人間の命に直結する仕事であるため、採用までの道のりも長く、ほんの一握りの人しかその職に就けない航空管制官。 実際に活躍できるようになるまでには、大学卒業後もかなりの勉強が必要となります。この記事では、その仕事内容について説明した後で、その年収、採用試験、女性の働きやすさ、関連するおすすめの書籍などについて詳しく説明していきます。
航空管制官とは、飛行機が安全かつスムーズに運行できるようにサポートする職業です。主な仕事内容としては、飛行機の離陸や着陸の許可をしたり、誘導路を行きかう飛行機の交通整理を行ったり、レーダー管制室や航空交通管制部にいる管制官などと連絡や調整などを行ったりします。
集中力を保つために、1つの仕事につき30~60分の短い間隔で交代するようになっており、60分に1度は休憩も取ることになっています。飛行機の進路や高度を決めるのも管制官の仕事です。このような仕事を通じて、航空管制官は飛行機の安全を守っています。
勤務体系はシフト制が取られています。そのため日によって勤務する時間帯はばらばらです。出勤時間に関係なく、出勤後は必ず、担当空域の天候を確認し、飛行禁止に指定されている空域や注意事項などを把握します。
航空管制官の給料として、初任給はおよそ20万円程度です。この給料に、勤勉手当・期末手当だけではなく、航空管制手当、夜勤特殊勤務手当・休日給などの手当が支給されます。公務員であるため、年功序列で給料は上がっていきます。平均年齢は40歳ほどで、年収としては650万ほどになるそうです。
航空管制官は国家公務員です。なるためには試験を通貨する必要があります。短大、高専、大学以上を卒業している30歳以下のすべての人に受験する資格が与えられていますが、試験の合格率は非常に低く5%ほどです。試験で合格点を取ることはもちろん、視力や聴力の条件も課されるなど門の狭い試験となっています。また、英語が必須の仕事となるので、TOEICなどの語学力も必要です。
航空管制官採用試験に合格し、国土交通省の職員として採用されると、「航空保安大学校」と呼ばれる管制官になるための研修施設において1年間の基礎研修が実施されます。
専門研修を終え、技能試験に合格することで晴れてこの仕事に就くことができます。全国の空港に配属され、働き始めることとなるのです。
航空管制官には男女の区別はなく、女性でも働くことができます。産休、育休後も復帰して働き続けることができるという魅力があり、最近では女性の割合も増えてきているそう。
上でも説明したように、航空管制官は国家公務員です。公務員法によって産休や育休などについても保証されているので、女性でも安心して働くことができるでしょう。
ただし、働き方としては基本的にシフト制なので、場合によっては夜勤となることもあります。休日も飛行機は運航しているため、土日祝日が出勤日となることも少なくありません。
個人の勤務時間はきちんと決められており、基本的に残業はありません。転勤となることもありますが、上司と交渉することによって、回避できる場合もあります。融通の利く仕事である分、周囲の人との協力が肝要です。
航空管制に関して知識ゼロからでもわかるのが本書の魅力です。その役割について基礎の基礎から解きほぐし説明されています。なりたい人、仕事内容について知りたいという人にピッタリの本です。必要な知識が載っているだけではなく、具体的な業務の流れまで押さえられています。
- 著者
- 藤石 金彌
- 出版日
- 2014-05-16
航空管制官は人の命と直結している仕事です。空の旅を守るために、離陸から着陸までパイロットと協力して、安全な空の旅をサポートしています。
本書の最大の特徴がカラー図解で資格的にすぐ仕事の特徴などについてわかるということなのですが、飛行機事故を未然に防ぐために彼らが日夜働いている現場を間近で見ているかのように学べます。日ごろ何が行われているのか、事故を防ぐためにどんな工夫がなされているのかについて、分かりやすく知ることができるのです。
過去に起きた飛行機事故についても語られているページがあり、その後の航空管制における対応策についても取り扱われています。
- 著者
- 秋本 俊二
- 出版日
- 2017-07-19
世界中の空にはたくさんの飛行機が飛んでいますが、それらの飛行機は航空管制によって管理され、安全に運航されています。そこには高度なシステムがあり、それについて非常に詳しい説明がなされているのが本書の魅力です。
1冊目に紹介した本は、航空管制官になるための説明が多いものでしたが、本書ではそのシステムの方に焦点が当てられています。航空管制ってそもそも何?という疑問をお持ちの方にはオススメです。
また、他にも様々な航空管制に関する知識が載っていて、雑学書として読んでも面白い内容となっています。
- 著者
- 伊藤恵理
- 出版日
- 2016-09-02
この本の主人公は、航空管制科学を研究する若い女性研究者です。この学問は、航空管制を学問的な視点で考えるという内容で、飛行機が安全に目的地まで飛べることを目的に取り組まれます。
航空管制科学と一口に言っても、気象学、電子工学、航空工学など理解しなければならない領域は幅広く、場合によっては国際政治学(国家間の取り決めや条約)などにも理解がなくてはなりません。コンピュータの進歩が目覚しい昨今において、それは航空管制科学にどのような変化をもたらすのか、彼女の考察が書かれています。
本書は、一方では、社会的に認知の低い航空管制を彼女がどのように世に広めていったかが記された奮闘記としての側面もあります。彼女が取り組んだ航空管制科学の研究とともに、読みごたえのある内容になっているので、この仕事をさらに大きな視点から、深く知ることができるでしょう。
航空管制官のおかげで、私たちは毎日安全に空の旅を楽しむことができています。上で紹介した本は、どんな仕事で、普段何をしているのかを非常に詳しく説明してくれている本ばかりです。将来なりたいと考えている人から、ちょっと興味がある人まで楽しく読み進められます。まずは上で紹介した3冊の本を手にとって、なかなか知ることのできないこの職業について理解を深めてみてくださいね。