知っておきたい家族の話。逆境に打ち勝った心に響くストーリー

更新:2018.7.24

こんにちは、松原汐織です。この秋に環境が変わることもあり、家族について最近よく考えさせられます。育ててもらった家族。これから作っていく家族。千差万別な家族の形。今回は涙なくては読めない、逆境に打ち勝った家族が描かれた2冊を紹介します。

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日本人ですもの、読んでおきたい一冊

著者
原田 マハ
出版日
2015-09-04

お米の作り方を知っていますか? 頭では理解しているつもりだけれど、詳細までは説明できない人が多いかと。農家の方々が愛情を持って育ててくださったことを片時も忘れずにお米をいただいている人はどれほどいるのでしょう?

この本の著者は連載で度々紹介させていただいた大大大好きな作家さんの一人である原田マハ氏。『楽園のカンヴァス』はアート、『キネマの神様』は映画、『風のマジム』はラム酒と様々なジャンルをテーマに書かれてきた原田氏。今回はお米と家族。皆さんきっと自分の根っこにあるであろう、大切な2つ。心に響かない訳はない!!

主人公は引きこもりの麻生人生。突然いなくなった母が残したのは、年賀状の束。その中には、両親が離婚してから一度も会っていない父方の祖母のマーサばあちゃんが書いた一枚が。マーサばあちゃんが住む蓼科へと向かい、米作りをすることに……。その米作りが、不耕起(耕さない)・無肥料・無農薬という自然のままの全て手作業にて行う伝統的なやり方で驚くほど手間がかかる。小さな種籾を発芽させるところから始まり、苗に育ち、田植えを行う。穂が出て、花が咲き、実を結び、黄金の稲穂へとなり、稲刈りをして終わり。お米作りが詳細まで書いてあり情報量は教科書さながらだけれど、原田氏特有のテンポの良い小説なのでスーッとしみ込む様に知識が吸収されていくから不思議。

ふたつの手と手を合わせて、ほっこりと握る。それがおにぎりのかたち。これを食べる人が健康でいっぱいご飯を食べられますようにっていう、作った人の祈りのかたちなんだよな。

母が握ってくれたおにぎりを思い出し、沁み沁み。お米の話以外にも、マーサばあちゃんの介護に主人公が奮闘する姿も、最近祖母が入院したこともあり私にとってすごくリアル。イイ本って人に寄り添える本なのかな、と。

家族もお米も在ることが当たり前になってしまい有り難い存在であることを忘れがち。2つ共、自分を構成する上で基本のキ。「いただきます」と「ありがとう」を忘れずに生きようと思える一冊。

全ての人に読んでいただきたい一冊

著者
出版日
2018-05-26

どんな偉人、著名人の金言・名言も、身近な家族にもらったコトバを超えることはない。

子育て中のお母さん雑誌VERY。キラキラ美しいママ像をイメージしてしまうけれど、そのキラキラってブランド品やエステのおかげじゃない。きっと一生懸命に家族を愛しているから。誰かを愛する姿ほど美しいものって無いと思う。VERYでの人気連載『家族のコトバ』がまとめられた一冊。

小児がん、水頭症、ダウン症、アンジェルマン症候群……お子様が抱えた先天性疾患や障がいを受け止めて“子供と向き合う”母の姿。時に不安に押し潰されそうになったり、自分を責めてしまったり、どうして良いかわからない時に救ってくれた家族のコトバ。紹介されている25のご家族のインタビューは全て涙なくしては読めなかった。家族の絆ってこんなにも美しいものなのだと、自分史上一番泣いた本。

娘には、「へぇ! そういう発想するんだ!」という素敵な個性があり、娘を見ていると普通ってなんだっけ!?とよく思わされます。

特別支援学級に通う娘さんをもつ女性のインタビュー。以前、障がい者の方とお話しさせていただいた時にも感じたけれど、私達そろそろ動くべき。偽善者ぶっていると言われたらそれまでだけれど、知ることから始まることってある。以前の連載で紹介した滝川一廣著『子どものための精神医学』や中邑賢龍・福島智著『バリアフリー・コンフリクト』もご興味のある方はぜひ。

“普通”という価値観の中ではなく、思いっきり誰かを愛し、思いっきり誰かを大切に思うこと。いつかは母になりたい者として、こんなにも強く優しく美しい母の姿に感銘を受けた。世の中が優しく変わっていきますように、と願いを込めて。全ての人に読んでいただきたい。

早いもので、このホンシェルジュの連載を書き始めてから1年5カ月が経ちました。小説からエッセイ、実用書、漫画に至るまで今まで50冊もの様々なジャンルの本を紹介してきましたが、振り返ってみると私が心に響くものは逆境に打ち勝つ、乗り越える強さが描かれている本のようです。振り返ってみても、どれも本当に好きな本ばかりです。

共に生きる人を見つけたり、一人旅に行ったり、大失恋をしたり、プライベートで本当にいろいろなことがあった1年5カ月だったので、かなり開けっ広げ(笑)に自由に書かせていただいたこと、この場を借りてお礼申し上げます。

突然のご報告となりますが、今回が最後の連載となります。現在も他に2つ連載を書いていまして、今後もモデル業とともに執筆業も頑張っていきたいと思っております。下記のサイトにて最新情報を更新していますので、今後ともご贔屓いただけたら嬉しいです。有難うございました。 
https://www.shiorimatsubara.com/

Photographer : KEITA SAWA
 
Hair&Make-up artist : YASUHIRO FUJII 
Stylist : MINORU