実在する男子チアリーディングチームを題材にした物語、『チア男子!!』。甘酸っぱく、何事にも一生懸命に取り組みたくなるような気持ちにさせてくれる爽やかな作品です。 2019年には実写映画化も決定した『チア男子!!』。この記事では、そんな本作のあらすじから結末まで詳しく解説。ぜひ最後までご覧ください。
ある男子大学生が、大学まで続けた柔道を辞め、その後仲間を募り、男性だけのチアリーディングチームを作ります。そして、彼が遠い夢とも思われる全国大会を目指す物語が、『チア男子!!』です。
主人公の名前は、晴希。彼は幼いころから、柔道一筋で生活していました。その理由は、実家が道場だからという単純なもの。しかし姉である晴子と一緒に切磋琢磨してきたものの、怪我が原因で柔道に限界を感じ、その世界から退くことを決意をします。
そんな矢先、幼馴染である一馬から男子チアリーディングに誘われ、BREAKERSを結成することに。当初7人だったグループは、学祭での演技のために、朝も、昼も、夜も、必死で練習するのでした。
学祭では決してうまい演技とはいえなかった彼らですが、その必死さに何人かの観客は心を打たれ、その後、入部希望者がやってくるようになり、総勢16人のチームに。さらには、コーチまでつくことになり、彼らは仲間を増やし、全国大会出場のために毎日必死で練習を続けていきます。
- 著者
- 朝井 リョウ
- 出版日
- 2013-02-20
映画化が決まった本作はアニメ化もされており、さらに舞台化もされている人気作です。舞台では、アニメ版のキャストが朗読をし、早稲田大学の男子チアリーディングチームであるSHOCKERSによるパフォーマンスも披露されました。
アニメでのキャラクターは、『テガミバチ』でお馴染みの浅田弘幸が原案となり、鶴田眸がキャラクターデザインをおこなっています。
2019年5月10日公開予定の実写映画版では、キャストに横浜流星・中尾暢樹のW主演を迎え、瀬戸利樹・浅香航大・菅原健・小平大智・岩谷翔吾という若手俳優陣らとチアリーディング部を熱演。監督は風間大樹が務めます。
本作の見所は、なんといっても青春真っただ中の学生同士のぶつかり合い。そして、そのなかに甘酸っぱさや汗臭さ、泥臭さが混じっていて、読む人を魅了します。
横浜流星が出演した作品を見たい方は、こちらの記事もおすすめです。
横浜流星の出演映画、テレビドラマを総力解説!実写化したキャラは原作でも格好いい
端正なルックスで女性ファンの心をつかむ俳優・横浜流星。ルックスだけではなく、日本アカデミー賞をはじめ数々の賞を受賞する演技力、可愛らしい雰囲気とはギャップのある男らしい肉体美など、その魅力は計り知れません。 そんな横浜流星は、映画やドラマに引っ張りだこ。この記事では、横浜流星が演じた役柄と作品についてご紹介します。ぜひ1番のお気に入りを見つけてみてください。
瀬戸利樹が出演した作品を見たい方は、こちらの記事もおすすめです。
瀬戸利樹の実写化した映画、テレビドラマは原作もファンに刺さる!出演作を一挙紹介
今大注目の若手俳優・瀬戸利樹をご存じでしょうか? 2013年に俳優デビューをして以来、映画『仮面ライダーエグゼイド』やテレビドラマ『偽装不倫』に出演して話題に。クールな知的キャラから天真爛漫な年下彼氏まで、さまざまな役を演じています。イケメンなだけではない変幻自在な演技力を持つ瀬戸利樹の出演作と、その原作についてご紹介します。
本作に登場する人物を、簡単にご紹介させていただきます。
主人公。怪我で柔道を辞めたことをきっかけに、男子チアリーディングの世界へ入ります。高所恐怖症。姉の晴子や幼馴染の一馬がインターハイ出場経験があるのに対して、劣等感を感じています。
声優:米内佑希/誕生日:5月9日
晴希の幼馴染であり、よき理解者。男子チアリーディング部を創設します。亡き両親がチアリーディング経験者でした。
声優:岡本信彦/誕生日:8月10日
あだ名はイチロー。とても運動神経がよく、なんでもすぐできるためか、デリカシーのない発言が目立ちます。関西弁が特徴です。
声優:桑野晃輔/誕生日:4月2日
あだ名はトン。体重が100キロを超す巨漢。BREAKERSで唯一の彼女持ちです。
声優:林勇/誕生日:3月14日
あだ名は銅。金髪リーゼントが特徴の金田を慕っている舎弟。
声優:広瀬裕也/誕生日:5月5日
結成メンバーのうちの1人。家は料亭。本番に弱い性格が災いし、2浪したため20歳です。リズムがなく、体が硬いという欠点も。
声優:杉田智和/誕生日:12月25日
あだ名はサク。可愛らしい容姿をしています。
声優:村瀬歩/誕生日:3月3日
ブレイクダンスを得意とする卓哉と、2歳年下の弟・卓巳。
声優:木島隆一、弓原健史/誕生日:6月18日、6月24日
真面目な性格である一方、口が悪いのが特徴。
声優:畠中祐/誕生日:8月24日
イケメンで、チアリーディング経験者。心にトラウマを抱え、チアリーディングの世界から離れていましたが、再び戻ってきます。私服がダサいという、意外な一面も。
声優:小野友樹/誕生日:10月31日
乗田と同様、金田の舎弟です。あだ名は銀。
声優:木村隼人/誕生日:1月25日
アフロヘアが特徴。調子がよいキャラです。
声優:沢城千春/誕生日:6月7日
イチローの幼馴染みであり、関西出身。イチローに対して、常に劣等感を感じていました。
声優:小西克幸/誕生日:9月27日
晴希の姉であり、女子柔道全国優勝の実力者。晴希が柔道を辞めたことを悲しんでいました。
声優:藤村渉
晴希たちが通う命志院大学の女子チアリーディングチーム「DREAMS」のコーチ。
声優:甲斐田裕子
- 著者
- 朝井 リョウ
- 出版日
- 2012-04-20
朝井リョウは、岐阜県出身で、早稲田大学文化構想学部を卒業しています。『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞し、作家としてデビューしています。
スタジオジブリの大ファン。『世界地図の下書き』という作品では、スタジオジブリのアニメーターである近藤勝也が表紙絵を担当しています。代表作には、『何者』『武道館』などがあります。
『チア男子‼』以外の作品も読んで見たい方は、こちらの記事もおすすめです。
『何者』の次に読むべき朝井リョウ小説おすすめ7選!
直木賞受賞作であり、映画化もされた『何者』。そのほかの朝井リョウの作品も読んでみたいという方におすすめの作品を7作紹介していきます。
本作に登場するBREAKERSには、実在するモデルが存在します。それが、早稲田大学の男子チアリーディング部である、SHOCKERSです。
彼らは男子のみのチアリーディングで、早稲田大学公認の同好会として活動しています。創立は2004年で、50人以上もの部員数を誇ります(2018年9月現在)。
なんと、2015年5月にはアメリカのヴァージニアビーチで開催されたTheU.S.Finals,Collegiate Coed部門で優勝し、JAM fest JAPANという大会でも優勝している、実績のあるチームです。
演技はとても豪快で、男子ならではの力技も迫力満点。男子だからこそできる技も多く取り入られており、見る人を魅了するのが彼らの演技なのです。
- 著者
- 近藤 憲一
- 出版日
- 2016-07-04
本作は、小説ももちろん面白いですが、コミック版もおすすめできます。朝井リョウの原作を元に、近藤憲一が漫画化。漫画ならではの躍動感が細かく、そして壮大に描かれていて、小説とはまた違った面白さを感じることができる作品です。
丁寧な絵で描かれていることによって、柔道に対する晴希の苦しい胸の内などが繊細に表現されているのも特徴。
また、リボンマスコットコミックスから発行されているものもおすすめです。こちらは完結しているので、一気に読み切りたい方は、ぜひこちらを手に取ってみてください。
漫画版を読んで大枠を把握してから小説版を読むことで、より世界観を楽しめるのではないでしょうか。
本作に登場する名言を、ランキング形式で5つご紹介させていただきます。
正しいだけじゃ、人は動かせん
(『チア男子』より引用)
イチローが言ったセリフなのですが、彼はこのセリフを、自分自身に言い聞かせているようにも感じられます。才能あふれる彼にとっては、このことに気づくのに長い時間がかかったのかもしれません。しかし男子チアを通して、ようやく気づくことができました。
チアは女がやるもんだって固定観念も、
七人じゃ少なすぎるだろっていう冷たい目も、
二ヶ月でできるわけはないっていう嘲笑も、全部壊したいんだよ。
俺たちの演技を見てくれる人の常識と、俺たち自信を壊したいんだ
(『チア男子』より引用)
BREAKERSははじめ、物珍しく、薄気味悪いような奇異な目で見られていました。実際、チアリーディングは女性特有のものだという認識を持っている方も多いでしょう。その固定観念を壊そうとしたのが、彼らでした。
何事も見慣れない物事を新しく始める者に対して、世間は冷たい目をすることが多いもの。しかし、その壁を彼らはなんとか乗り越えることができたのではないでしょうか。
最近あるキッカケで気づいたんだ。
何で男がやっちゃ変なんだ?
なんで俺は今まで挑戦しなかったんだ?って。
人を応援するのことに性別なんて関係ねえって
(『チア男子』より引用)
このセリフのとおり、応援に性別は関係ないのではないでしょうか。そもそもチアリーディングは、もともとは男性のスポーツでした。もともとは男性がそれをやることは、何も不思議ではないものなのです。頑張っている人を応援するという本質を忘れていなかったからこそ、発言された名言でしょう。
人は苦悩を突き抜けて、歓喜を勝ち得る
(『チア男子』より引用)
溝口の名言。BREAKERSのことを素直に表している言葉ではないでしょうか。彼らも最初は周りの目に戸惑ったり、部員同士のレベルの差にぶつかってきました。しかしそこでそれぞれが地道にその壁を乗り越え、その先の喜びを手に入れることができたのです。
家族よりも大切なものなんてこの世界に一つもござんせん
(『チア男子』より引用)
チアリーディングからは少しずれるかもしれませんが、金田が発言した名言です。金田は、親にいろいろ迷惑をかけてきた学生でありますが、20代でこの発言ができるところに深く感銘を受けました。
彼のこういう考えがあったからこそ、BREAKERSという家族も、成功をに手に入れることができたのかもしれません。本作のまっすぐな作風が感じられる名言です。
- 著者
- 朝井 リョウ
- 出版日
- 2013-02-20
BREAKERSは神奈川県大会を突破し、全国大会の切符を手に入れました。しかし実は地方大会の結果は、とても本人たちの納得いくものではありませんでした。
悔しさを抱えた彼らは、さらに努力を重ねます。16人それぞれ、いろいろな苦悩や葛藤はありますが、全員が最善の行動をしたのです。
そして、全国大会当日。後悔しないように練習してきた部員たちに、コーチがあるものを見せます。それは、各個人がずっとつけてきた練習ノートでした。このノートには、それぞれの思いのたけが記されています。それをみんなで見せあったのです。
これにより16人の気持ちは1つになり、本番に万全の体勢で臨むこととなりました。
今までの努力、成長。そういったものが感じられる感動の場面です。ここまで読んできた読者にとっても、非常に感慨深いシーンではないでしょうか。
果たして、BREAKERSの演技はどうなったのでしょうか。試合の結果が気になる方は、ぜひ本編でお確かめください。