小説家としてもデビューをしているつぶやきシロー。しかしどうやら、読書に対してはかなりの抵抗があるらしい。彼に「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。 第14回は、本当に実践できるのか、豊かな暮らしとは何なのか、考えてしまう本を紹介します。
どうも、芸能界の端くれにいるものです。
僕みたいなものが、日ごろどんな食生活をしているか発表します。
スターさんだと、行きつけの高級店をはしごしながら泡を飲んでいるのでしょうが、僕くらいの端くれは、スーパーのお惣菜コーナーが行きつけになります。
しかも閉店間際の半額シールが貼られている商品しか買いません。半額シールが貼ってあれば、ちょっと高いお寿司も思い切ってカゴに入れることができます。半額シールは僕に勇気と生きるための栄養を与えてくれます。
たまに、半額だからって調子に乗って買い過ぎてしまい、家の冷蔵庫にも入りきらず、腐らないうちに無理やり食べることがあります。半額シールにひっかかって、体よく在庫処分で買わされてただけだと気付くのですが、なんせ貧乏性なのでやめられません。
あれは木枯らし一号が秋の終わりを告げた寒い夜のことでした。僕はいつものようにチャリでスーパーへと向かいました。当然お総菜コーナーへまっしぐらです。でもまだ半額シールは貼られていません。そこで立ち尽くすのもなんだし、店内を冷やかしながらも、お総菜コーナーへの意識は研ぎ澄ませていました。いつ半額シールを貼りだすかわかりません。お総菜コーナーの周りにお客さんはいないし、僕も気が緩んでいたのでしょうか、持ち場を離れすぎてカップラーメン売り場で新商品に心を奪われていました。
あ、っと我に返り、お総菜売り場に急いで戻ります。どうかまだ半額シールが貼られていませんように。現場に着くと、さっきまでどこに居たのってくらいの人だかり。どんどん売切れていきます。お客さんの期待を背負って店員さんもどんどん半額シールを貼っていきます。僕も負けてはいられません。「狙った獲物は必ず半額で買う」僕の座右の銘です。よしよし、お目当てのナスの挽肉はさみ揚げに半額シールが貼られるまでもうすぐだ。と、おばちゃんが僕の狙っているナスの挽肉はさみ揚げを手に取り、店員さんに半額シールを貼ってと催促した。そして店員さんも貼った。
え!ダメでしょ!貼られてからのよーいドンでしょ! まだ半額シール貼ってないんだから、正規の値段で買いなさいよ! 言えるわけもなく泣き寝入り。おばちゃんの勝ちです。おばちゃんは確かにズルいかもしれないけど、安く手に入れるために僕よりも必死で生きています。
タイトル「0円で生きる」
- 著者
- 鶴見 済
- 出版日
- 2017-12-18
物のもらい方拾い方、シェアの仕方、元手0円で誰にでもできる稼ぎ方、公共サービスの利用の仕方、自然界からのもらい方と、本当に0円で生きられるかもしれないと思わせてくれる本。
だからといって仕事を辞めるとこまではいかない。それは、0円で生きるためには、別のめんどくささがあるから。結局生きるって地獄だね。
さっそくネガティブに元も子もない事を言っちゃったけど、気になったとこを少々。
まず、カンパを貰う方法を紹介している。0円で生きる醍醐味だね。昔友達が、一人一人に頭を下げて「お願い、10円ちょうだい」って10人に懇願し、100円集めて自販機でジュース買ってた。確かに10円くらいならってあげちゃうもんね。
本当にお金がない時に、見知らぬ人でも1円ならくれるだろうから、国民全員から貰えば1億円手に入るって考えたことあるよね。
あと人ん家を泊まり歩くといいって言っても、宿泊費浮くけど、勝手に冷蔵庫開けちゃ悪いし、テレビのチャンネル権ないから見たいテレビ見られないし、トイレは音が漏れないようにそろ~と、トイレットペーパーを巻く音もそろ~とって気使うよね。実家の帰省でも、ありがたがられるのは最初の二日くらいで、あとはまだ居るの?なんか手伝えって疎ましがられるもんね。
あとゴミは宝の山って言っているけど、ゴミはゴミだよね。ゴミを拾う時の注意点を、長年ゴミを拾い続けている野宿者のAさんから聞いた話を中心にまとめている。野宿者って。
でもこれが面白いので、いくつか紹介するね。
●中が見えないゴミ袋は、まず手で持ってみる。
●回収車が何時に来るか覚えておく。
●店員に気づかれないようにする。
●他の野宿者がゴミ出しを待っているところがあるので、そこはやめる。
●花見後の公園は、一年でも最大の狙い目。
●高級住宅地はいいものが出るので、遠出してでも行く価値あり。
近い将来、役に立ちそうな気がして胸騒ぎを覚えます。
あと、フリマね。フリーマーケット。売るのは勿論、主催する側になった場合の手続きなどまで細かく指南してくれている。
僕がフリマやるんだったら、やっぱ服かな。着ていない服たくさんあるのに、いつも同じ服しか着ない。じゃあ買わなきゃいいのに買っちゃう。買って袋に入ったままの状態で放置。なんだろね、この現象。パンツも50着はあると思うんだけど、意外とマメに洗濯する方だから、畳む前にまた穿いちゃうんだよね。だから同じパンツばっかり。でも買っちゃうんだよね、いざって時のために。いざって何だよ。
あとカップ麺50個とレトルトカレー50個。なんか買っちゃうんだよね。カップ麺を積み上げた分だけ100円ってやつ開催しようかな。
あと納豆に付いてくるからしが大量にあるんだけど、買う人いないかな?たまたま大量のシュウマイ食べるからちょうど良かったって人現れないかな。あとクリアファイル地獄。地獄って言っちゃってる時点でね。あれたまるよね。クリアファイルをクリアファイルに挟んで売りたいね。
この本は、各章の終わりにレクチャーとして資本主義へのアンチテーゼなども書かれているところがいい。ただのせこい生活をしようという本ではないのだ。
いや~0円で生きることは、現代人には難しいだろうなと読みながら思ったね。みなさんも興味があったら、この「0円で生きる」を読んでみてはどうでしょうか。
ただ、著者には申し訳ないが、この本を買っちゃダメ。貰うか拾わないと。そこから始まっているからね、「0円で生きる」は。この本を是非買わないでください。僕はこの本をフリマに出すけどね。
つぶやき読書
お笑い芸人のつぶやきシローさん。小説家としてもデビューをしています。しかし、「本を1冊読むのに数ヶ月かかることもある」など、読書に対してかなりの抵抗があるらしい。「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。隔週金曜日更新!