居心地良い空間は、日常生活に潤いを与えてくれます。インテリアにこだわりたいけれどもイメージ通りにいかない、という時に頼りたいのがインテリアコーディネーター。ここでは仕事内容や給料、資格に関することを、おすすめの本とともにご紹介します。
インテリアコーディネーターとは、インテリアコーディネートの専門職です。働く場所によって異なりますが、主な仕事内容はクライアントの要望に応じてインテリア選びや配置をアドバイスすること。家具や照明、壁紙などのデザインだけではなく、その材質や機能についてなど、幅広い知識を求められます。
依頼主として個人住宅が真っ先に思い浮かびますが、インテリアコーディネーターの依頼主は、個人だけではありません。店舗やオフィスなどの商業施設、図書館や病院、市役所、学校などの公共施設を担当することもあります。
主に空間自体のコーディネートを任されていますが、厳密にここまでがインテリアコーディネーターの仕事とは決められていません。建築施工に関することなど、インテリアだけではない幅広い知識が求められます。
インテリアコーディネーターは、基本的に工務店やインテリアショップ、内装関連の会社に勤務しています。基本年収や月給は一般的なサラリーマンとの大きな違いはなく、平均で300万円から450万円ほど。大きな会社のインテリアコーディネーターの場合は、より高額な給料をもらっているケースもあります。
家具メーカーなどの店員となると、自社製品の販売ノルマが設定されていることがあり、売り上げによって左右される場合もある様子。フリーランスで活動しているインテリアコーディネーターや、独立してデザイン事務所を経営している場合も、最低限の平均年収は会社勤務と大きな差はありませんが、実力によっては700万円~800万円ほどの年収を獲得している人も中にはいるようです。
インテリアコーディネーターには、公益社団法人インテリア産業協会が認定する民間資格があります。実務経験豊富で、資格を取得せずに働いている方もいますが、資格を取得していることで、専門職として就職に有利になったり、給料にその分の手当てが付くことも。特別な理由が無い限り、インテリアコーディネーターを目指すならば取得しておいたほうが良いと言えるでしょう。
資格試験は2段階あり、1次試験の合格者のみが2次試験に進むことができます。1次試験はマークシート方式の学科試験。9分野あり、インテリアコーディネーターの基本的な仕事に添った問題のほか、設備や施工に関する問題、福祉や歴史に関する事など、多岐にわたります。
そしてより専門的な知識を求められるのが2次試験。こちらはより実践に特化しており、製図の問題や論文、プレゼンテーションが入ってくるため、付け焼刃な知識だけでの突破は難しく、資格取得を目指す人も、2次試験の対策に苦慮しているようです。
インテリアというと身近なこともあり、手軽に取得できる資格なのかと思えば、そんなことはありません。平成29年度の結果では、1次試験の合格率は約30%、2次試験の合格率は、約50%程度で、当初の受験申込者約9000人に対し、合格者は1900人ほどと決して高い合格率とは言えません。安易に考えていると、思わぬ難易度に苦戦することでしょう。
就職後も資格取得は可能ですが、勉強時間を確保することが難しいともいえます。中には学生の時から受験をし、資格を取得する人もいますが、産休明けの仕事探しや、転職などでも注目度の高い職業のため、主婦層や20代から30代での受験者も多いようです。
独学での突破もできるようですが、通信講座も人気です。大手の通信講座でのカリキュラムは、約8カ月で組まれており、毎月テキストなどが届く形式。過去問題などが充実しており、未経験でも勉強することが可能。
独学では、実務経験を積んでいる場合は1次試験に集中することができるので、書店などで受験対策テキストを購入して勉強をするようですが、それでも受験までに200時間ほどの勉強時間を確保する必要があり、それだけ資格取得に向ける熱意が必要になってきます。
資格が無くてもインテリアコーディネーターとして活動することは可能ですが、資格を持っていることで、より説得力が増すというもの。資格取得をすることでのメリットが多い分、インテリアや建築業界で働いていくうえでは、持っていた方が良い資格であると言えるでしょう。
学生だけではなく、社会人になってからも資格取得を目指す人が多い職業ですが、資格取得後の就職先はかなり多いと言えます。住宅メーカーや不動産会社、リフォームや建築会社、工務店や、設計デザイン事務所など。
ほかにも家具や照明、家電メーカー、デパートやホームセンターなどの量販店のほか、福祉関連やガーデニング関連業者など。就職する場所によって求められる能力や役割が変わってくるため、自身が目指すインテリアコーディネーター像とあまり差が無い就職先を探すことが重要です。
経験を積むことで、住宅だけではなく公共施設など多くの人が訪れる場所のコーディネートを任せられることも考えられます。仕事が評価されることで、将来的に独立して事務所を構える、などという道が開けることもあるでしょう。とにもかくにも実務経験を積んでいかなければなりませんが、必要になってくるのは専門的な知識ばかりではありません。
インテリアコーディネーターは、依頼主の希望に合った空間に対し、実例を挙げるなどのアドバイスをすることを主な仕事としています。依頼主の希望をより具体的にしていくために、様々なインテリアや材質などの専門的な知識も必要ですが、まず第1にコミュニケーション能力が不可欠。さらには、実際に住んだ時の状態を考える発想力や、相手の立場に立った考え方が求められます。
インテリアというと、どことなくオシャレな響きがあり、センスが問われることもあってか、苦手意識を持っている方もいるでしょう。しかし、日本語に訳すると部屋や社内の装飾、照明や家具という言葉になり、そうなってくると目の前にあるちゃぶ台や本棚、タンスなどもインテリアになるので、ぐっと身近なものに感じられるはずです。
こだわりたいけれども良くわからない、インテリアコーディネーターに憧れているけれども、何から手をつけたらよいのかわからないという人におすすめなのが『初めて学ぶこれからのインテリア』です。はじめてとタイトルに関していることもあり、写真などの実例が豊富で、視覚的に学ぶことができます。
- 著者
- 松本佳津
- 出版日
- 2016-10-03
言葉が平易で、1つのセンテンスに対して見開き2ページ程度で解説がされているため、長々と解説が続くという事はありません。身近な家具から始まって、住宅設備や環境と、徐々に広くなっていくので、より自分自身の視野も広がっていくことを実感できるでしょう。
出版は2016年なので最新のトレンドというと、若干ズレが生じてしまいますが、基本的な手法が変わることはありません。仕事や資格についての解説も丁寧にされているので、インテリアコーディネーターを目指す方はもちろん、自分自身でコーディネートをしてみたいと考えている方にも、手軽に手に取って学べる1冊。ちょっと部屋が使いづらくなったと感じたら、参考にしたい情報が満載です。
インテリアコーディネーターは、専門的な学校を卒業し、資格を取得するなどの手順を踏んでなるものではありません。資格を有していることは武器にはなりますが、基本的には就職し、実務経験を積んでいくことで、より実力が身についていく職業であるといえます。
憧れはあっても、実際どういうことをしているのか、どんな苦労があるのかなど、実際に働いている人の意見というのは、なかなか聞けないもの。『インテリアコーディネーターの仕事につきたい!』は、これから目指す人に向けた1冊です。著者が現役のインテリアコーディネーターという事もあり、実際に働いている人の意見が豊富で、より具体的に働いている自分をイメージすることができるでしょう。
- 著者
- 久住 博子
- 出版日
- 2011-05-10
これから目指す学生だけではなく、転職を考えている人にもおすすめできますが、出産後の職業として考えている方も参考になる部分は多いでしょう。経験者からの言葉という事もあり、安心感を与えてくれるはずです。
もちろん実際のコーディネート例も掲載されており、目でも楽しめる1冊。インテリアコーディネーターが気になる、実際に目指すとなるとどうなのだろうと、具体的な情報を求めている方に、おススメできます。漠然としたイメージが確固たるイメージに変わる瞬間を味わえそうです。
家は人にとって一番身近なもの、なくてはならないものです。結婚をし、子供も生まれた時に、やはり自分の家を持ちたいなと考える家は、いわば人間のロマンを具現化したものとも言えるかもしれません。建売住宅ではなく、自分や家族の希望に沿った間取りを考えるというのは、特に希望が膨らみます。
しかし希望と現実は違うもので、実際に住んでみるとさほど良いものではなかった、となるのはよくあること。自分自身の希望がそのまま住み心地の良い家とは限りません。『住まいの解剖図鑑』は、住宅を解剖し、各所に解説やイラストを付随してまとめた本です。住宅関係者はもちろんのこと、これから家を建てようと思うという方が読んでも、参考になる情報が満載です。
- 著者
- 増田 奏
- 出版日
- 2009-11-20
家はただ建っているわけではありません。間取りが決められており、玄関や階段、ダイニングやキッチン、浴室にトイレと、用途によって部屋が湧けられています。その1つ1つをイラストとともに解説。必要な機器の存在や、困った事、昔からされてきた工夫なども掲載されており、自分の家がかなり機能的なものであると実感することができるでしょう。
人の動きである動線の解説や、収納のことなど、住宅建設をするときに気にしたいポイントなども抑えられており、読み物としてだけではなく実用的でもあります。すでにある程度の知識を持っている方には、確認するテキストとしても十分役立つ1冊です。
インテリアコーディネーターはセンスが問われるというイメージがありますが、それだけではなく、確かな知識の上で成り立っている職業であるという事がよくわかります。資格取得の難易度は高めですが、依頼主とともに1つの空間を作り上げる、達成感に満ちた職業です。