって、今後も高度医療の必要性は高まるでしょう。それに伴い、医師が適切な診断や治療方針を決定するための臨床検査も多様化していくことが予測されます。そのため、それらのデータを適切に提供できるだけの専門的な知識を身に付ける必要があります。
- 著者
- ["志保 裕行", "若月 香織", "玉川 進"]
- 出版日
- 2015-01-10
臨床検査技師は、医師が正しい診断や治療方針を決定できるように正確なデータを提供することが仕事です。現在では、技術の進歩に伴って、検査装置に検体を適切に分析させるだけでデータを入手することはできます。
しかし、より正確な検査データを提供するためには、検査技師にも高い技量と臨床化学の知識が必要です。
本書は、臨床化学検査の実務に適した入門書として書かれた本です。
実際に臨床検査技師として活躍する研究者が、様々な検査技法について詳しく解説しています。入門書であるため、図表など視覚的にもわかりやすく書かれているので、臨床化学の初心者でも安心して読み進められます。
- 著者
- 横田 俊弘
- 出版日
高度化した医療現場では、より質の高い医療を提供するために、医師を中心として看護師・臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士などが、それぞれの仕事を専門として分業して担当しています。
そのため、現在の医療はチーム医療です。医療現場では、臨床検査技師などそれぞれの専門職が自分の専門知識を活かして活躍しています。
本書は、医療現場で働く臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士について詳しく知れる本です。その詳しい仕事内容を知ることができます。
この一冊で仕事内容が似ている専門職をそれぞれ比較できるようになっているため、自分にあった仕事を選ぶ際の手助けになるのではないでしょうか。
- 著者
- 出版日
- 2016-03-26
臨床検査技師は様々な検査方法について精通している必要があります。それは検査結果によって患者さんが抱える病気をデータとして見えるようにしなければならないからです。
本書は病気がみえるシリーズの第1巻として販売されている本です。画像やイラストなどが非常に豊富に使われており、実際にどのように検査を行えばよいのか理解することができます。
臨床検査技師が参照すべき最新のガイドラインにも準拠しているため、最新の知見に基づいた検査方法について具体的に学べることが本書の特徴です。
読者の読みやすさにも配慮した構成になっており、誌面のQRコードを読み取ることによって、スマートフォンやパソコンを使って胸部から腹部までのCTを参照することもできます。
より立体的に人体の構造や検査の方法を学ぶことができるため、実践的な知識が身につく一冊です。
現代医学において、最近では超音波検査や遺伝子検査なども加わり、医療技術の進歩や医療の分業化によって取り扱われる検査の対象はますます広がりをみせています。従来、臨床検査技師の活躍の場は検査設備の整った病院や診療所などでした。しかし、検査の対象が多様なったことによって、臨床検査技師の活躍の場は、臨床検査を専門に請け負う検査センターなどにも広がりをみせています。そのため、高度医療の展開に伴い、今後臨床検査技師に対する需要は高まってくるでしょう。臨床検査技師を目指している方はぜひ一読ください。