生きてると、好きで好きでどうしようもない人が、現れるもの。
24時間のうち、睡眠以外の16時間くらいはその人のことを考えていて、夢にまで出てきちゃったら起きた時に隣にいないことでさらに落ち込むという、気持ち的には1日を24時間以上その人に拘束されてしまうように感じる、アレ。「時空歪んでるじゃん、相対性理論、体感しちゃってるじゃん」な不思議なアレです。
それが幸せな恋ならいいですが、相手がこちらをそこまで好きではない場合は、紛れもない、苦行。
だいたい2パターンの症状が出ると思うんですが、私の場合は病むというよりは、生きるの面倒くせぇ状態に。何もせずに猫と寝ていたい……、このまま植物みたいに意識を失いたい……みたいな。
しかし困ったことに、そんな植物に栄養材くれるのもその人な訳で、会うとテンションは爆上がりで、「この世は幸せに満ち溢れているな」となってもしまうのです。精神が不安定。
そんな、特定の層をハマらせるような魅力はあるものの、女をブスにしてしまう男性って結構いますよね。一緒にいると見た目年齢の老けがヤバくなる男。肌荒れ治療代くれよって言いたくなる不毛さ……。
ただ、そんな体を張った苦行も無駄ではないようで、ある日気付いたことがあります。
それは、「いや、結局私、この人のことを好きではないぞ?」ということ。
私の場合、精神がジェットコースターになるような恋って、その人のどこかの要素がすごく刺さっていて(顔とか考え方とか)、それが何か分からないから気になって一緒にいちゃう、というメカニズムらしいのです。
こちらの望んでるものをやらないけど生け捕りにしてくる時点で、人間としては基本的に好きではないんだけど、でも「何か好き!」の、「何か」が気になってラインブロックできないのです。
ほしいものをあんまりくれないから、依存してるかもっていう、ニワトリタマゴな話でもあるのですが、そうだとしてもやっぱりそのシチュエーションが好きなだけで、その人が好きではないのは確定。
それが分かったとき、私がこの人と会ってるのは、単純に自分の好奇心ゆえなんだ、と気づいて、とても楽になったのです。
そして、とりあえずもう植物になりたいと思うとこまでいかなくて済むな、自分のやりたいことなら、このままでもいっか、と一安心できたのです。はー、ひとまず、よかったよかった。
その後は自分がその相手を好きな理由が何となく分かった時点で、引き潮よりも早くブス女製造系男子から離れられるようになりました。ありがとう、気付き。
ここまでブス女製造系男子にハマってきたことをつらつらと書きましたが、これって単純にすげぇ、ダサいですよね。
ありがちだし、何も面白くないし。ただ、そんなダサい悲劇も悪くないなって思えるのが、この本です。
- 著者
- コナリミサト
- 出版日
- 2017-06-16
この漫画の主人公・凪は、とにかくダサいんですよ。人の目を気にしすぎて自分のキャラなんてほとんど無いし、悩むと自己啓発本読むし、果てはブス女製造系男子に超ブスにされてしまうのです。
ただ、やっぱり共感できてしまう。
たいてい人に話せる悩みってどこか美しかったり、自分の印象を下げないものが選ばれているものだけど、そういうのじゃない、単純にすげぇ、ダサいところが、最高にわかりみが深い。
そして、そんなしたたかさが無い姿を好きになってしまうのです。
誰と使ったのか分からない、可愛いペアマグとペアのお皿を、男の家でなぜか洗わされながら、そんなことを考えてます。
……論理的に色々考えてみたけど、結局自分が傷つかないための言い訳じゃないかという気もしてきました……。凪みたいにしたたかさを無くせもせず、ただダサいじゃん……。まぁ、リアルなんてそんなもんか。
困シェルジュ
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