小説家としてもデビューをしているつぶやきシロー。しかしどうやら、読書に対してはかなりの抵抗があるらしい。彼に「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。 1年間欠かさずに続けてきた連載は、なんと今回で最終回。最後に何を思うのか、包み隠さず感想をつぶやいてもらいます。
「結婚しないの?」って質問に、「一人の方が楽なんだよね」って返しをする人がいるけど、なんかピンとこないというか、自分一人しかいないから面倒くさいこともいっぱいあるし、別に楽じゃないよな~って思うの。かくいう僕も47歳独身なんだけどね。掃除、洗濯、ゴミ出し、シャンプーの詰め替え、座椅子の背もたれの角度調節、早送り、塩コショウ、全部一人でやってるよ。決して楽じゃないけどね。
どこを切り取るかだよね。結婚した方が楽って人もいるしね。「一人の方が楽」って、たぶん人間関係が楽ってことを言ってるのかな。人と一つ屋根の下に居れば、たとえ家族でも煩わしい時があるのに、結婚相手は他人だからね。気を使って生活することになるよね。なら、一人の方がいいってことかな。
結婚どうしよう~どうしよう~って思いながら結婚適齢期を過ぎ、いつのまにか歳を重ね、40,50になるんなら、結婚はしないという選択を早くした方が楽だよね、腹くくっちゃった方が。ダイエットも楽になるし、合コン行って「私今日、盛り上げ役だから」なんて自虐言わなくていいしね。仕事頑張ってマンション買おうってなるよ。そう覚悟すると、いい人ができたりするんだよね。そういうもんだよね~。北風と太陽だよ。婚活、婚活って騒いでもどうかと思うよ。
タイトル「結婚しなくていいですか。」
結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日 (幻冬舎文庫)
2010年08月05日
益田ミリさんの漫画。癒し系で好きなんだよね。見ていて目の疲れない漫画っていいよね。圧のすごい漫画ってあるじゃない? それとは真逆。そのかわり不意に出てくる言葉の刺激がくせになる。カフェの店長36歳独身すーちゃんは結婚に対していろんな妄想を繰り広げます。もう一人、おばあちゃんの介護をしながら結婚相手を探している、すーちゃんのヨガ教室仲間、40歳独身さわ子さんの二人がメインかな。女子は共感する部分が多いんじゃないかな。気軽に読めるけど、夜時計の秒針の音しか聞こえない時に読んでみたら集中しちゃうかも。
すーちゃんがヨガ教室に入るための一万円を、老後のために積み立てるか迷っている時に「老後が、遠い未来が、今ここにいる私をきゅうくつにしている」と思い、これじゃいけないとヨガ教室に通い始めるんだよね。英断だね。そうなんだよ、先のこと考えると、きりがないもんね。今食べたいもの食べて、今やりたいことをやるって意外と勇気いるけど、そういう習慣付けたもん勝ちのような気もする。
すーちゃんの店のアルバイトの女子が、たまたま彼氏がお金持ちで、「このままいけば私大逆転かも」って一コマがあるんだけど、「大逆転」って、女性って怖いなと思った。きれいごと言ってても結局お金なのかな。女性に「お金持ちがいいんでしょ?」って聞くと、「そんなことはない! ま、あるに越したことはないけど」って言うよね。テレビに出ている美人さんとか見てると、偶然お金持ちだったみたいに言ってるけど、そもそもお金持ちの中から選んでるもんね。そりゃアルバイトの子からすると大逆転って表現になるか~、このアルバイトの子は、カフェで働いている自分の状況を負けていると思っているんだね。なんか「大逆転」って言葉にドキッとしちゃったからさ。結婚を勝ち負けで考えてるのかなってね。でも、世の女性たちは共感するんだろうな。
もし僕がお金持ちの女性と結婚しても、それが人生の大逆転とは思わない。じゃあ僕にとっての大逆転とはなにか考えてみる。理想の人生ってことでしょ? ん~ノンストレスで生きられたらいいかな。無理だけどね。シャワーのお湯があったかくなるまで時間かかるな!ってイライラしてるからね。でも、せめて一番のストレスである「人とのかかわり」を無くして生活できたら大逆転かな。どっちにしても無理だけどね、願望よ、願望。
すーちゃんは結婚についていろいろ妄想しているうちに、相手の親の介護のことまで心配になって「介護要員のための嫁を探している男につかまらないように」と心に誓う場面がある。これまたドキッとさせられる。そんな男性もいるのかな~。女性は結婚についていっぱい考えることがあって大変だね。男性が無頓着すぎるのかね。僕の結婚への心配事といえば、野球ばっか見て怒られないかなとか、野球ゲームばっかやって怒られないかなとか、野球ばっか見てるのに野球関係の仕事全然やらねーなって怒られないかなとか、不倫して怒られないかなとかかな。
すーちゃんは、もし結婚しなかった時のために老人ホームを下見しようか考えたり、一人で死んだ時のために遺言書を書いてみたり、36歳で終活に大忙し。僕もそろそろ身のまわりの整理をしないとね。最初に仕事の整理だよね。じゃあ、この「ホンシェルジュ」を今回で終わりにしたいと思います。一年間ありがとうございました。それと部屋の中の物だよね。どれ捨てていいか迷っちゃう。ポケットティッシュ捨てられないよね。靴下片方しかないけど、なんか捨てられないよね。旅行で買った小っちゃい提灯も思い出があるしな~って考えだしたら何もできないよ。
この漫画は、表題どおりテーマは「結婚」だけど、「老いる」という裏テーマがいろいろ考えさせられた。難しい本の堅苦しい文章で読まされるよりも、この画のタッチで訴えられる方がガツンと入ってくるね。「結婚しなくていいですか?」と聞かれたら、してもしなくても後悔するだろうから、しない。負け惜しみでも何でもないよ。自分に保険かけてるってことでしょ? 結婚って。なんかな~、みんながするからするってのもな~、この先どうなるかわかんないけどね。カッコつけてるわけじゃないけど、今は結婚とか興味ない。したいとも思わない。因みに、やさしくて料理上手で子供好きでお互い尊敬し合える人が好きです。
つぶやき読書
お笑い芸人のつぶやきシローさん。小説家としてもデビューをしています。しかし、「本を1冊読むのに数ヶ月かかることもある」など、読書に対してかなりの抵抗があるらしい。「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。隔週金曜日更新!