海賊王になるため「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を目指し、主人公ルフィと麦わらの一味が冒険する大人気少年漫画である本作。彼らをはじめ海賊達が大活躍しますが、そんな状況に海の治安を守る巨大組織「海軍」も黙ってはいません。 ここでは、そんな海軍の大将を務める「黄猿」ことボルサリーノの魅力をご紹介しましょう。
※2019年現在のデータです
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-06-01
漫画を見た事がある人はなんとなくわかるかもしれませんが、俳優の田中邦衛をモデルにしたキャラクターです。サングラスに黄色いスーツがトレードマークで、ゆったりとした独特なしゃべり方と、掴み所のない性格。感情を出す事が少なく、見た目はニコニコしたおじさんです。
海軍本部では、赤犬、青キジとともに海軍大将を務めています(後に赤犬は元帥、青キジは脱退したので、藤虎、緑牛が大将になる)。
能力は光を身にまとい操れる、ピカピカの実。光なので移動スピードは光速になるため、誰も追いつけません。そのスピードを駆使した攻撃の威力も凄まじいです。また、相手の攻撃も余程の実力者でない限り、当てる事さえ困難。そのような理由から、最強の能力とも言われます。
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彼が初登場したのは、シャボンディ諸島編。そのなかで超新星を相手に、おそるべき能力と強さを見せつけます。
超新星とは、懸賞金1億ベリーを超える懸賞首のなかでも、特に大きな力を持つ11人の海賊の呼び名です。後に、海軍、王下七武海と並ぶ勢力である四皇の1人、黒ひげを超新星に加えた12人を「最悪の世代」と呼ぶようになります。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2008-12-04
シャボンディ諸島に麦わらの一味が現れたと情報が入り、捕まえにきた黄猿。すでに到着しているはずの部下、戦闘丸を探します。その途中で、超新星の1人ホーキンスと出会うのです。
すると、そこにバーソロミュー・くまに追われていた、同じく超新星のウルージとドレークが現れます。ちなみにバーソロミュー・くまは、世界政府公認の海賊である王下七武海のメンバーで、黄猿の能力を模した力を持つ改造人間、パシフィスタと呼ばれる人間兵器です。
さらにその場にいたアプーを加え、超新星が4人も揃います。しかし、懸賞金1億ベリーを超えるレベルの海賊船長4人を前にしても、黄猿はまるで動じません。
戦いが始まるとホーキンスが攻撃を仕掛けますがまったく効かず、逆に高速移動でレーザーを放ち、
まずは一人目…ここまでの長い旅、ご苦労だったねェ~〜…
(『ONE PIECE』52巻より引用)
と余裕の発言。続けてアプーが攻撃を仕掛け、黄猿に命中して体が爆発します。
が、すぐさま体が再生すると「お~…びっくりしたね~」と言いながらも冷静な表情です。そこからは、光速のスピードと攻撃であっという間に全員叩きのめし、格の違いを見せつけます。すると戦闘丸から、麦わらの一味を発見したと連絡が。虫の息である海賊達にトドメを刺さず、その場を離れます。
麦わらの一味の元には、バーソロミュー・くまと戦闘丸が登場。別の敵との戦いで傷を負っていたルフィは、自分達の劣勢を感じてバラバラに逃げる事を指示します。しかし、そこに黄猿が現れ、身動きの取れないゾロが殺されそうになるのです。
その時に助けに入ったのが、海賊王ゴール・D・ロジャー海賊団の元副船長レイリーでした。
「あんたを捕らえるとなると、こちらとしてもいろんな覚悟を決めにゃあいかんので」と言うほど彼の力を知っている黄猿は、本気で戦えばお互い無事では済まないと考え、この場を後にします。
ふざけているように見える一方、冷静な状況判断をするのも彼の魅力なのです。
「ワンピース」史上最大級の戦いがくり広げられた、頂上戦争。世界最強の海賊団と言われる白ひげ海賊団と、10万を超える海軍との戦いは、その後の物語に大きな変化を与える出来事となりました。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-03-04
ことの発端は、白ひげ海賊団の2番隊隊長でルフィの義兄であるポートガス・D・エースを、海軍が公開処刑すると発表した事です。そして、彼を救出に来るであろう白ひげ海賊団やルフィ達を一網打尽にしようと考えた海軍は、盤石な態勢を敷きます。
当然、大将である黄猿も赤犬、青キジとともに処刑台の傍を陣取ります。戦いが始まると黄猿は、白ひげに向けて無数の光の弾丸「八尺瓊勾玉」を放つのです。しかし、白ひげ海賊団1番隊隊長のマルコが、この攻撃を受け止めます。
そして、不死鳥の姿に変身する能力であるトリトリの実を使い、攻撃を仕掛けてくるのです。「コワイねェ~~白ひげ海賊団」などと言いながらも、今度は黄猿が攻撃を弾き返す展開に。緊迫した戦いの最中でも、黄猿は楽しんでるように見えます。
戦いは一進一退が続きましたが、赤犬の活躍もあってエースを仕留めて白ひげも死亡したため、一気に海軍が優位に立つのです。しかし、逃げる海賊を追い詰めて、黄猿が攻撃をしようとした時、四皇の1人シャンクス率いる赤髪海賊団の副船長ベン・ベックマンが銃を向けます。
そして「何もするな黄猿」と言うと、「お〜とっと〜、ベンベックマ〜ン」と驚いたような顔をして攻撃を止め、なぜかそのまま海賊を逃してしまうのです。
不可解に思えるこのシーンの真相は、ベックマンの能力や2人の関係が描かれていないのでわかりませんが、ベックマンの強さや能力を黄猿が知っているという事なのでしょう。
戦争はこの後、シャンクスが収める事によって終結。黄猿は見た目や喋り方が独特なので、シリアスなシーンでも、どこか面白可笑しく見えてしまいます。それも魅力ではありますが、同時に心の奥底を読ませない不気味さもあるのです。
白ひげ海賊団については<漫画『ワンピース』白ひげ海賊団メンバー一覧!>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
劇場版12作目の映画『ONEPIECE FILM Z』の物語。
元海軍本部大将で、海軍の頃は黄猿や青キジの恩師であり、多くの海兵達から「先生」と呼ばれ慕われていたゼファーでしたが……。
- 著者
- 出版日
- 2013-07-04
海賊を絶滅させるという目的で結成された、NEO海軍。組織を率いるのはゼット(本名:ゼファー)です。かつて海軍に所属し、大将まで務めた男でした。また「すべての海兵を育てた男」とも呼ばれており、当時の青キジや黄猿も彼に育てられた教え子にあたります。
海兵達からの信頼も厚く、「先生」と呼び慕われていました。しかし、海賊に家族や教え子を殺され、自身の右腕を奪われた事により、海軍を辞めてNEO海軍を結成します。そんな彼の目的は、古代兵器に匹敵する起爆鉱物の「ダイナ岩」を海軍から盗み、大爆発を起こして海賊を抹殺する事です。
海軍から「ダイナ岩」を盗み出す際には、かつての教え子である黄猿と再会し、戦うシーンがあります。当時は師弟関係ながら相性最悪だった事や、戦う時はピカピカの実の能力に頼り過ぎるなと注意した事など、お互いどこか楽し気に語り合いながら、激しい戦いをくり広げるのです。
物語は、ゼファーとルフィとの一騎打ちになり、満身創痍ながらルフィが勝利します。しかし、そこにNEO海軍と麦わらの一味を捕まえに、黄猿率いる海軍が登場。するとゼファーは、最期まで自分の好きなようにやった落とし前をつけると言いながら、たった1人で海軍の前に立ちはだかるのです。
黄猿はボロボロの体になったかつての恩師にも容赦せず、「サヨナラ~、ゼファー先生」と言いながら致命傷を与える攻撃を加えます。それでも戦い続ける彼の姿を見ている海兵のなかには、涙を流すかつての教え子もいたのでした。
感情を出す事が少なく、海軍の敵となったゼファーにも手加減することは無かった黄猿。しかし、最期まで「先生」と呼んでいるあたりは、もしかすると何かしらの思いがあったのかもしれません。
光を自由自在に操れる事から、最強とも言われている黄猿。そんな彼の能力はピカピカの実ですが、その技や武器などを、覇気の種類と絡めながら強さを解説していきましょう。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-08-04
ピカピカの実の特徴は、攻撃、防御のどちらも優れている事と、移動を含めたそのスピードにあります。光を操るのでレーザー攻撃が基本となり、射程距離や命中率が高く、威力も絶大。
特に足から放たれる攻撃は凄まじく、その典型が頂上戦争でも使った八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)という、無数の光の弾丸を放つ技です。
また、「天叢雲剣」(あまのむらくも) という技では自分の手で光の剣を作り出す事が出来るので、生物の声や感情を聞ける「見聞色の覇気」が使えないと攻撃をかわすのは非常に困難。
防御に関しても、体の周囲に見えない鎧のような力で包む「武装色の覇気」をまとった攻撃以外は、体が光なので貫通してしまい、当てる事も不可能です。
さらに「八咫鏡」(やたのかがみ)という光が鏡に反射することを応用した、光の速さで移動をする技もあるので、もはや無敵といっても過言ではないでしょう。実際に激しい戦いがおこなわれた頂上戦争で、三大将のうち無傷だったのは彼だけでした。
悪魔の実の能力者の強さをランク付けした<漫画「ワンピース」悪魔の実の能力者最強ランキング25!覚醒者の順位は!?>の記事もおすすめです。黄猿は一体何位にランクインしているのでしょうか。
彼は、当時海軍大将を務めていた赤犬の「徹底的な正義」や、青キジの「だらけきった正義」とは違い、「どっちつかずの正義」を信条にしています。正反対な極端すぎる正義を掲げる2人を見て、バランスを取った考え方です。
この項では、そんな彼の考え方が伺えるセリフやシーンをご紹介。ちなみに彼は、語尾に「~ねェ」と付けるのが口癖です。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-06-01
ヒヨッ子の諸君…
今はわっしもいるのでねェ…!!!
(『ONE PIECE』52巻より引用)
シャボンディ諸島編で麦わらの一味を探している途中、超新星の4人と戦う時に言ったセリフ。結果は黄猿の圧勝でしたが、麦わらの一味を見つけたと連絡が入ってその場から離れたため、海賊達は助かります。
赤犬であれば、トドメを刺してからその場を離れたでしょう。黄猿は海賊を根絶やしにする事を正義とはしていないのです。
困ったねェ~~~
軽い気持ちでこの島に来たのにねェ…
(『ONE PIECE』52巻より引用)
同じくシャボンディ諸島編で、麦わらの一味を倒そうとする黄猿を、ロジャー海賊団の元副船長レイリーが止めに入った時のセリフ。レイリーの強さを理解している黄猿は、この場での戦いは得策ではないと考えて避けます。
海軍の邪魔をする人物を悪と考える赤犬であれば、この場でとことんやりあったでしょう。
度胸だけじゃねェ…〜麦わらのルフィ…
”力”がねェのなら…救えねェもんは頑張ったって救えねェよォ…
(『ONE PIECE』58巻より引用)
頂上戦争のなかでエースを救出するため、海軍と戦いながら体力の限界を迎えようとしていたルフィに、黄猿がレーザー攻撃をした後に放った言葉。非情な言葉ですが、圧倒的な力を持つ彼だからこそ響くものがあります。
さらにこの後ルフィを蹴り飛ばし、白ひげに、
おめェともあろう男が……!!
そんな無謀なだけのゴミクズに先陣を切らすとはねェ〜…
(『ONE PIECE』58巻より引用)
と吐き捨てるのです。真面目な会話をする事が少ない彼だけに、まともなセリフを言うと、妙にカッコよく見えます。
これを見るとわかりますが、彼は悪を徹底的に排除するという事も、感情に流され甘さを見せる事も正義としていません。その場の状況に合わせた最善の行動を優先する。これこそが、黄猿の掲げる「どっちつかずの正義」の形なのです。
ここまで海軍大将である黄猿の紹介をしてきましたが、やはり掴み所がなく、謎めいた部分が多くある人物です。しかし、圧倒的な強さや、ある意味で合理的とも思える「どっちつかずの正義」という考え方には、思わず魅力を感じてしまうでしょう。作品にはあまり多く登場しませんが、興味を持った人はぜひチェックしてみてください。
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