【第24回】つぶやきシローのつぶやき読書/「本当の友達」って言葉の意味よ

更新:2021.12.2

小説家としてもデビューをしているつぶやきシロー。しかしどうやら、読書に対してはかなりの抵抗があるらしい。彼に「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。 第24回は、人間関係を根本的に見直したくなる本を読んでもらいました。

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友達と比べて、自分は幸せだって思いたいんだよね。

 

「じゃあ、二人一組になって!」
体育での先生のこの一言が恐怖でした。自分から動かなくても人が寄ってくる人気者や、一人になるのを恐れ、なりふり構わず急いでペアを探す子。
僕はどちらでもなかったかな。だから、余る。

余った者同士、目が合う。お互い「ふん、余り者とかよ」と思うが自分もそうなのだ。そのくせプライドだけは高く、自分から歩み寄らない。結果ペアを組むが、人数が奇数の場合一人余る。それが僕だ。つまり先生と組むことになる。先生からしたら僕は、友達がいない悲しい子という認識だったろうな。

来る者は拒まないが、自分から友達になろうとはしないスタイルは今も健在。いや今は来る者も拒んでいる。仕事現場にいる時はちゃんとしているよ。誰とも話しませんなんてシャッター下ろすほどひどくはない。ただ、仕事終わったらあまり会いたくない。芸能人なんてわがままでめんどくさい。たまにこの人なら友達になれそうって人が現れても、自分でストップかけちゃうね。なんか億劫なんだよね。友達といれば楽しいことも多いだろうけど、厄介なこともあるじゃない。気を使ってまで楽しくいたいのかというと、そうでもない。

友達がいないと「可哀そう」と思われたくないから、何人か確保しておこうという人がほとんどだろうけど、キープするの大変だよね。車に乗る回数の割には維持費がかかるみたいな。「お土産買っていかなくちゃ」とか「ちょっと間あいたから、たまにはこっちから連絡しなくっちゃ」とか、気付くとつなぎとめようと必死だなってなってるよね。お互いそうだとしたら、それって本当の友達なのかな? っていうか、「本当の友達」って言葉の意味よ。よく使われるよね。「友達」だけでいいじゃん。ようは「本当じゃない友達」ばかりだから「本当の友達」って言葉が生まれたんでしょ。だから友達なんて、いていないもんなんだろうね。

タイトル「友だち幻想」

 

著者
菅野 仁
出版日
2008-03-06

 

10年前くらいに発売された本。ちょっと前にNHKの番組の中で特集を組まれているのを見たな。著者の菅野仁さんは若くして一昨年亡くなられている。菅野さんも友達関係で悩んでいたのだろうか。タイトルのように友達なんか幻想だと言っているわけではなく、いまいちど距離を取って考えてみてはいかがでしょうという本。

「人は一人でも生きていけるが、一人だけだとなんとなく空しい」確かに友達と一緒に喜びを共有した方が楽しいよね。
でも、例えば今は一人カラオケも珍しくはないけど、20年前だと「何名様ですか?」「一人です」って言って、店員さんに二度見されたりしてたよね。もし友達と二人で行ったとしても、次の曲捜しで自分が歌っていても見てくれてなかったりしない? 二人でいるのに孤独。それって、一人カラオケの空しさより空しくない?

一人で焼肉も空しいってみんな言うけど、集中して高いものを食べるっていいもんだよ。みんなとワイワイしてると、端っこのかぼちゃが焦げちゃうよ。卑しいと思われないように肉以外も食べなくちゃとか余計なこと考えちゃうから、人目を気にしなければ一人の方が肉を満喫できると思う。

「いない人の悪口を言う」よっぽどできた人じゃないと、悪口って楽しいよね。そこまで悪く思ってなくても言っちゃうよね。みんなお家芸だよ。とくに女性はね。噂話とか好きだよね、奥様達も。立ち話をしていて誰かが輪からいなくなると、その人の悪口。でも最後は「悪い人じゃないんだけどね~」でチャラにしようとするね。

「一年生になったら、友達百人できるかな」これ無理だよね。友達百人もいらないから勉強しろ!この歌から、友達はたくさんいるに越したことないってのがすりこまれてるのかもね。
だからって一年生になって今いる友達は、のちに全員ライバルになるんだよ。入試、就職、恋愛、全員が敵なんだよって歌にはできないもんね。

「人はどんなに親しくなっても他者なんだということを意識した上での信頼感のようなものを作っていかなければならない」そうだね。100%理解し共有してくれる友達が欲しいなんてほうが図々しいわけでね。でも人間わがままだから求めちゃうんだよね。欲しがっちゃうの。そのための友達? 利用するため? 自分で友達増やしといて友達の悩みを他の友達に相談してやんの。じゃあ友達なんか作らなければいいじゃん。

著者は決してこんなこと言ってるわけではないので、友達関係で悩んでいる方は是非読んでみてください。僕もこの本を友達に推薦したいと思います。うわべの友達に。

連載第1回を読みたい方はコチラ。
 

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