『ぼくの地球を守って』の続編にあたる本作は、日渡早紀の少女漫画作品です。前作の主人公・亜梨子と輪の息子・蓮が主人公となっています。 この記事では、そんな本作の魅力や、前作との違いなどをご紹介します。無料のスマホアプリで読むことができますので、気になった方はぜひ、ご利用ください。
主人公・蓮は小学1年生。両親が超能力を持つことから、自分も超能力が使えるのではないかと思っています。しかし、同級生達には信じてもらえず、うそつきと呼ばれてしまうのでした。
それから不登校気味になってしまった蓮は、ある日学校を休み、京都に住む幼馴染み・日路子(カチコ)のところへ遊びにいくことに。その街で出会った幽霊に気に入られてしまった蓮は、命の危機に晒されてしまいます。
彼を助けてくれたのは、浅黒い肌を持つイケメン・紫苑と、金髪の美女・木蓮でした。蓮は普通の人間ではない2人を「自分の守護天使」だと考え、もっと知りたいと思い始めるのでした。
- 著者
- 日渡 早紀
- 出版日
- 2005-06-17
本作品は、『ぼくの地球を守って』から16年後の物語です。前作の主人公・亜梨子の息子が主人公で、蓮の父親である輪を始め、懐かしい顔ぶれも多く登場し、大人になった彼らの交流も見られます。
前作『ぼくの地球を守って』は、蓮の両親たちの過去が描かれており、根強い人気を誇り、名作と名高いSF漫画です。同じアプリで無料で読むことができるので、気になった方はチェックしてみてください。
「ボクを包む月の光」は、賛否両論ある作品です。作者の絵柄がかなり変化したことや、前作への愛着から、本作が受け入れ難いという内容。しかし、それは愛があるが故の否定でもあるので、前作、本作を読んでみる価値はあるのではないでしょうか。
もちろん、本作から読んで話が分からなくなるということはありませんので、ご安心ください。
『ぼくの地球を守って』については<『ぼくの地球を守って』が全話無料で読める!名作SF恋愛漫画をネタバレ考察>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
作者・日渡早紀は、長い期間に渡り活躍している少女漫画家です。1981年に白泉社の『花とゆめ』に「魔法使いは知っている」が掲載され、デビューしました。
- 著者
- 日渡 早紀
- 出版日
- 2016-02-19
代表作は『ぼくの地球を守って』。オカルトブームへを生み出したとも言われるほど、人気を博していました。他の作品に、『未来のうてな』『GLOBAL GARDEN』などがありますが、これらもSF系の作品が多く見られるのも特徴です。
また、繊細な絵柄が人気の作者ですが、前作と本作では絵柄が変わっています。前作の連載から数年経っていますので、時代の変化とともに変わっていくのは、どの作者にも起こりうることでしょう。
「ぼく地球」シリーズは2019年3月現在、第3章とも言える『ぼくは地球と歌うーぼく地球次世代編Ⅱー』が連載され、4巻まで刊行されています。こちらは『ボクを包む月の光』の4年後の物語になっています。
本作品にご興味を持たれましたら、そちらも併せてチェックしてみるのはいかがでしょうか。
日渡早紀のおすすめ作品を紹介した<日渡早紀のおすすめ漫画ランキングベスト4!「ぼく地球」シリーズが人気>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。
前作から登場する人物も含め、今作品ではどのような役割を果たすのか。年齢を重ねたかつての主人公たちは、どのような魅力を持っているのかをご紹介します。
小林蓮(こばやし れん)
亜梨子と輪の息子であり、本作の主人公。母の力を受け継いでいます。父と紫苑、これから生まれてくる妹を救うために行動する、優しさと強さを持った少年です。
小林亜梨子(こばやし ありす)
前作の主人公で、蓮の母親。前世である木蓮から受け継いだ、植物を成長させる能力と歌声は健在。
家族を危機から救おうと立ち上がり、木蓮と同化する決意をします。前作では内気な学生でしたが、母として家族を守ろうとする彼女の姿に成長を感じることができます。
木蓮(モクレン)
亜梨子の前世で、月基地に派遣された異星人の植物学者。女神のような容貌に反して、活発でお転婆な女性です。動物や植物と感情を通じあえる特殊な存在・キチェ=サージャリアン(通称・キチェス)でもあります。
突然変異で生まれるキチェスは希少で、神・サージャリムを讃える聖歌(キサナド)を歌い、植物を成長させる能力を持っています。前作で、亜梨子と輪のおかげで紫苑と結ばれました。現在は地球の大気に溶けた状態で、彼らのそばにいます。
木蓮は蓮を実の子供のように愛し、力を貸し、危機を救うためにキサナドの詠唱を教えました。
小林輪(こばやし りん)
前世である紫苑から受け継いだ、強い超能力を持っています。前作では、9歳年上の亜梨子に恋をする小学生でしたが、亜梨子と結婚し蓮の父親として奮闘しています。職業は作曲家(現在は休職中)。
盲目的に亜梨子を愛する姿勢は変わりませんが、今作では父親として息子を守る姿に彼の成長を感じられるのではないでしょうか。
紫苑(シオン)
輪の前世である、天才的エンジニア。神・サージャリムの御力である強いサーチェス・パワーを持つ、優秀な人材です。
戦災孤児のため、攻撃的な性格で協調性がなく、月基地へ出向させられる経緯を持っています。木蓮に恋をしている事を長らく自覚する事ができませんでした。
亜梨子と輪によって、木蓮との再会が果たされた今は、彼女同様空気に溶けた状態で彼らの側にいます。蓮を助け、少し先の未来で生まれる長女・地球子(ちまこ)を救うために尽力します。
薬師丸日路子(やくしまる かちこ)
前作で登場した薬師丸未来路(やくしまる みくろ)の娘で、通称はカチコ。蓮の幼馴染みで、蓮の姉的な存在。幼いながらに多様な超能力を使いこなします。
きつい物言いをしてしまう事も多いですが、心根は優しい女の子です。物語の途中から、小林家に居候する事になり、彼とともにさまざまな経験をすることで、成長していきます。
小林一家が中心となりましたが、懐かしい顔ぶれがたくさん登場します。作者がキャラクターたちと対話しながら作品を書き進めたと話していますので、懐かしい彼らのやりとりも楽しめます。大人になった彼らも、ぜひお見逃しなく。
「怖い子供が描きたい」「サスペンス要素があった方が面白い」と作者が述べているように、「ぼく地球」は前世から続く複雑な人間関係や、前世で生まれ育った星に降りかかる戦争と滅亡など、ハードな展開が多い内容です。
しかし本作は東京の小学校を舞台に、小学1年生の蓮の視点で展開していくため、優しい世界観が魅力的です。
うそつき蓮と呼ばれていた学校で友人を作ったり、猫にトラウマを持つ父親から、飼う許可をもらうため、真正面から向き合う親子のエピソードがあったりなど、ほのぼのとしたエピソード続きます。
彼をとりまく周囲の人物たちも素直な子が多く、とても癒されます。超能力の1つを身に付けたことにより、蓮は危険な方向性に憧れをもってしまう様子にハラハラすることもありますが、基本的には前作のようなハードさはありません。
さまざまな経験を経て、自分らしく成長していく彼の姿は応援したくなるもの。優しい世界観のなかで、母親譲りのおおらかな考えでハプニングを乗り越えていく様子はつい引き込まれてしまいます。
テレポートを使った輪が、行方不明になるという異常事態が発生。行き先は誰もわからないまま時間が過ぎていきます。
そんな時、蓮は父のパソコンを通して「未来からのメッセージ」を受けとります。それは、5年後からで、父・輪が亡くなっているという内容でした。さらに驚くのは、メッセージを発信した幼女・ちまこは、蓮の妹だというのです。
まだ産まれていない妹からのメッセージに戸惑う蓮。さらに木蓮から「紫苑が消えた」と聞かされます。父の失踪は、紫苑が消えた事と関係があるようですがーー。
輪と紫苑はどこへ行ってしまったのか?果たして、2人を取り戻す事は出来るのでしょうか……。
- 著者
- 日渡早紀
- 出版日
- 2015-03-20
テレポートが制御できず、でたらめな飛ばされ方をして意識を失った輪は、幸運にもかつての同級生・芝浦(しばうら)に発見されます。
彼の協力で家に戻った彼は、テレポートのコントロールができないのは、紫苑の不在が原因だと知ります。そんな中、紫苑の所在が判明。5年後の未来で、蓮とちまこのもとにいたのです。
そこで輪が死んだのは自分が原因かもしれないと思い込んだ紫苑は、帰るのを諦めてしまっていたのです。
それを知り、紫苑を取り戻そうとテレポートを使った輪ですが、身体に大きなダメージを受け「生死の境」と呼ばれる場所へ意識を飛ばされてしまいました。このまま輪が生還する事が出来なければ、メッセージが届いた未来と同じように輪は死んでしまいます。
未来と過去の蓮とちまこは、輪と紫苑を助けるために協力し、「生死の境」へと精神を送り込むことになり……。
この最終巻の見所は、大切な人を助けるために消滅を選ぼうとする紫苑と木蓮に、亜梨子と輪が行動を起こすシーンです。
前世の月基地のメンバー達は、転生した人格に同化しているのに、紫苑と木蓮は違いました。彼らの持つサーチェス・パワーが強大で異質すぎたため、輪と亜梨子は同化を拒否していたのです。
この状況を打破するのには、紫苑・木蓮と同化しなければなりません。輪と亜梨子は子供達を守り、全員で助かるために、覚悟を決めるのでした。
生きる事を諦めない彼らは、果たして未来を変えることができるのでしょうか?
あたたかい未来を感じられる、感動のラストをぜひお見逃しなく。
前作を知っている人にも知らない人にも、楽しんで頂きたい作品です。ぜひ、手にとってお読みください。