「なかよし」などで活躍する、日本の少女漫画家。代表作にして大ヒット作品『美少女戦士セーラームーン』は、日本だけでなく世界的にも有名です。配偶者が同じ漫画家の冨樫義博であることでも知られています。 今回はそんな武内直子の経歴や、名作「セーラームーン」がいかにして生み出されたのかなど、意外な5つの事実をご紹介したいと思います。
武内直子(たけうち なおこ)、本名冨樫(とがし)直子は、山梨県出身の日本の漫画家。誕生日は1967年3月15日のうお座で、血液型A型、年齢は51歳(2018年現在)です。
趣味はドライブや調度品集めなど、またおまじないや各種の占いにも詳しいそうです。
共立薬科大学薬学部(現在の慶應義塾大学薬学部)卒であり、薬剤師免許を所持しています。
そして尊敬する人物は三島由紀夫さんだそうです。
漫画は高校時代から投稿しており、大学在学中の1986年に『LOVE CALL』がなかよし新人まんが賞に入選したことで商業デビューしました。漫画家としての顔の他にイラストや、後述する『美少女戦士セーラームーン』関連を中心として歌詞を手がける作詞家でもあります。
- 著者
- 武内 直子
- 出版日
- 2013-11-28
代表作は言わずと知れた名作、『美少女戦士セーラームーン』。主人公・月野うさぎをはじめとした主要キャラクターが太陽系惑星の力を持ち、可憐な戦士として戦うファンタジー少女漫画です。
アニメや映画、実写ドラマにもなった同作は、誕生から25周年を迎えても未だに世界的人気があり、関連グッズが生み出され続けています。
配偶者の冨樫義博は『幽☆遊☆白書』『HUNTER×HUNTER』などで有名な漫画家であり、共同で同人誌を出した時にはお互いに「姫」「王子」と呼び合うラブラブぶりを読者に見せ付けました。
「セーラームーン」については<原作版『美少女戦士セーラームーン』を全巻徹底紹介!【懐かしなかよし漫画】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
ご存知のとおり、『美少女戦士セーラームーン』は5人のセーラー戦士(後にセーラーウラヌスなどが加入)が悪と戦うファンタジーです。戦う魔法少女モノの先駆けであり、後世に与えた影響は計り知れません。
今でこそ、魔法少女が同一作品内で複数人登場するのは当たり前となりましたが、「セーラームーン」以前にはそういった作品はほとんどありませんでした。
- 著者
- 武内 直子
- 出版日
- 2013-11-28
武内はこれについて、自身の小学校時代の体験を述懐しています。当時多くの女の子がそうだったように、彼女も『魔女っ子メグちゃん』『魔法使いサリー』などのメルヘンチックな魔法少女が好きだったそう。そして、それと同じくらいはまっていたのが、なんと特撮戦隊モノだというのです。
詳しい作品名は挙げられていませんが、東映戦隊シリーズの1作目『秘密戦隊ゴレンジャー』が約40年前なので、武内の小学生時代と符合します。男の子の代名詞たる特撮戦隊モノの影響から、今現在の戦う魔法少女モノの原型「セーラームーン」が生まれたというのは、とても興味深い話ですね。
『美少女戦士セーラームーン』の中で宝石、鉱物の名前がつく登場人物たちがいるのを気付く方は多かったのではないでしょうか?
多趣味ことでも有名な武内直子はドライブや水泳などのほかに鉱物マニアとしても知られています。
実は、武内直子の実家は宝石店だったようで、そのため宝石や鉱物にとても詳しく、作中にも宝石の名前がつくキャラクターたちが多かったと考えられます
美少女戦士セーラームーン 完全版(3)
2013年12月26日
例えば「ダークキングダム編」に登場する敵キャラクター
・ジェダイト、ネフライト、ゾイサイト、クンツァイト、ベリル
上記のキャラクターはすべて実在する鉱物の名前からきています。
「ダークキングダム編」にかかわらず他の回の敵キャラたちにも鉱物の名前が付けられていました。
「セーラームーン」登場する理想的な王子様にして、逆紅一点ともいえるキャラクターとしてタキシード仮面が有名です。
黒いタキシードに身を包み、白いマスクで素顔を隠した謎の存在は、セーラー戦士だけでなく多くの女子読者を虜にしました。
- 著者
- 青山 剛昌
- 出版日
- 2014-10-17
そんな彼と似たようなポジションのキャラクターで、『まじっく快斗』や『名探偵コナン』に出てくる怪盗キッドを挙げることが出来るでしょう。
実は『青山剛昌30周年記念本』のインタビューで、タキシード仮面のモデルが怪盗キッドであることを、武内自身明かしているのです。
黒と白というイメージカラーこそ対称的なものの、両者の類似はかねてより指摘されていたのですが、思いもよらぬ曝露にファンも騒然となりました。
少女漫画を語るうえで絶対に欠かせない名作として、大正ロマンを描いた『はいからさんが通る』という漫画があります。
2017年に劇場アニメが公開されたこともまだ記憶に新しい同作は、名実ともに大和和紀の代表作です。
- 著者
- 大和 和紀
- 出版日
- 2016-12-13
実は武内は、そんな大和和紀のアシスタントをしていたことがあるのです。武内がデビューした直後の一時期、当時大和が連載していた『あさきゆめみし』の進行が大変ということで、臨時に手伝ったことが2人のインタビューで語られています。
当時まだ漫画を書き慣れていなかった武内は、原稿にインクを滲ませてしまい、場を凍りつかせたそう。ちなみに、その後の記憶はないそうです。
偉大な漫画家同士の、意外な繋がりに、思わず胸が熱くなりますね。
『はいからさんが通る』については<漫画『はいからさんが通る』の登場人物は女子より男子の方が上品だった!?>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
すでに少しご紹介しましたが、武内の夫は『幽☆遊☆白書』などで知られる冨樫義博です。
武内と冨樫は、それぞれ少女漫画、少年漫画で一時代を築いた有名漫画家ですが、そのジャンルも違えば出版社(武内は講談社、冨樫は集英社)も違うので、本来なら接点がないはずでした。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
そんな2人の馴れ初めは、『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の萩原一至が開催した、漫画家のパーティーだったそうです。そこで、萩原によって紹介されることになります。もともと冨樫のファンだった武内から電話をかけたことがきっかけで、仲よくなっていったのだそう。
そして交際を重ねて、結婚に至りました。
武内のエッセイでは2人の新婚生活や育児が描かれており、子供は2人いるそうです。
「ダーリンと雪だるまを作った」という内容を武内がブログで書き、その写真が、冨樫が手がける漫画『HUNTER×HUNTER』の28巻に掲載されるなど、おしどり夫婦ぶりがうかがえます。
『HUNTER×HUNTER』の見どころを紹介した<漫画「ハンターハンター」最新35巻までを徹底考察!【ネタバレ注意】>の記事もおすすめです。
武内といえば、可憐な女の子が勇敢に戦う『美少女戦士セーラームーン』のイメージが強くあります。そのせいか、ファンタジックで乙女チックな作風とは、少々縁遠いように思われているかもしれません。しかし、実はそんなことはないのです。
ここからは代表作『美少女戦士セーラームーン』以外のおすすめ作品をご紹介します。
「セーラームーン」とはまた違ったテイストで、少女漫画的で面白いおすすめの作品が、この『ま・り・あ』です。
ま・り・あ (講談社コミックスなかよし)
主人公・冬海(ふゆみ)まりあは、母子家庭で育った少女。彼女が16歳になったある時、病気がちの母親が倒れて入院してしまいます。そんななか学校を辞めて働きに出ようとするまりあに、「足長おじさん」が援助を申し出て、彼女は聖信濃苑学院高等部に編入することになるのです。
そうして新しい学校に転入した彼女は、そこで特待生の少年・真家数馬(まいえ かずま)と出会います。ことあるごとに彼女に絡んでくるこの少年が、実はまりあの幼馴染みであり、彼女を影で支えていた人物だったのでした。
かの有名な「あしながおじさん」をベースに現代的にアレンジされた、甘酸っぱいラブストーリー。作品の背景に繊細な世界観が感じられて、根強い人気を誇っています。
続いておすすめなのが、「セーラームーン」の後に連載された『とき☆めか!』です。
先におすすめした『ま・り・あ』ともまたひと味違った内容で、テンション高めのコメディタッチな作品となっています。
- 著者
- 武内 直子
- 出版日
- 2005-08-05
主人公・朝田美々依(あさだ みみい)には、7年前に別れた大切な友人・花星子がいました。星子は別れ際に、彼女のピンチを救う頼れる友達を作ってあげる、と約束します。
それから時は流れ、美々依は13歳となりました。彼女はひょんな経緯から、今の友人が出演しているファッションショーに誘われるのですが、お洒落については何も知らないため窮地に陥ります。
そこへタイミングよく贈られてきたのが、かつて星子が約束した「友達」であるロボット・花咲芽歌(はなさき めか)だったのです。
人間そっくりで、なんだったら人間以上に可愛らしく可憐で、少々強引な彼女は、技術を駆使して美々依のピンチに立ち回っていきます。
芽歌の驚きのハイテンションと、それに振り回される美々依が魅力的です。対称的な2人の関係と、学園での恋愛模様が微笑ましく感じられるでしょう。1巻が出た段階で連載が休止してしまっていることだけが残念です。
いかがでしたか?「セーラームーン」でしか武内直子を知らなかった方も、この機会にぜひ触れてみてはいかがでしょうか。