リハビリテーションは障害を持った人々の意欲を引き出して、前向きに取り組んでいくものです。今回は言語聴覚士について見ていきます。仕事と役割を見た後は、言語聴覚士について書かれているおすすめの本を3冊ご紹介していきますので、そちらもぜひご覧ください。
初めに言語聴覚士はどのような仕事をしているのか見ていきます。言語・聴覚という言葉が入っているとおり、言語聴覚士は言葉や聴覚のリハビリテーションをおこなう職です。障害は先天的なものと後天的なものがあります。先天的な障害は、脳性麻痺・聴覚障害その他の理由で言語を覚えにくい状態となるもの。
後天的な障害においては、言語機能がリハビリテーションによって回復が見込めます。言語聴覚士はリハビリテーションを通じて、障害を持っている人々にケアする役割もはたしているのです。食事面でも、嚥下機能のリハビリテーションを行います。
では給料面ではどうなっているのか見ていきましょう。言語聴覚士の給料は22万~26万円くらいと言われています。年収にすると300~400万円です。他のリハビリテーション職の理学療法士・作業療法士と比べてしまうと、若干低くなる傾向にあります。
しかし、言語聴覚士はまだ不足しているので、場所によっては優遇されるかもしれません。
最後に言語聴覚士にはどのような人が向いているのかについてですが、リハビリテーションは障害を持つ人との信頼が大きくものを言います。また、細やかな気配り・相手を観察する洞察力・問題を見つけてどこが問題かを分析する分析力は必須です。何より優しさは絶対に必要でしょう。
リハビリテーションの分野で不足している言語聴覚士ですが、言語聴覚士を目指すためにはどうしたらいいのでしょう?まずは言語聴覚士という資格について見ていきます。
言語聴覚士は国家資格です。他の医療・福祉系の国家資格と並ぶもので、成立したのが1997年と、比較的最近。
言語聴覚士になるためには、大学・短大・専門学校で3年以上養成課程で学ぶ必要があり、修了してやっと国家試験を受けられるようになります。学べる大学、短大、専門学校は上記に述べているように、養成課程がある学校です。
学費は大学・短大で約113万~200万円、専門学校で約124万円~185万円くらいになります。
言語聴覚士国家試験の難易度を見ていきます。国家試験は軒並み難しいですが、例外なく言語聴覚士の国家試験も難関だと言われているので、その理由を探っていきましょう。
難しいと言われている理由ですが、言語分野が中心だからです。言語は普段私たちが使っているコミュニケーションツールですが、どのように話すのか、発声のメカニズムなど専門性が高いため国家試験の合格率も理学療法士より低くなっています。
合格率が低いということを考えると、人材が不足していることが容易に想定できるでしょう。しかし専門的知識が医療分野でも活かされていこうとしている現状があるため、言語聴覚士のニーズは今後さらに高まっていくことが予想されます。
つまり、言語聴覚士の将来性は明るいものになっているということがいえるでしょう。
言語聴覚士という資格は、福祉関係者や病院関係者以外で耳にすることがあまりないでしょう。実際にどのような仕事をしている職業なのか、資格はどのように取るのかなど、分からないことがたくさんあります。
以下の本は、上記に挙げたことが書かれている本です。
- 著者
- 出版日
- 2003-04-01
詳しく内容を見ていくと、仕事をしている現役の言語聴覚士がどのような仕事生活を送っているのかなどが、現実的な視点で書かれています。いざ言語聴覚士として働こうとしている人にとってはイメージがしやすく、仕事にも入りやすい内容。
言語聴覚士について知りたい人へも、仕事内容がわかりやすく書かれています。本書には、これから資格を取ろうという方に対してどのように資格を取得していけばいいかを詳しく解説しているので、言語聴覚士を目指す人は初めに読むべき基本的な1冊でしょう。
言語、聴覚、嚥下の各機能への機能支援・リハビリテーション分野で最前線に立つ、言語聴覚士を志す人に向けて具体的な仕事内容や資格の取り方などを幅広く掲載しているのが本書です。
- 著者
- 中島 匡子
- 出版日
- 2017-05-31
言語聴覚士という職業に就いている人は、実に様々な職場で働いています。一般的なイメージでは施設や病院をメインに働いている印象ですが、実際は、どうなのでしょうか。身近に働いている人がいるか、自ら出向いて話を聞きに行かなければ、わからない人も多いでしょう。
本書には、現場で働いている言語聴覚士の人の話した内容が収録されています。働いている人の話から施設や病院ではどのような仕事をしているのか、仕事ぶりがイメージできるので、将来的に具体的にどこで働こうか迷っているなら、この本を読んでみるのもおすすめです。
先天的な障害を持って生まれた子どもは、伝えたいことが伝えられず孤独になっていきがちです。筆者は児童福祉関係の仕事をしていた人物で、子どもは無限の可能性があり伝えられることさえできれば、どこまでも成長できるという希望を持って本書で語っています。
そして言語聴覚士は、発達障害や脳機能の障害を持っている子どもたちの可能性を広げる、その手助けをし、活躍をしていく存在だと述べています。
- 著者
- 中川 信子
- 出版日
- 2009-08-03
子どもの支援には、親との連携が不可欠です。常に一緒にいる親と連携していかなければ、子どもの支援はできません。普段の様子、特徴、日々の変化など子どもに関することの情報共有が必要となります。この本では障害持つ子どもの親に対して、我が子へどのように接するかなどが書かれています。
具体的に発達障害、言葉の遅れがある子どもへの接し方をわかりやすく解説しているので、言語聴覚士だけではなく、障害を持つ子どもの親にも読んで欲しい1冊です。
言語聴覚士という職について見てきましたが、より詳しく知りたい方はご紹介した本を読めばイメージしやすいでしょう。おすすめの3冊、ぜひ読んでみてください。