『天-天和通りの快男児』の名言を全巻ネタバレ紹介!ドラマ化漫画が無料!

更新:2021.11.24

「理」で麻雀を打っていたひろゆきと、それ以外の目的で打っていた貴史。打ち方の異なる2人の男がくり広げる、人情×麻雀のアツイ物語が幕を開けるのです。 伝説の雀士を主人公とした『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』や、さまざまなギャンブルに命をかける『賭博黙示録カイジ』。そんな人気作を手掛けてきた福本伸行の隠れた名作が『天-天和通りの快男児』です。ドラマ化された本作を、各巻の見所、そして名言を交えてご紹介しましょう。 スマホアプリからは、無料で読むことも出来ます!※ネタバレ注意です。

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隠れた名作『天-天和通りの快男児』とは?あらすじを紹介【無料】

 

麻雀や賭博を題材とした漫画で人気の、福本伸行の原点ともいえる作品。義理人情に篤い勝負師・天貴史(てん たかし)と、繊細で率眼を得意とする青年・井川ひろゆきを中心に、物語が展開されます。

序盤は、麻雀よりも人情話が重視されており、福本の他作品のような緊迫した勝負を期待して読み始めると困惑するかもしれません。しかし物語が進むにつれて裏社会の人間も登場し、手に汗握る勝負がくり広げられるようになります。

また『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』や『HERO -逆境の闘牌-』は、本作から派生した作品です。伝説の博徒という人気キャラクター・赤木しげるも登場します。

本作は岸谷五朗、吉田栄作などの豪華キャストでテレビドラマ化もされました。漫画を読んだ際は、こちらの作品もチェックしてみてはいかがでしょうか。


福本伸行のおすすめ作品を紹介した<福本伸行のギャンブル漫画おすすめ5作品!天才っぷりが伺える傑作たち>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。

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『天-天和通りの快男児』1巻の名言をネタバレ紹介!青年が天才勝負師と出会う

 

天貴史は妻が2人いるという、少々風変わりな男。麻雀では無類の強さを誇っており、近所では知らぬ人はいません。ある日、雀荘のトラブル解決に呼ばれた彼は、そこで荒稼ぎしている青年・井川ひろゆきと出会います。

天と行動をともにしていたひろゆきでしたが、価値観の相違もあり決別。代わりにヤクザの沢田にスカウトされ、裏社会でその腕を振るい始めるのでした。

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福本 伸行
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天とひろゆきの麻雀勝負は前半と後半に用意されており、イカサマな手も用意されてはいますが、麻雀漫画として読みごたえがあるのは後半の戦い。ひろゆきの理詰めの麻雀の強さはもちろんのこと、天の意外な強かさを見ることができ、心理戦では手に汗握ります。

人情ものらしいほのぼのエピソードもありますが、名言は後半の麻雀戦から。ひろゆき、そして天とコンビを組んだラーメン店店主・中西の言葉に、

あわよくば……という考え方
それが命とりになる
(『天-天和通りの快男児』1巻より引用)

 

というものがあります。

勝者と敗者、どちら側に立つかで印象が変わりますが、勝負の場ならではの言葉であることは間違いありません。欲を出すな、という言葉は日々の生活のなかでも戒めの言葉となるでしょう。

『天-天和通りの快男児』2巻の名言をネタバレ紹介!神域に到達した男との激闘

 

土地の権利をかけ、地上げ屋の代理として戦いに挑んだ沢田とひろゆきを、イカサマで負かした天。1巻の最後ではあわや命の危機でしたが、冒頭で沢田に斬られて重傷を負いました。

その後、沢田とひろゆきは袂を別つこととなった地上げ屋を倒すべく対決することになりますが、強敵の出現に苦戦を強いられます。万策尽きたかと思われたその時、ひろゆきの前に現れたのは怪我の治りきらない天でした。

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福本 伸行
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なんとか室田に勝ちをおさめることができた天でしたが、地上げ屋はさらなる強敵を送り込んできます。室田の代わりに現れたのは、中年の男・赤木しげる。「神域の男」とも呼ばれる強運を持ち、天衣無縫の麻雀を打つ伝説の博徒でした。

ほとんど自分の魂を切るように打つ牌があるんだよ 
その魂の乗った牌 そういう牌で和了ること…
それはまるで人の心を喰らうようだ…
(『天-天和通りの快男児』2巻より引用)

そう豪語する赤木は、噂にたがわぬ勝負強さを見せ、天を翻弄していきます。
 

本巻の見どころは、なんといっても赤木の登場でしょう。彼はスピンオフ作品『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』の主人公でもあります。若い頃に見せた驚異的な運気からは陰りが見えるものの、華があると評された打ちは健在。年齢を重ねたからこその深みが感じられるのです。

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『天-天和通りの快男児』3巻の名言をネタバレ紹介!新たな物語の幕開け東西戦序章

 

2巻から引き続き、天と赤木の激しい闘いが序盤からくり広げられます。激闘の末、天がかろうじて勝利をおさめるのですが、赤木は「神域の男」の異名に恥じない神業を見せるのでした。

天が優勢のまま迎えた対局で赤木が逆転するためには、難易度が高く、最高得点を狙える役を作らなければなりません。彼は淡々と勝負をすすめ、ついに勝ちをつかみ取る一手を作り上げます。

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福本 伸行
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オレの暗刻はそこにある
(『天-天和通りの快男児』3巻より引用)

牌は見えていないはずなのに、赤木の読み通りとなっていく場面は鳥肌が止まりません。

天との戦いで見せた彼の人間離れした強さは、全巻をとおして1番と言ってよいほどの見所。その実力を十分堪能することができます。

そして後半は、彼との対決からから2年後、熱い麻雀対決がくり広げられる東西戦の幕開けとなる序章のエピソードが語られます。読者の興奮冷めやらぬなか、次なる戦いへと向かうのです。

『天-天和通りの快男児』4巻の名言をネタバレ紹介!東西戦の面子はどうなる?

 

本巻からは東と西、それぞれの場所で戦ってきた裏プロたちが一堂に会して激戦をくり広げる、東西戦の模様が描かれます。

前半では天とともに東側で戦うメンバー探しをおこなうのですが、「三色銀次」の異名を持つ老齢の男・浅井銀次を仲間に引き入れるため、戦いを挑むのです。

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福本 伸行
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銀次は1度、東西戦への参加を拒むのですが、最終的には自ら参加することを決めました。

老兵は死なず……消え去るのみ……
なんて恥ずかしいことを言っちまった。
老兵は死ぬよ!
(『天-天和通りの快男児』4巻より引用)

このセリフには、年齢を重ねたからこそ、彼の迷いと決意が現れています。

沢田が集めてきた「北の二強」の異名を持つ、北海道の鷲尾仁と、岩手の住職・金光修蔵。そして2人とも親交のある赤木の参加も決定。天とひろゆき、健も含めた7人で参加することになるのです。

西からは「赤木の再来」ともいわれる最強の打ち手であり、暴力団の組長も務め、さらには東西戦の仕掛け人でもある原田克美が参戦しています。

『天-天和通りの快男児』5巻の名言をネタバレ解説!裏の裏を読め!

 

前回から開始された東西戦では、2回にわたる予選がおこなわれていました。ひろゆきと健は原田に挑み、健が脱落してしまいます。

予選第2回の勝ち抜けルールは、トップをとった者が予選通過となるトップ取り麻雀。僧我と原田は自身が勝ち抜けることを優先せず、仲間である三井と阿久津を1位で通過させるために立ち回ります。

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福本 伸行
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その様子を見ていた赤木は、西軍を揶揄します。すると、数は力だと豪語する原田。しかし赤木は、彼の言葉をバッサリと切り捨てました。

覚えておくんだヤ―公…
三人で囲めば圧勝できるだと…バカじゃねぇのか?
そういうこざかしいことと無関係の所に…強者は存在する!
(『天-天和通りの快男児』5巻より引用)

原田は組長という立場もあり、人を殺すこともいとわないような人物。そんな強者を相手に、怯むことなく自身の強さを見せつける赤木の堂々とした姿と言葉に、思わず惹きつけられるでしょう。

『天-天和通りの快男児』6巻の名言をネタバレ解説!秘密兵器登場で決勝行きはどうなる?

 

本巻では、前回までに決着のつかなかった予選第2回の対局を中心に、物語が進んでいきます。前回の後半でカリスマ性を見せた赤木と僧我の対決ですが、破壊力のある僧我の手で、一度は逆転された赤木。

しかし冷静に打ち続け、晴れて4人目の決勝進出者となりました。

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勝ちを決めた手は、僧我にとっては思いもよらなかったもの。自身の経歴がかすむほどの敵である赤木に対し、驚愕の表情を浮かべました。対する東側は、初の決勝進出者。

さすが赤木さんっ!
(『天-天和通りの快男児』第6巻より引用)

健の言葉は、読者の心を代弁してくれるものでしょう。どことなくチームワークが感じられるようになっているところも微笑ましい場面です。

後半では原田が送り込んできた秘密兵器・尾神が登場。天が予選通過をかけた戦いに挑んでいきます。

若さがあり、迷走も見られるひろゆきや、圧倒的なカリスマ性を持つ赤木という存在が身近にいるせいか、少々主人公としての存在感が薄まりつつあった天。しかし、ここで麻雀の腕をいかんなく発揮する、存在感抜群の戦いを見せてくれるのです。

『天-天和通りの快男児』7巻の名言をネタバレ解説!ひろゆきが成長を見せる!

 

前回から引き続き、予選第2回と決勝の一部が語られる本巻。赤木がカリスマ性を見せ、銀次が長年培ってきた鮮やかな手を見せるなか、天も主人公としての貫禄を見せつけました。

健という場の空気を明るくする存在が加わったなか、ひろゆきどうした、と気にかけていた読者も多い事でしょう。

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僧我や原田に翻弄され続けてきた若き勝負師・ひろゆきが、裏社会の打ち手として成長を見せるのが本巻。今までは勝敗に執着はするものの、どこか優等生さがみられた彼。今回は自身が勝ち上がるため、ある1手を打ちます。

味方をも騙すその手をくり出すと決断したというところに、彼の成長を感じ取ることができるのでした。

しかし、決勝進出者が戦う本戦では、経験の違いを見せつけられます。

ただ一人の愚兵が隊を死に追い詰める…!
(『天-天和通りの快男児』第7巻より引用)

ひろゆきの打った手で、赤木にまで不利が生じるなかでは、原田の言葉が重くのしかかることでしょう。組織の中での自身の存在について、思いを巡らせてしまいます。

『天-天和通りの快男児』第8巻の名言をネタバレ解説!静かに熱くカッコいい!

 

戦いがより白熱していく本巻では、前巻の後半に引き続き、本戦がおこなわれています。予選ではあまり見せ場の多くなかった銀次と原田の対決が見所の1つ。

原田は一見腕力ですべてを片付けるように見えますが、鋭い読みを持つ策士でもあります。

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福本 伸行
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原田の牌をひっくり返した銀次のガン牌の手を封じるために策を講じるのですが、その作戦の慎重さに、原田の勝負強さの理由を見ることができるでしょう。

天才は初太刀で殺す 
これが鉄則…!
(『天-天和通りの快男児』第8巻より引用)

原田のモノローグには、1度負けた相手を侮らない、強者を認める素直さも見ることができます。

とはいえ、銀次はあと1歩のところで敗退。味方の足を引っ張ることになってしまったひろゆきと、天と赤木が残りました。ひろゆきの自爆を誘い、赤木と天の足を引っ張るように画策する西側に対し、赤木と天は共謀して、とある1手を打ち出します。

その戦いが静かでいながらも、熱く、とにかくカッコいいのです。

『天-天和通りの快男児』第9巻の名言をネタバレ解説!騙し合いの極致!誰が勝ち残る?

 

白熱する本戦。原田が追い詰められる一方、僧我の奮闘により赤木も徐々に追い詰められていきます。

一進一退の攻防が続き、それぞれが勝ち点を減らしていくなか、天との交代時に牌をすり替えられた赤木は敗退の危機にさらされてしまいました。しかし、自身も牌をすり替えることで難を逃れるのです。

イカサマの手を見ているわけではなく、まさしく勝負師の感と言わざるを得ないエピソード。しかし、やはりひろゆきにとっても赤木の行動は驚嘆するべきものだった様子。赤木に、率直に自身の感想を述べるというシーンがあります。

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麻雀も理詰めでしているひろゆきにとって、使うべきは頭。すなわち推理力ですが、赤木は違います。

俺の意思じゃないってこと。
集中さえきれなきゃ、何をするべきかは機会が教えてくれる。
頭なんて使わねえんだ。
そんなもの使ってると「機」は逃げちまう。
どんどん「勝ち」から離れていくし「勝負」そのものから離れていく。
だから勝負の最中は頭など使わずただ殉ずればいいのさ。
(『天-天和通りの快男児』9巻より引用)

彼のスタイルを明言化したセリフです。

前巻に続きひろゆきは成長した姿を見せましたが、その裏には赤木の存在が欠かせません。伝説の勝負師の姿が、1人の若者を導いていきます。

『天-天和通りの快男児』第10巻の名言をネタバレ解説!赤木の美学

 

数多くの名勝負をくり広げ、勝負に対して貪欲ながら、極致を極めた人間特有の清廉さを纏う神域の男・赤木しげる。圧倒的な存在感を見せてきた彼の、勝負に対する考えやこだわりを感じることができるのが本巻です。

原田のイカサマにより、牌の数が変化した状態で彼は勝負に出ました。牌を予想してのことでしたが、仕掛けた原田も思いもよらないイレギュラーにより、予想が外れてしまいます。

敗退が決定してしまった赤木。自身のイカサマが原因でもあり、原田は彼の勝ちを認めますが、これを拒否。潔く退場してしまうのです。

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名言の多い巻ですが、物語の一連の流れから見るに、赤木しげるという人物を語るうえで欠かせないのは、この言葉ではないでしょうか。

俺は…たとえ勝つにしろ負けるにしろ 
赤木しげるとして勝ち 負けたいのだ…
(『天-天和通りの快男児』第10巻より引用)

物語後半に続く伏線でもあるため、どこか重く響きます。作中には勝負に対する責任の取り方に対する名言もあり、自分の認識の違いを痛感させられるのです。

責任をとる道は身投げのような行ための中にはない 
責任をとる道は……もっとずーっと地味でまっとうな道……
(『天-天和通りの快男児』第10巻より引用)

それぞれの生き方が現れた言葉が沁みますね。

『天-天和通りの快男児』第11巻の名言をネタバレ解説!東西戦ついに決勝戦開始!

 

まさかの赤木敗退という展開が待ち受けていましたが、いよいよ決勝戦が開幕。

勝ち残ったのは西の原田と僧我、東は天とひろゆき。共同戦線が張られているわけですが裏の読みあいは加速しており、次はどんな手で覆してくるのか目が離せません。

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福本 伸行
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まさしく一進一退の攻防がくり広げられるのですが、そんななかで策を弄するだけでなく、がむしゃらな姿を見せた原田が、勝ちを引き寄せるシーンがあります。今までどこか勝負から一線を置き、最終的な勝敗ばかりを見据えていた彼も、より純粋なところで勝負へ対するこだわりを見せるのでした。

そんな場面で語られる名言が、これです。

すでにこの場は通常の城跡、確率は通用せぬ流れ。
つまり理では勝てない。
時空はねじ曲がっている。
勝つ道は…ただただ阿修羅の中……我執分けいった先…!
(『天-天和通りの快男児』第11巻より引用)

東と西どちらに軍配が上がるのか、息の詰まる戦いが続きます。

『天-天和通りの快男児』第12巻の名言をネタバレ解説!終わらない戦い!プレーオフ突入

 

勝負というのは、きれいに収まることのほうが稀なのかもしれません。東側は勝利と敗北、両方の結果を同時にそろえることとなり、決着がつかなくなってしまいました。

東西引き分けで終わるかと思いきや、原田が新たに提示してきたのは2人麻雀。天と1対1での勝負が展開されます。

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福本 伸行
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2人麻雀では、より相手がどの牌を持っているのか、何を狙っているのかという読み合いが見所。純然たる知識や推理力だけではなく、勝負勘なども必要になってきます。

今までは非合法的な手段を使ってでも勝つという姿勢を見せていた原田ですが、このプレーオフとなった2人麻雀では、また違った姿を見せるのです。

打ち合っている天には、原田の気持ちを理解できる部分があるのでしょう。

要するにヤツはのぼりつめたいのさ。
生涯に一度でいいから、最高の「時」を迎えたいんだよ
(『天-天和通りの快男児』12巻より引用)

このモノローグには、互いに全身全霊をかけているからこそわかり合えるという、不思議な絆を見ることができます。

『天-天和通りの快男児』13巻の名言をネタバレ解説!真剣勝負が熱い!

 

1つの勝負を、時間をかけてじっくりと描写する作品は多いですが、本作における天と原田の戦いは、まさしく時間をかけてじっくりと描く必要があるものなのでしょう。真剣勝負が続きます。

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苦戦を強いられる天ですが、劣勢続きではありません。東西戦で見せる彼の姿は、知識や勘、運さえも絞り出し、勝ちをつかみ取ろうとする勝負師の姿でした。

物語開始当初では、過去に何かありそうなお人好しの男という印象でしたが、序盤からは目つきも鋭くなり、貫禄さえ感じられます。

原田が優勢のまま迎えた最終局。天にはよい牌が巡ってきました。

持ってきた…!
(『天-天和通りの快男児』)

苦悩と喜びが混在する複雑な表情を見せた彼は、勝負に出ます。最終的に利害はあるものの、卓の上にあるのは勝つという強固な意思のみ。

果たしてどちらが勝ちを引き寄せるのか、勝負の行方から目が離せません。

『天-天和通りの快男児』14巻の名言をネタバレ解説!作者からの挑戦?天の手とは……

 

残り10分という最終局も、いよいよ大詰めを迎えた東西戦。その勝負は大詰めを迎えていました。実際よりも、はるかに濃密な時間が流れています。

原田がリーチという場面で、天は彼の牌を読み切ることができません。リーチをかけた者が有利という、2人麻雀の性質上、天に最大のピンチが訪れるのです。

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福本 伸行
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これかっ…!?
(『天-天和通りの快男児』14巻より引用)

天は牌を切りました。短い言葉のなかに神に祈るような切実さと焦り、牌を読み切れない苦悩といったさまざまな感情を読み取ることができるでしょう。

そして次の対局では、今までとは違った手法がとられています。最初の配牌と天が切った牌、鳴いた牌は読者に提示されていますが、具体的な手は描かれていません。天と原田が激闘をくり広げた2人だけの看破麻雀を、作者が読者に提示するという粋な趣向となっているのです。

天は果たしてどんな手を作ったのか、看破してみましょう。

『天-天和通りの快男児』15巻の名言をネタバレ解説!ついに決着!勝負の行方と新章

 

東西戦プレーオフは、かろうじて天が勝利をおさめました。間をおかずにルールの違う、次なる戦いに突入していきます。

本編は東側の打ち手や、すでに敗退した誰かの視点で描かれることが多かったのですが、この戦いは原田の視点で描かれています。読者も天の持ち牌を推理することができ、お人好しで少々ヘタレだった天の、勝負師としての顔を十分に堪能することができるのです。

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1対1の戦いだけに、自身の読みと勝負勘がモノをいう、紙一重の戦い。原田の名言に、すべてが集約されています。

深いんだろう……
天の「現実」が俺の「現実」よりも……!
(『天-天和通りの快男児』15巻より引用)

ぜひ、最後の激闘を見届けてください。

後半では打って変わって、東西戦から9年後という時間軸で物語が始まります。麻雀の世界からは遠ざかり、まともな仕事をしながら日々の生活を送っている29歳のひろゆきは、新聞の広告で赤木の訃報を知るのでした。

激しい麻雀対決から一転、人間の深みを描く新章が開幕します。

『天-天和通りの快男児』16巻の名言をネタバレ解説!衝撃の赤木の死から始まる新章で見えるもの

 

文具メーカーに勤めていたひろゆきが発見したのは、赤木しげるの訃報を告げる新聞広告記事でした。告別式に参列するべく訪れたのは、岩手県。東西戦にも参加した金光修蔵が住職を務める寺です。葬儀を終えたひろゆきは、通夜に参列することになりました。

ごく親しい人のみが参列を許されたという場には、天やひろゆき、銀次だけでなく、僧我や原田といった東西戦の激戦を潜り抜けた者たちが集まっています。しかし、そこに姿を現したのは、告別式で見送られたはずの赤木でした。

彼はアルツハイマー病を患っており、自分が自分であるという意識があるうちに、安楽死をすることを決意したと告げるのです。衝撃の「通夜編」がスタートします。

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アルツハイマー病とは脳が委縮していく病気で、症状として認知機能の低下による障害や、人格の変化などが現れます。重症となると、意思の疎通を図ることも難しくなるため、どこまでその人本来の人格が保たれているのか、何を考えているのかを他者が理解することはできません。

掛け値なし…俺はこのまま死にたいのだ……!
(『天-天和通りの快男児』16巻より引用)

赤木のこの言葉には、自身がわからなくなってしまうことへの恐怖と、確固たる決意がにじみ出ています。

彼は集まった人々と、1対1で語り合う時間を設けました。銀次は自身も癌に侵され、余命幾ばくもないことを告白。年齢を重ね、さまざまな経験をしたからこそ口にできる言葉の重みが、胸に響きます。

『天-天和通りの快男児』第17巻の名言をネタバレ解説!赤木と僧我最後の戦い

 

赤木が自身で尊厳死を選ぶという衝撃的な告白から幕を開けた最終章は、彼と近しい人物、東西戦を戦った者たちとの語らいを中心に進んでいきます。前巻では銀次や鷲尾といった東がメインでしたが、本巻では敵として戦った僧我や原田との語らいが描かれました。

僧我は赤木をライバル視しており、ここで死なれてたまるか、と牌を持ち出して勝負を挑みます。しかし赤木は、今ではもう麻雀がよくわからないと病状を告白。僧我はそれでも勝負を挑みますが、もうよくわからないという彼の、天性の才を見せつけられるのでした。

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赤木に対して強いわだかまりを抱いているからこそ、そのあり方を認めることができなかった僧我は、勝負をとおして彼の有り方を認めていきます。赤木の人生観が語られる場面もあるのですが、勝負以外のことは二の次。まさしく、賭け事をするために生きてきたという事を強く感じることができるでしょう。

在り方がシンプルで…無駄な欲がないから美しい…!
(『天-天和通りの快男児』第17巻より引用)

僧我が赤木を野生動物と評した際の言葉です。野生動物のように自由で、だからこそ自ら死へ向かう彼の姿に、清々しささえ感じられます。

『天-天和通りの快男児』第18巻の名言をネタバレ解説!尊厳死のぜひを問う!赤木の最後

 

赤木の死を知らせる新聞広告から始まった流れですが、ついに彼の尊厳死の時が迫ってきました。本巻では原田、ひろゆきと天が、赤木と対面することになります。東西戦の中なかで、赤木はひろゆきに幾度も言葉をかけました。彼の成長の一端を担ったのは、赤木です。

人生に迷っていた、ひろゆき。自由に生き、そして死すらも自由に得ようとしている赤木を前に、何でもできる人には、へこたれている人間の気持ちはわからないのだと、自身の心情をぶつけます。

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福本 伸行
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いいじゃないか三流で…!
熱い三流なら上等よ…!
(『天-天和通りの快男児』第18巻より引用)
 

ひろゆきに対しては口調が砕け、年長者らしい姿を見せる赤木は、誰もがうらやむ成功に囚われず、その身の内の熱が止まらぬままに進め、とひろゆきを励ましました。

最後に対面した天との会話では、高齢者が抱えるジレンマや介護の問題が浮き彫りにされます。赤木を家族に迎え入れようとする天に、家族はいずとも友という存在を実感した赤木の、安らかな表情が印象的です。

無念さを残しながらも、自身の死を選んだ赤木の生き方は、1つの選択肢でもあるのでしょう。自身の死を見つめる1つの契機となるはずです。彼は人々にとってどういった存在になったのか、そんなエピソードとともに物語は締めくくられます。

『天-天和通りの快男児』を無料で読んでみよう!

 

熱い麻雀対決だけではなく、人間の死について考える深い話も語られている本作。人気キャラクター・赤木のファンだけでなくとも、その生きざまは多くの人の心を打つでしょう。

18巻と長めではありますが、無料で読めるこの機会、ぜひお手に取ってみてください。

著者
福本 伸行
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少年漫画のような熱さと、深い人間ドラマが展開される『天-天和通りの快男児』は、麻雀を知らないという方でも十分に楽しむことができます。スピンオフ作品から入るもよし、ここからスタートするもよし、密度の濃い福本ワールドを堪能してください。


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