幼稚園教諭と保育士って何が違うのでしょうか?それぞれの目的の違いから、その平均年収、詳しい仕事の内容、さらにはなるための資格の取得方法まで分かりやすく解説していきます。最後にこの職業に興味のある方向けの本もご紹介させていただきます。ぜひ最後までご覧ください。
幼稚園教諭は満3歳から小学校に上がるまで、施設で教育をおこなうことが仕事です。幼児は遊ぶだけでなく、勉強も行います。教育要領に基づくカリキュラムがあり、それに沿った教育をおこなうことはもちろんですが、「健康、人間関係、環境、言葉、表現」のそれぞれについて、運動や音楽、遊びなどを行い、幼児の成長を一緒にサポートします。
1人ひとり個性が違うので、その個性をしっかりと把握し、尊重しながら、成長できるように工夫を凝らす必要があるこの職業。子どもの可能性を最大限に引き出してあげることこそが最大の役目かもしれません。またその他には、小学校入学前の子どもたちに集団行動を身につけさせることや、保護者と円滑にコミュニケーションを取ることも大事な仕事です。
平均年収は300万円〜350万円となっています。初任給では、手取りで10万〜15万というところが多いようです。給料面では、他の職業と比べるとあまり多くないかもしれません。そのため、この仕事を続けたいけど、お給料面で退職されていく方も多いようです。
この仕事を目指しているのであれば、理想と現実の差を埋めるために、そういった面もきちんと調べておくことをおすすめします。
幼稚園教諭と保育士。どちらも小学校入学前のこどもを対象にしているので、ほぼ同じとお考えの方も多いかもしれません。しかし、前者の目的が教育であることに対し、後者は、保育を目的としています。こういった意味では、幼稚園の方が学校に近い側面があるのかもしれません。また、夏季休暇や冬季休暇とった長期休暇があるのも特徴です。
保育園は、共働きなど、子どもの面倒を見られない親が預ける意味合いが強いです。そのため、未満児(0歳〜2歳)も預けることが可能となります。一方、幼稚園には3歳未満は入園することができません。
また、保育園に私立はありません。そのため、保育料はすべて自治体が収入に応じて決定します。幼稚園は公立もありますが、私立もあります。公立の料金は自治体が決定しますが、私立の料金は設置者が決定するので、安いところもあれば、かなり高額になるところも多種多様です。
上記のような施設の違いがあるので、それぞれの職業の仕事内容も幼稚園教諭は情操教育を施すこと、保育士は、園児たちを預かり、見守ること、という違いがあります。また、前者の預かり時間が4時間程度であるのに対し、後者は基本的には11時間以内ですが、それ以上預かることもあるということで、体力を必要とするのは後者でしょう。
ただし、幼稚園教諭は保護者も参加するイベントも多いため、彼らに対して気を使う場面は保育士に対して多め。
また、昨今台頭してきた認定こども園ですが、保育園と幼稚園の中間的な存在です。2つを一元化すべきという施策から、2006年に生まれた制度です。保育に重きをおいたものや、教育に重きをおいたものなど、いろいろな種類の認定こども園が存在します。
キャリアとして選択肢が広がったので、自分がどのような仕事に就きたいのか、それぞれの職業の違いについてなどを考慮し、どのように働くかを決めるとよいでしょう。
幼稚園教諭には3種類の免許があります。
1種免許状、2種免許状、専修免許状です。1種免許状とは、所定の4年制大学で課程を終了すると取得できる資格。2種免許状とは、所定の短期大学、専門学校で課程を終了すると取得できる資格です。専修免許状とは、大学を卒業した人が大学院修士課程または専攻科で学ぶことで取得できる資格です。
この3種類の資格の違いは、どんな学校で学んだか。資格の名前は違いますが、単純に2種より、1種の方が優れている資格ということではありません。業務の幅にも、大きな差はありません。実際に就職する際にも資格の種類はほとんど関係ないようです。
ただ、新卒採用の場合、大卒と短大・専門卒では初任給や給料が違う場合もあるようで、多くて2万円ほどだそうです。
- 著者
- 原田 小夜子
- 出版日
- 2017-04-23
幼稚園教諭になるための基礎知識・仕事内容・資格取得方法をわかりやすく解説しており、目指す方にとって、道しるべとなる本でしょう。
なりたい職種がある方なら、まずはその職種の仕事内容を調べます。この本は、子どもの話を丹念に聞くことが、すべての育児の基本であると記しています。また自己肯定感があってこそ、「がんばる心が育つ」といったような内容も記載。子どもの心理的な特徴から、子どもたちとどう接するべきかが記載されているのが特徴です。
また、どうしたら主体性を育てることができるかや、民主主義を学ばせる方法まで幅広く解説されているので、困った時の助けとなってくれるのがこの本。小さい子どもを教育していくための知識や知恵といったノウハウが満載の本です。
これからこの職業を目指す方や、現在、この職業に就いている方にも、とても参考になること間違いなしの1冊。ぜひ手にとってご覧ください。
- 著者
- 出版日
- 2012-02-29
この本は、モンテッソーリ園を題材にした幼稚園教育の本です。モンテッソーリとは、イタリアで医者として働いていた同名人物の教育法のこと。基本となる考え方は、「子どもの生きる力を最大限に引き出すこと」で、棋士の藤井聡太が幼児期に受けていた教育論としても有名です。
この本は、実際にモンテッソーリの家を訪ねた様子や、仕事の内容、仕事のやり方、子どもとの接し方がこと細かに解説されています。幼児教育に携わる上で、モンテッソーリ教育はとても参考になる理念です。実際の現場の様子が活字から伝わってくるので、まるで現場にいったかのような臨場感を体験できる本となっています。
この職業を目指す上で、自身の考えが揺るがないように、いろいろな考えに触れておくべきでしょう。そういった意味ではとても参考になること間違いなしです。ぜひ手にとってご覧ください。
- 著者
- 中山昌樹
- 出版日
- 2015-08-24
昨今台頭してきた認定こども園について細かく解説されているのがこの本です。幼稚園教諭という資格は同じでも、働き場所は人それぞれです。
今後この認定こども園も、働き場所として選択肢の1つに入ってくるのではないでしょうか。この本は、認定こども園はいつからできたのか、また現状の課題などに関して触れています。さらに実際の認定こども園である「あかみ幼稚園」に訪問し、話を伺っています。
また働いている人の視点で、認定こども園について描かれているのは当然ですが、保護者目線から見た認定こども園についても記載されていることがポイントです。地域から見た認定こども園についてが、描かれています。この本1冊で認定こども園のすべてが分かります。
認定こども園に勤めたいと思っている方はもちろんですが、この仕事を目指して選択の幅を広げたいと考えている方にもとっても、参考になること間違いなしの本です。