健康運動指導士という職業を聞いたことがあるでしょうか? 病院などでその人に合った運動プログラムを作って、その指導をする仕事です。子どもから大人まで健康のための運動プログラムを作る健康運動指導士にはどうやったらなれるのでしょうか?
健康運動指導士は、病院など各種保険医療機関と連携を取りながら健康づくりのための運動プログラムを作成・指導する職業です。生活習慣病の予防や、お年寄りの体力づくりなど様々なプログラムを作成し、健康促進のために日々活動しています。
活躍の場所は病院、介護施設や健康増進施設、民間のフィットネスクラブなどさまざまです。また今後は高齢化社会に伴い介護施設での需要が高まるといわれています。年々健康への意識も高まっていることから健康運動指導士への興味関心も高まってきているといえるでしょう。
医療機関や介護施設などでは、医師や看護師、理学療法士や作業療法士など他の治療やリハビリの専門スタッフと協力しながらプログラムを進めていくことが重要です。その人一人ひとりにあったプログラムを作り、よりよい生活が送れるように手助けしていくことが健康運動指導士の仕事です。
では、健康運動指導士の給料はどれくらいになるのでしょうか?
健康運動指導士は年収として200~400万円がボリュームゾーンのようです。資格が必要な職業ではありますが、現時点では高い収入を得られるというわけではなさそうですね。
ただ、正社員・契約社員・パートなど働き方が多様なため、一概に平均がどれくらい、というのはいえないようです。経験や勤務先などで異なるため、求人先での給与体系を調べてみるのは大事ですね。
勤務先によっては健康運動指導士を取得することで資格手当が支給されることもあるようです。民間のフィットネスクラブでも有資格者は優遇されることもあります。
健康運動指導士の資格は、「健康運動指導士認定試験」に合格しなければなりません。受験資格を得る方法としては、以下のどちらかになります。
その後、認定試験を受けて合格になれば「公益財団法人 健康・体力づくり事業財団」に登録し、健康運動指導士として活動できるようになります。
健康運動指導意士養成講習会には受講資格があり、以下が主な受講資格です。
これらは受講資格によって受講が必要となる科目が異なるので、よくチェックしましょう。講習会で所定の単位を修得すると認定試験を受けることができます。
健康運動指導士養成校は全国に83校(2018年4月現在)あり、それらを卒業すれば受験資格が得られます。
合格率は受講資格によって試験の内容が異なり、区分ごとに差がでてしまうこともあります。平成30年の試験結果は全体では65.5%と半分以上が合格していますが、近年の平均はだいたい60%前後のようです。
健康運動指導士の試験は出題範囲が広く、学ぶ内容も多いのが特徴です。講習会を受講しての受験であれば、専門知識などをじっくりコツコツと身に着けていきましょう。
晴れて合格すると、健康運動指導士として登録が可能です。登録は5年間となっており、所定の講習会を受講し、更新登録手数料を支払うことで更新できます。登録後は、病院など医療期間、介護施設、健康増進施設、民間のフィットネスクラブなどが想定される就業場所です。
健康に関する問題は誰しも起こりうることです。ましてや、年をとって運動があまりできなくなるというのはみんな直面することではないでしょうか。
健康や運動というキーワードへの関心が高まっている昨今、健康運動指導士への需要は高まっていくと予想されています。国家資格でなくまだ認知度は低いですが、政府が資格取得に対して積極的なのでこれから活躍の場が広がったり、待遇も現在より良くなるのではないかと考えられます。
- 著者
- 出版日
- 2014-03-31
スポーツ科学を幅広く、ポイントをおさえたいときにはこれ。スポーツ生理学やからマネジメント、コーチングに至るまでスポーツ科学の基本的なことが掲載されています。
自分たちの体、筋肉や神経といったトピックだけでなく、「スポーツ行動への動機付け」といった心理学的な面や、「社会の中のスポーツの位置づけ」といった社会学的な面など様々な面から重要な事柄が開設されている本です。
アスリートや運動指導者として、「スポーツ」というものがどれだけ幅広いものか、どのような効果があり指導するに当たって何に注意が必要かなど、健康運動指導士として基本的な知識が身につけられるでしょう。
基礎的な資料としてまずは読み込んでみるといいかもしれません。
- 著者
- 上谷 実礼
- 出版日
- 2017-05-17
アドラー心理学を用いて多くの人が苦手としがちな保健指導の解説をしていく本。
アドラー心理学についての解説はもちろん、保健指導の診断結果の説明の仕方や傾聴のスキルなど「どんな情報を相談者に伝えればいいのか」を明確にしていくことができます。
単純に「褒める」ではなく「勇気づけ」をおこなうことが重要としており、その人がどう思ったか、なぜそうするのかといった分析をしつつ、その人の価値観に寄り添いながら共感し、勇気づけをしていくことで保健指導がうまくいくという具体例もふまえて掲載されています。
内容はもちろん、イラストを使い会話形式で読みやすく、アドラー心理学についても、保健指導のヒントとしても理解が深まる1冊です。
- 著者
- 中山 和弘
- 出版日
- 2016-06-03
健康面での意思決定をするための情報やサービスを調べ、効果的に利用する能力、というのがヘルス・リテラシー。
年々高まる健康への関心とともに、ヘルス・リテラシーについても個人個人で理解が必要です。もちろん、健康運動指導士としてそれらを一緒に育てていくのもひとつの仕事。この本でヘルス・リテラシーの基本的な考え方、どうはかるのか、どのように現場で活用できるかをしっかりと解説しています。
国内外のヘルスリテラシーに関する情報と、ヘルスリテラシーの評価ツールについても紹介され、この1冊でほとんどを網羅できるといってもいいでしょう。実践例も交え各施設ごとの支援方法を解説されており、どんな職場の人にも役に立つ内容となっています。
聞きなれない言葉ですが、これからの時代に重要になる事柄だけに、まずはしっかりとこの本で理解して患者さんや対象者に説明できるようになりたいですね。
いかがだったでしょうか。あまり聞かない健康運動指導士という職業ですが、高齢化が年々進む日本で重要なポジションになっていきそうですね。ぜひオススメした本を参考にして自分の将来について考えてみてください。