スクウェア・エニックスの「月刊Gファンタジー」を中心に活躍する、日本の漫画家。代表作はアニメ化もされた『黒執事』です。同作はダークファンタジーの妙味も人気の1つでしたが、目を見張るべきは、その優れた画力です。繊細にして妖しい画風が、多くの読者を虜としました。 今回は、そんな枢やなについてご紹介しましょう。
枢(とぼそ)やなは、埼玉県出身の日本の漫画家です。生年月日は1984年1月24日、年齢は34歳(2019年1月初旬現在)。性別は女性です。
ペンネームの苗字と名前は、どちらも耳慣れない言葉となっています。「枢」とは古い引き戸などで使う戸締まりの仕掛けのことで、「やな」は魚の罠漁で用いる「簗」が由来となっているそう。
また沖縄の言葉で「やな」は「悪」という意味があり、こういったペンネームは希望的な言葉による名付けが多いことから、逆にあえてよくないようにしようと天の邪鬼で決めた、と本人はインタビューで語っています。
このように名前が元々独特なせいか、愛称は特にないようです。
後述する別名義での出来に満足がいっていない様子が見られたり、SNS上で違法視聴に苦言を呈するなど、仕事に対してはストイックに取り組む性格が伺えます。
代表作は『黒執事』。名門ファントムハイヴに仕える完璧執事セバスチャンと、その主である少年シエル達が人知れずおこなう裏稼業を描いたダークファンタジーです。ミステリアスななかにも剽軽さが感じられ、不思議に面白い奇妙な作風として大ヒットしました。
代表作『黒執事』の個性的な面白さから一躍有名となった枢ですが、ストーリーに勝るとも劣らない点として、画力を挙げることができます。
イラストなどのフルカラー1枚絵はもちろんのこと、漫画の1コマや1シーン、落書きに至るまで、すべてがハイレベル。落書きとされているものですら、もはやアートです。
普段からその美麗さのためファンから注目されていますが、有名作品を描いた時などは特に大きくクローズアップされ、バズる(拡散される)こともしばしば。
ジブリ映画『千と千尋の神隠し』、ディズニー映画『アナと雪の女王』などが地上波放映された時には、注目度が上がって両作のファンからも称賛されたようです。
先ほども少しご紹介しましたが、彼女には別名義があります。
簗緒(やなお)ろくというペンネームで、2005年から2006年ごろに商業BL作品を手がけていました。
単行本として出ているのは『花少年-Flower Boy's 2』と『Glamorous Lip』の2本ですが、前者はアンソロジーなので、実質的には後者のみというレアな活動でした。
- 著者
- 簗緒 ろく
- 出版日
- 2006-01-24
『Glamorous Lip』は売れっ子モデルとスタイリストの関係が描かれた作品で、ソフトな絵柄から現在の片鱗を伺うことは出来ますが、作風が異なるうえにかなりストレートなBLなので、閲覧の際には注意が必要です。
また前述した簗緒ろく名義での活動の不満というのは、彼女自身が恋愛表現を不得手としているため、うまく表現がしきれなかったこと。このジャンルは好きだけれど、そういった理由から挫折したようです。
「#魔女集会で会いましょう」とは、2018年にTwitterを中心として盛り上がったハッシュタグ(カテゴリー)です。
多様な魔女と、彼女が出会う人物を描いた創作で、長命な魔女と定命の相方との関係に焦点を当てた物語性のあるイラスト、漫画が多く投稿されました。
作者にも要望があったようですが、実はすでに「似たような作品」があるというのです。
枢自身もこの盛り上がりに反応し、魔女集会の体裁に合わせた『黒執事』のイラストを描き下ろしました。
枢の代表作『黒執事』はファン人気も高く、TVアニメだけでなくOVAや劇場アニメにもなった大ヒット作です。
そして、この作品への高評価は、TVアニメで主要人物の声を当てた声優も同様なのでした。
アニメ版でセバスチャンを担当する小野大輔は、劇場版公開に先駆けたインタビューで、同作は自分がもっとも長く関わっているアニメ(2017年当時)であり、関係者として盛り上げていけることが喜びであると語っています。自身もファンの1人であり、演じられるのが幸せとも言っているのです。
出演者にここまで手放しで絶賛される作品も、なかなかないのではないでしょうか?
ここまで再三くり返してきましたが、枢の魅力は天性の画力から紡がれる、その美しいイラストにあると言っても過言ではありません。
そんな彼女のイラストを混じりっけなしで余さず堪能することが出来るのが、この画集『枢やな画集 黒執事』です。ちなみに1と2が出ていますが、いずれもおすすめ。
ファン必携の2冊となっていますが、その内容を少しご紹介したいと思います。
- 著者
- 枢 やな
- 出版日
- 2014-01-18
『枢やな画集 黒執事1』は代表作『黒執事』の序盤から通称「サーカス編」までに描かれたイラストや描き下ろしをメイン。さらに、今ではやや入手の難しい初期作品『Rust Blaster』が収録されています。
『Rust Blaster』は人間と吸血鬼が共存する世界が舞台で、対吸血鬼特殊部隊養成学校に通う主人公が戦いに身を投じていくダークファンタジーです。
『黒執事』とは少し毛色が異なりますが、合わせて読めば枢やなワールドに浸れること間違いなしでしょう。
- 著者
- 枢 やな
- 出版日
- 2015-05-27
『枢やな画集 黒執事2』はファントムハイヴ邸連続殺人事件より後の物語、およびTVアニメなどのメディアミックスで描かれたイラストが中心となっています。
どのイラストも麗しいのはもちろんのこと、画集の紙の質もよく、コミックス時には縮小やモノクロ化されたり、掲載誌限定や期間限定のキャンペーンなどで公開されていたものまで、しっかりカラーで網羅されているのが最大の魅力です。
画集のサイズがAB判という大きめのサイズであることも嬉しく、枢のイラストを心ゆくまで楽しめます。装丁も凝ったものになっているので、コレクションアイテムとしての満足度もきわめて高いといえるでしょう。
いかがでしたか?枢やなの魅力が伝わったでしょうか?ぜひこれを機に、彼女の作品を手に取ってみてください。
枢やなの美しい作画を楽しめる、黒執事についての記事もぜひご覧ください!
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