臨床工学技士になるには?5分で分かる、仕事内容や給料、必要な資格など

更新:2021.11.13

医療の現場において、あらゆる高度な機器を操作し、日々保守点検をおこなう臨床工学技士。メディカルエンジニアとも呼ばれる彼らは、高い専門性と技術を持ち、生命の最前線で活躍しています。知名度としてはまだ低く、世間にもあまり知られていない臨床工学技士について、仕事内容や給料、やりがいなどを詳しくまとめてみました。臨床工学技士に関するオススメの本もご紹介しています!

ブックカルテ リンク

臨床工学技士の仕事内容、給料は?

臨床工学技士は通称「CE(Clinical Engineer)」や「ME(Medical Engineer)」と呼ばれる、医療現場で活躍する国家資格の一つです。

医師の指示のもと、厚生労働省令で定める生命維持管理装置の操作や保守点検を行います。扱う装置は、人工心肺装置や人工透析装置、人工呼吸器など、患者の生命に直接関わるものが多いため、業務を安全に遂行する必要があります。そのため、高い専門性と集中力、責任感が重要となります。

おもな就業先としては、病院や診療所、医療機器メーカーがあげられます。 勤務する場所の規模・地域など、条件により多少の変動はありますが、平均年収はおおよそ400万円~500万円程度。規模の大きな病院やメーカーであるほど給料や待遇が良い傾向にあります。

そのなかでも透析クリニックは、人工透析装置の操作や点検を仕事としている臨床工学技士にとっては人気のある職場で、好待遇であることも多いよう。 夜勤や当直に入ると手当がつくため、そのぶん収入も高くなります。

臨床工学技士になるには?必要な資格や大学、専門学校など

臨床工学技士は国家資格であるため、国家試験に合格しなければなりません。

臨床工学技士国家試験を受験するためには、高校卒業後、臨床工学技士養成課程がある大学、短大、あるいは専門学校へ通い、指定の科目を修了する必要があります。例外として、臨床検査技師、診療放射線技師、看護師のいずれかの養成校の卒業者であれば、臨床工学技士専門科に1年間通うことで受験資格を得ることができます。

いずれの方法にせよ得られるのは「受験資格」。晴れて臨床工学技士になるためには、その後国家試験を受験、合格することが必要です。

ただ、合格率は比較的高く、おおよそ70%後半〜80%前後を推移しています。養成校によっては100%をキープしているところも。  

とはいえこれは、卒業見込み生に対しての合格比率。医療関連の養成校や専門課程においては、卒業に至るまでがきびしい道のりであることも多く、専門的な知識や技術の習得は決して容易いものではないため、やはり相応の努力は必要となります。

裏を返せば、日ごろからしっかりと学び、養成校を卒業できるレベルに達している学生にとっては、決して難しい試験ではないということですね。

臨床工学技士のやりがいと苦労とは?どんな人が向いている?

医療に携わろうと思う人で、なおかつ機械に興味がある人であれば、まさに臨床工学技士に向いているといえます。

繊細かつ難解な医療機器を扱う臨床工学技師。医療スタッフのなかでも、最先端の機械技術に関わる職業です。機器の操作だけでなく、その修理も業務の一つ。常に進歩し続ける医療機器を扱うべく、日々の勉強と研鑽は不可欠です。

そのためには、高度な知識と技術習得への情熱が必須。機械に興味がある人でなければなかなか続けることはできないでしょう。

また、機械と向き合うことが多い職業ではありますが、根本は「医療職」です。 人と接することが好きな人や、誰かを助けたいという強い志をもっている人、そして、他の医療スタッフと円滑に関係を築くことができ、チームプレイに喜びを見いだせる人、といった、医療人としての特性も必要となります。

臨床工学技士は、患者さんの生命や、穏やかな生活を維持するための繊細な機器を扱い、その安全を管理することが仕事です。命の最前線で働くこの仕事は、大きな緊張感をともなうものの、この上なくやりがいのある仕事といえます。

また、比較的新しい国家資格であるため、自らがパイオニアとなり、臨床工学技士の未来を築いていく一助となれることもやりがいの一つ。 法律で定められた範囲内で、自分のできることを見つけ、自分の力で業務の幅を広げていくことができるのです。

まだ世間にはあまり知られていない臨床工学技士ですが、機械化がすすむ医療業界で今後欠かすことのできない職業です。 自らの活躍が、「臨床工学技士」という職業の啓蒙活動にもなり、その未来を創るのです。
 

こういった未知数のおもしろさは、時にプレッシャーとなることもあるかもしれませんが、大きなやりがいを得られることは間違いありません。

臨床工学技士を志す人は必読!

著者
横田 俊弘
出版日

著者は医療ジャーナリストの横田俊弘。タイトルのとおり、これら3つの職業に「なるには」という方法と、その魅力に焦点を当てて書かれた一冊です。

多種多様な医療職において、患者や医療者を縁の下から支える「臨床検査技師」「診療放射線技師」「臨床工学技師」。 医師や看護師など、直接患者とかかわることの多い職業と比較すると、知名度こそまだ低いですが、彼らがおこなう検査や、高度な機器の操作は、現在の医療現場に欠かせません。

本著は3章の構成から成り、第1章では医療を支える専門家としての彼らの実録を、第2章では医療技術者である彼らが、チーム医療においていかに重要な役割を担っているのかについて、高い専門性に着目して述べられています。

そして第3章は「なるにはコース」として、表題にある3つの職業における適正や心構えをはじめ、必要となる資格やその取得方法、気になる就職の実際など、これらの道を志す人や進路として検討している人にとって、知っておきたい情報がしっかりとまとめられています。

臨床工学技士の道をすすもう、あるいは知りたいと考えている人は、必読です。

臨床工学技士の仕事を知ろう

著者
WILLこども知育研究所
出版日
2017-05-25

 

医療・福祉の見る知るシリーズ、臨床工学士編です。

臨床工学技士とはどのような職業であるのか、勤務先ではどのように1日を過ごしているのか、どんな学校へ行けばこの仕事に就けるのか、どういった人が向いているのか……。臨床工学技士に関する疑問をすべて解説している一冊です。

写真付きでわかりやすく作られており、医療者向けというよりは、子どもや、将来こういった仕事に就きたいと考えている若者にこそ読みやすい本。

人工呼吸器や、人工透析装置の操作、保守点検といった、臨床工学技士といえばまず思い浮かぶ基本的な役割から、手術室でのはたらきや、心臓カテーテル検査室業務など、技士の様々な役割について知ることができます。

 

医療の現場で即使える一冊!

著者
三木 隆弘
出版日
2016-01-07

 

救急の現場やICU(集中治療室)、手術室など、救命の最前線でこそ必要とされ、活躍する精密機器たち。いまや医療には欠かせない機器ですが、その扱いは非常に難しく、実は看護師や研修医でさえも苦手意識を持っていることも。

そんな医療従事者のために、本著では、基本的な機器から、めったに登場しないけれどいざというとき知らないと困るマニアックな機器、そして機械トラブル時の対応まで、イラスト付きで易しく解説。

臨床工学技士を志す人にとっても、さまざまな医療機器を一挙に詳しく知ることができるおもしろい内容となっていますし、現在医療機関で勤めている人にとっても、明日から現場ですぐに使える情報が満載の一冊です。

 

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る