自動車整備士は、国土交通大臣が認定する国家資格の1つ。そのため、自動車整備士の技能検定である『学科試験および実技試験』に合格する必要があります。1級の場合は筆記試験のほかに、口述試験も行われます。検定試験を受験するためには、各種専修学校で所定の課程を修了する、一定期間の実務経験を積むなど、級や仕事内容によって方法はさまざまです。この記事では、この仕事に就くための方法や仕事内容、年収などについて、詳しく説明していきます。
自動車整備士は、自動車の点検整備に関する専門的な知識と技術を有する国家資格です。主な仕事は、ドライバーが安心して自動車に乗れるように、定期点検や整備をおこないます。
この仕事は、ドライバーの命を預かる大切な仕事です。バイクなどの二輪車から、トラック・バスなどの大型車はもちろん、さまざまな自動車を整備します。最近では、ハイブリッドカーや電気自動車などもあるため、全ての車両の点検・修理を行えるようにするためには、しっかりと勉強しなければなりません。
各種オイル交換やタオル交換は、資格が無くてもおこなうことができます。板金塗装も、資格は必要ありません。しかし、ハンドやブレーキの操作具合、ブレーキディスク・ブレーキドラムの点検、ドライブシャフトの緩みの点検など専門的な知識が必要な場面では、資格が必要となります。
このように需要が高い仕事ですが、給与面を考えると、決して恵まれているとは言えません。平均年収は380万円から400万円程度で、月給は約30万円程度となっています。労働内容と給与が見合っていないのが現状です。
自動車整備士になるためには、一定の受験資格を満たした上で、国土交通大臣が行っている『学科試験(1級の場合は筆記および口述試験)および実技試験』を受けて、合格する必要があります。この試験に合格しない限り、働くことはできません。
その方法の1つとして、一定の実務を経験した後、国がおこなう自動車整備士技能検定の学科および実技試験に合格することが挙げられます。これ関しては、登録機関による試験に合格、または養成施設を修了することにより、技能検定試験の一部、もしくは全部を免除することもできます。また、実務を積まずに受験資格を得る方法もあります。
養成施設には、一種養成施設と二種養成施設の2種類があります。
一種養成施設は全国に約230施設あります。整備専門学校・高等学校・職業能力開発校などがこれに該当します。主に、自動車の整備作業に関しての実務経験がない人を対象とした施設です。この養成施設で定められた課程を修了すると、修了した課程に対する実技試験の免除と、技能検定の受験資格を得ることができます。
二種養成施設は、全国に約53施設あります。これは各都道府県自動車整備振興会の、自動車整備振興会技術講習所が該当します。主に、自動車の整備作業に関しての実務経験がある人を対象とした施設です。この養成施設で定められた課程を修了すれば、修了した課程に対する実技試験が免除されます。
一般的には、高校を卒業してから養成施設に入学する場合が多いです。さらに自動車科などの学科を有する大学で、国土交通大臣が定めるものを修了すれば、課程に応じた技能検定試験の受験資格を得ることもできます。
自動車整備士業界では現在人員が不足しており、経営に支障が出ている事業所も存在しています。都会の整備工場であれば、新卒が求人に応募してくることも多いですが、田舎の整備工場ともなると、誰も応募してこない場合もあります。そのため、全国的に人員が不足しているのです。
しかしそんななかでも、仕事の需要は高まることが予想されています。それは自動車が電気自動車となったり、それに伴って高度なAIが自動車に導入されようとしているからです。このような技術に対しては、専門的な知識を身に付けなければいけません。そのため今後も、この仕事は社会的に必要となっていくことでしょう。
特に自動運転の車が開発されている昨今では、将来的に自動車整備士が運送業のような企業に直接採用されることも考えられます。
そうなると、現状のままでは整備士が不足してしまいます。そういった場合、現在は低いままとなっている給与も、改善されるかもしれません。今後、活躍の場は、より社会の広範な場へと広がっていくでしょう。
自動車整備士に興味がある人は、まずはどんな仕事なのかを知るところから始めましょう。この仕事に少しでも興味があるなら、まずはこの1冊がおすすめ。必要になる勉強や、養成校、試験科目などについて、詳しく説明されています。
- 著者
- 広田 民郎
- 出版日
- 2015-07-30
本書では最初に、自動車整備士として働いている人のドキュメントが紹介されています。仕事内容や収入などについても紹介されていて、さらに実際に働いている方に対するインタビュー記事なども掲載されています。現役で働く方の、ナマの声が聞ける内容です。
自動車整備士になりたいと思った人がどのような進路を進めばよいか、その手順について知ることができるこの本。第一線で活躍する人の仕事を実際にのぞくことができるので、自分が将来どんな風に働きたいか、しっかりと考えられるような構成となっていることが特徴です。
これから自分の進路を決めようとしている方には、特におすすめの内容となっています。
実際に自動車整備士として働いている人達のドキュメントが紹介されているのが、本書の特徴です。
この仕事に就いた後、どのようにこの仕事に向き合ってきたかが詳しく書かれています。上で紹介した本とは大きく違う点は、資格試験などの勉強についてはあまり触れていないことです。
本書は、実際にこの仕事に就いた人にとって自分の仕事の魅力と大変さとは一体何なのかという内容に、多くが割かれています。この職業について、ここまで詳しく説明された本はなかなかないので、その点が本書の魅力です。
そのため安心して乗れる車にするために、どのような意気込みで働いているのかを知りたい方に、特におすすめの内容です。
- 著者
- 山口 宗久
- 出版日
自動車整備士は、高度な専門知識が必要となる仕事です。特に自動車会社によって特有のパーツがあり、それに合った整備が必要となります。時代の変化とともに様々な車が開発されるため、点検するだけでも一苦労です。この本では、そんな大変さについても詳しく紹介されています。
この本を読めば、自動車整備士たちがどれだけ車が好きで、そして車の悩みを解決するプロであるのかを感じることができるはずです。この仕事に就きたい人には、ぜひ読んでもらいたい1冊。
どんな苦労があるのかを知ってもなお、この仕事に就きたいと思わせるだけの魅力が、この本には詰まっています。きっと、自分が就こうとしている仕事の魅力を再発見できるはずです。
自動車業界に関する本はたくさん出版されていますが、この本の特徴は、自動車整備士からみた自動車業界の裏側が紹介されていることです。
自動車業界は、一見華やかな業界であるように見えます。しかし、自動車は複雑な技術が組み合わさって動く「機械」ですので、実際には細かく地道な作業が要求されます。だからこそ、高度な知識をもった人が必要なのです。
そして整備士は、車を見れば、その車に乗っている人がどんな人なのか、どんな運転をするかまで想像することができるということが、本書には書かれています。自動車整備士の視点から車を見れば、この業界の裏側がみえるというのが本書の主張です。
- 著者
- 原 正彦
- 出版日
この本は、単に自動車業界の裏側について暴露しただけの本ではありません。業界の実情から、自動車ユーザーはもっと賢く、そして大切に自動車に乗る必要があるということを考えさせられます。
この仕事に就こうと思っている人は、この本を読んで業界の実態をきちんと理解しておく必要があるでしょう。その上で、整備士として生きていくために、今自分には何が必要かを考えることが大切です。本書はこれから自動車整備士として働きたいと考えている人だけでなく、普段車を利用する全ての人に読んでもらいたい内容となっています。
自動車整備士の仕事は非常に大変な仕事です。少子高齢化に伴って、この資格をもった人も少なくなってしまっています。
そんな状況の中で、現代社会では車の整備ができることへの需要も高まっています。まずは上で紹介した3冊を読んで、どんな仕事なのかを理解した上で、これから自動車整備士にどんなことが求められるのかを考えることが大切です。