世界的に有名な、本作の主人公。そんな彼の名は、作品に詳しくない方にもよく知られていることでしょう。では、その人となりや来歴はどうでしょうか?今回は知っているようで知らないケンシロウに、スポットライトを当ててご紹介したいと思います。 最強と思われた彼が負けた相手や、少年漫画の主人公とは思えぬ畜生発言(?)まで、知って驚くことがたくさんあるはず……! ちなみに本作は、スマホアプリから無料で読むこともできます!ぜひご利用ください。
本作は原作の武論尊、作画の原哲夫コンビによる、バイオレンスアクション漫画作品。80年代に「週刊少年ジャンプ」で連載された本作は、さまざまなメディアで作品化されてきました。
なかでも有名なアニメ版で多様された決め台詞「お前はもう死んでいる」は、当時の流行語にも選ばれて空前の大ヒットとなったのです。
- 著者
- ["原 哲夫", "武論尊"]
- 出版日
物語の時代は核戦争後、文明が滅んだ近未来。荒廃した世界では、人情が失われたかに見えました。
一子相伝の暗殺拳「北斗神拳」伝承者・ケンシロウは愛する人を取り戻すに旅をして、血と、時に涙を流しながら強敵との戦いをくり広げます。
彼の魅力は、ただ強い敵と戦うだけでなく、激闘のなかで互いに悲しい生い立ちを分かち合い、最後には強敵(「とも」と読む)として対等に向き合うというところにあるでしょう。
そんな彼は意外(?)にも、本編ではカタカナの名前だけしか名乗りません。世紀末には家名の意味がないからでしょうか。
読み切り版では「霞拳四郎(かすみ けんしろう)」と、漢字の名前と苗字まで設定されていました。ただし、読み切り版と本編では設定に食い違いがあるため、本名がそのまま当てはまるかどうかは不明です。
身長は185cm、体重は100kg。見た目通りのめちゃくちゃ高い長身で、鍛え抜かれた体であることがわかりますね。年齢は劇中では不明でしたが、公式ブック『北斗の拳SPECIAL』によれば、およそ26~30歳とのこと。劇中の時代が西暦2000年前後として、おおよその生年は1970年代ということになります。
その年齢で、その見た目?その落ち着きよう?と驚きが隠しきれません。
そんな彼のイメージを決定付けたアニメ版の声優は、神谷明。しかし後年の外伝や派生作品などでは。子安武人や俳優の阿部寛といった、別人が声を担当するケースも多くなってきています。
すでに皆様はご存知のように、彼は北斗神拳の継承者にして、無双の拳法家です。それに加えて、強靱な肉体と鋼の精神の持ち主でもあります。劇中では数々の難敵や困難にも、顔色を変えずに立ち向かっていました。
しかし、思い出してみてください。『北斗の拳』の1巻の冒頭、フラフラになった彼が水を求めるという、文明が崩壊した世界らしい印象的な、あのシーンです。
達人といえども、飲まず食わずは厳しいのでしょうか?しかし、それ以後は飲まず食わずでも、このような描写はありません。ですが、もし仮に彼が法外な距離を踏破してきた後だとすれば、どうでしょうか?それも無補給で。
同じく冒頭では、ジードの偵察隊が罪なき人々を襲うシーンがありました。そこで襲われた人々は、無価値と成り果てた日本紙幣を所持していたのです。これは日本の現状を知らない大陸の人間が、そうとは知らずに現地の紙幣を用意して移住してきたところだった、と考えられるでしょう。
ザコが札束をゴミのように扱うシーンは、あまりに有名です。すぐに調子に乗るザコの悪いところが、1巻からさっそく見られます。
おそらく劇中では、核戦争で日本海が干上がり、中国大陸とは地続きになっているのでしょう。襲われた人々はジープで、そしてケンシロウは徒歩で渡ってきた。このように考えれば、飲まず食わずで疲労がピークに達してフラフラになっていた説明がつくのではないでしょうか。
と、いうより、そのくらいまで追い込まれていない限り、彼があそこまで極限状態になっていた説明がつきません。
あるいは単に、長期間人里に立ち寄ることが出来ず、飲まず食わずで放浪していただけかも……。しかしその場合、冒頭で現金を大事に所持していた人達の説明が出来なくなります。
メタ的に考えると、現代社会の常識が通用しないという表現ではあるのですが……。考察してみても、謎は深まるばかりです。
次のセクションは、彼の宿敵である、あの方の紹介ですよ!
今ではもはや周知の事実ですが、彼と仇敵・ラオウは、義兄弟です。ラオウを長兄として、次兄・トキ、三兄・ジャギ、そして末弟・ケンシロウ。同じ一子相伝の北斗神拳を学ぶ者として、師匠・リュウケンが養子にとったのでした。
また、後にはラオウとトキは血の繋がりのある実の兄弟であり、ケンシロウとも親戚であることがわかります。ケンシロウは北斗神拳の正統な血筋である北斗宗家の人間で、ラオウ、トキは宗家の分家筋に当たります。さらにいえば、修羅の国編で登場したカイオウはラオウの実兄、ヒョウはケンシロウの実兄です。
極論すれば、本作は北斗宗家の壮大な兄弟喧嘩ということ。いや、はた迷惑!
ラオウについては<『北斗の拳』ラオウの知られざる11の事実!暴君の身長体重、最後、名言まで>で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
- 著者
- ["原哲夫", "武論尊"]
- 出版日
なお、最終的に勝ち残ったのはケンシロウですが、このなかでもっとも弱かったとされるのも彼。彼には非情に徹しきれない甘さという弱点があり、北斗神拳の伝承者でありながら、当初の力量は劣っていたのでした。
それが強敵との実戦を経て、哀しみを知ることによって強くなっていき、伝承者に相応しい力を手に入れていったのです。
しかし、ケンシロウが弱いというより、パワーインフレが起こり過ぎているだけの気が……。
これは、かなり意外なトリビアかもしれませんが、彼のトレードマークである「胸の北斗七星型の傷」には元々大した意味はありませんでした。2012年のトークショーで原作担当の武論尊が語ったところによれば、荒れた時代を象徴する、いわばファッションとして設定していたそうです。
ユリアを巡る争いでシンにつけられた、というのも実は後付け。当時は週刊連載ということで、先のことはあまり考えずに、その場凌ぎでストーリーを書いていたとか。
悪くいえば行き当たりばったりですが、作者にすら先の展開が白紙というのは、読者にも物語の先が見えないということ。そういったライブ感のようなものが、当時の盛り上がりの原動力だったのかもしれませんね。
連載されていたころに、彼の好物は設定されていませんでした。劇中の世界が世界だけに、好き嫌いが許されるはずがないということだったのでしょう。そんなこと考えてる余裕もなさそうですし。
しかし、ずいぶん経ってから、ある番組が彼の好物を直接作者に聞く、という調査をおこないました。「世紀末でなかったら」という前提で答えた、武論尊と原哲夫の回答は、綿菓子とリンゴ。めっちゃファンシー!
しかし見解の相違があったために、そこで議論が差し挟まれることに……。最終的には両作者公認で、ビーフカレーという好物が設定されたのです。ただのカレーではなくて、ビーフというところに、ケンシロウのこだわりがみて取れます。
世紀末じゃなかったら、カレー大好きな普通の若者だった……のかも!?
彼といえば終始寡黙で、きゅっと口を引き結んだ、ニヒルなキャラというイメージ。ストーリー自体が悲劇的で残酷な展開が多いので、涙を流したり激情に駆られたりすることはあっても、和やかに過ごすシーンはまったく見当たりません。
実際に『北斗の拳』の最初から最後まで見渡しても、彼の笑顔が描かれているのは、たった一箇所のみなのです。
それは、最終巻である27巻のラストエピソードでのこと。家族同然に想うリン、バットの行く末を見送ったケンシロウが、亡きユリアの面影を空に見たシーンです。過酷な人生を歩んだ男の穏やかな笑顔が描かれたは、この1度きりでした。
長い長い旅路の果て。その時に出たこの静かな微笑みに、彼の想いがすべて表れているように感じられるのです。
こんなよいエピソードの後でなんですが、次のセクションでは彼の迷言、畜生発言たちをご紹介!ジャンプ漫画の主人公なのに!?
主にアニメ版の副題の影響から「世紀末救世主伝説」として知られる本作。彼は劇中では愛する人を追う傍ら、強者に虐げられる多くの弱者を救うなど、まさしく救世主と呼ばれるに相応しい活躍を見せてくれました。
しかし、その一方で、彼には救世主らしからぬ辛辣な一面も多々あるのです。特に悪漢に対処する時には、とんでもない畜生発言をすることもしばしば。
特に印象的なものとしては巨漢・ハート様に対して、
やっぱりブタか……
ブタは屠殺場へ行け!
(『北斗の拳』1巻より引用)
人間ではなく、まさかの動物扱い。「やっぱり」ってことは、以前からブタだと思ってて、ここで再認識したのですね。
おまえのようなババアがいるか!!
(『北斗の拳』8巻より引用)
あまりにも有名な迷言。納得のツッコミですが、まずシンプルに「ババア」がアウト。
汚ねぇツラ近づけるな!!
(『北斗の拳』4巻より引用)
ただのストレートな悪口です。思わず、ザコもどん引き。
臭い息を吐くのは それくらいにしておけ
(『北斗の拳』9巻より引用)
バロナに対するセリフ。これがリアルに1番傷つく!でも確かに臭そう……って思ってしまうのは、私の心が汚いからでしょうか。
他にも5巻では、ジャギの子分のモヒカン(あの有名なザコ)に対して、頭をかち割るということもしてみせました。ここは残酷なのに、どこかコミカルな印象。畜生発言以外にも、こういった鬼畜な所業も目立ちます。
体型のことをバカにしたり、相手に「臭い」と言ったりするのは小学生だと学級会が開かれるレベルのアウトな行為ですが、オブラートというものを忘れている(もしくは持っていない)ゆえに、クズといわれてしまうのかもしれませんね。ある意味、素直に伸び伸び育ったともいえる……かも?
次のセクションでは、みんな大好き!あの永遠のヒロインについてご紹介です。結婚式挙げてたの!?
本作の第1部は、彼が生き別れの恋人・ユリアを求めて戦う物語でした。そう言っても過言ではないほど、男たちは彼女を求め、そして命をかけて戦ったのです。自覚なき、ナチュラル魔性の女・ユリア。
彼女とケンシロウは結婚を誓い合う仲でしたが、横恋慕した南斗孤鷲拳のシンによって引き裂かれてしまいます。それが発端となって旅が始まるのですが、どれだけ求めても2人は運命的に離れていってしまうのです。そのすれ違うさまは、まさに悲恋のようでもありました。
ユリアは生死不明の状態から、南斗最後の将として表舞台に再登場。しかし、ケンシロウが彼女と接触するよりも早く、ラオウに再び奪われてしまいます。ラオウとの決着後、2人は束の間の平穏を過ごしましたが、しばらくして彼女は儚く病没してしまうのです。
悲しいことに原作では、彼らがしっかりと結ばれた場面はありません。
ところが、2008年に公開された映画『真救世主伝説 北斗の拳ZERO ケンシロウ伝』にて、そんな2人の結末に救済が図られました。浜辺の教会で、慎ましやかに結婚式を挙げるという場面があったのです。
さらに上映記念のイベントとして、武論尊と原哲夫も招いておこなわれた結婚式イベント、「結魂式」も開催されました。
2人の運命は悲劇に見舞われたものでしたが、幸せな結婚があったことが示唆されたのでした。
劇中の活躍から、彼が無敵のヒーローと思っている方も多いでしょう。ところが、そんな彼に土を付けた強敵もいるのです。
まずは、南斗六聖拳「殉星」のシン。そもそも、この対決で負けていなければ、ユリアを奪われることもありませんでした。
次に、南斗六聖拳「仁星」シュウです。若き日のケンシロウと、命を賭けた他流試合をおこないます。結果はシュウの勝ちでしたが、勝負のなかで、彼はケンシロウに希望を感じます。本来なら負けた者は死ぬことになるのですが、自分の目を潰してまで彼の助命を嘆願したのでした。
結果、シュウは彼の命の恩人になります。
- 著者
- ["原 哲夫", "武論尊"]
- 出版日
そして忘れてはならない、南斗六聖拳「将星」サウザー。南斗最強の鳳凰拳と、持ち前の特異体質で勝利します。
そして北斗4兄弟長兄、世紀末覇者ラオウです。厳密にはケンシロウは負けていませんが、南斗水鳥拳レイが(その時点では)敵わないと発言しています。
最後は、修羅の国を統率する第1の羅将カイオウ。北斗神拳究極奥義、無双転生すら完封した、まさにケンシロウにとって悪夢のような存在でした。
カイオウについては<『北斗の拳』カイオウは根っからのクズ!?身長、体重から最後まで8の事実!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
『北斗の拳』本編では、彼の詳しいプロフィールはほとんど明かされていません。前述した本名もそうですが、北斗宗家の血筋ということ以外は両親すら不明なのです。
そんななかで、事実上の前日譚として発表された『蒼天の拳』には、彼と直接関係してそうな同名の霞拳志郎が登場します。
- 著者
- 原 哲夫
- 出版日
- 2011-12-20
読み切り版のケンシロウと苗字も一致するので、父親の可能性はあるのですが……拳志郎、そして彼と結ばれる潘玉玲(はんぎょくれい)は、ともに第2次大戦前の人物。ケンシロウの生年である1970年代には2人ともかなりの高齢であり、生みの親と考えるのはちょっと無理があります。
ですので、彼らの息子がケンシロウの父親、と考えるのが妥当でしょう。
ちなみに、本作もスマホアプリで無料で読むことができるので、ぜひご覧ください。
北斗神拳の真髄は格好いい技にある……かどうかはわかりませんが、思わず声に出して読みたくなる技名が多数あります。数多くある北斗神拳のなかから、選りすぐって5つの技を選出してみましょう。
次のセクションでは、迷言ではなく、ちゃんとした名言をご紹介!
続いては、本人が放った名言の数々をご紹介しましょう。有名なものから感動的なものまで、ベスト5でご覧ください!
きさまには地獄すらなまぬるい!!
(『北斗の拳』5巻より引用)
ジャギの蛮行で幼い少年・アキが亡くなったことで、ケンシロウの怒りが爆発したシーン。誤解されがちですが、ジャギに直接言った台詞ではありません。
おれの墓標に名はいらぬ!! 死すなら戦いの荒野で!!
(『北斗の拳』27巻より引用)
物語に幕を引くかのような一言。これこそハードボイルド!と呼ぶべき、男の名言でしょう。
この傷の痛みは一瞬
だが、あんたの死の痛みは一生残る
(『北斗の拳』14巻より引用)
優しい大男、南斗五車星の山のフドウが卑劣な罠にかかった場面。物語上の重要人物である南斗最後の将よりも、心を通わせた男の救助を優先した言葉でした。
おまえもまさしく強敵(とも)だった!!
(『北斗の拳』24巻より引用)
劇中で、実質的に最後のライバルであるカイオウに手向けた台詞です。「強敵」と書いて「友」と読む。レイやラオウにも、そう言いました。散った仲間も、倒した敵も、最期には友人であるという戦士の流儀が感じられます。
お前はもう死んでいる
(『北斗の拳』7巻より引用)
これぞ、彼の代名詞となっている名言!最初に使われたのは1巻のジードに対してですが、もっとも広く知られているこの形とは、微妙に異なっています。
しかも派生を含めても、原作では数回しか使われていません。意外!
いかがでしたか?ケンシロウという人物について、より深く知ることが出来たでしょうか?本記事を踏まえて『北斗の拳』を読み返すと、また違った楽しみ方が出来るかもしれません。
そんな本作はスマホアプリから無料で読むことができるので、ぜひご利用ください!