十二支の呪いを代々受け継ぐ草摩家の人々と、母娘2人で支えあってきた女子高生・透の、優しくも悲しい、それでいて幸せな物語『フルーツバスケット』。 透は草摩家の由希と、その天敵である夾との間に挟まれながら、彼らと生活をともにしていくようになります。そのなかで友情や恋愛を育み、ときには泣いて、嫌って、憎んで……そして愛を知っていく作品です。 そんな本作は2001年に続き、2019年4月からテレビアニメ作品が放送。ますます注目です。スマホアプリからは無料で読むこともできるので、ご利用ください。
1998年から2006年まで、「花とゆめ」にて連載された作品で、全世界累計発行部数は3000万を突破してる高屋奈月の作品です。
全23巻で完結されており、その後、愛蔵版が12巻刊行されています。
本作は講談社漫画賞少女部門を受賞し、さらに「もっとも売れた少女漫画」としてギネスブックに載るほどの大ヒットとなりました。完結後から数年後の世界を描いた『フルーツバスケットanother』も刊行されています。
主人公の女子高生・本田透は、父を幼い頃に失くし、元レディースの母・今日子によって女手1つで、育てられてきました。しかし不慮の事故で母も失くし、ある事情からテント暮らしを始めるのです。
そんなある日、同じクラスの草摩由希と関りをもちます。彼の生まれた草摩家には、実はとんでもない秘密がありました。
異性に抱きつかれると、なんと十二支の姿に変身してしまうのです。偶然それを知った透は秘密保持のため、草摩家の人々が住む家で暮らすことになるのでした。
この記事では、愛蔵版の巻ごとに魅力を伝えていきます。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2015-09-04
本作は、序盤は笑えて、ほのぼのした展開。キャラの個性が強く、キャラたちの愛らしさと面白さに癒され、楽しく読み進められます。主人公・透の天然ボケのような性格や、元レディース・魚ちゃんや、電波を操る能力を持つ花ちゃんなど。
草摩家には、十二支がコンセプトになっているため、12人の子供がいます。そして、昔から伝わる十二支エピソードと同様に、神様のような存在も登場。この部分がキーで、物語の行方を大きく左右する重要要素となるのです。
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【フルーツバスケット】全巻無料で読めるか調査!漫画を安全に一気読み
当記事で紹介する【フルーツバスケット】は、花とゆめにて掲載されていた、高屋奈月先生の少女漫画です。 ・無料で漫画を読みたい! ・とにかくお得に漫画を読む方法を知りたい! というあなたのために、【フルーツバスケット】を全巻無料で読むことができるかどうか調査しました。 当記事では、『今すぐに無料で漫画を読む方法』と『お得に漫画を読む方法』をご紹介していきます!
この草摩家の十二支の呪いの設定が登場してから、ほのぼのムードは一転。涙なしでは語れない作品となっていきます。
異性に抱きつかれると十二支の姿に変身してしまう……。
この異性とは、家族も含まれてしまうため、彼らは産まれた時から辛い人生を強いられているのです。バケモノと罵られてしまう悲しさ、親から愛情をもらえない寂しさ。それらがストーリーの端々から感じられるたびに胸が苦しくなってしまいます。
家族愛、友情、そして恋愛をめぐって、透を中心に由希や夾、草摩の人々が変わっていく姿は、親のような気持ちで見入ってしまう、放っておけないもの。なかでも透の恋愛模様は、特に親のような気持ちになってしまいます。天然だけどまっすぐな彼女の恋には、ドキドキよりもほっこりした気持ちでいっぱいになります。
見どころ①クスっと笑ってしまうキャラクター達の掛け合い
物の怪憑きの呪いの一族草摩家。草摩家当主の話や、呪いの話となると途端に陰湿な空気になりますが、日常風景には笑いがいっぱい。主人公透や、他の物の怪憑き達のたび重なるボケに次々とキャラクター達がボケを重ねて、つっこみ役の由希と夾は大忙し!
見どころ②草摩一族の物の怪憑きは美形!
前述した由希、夾以外にも様々なテイストのイケメンキャラクターが登場します。王子様、ワイルド、ショタっ子、ヴィジュアル系、俺様ならぬ王様(!?)系、大人の色気漂う和服男性、インテリ男性、金髪美少女、アイドル系、ゴスロリ系……それぞれ魅力的な物の怪憑きたち。どんな読者にもお好みのキャラクターが見つかりそう。
見どころ③物の怪憑きの呪いとは?
異性と抱き合う、抱きしめられると動物に変身してしまう呪い。しかしそれが呪いの全貌ではありません。陰湿で奇怪な呪いとは……?その呪いと絆にこだわり、物の怪憑き達の心を揺さぶる当主、慊人とは……?物語中盤、呪い故の異常な仕打ちを知った透は、呪いを解こうと奔走することになります。果たして呪いは解けるのか?
見どころ④脇役達のドラマ
透と草摩家の者達のドラマはもちろんのこと、フルーツバスケットでは彼らを支える脇役達にもドラマがあります。彼らが語るドラマにも胸が熱くなること必至。透の親友、ヤンキーの魚ちゃん、電波女の花ちゃんの他に、プリンス・ユキ会長、生徒会メンバー等、生き生きとしたキャラクター達は物語を賑やか盛り上げてくれます。
見どころ⑤透、由希、夾、三人の関係性は?
生い立ちゆえに物事を斜めから見ており、他人と一線を引く由希。猫の物の怪憑きゆえに、誰にも愛されないと諦め由希を倒す目標だけが生きがいの夾。そんな閉ざされた二人の心を開いた透。果たして透はどちらとくっつくのか、というのも大事な見どころといえるでしょう。呪いを解こうと透に決意させた、透の大切な人とは一体どちらなのか、最後まで目が離せません!
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十二支の呪いを代々受け継ぐ草摩家の人々と、母娘2人で支えあってきた女子高生・透の、優しくも悲しい、それでいて幸せな物語『フルーツバスケット』。 透は草摩家の由希と、その天敵である夾との間に挟まれながら、彼らと生活をともにしていくようになります。そのなかで友情や恋愛を育み、ときには泣いて、嫌って、憎んで……そして愛を知っていく作品です。 そんな本作は2001年に続き、2019年4月からテレビアニメ作品が放送。ますます注目です。スマホアプリからは無料で読むこともできるので、ご利用ください。
とある理由によりテント暮らしを余儀なくされた女子高生・本田透(ほんだ とおる)が選んだ場所は、草摩由希(そうま ゆき)と、その従兄・紫呉(しぐれ)の家の近くでした。偶然、草摩家に伝わる十二支の秘密を知ってしまった透は、夾(きょう)も含めた4人で生活を始めます。
男所帯のなかに女1人な透ですが、そんなことは気にせず、持ち前の穏和さで彼らとすぐに打ち解けていきました。
その後、新たに草摩家の十二支に関係する人物たちも彼女に接触してきます。夾のことが大好きな女の子・楽羅(かぐら)や、可愛い男の子・紅葉(もみじ)、大人な男性・はとり……。
なかでもはとりは、十二支の秘密を知ってしまった透の記憶を隠蔽しようと、彼女のもとを訪れたのでした。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2015-09-04
最初は、コメディのような展開で物語がスタート。由希のブラックなところがありながらも優しいところ、夾の猪突猛進な行動に癒されながら笑って読み進められます。透の友人・魚ちゃんと花ちゃんも登場し、一緒にいるにも関わらずあまりにも異なる3人のキャラも見所です。
さらに、透の祖父もほのぼのとした魅力的なキャラクターで、個々の登場人物の魅力に癒されるでことしょう。
さらに新登場の十二支メンバーの紅葉は本当に可愛くて、こんな弟が欲しい!と思ってしまうこと間違いなし。誰からも愛されるような魅力があります。
登場人物たちが一強に勢ぞろいし、これからが楽しみな始まりの巻です。
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『フルーツバスケット』を含む高屋奈月のおすすめ漫画5作品!
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6人目の十二支メンバー・撥春(はつはる)が突如、透達の前に現れます。体育の授業中、持久走で河原の近くを走っていた時のことでした。
不思議な髪色をした撥春はとてもマイペースで、一見温和な性格をしている……と思いきや、なんと突然、夾に勝負を挑んできたのです。その勝負に透も巻き込まれてしまい、破茶滅茶な展開となっていきます。
春になり、透と由希、夾が2年生に上がると、紅葉と撥春が同じ高校に入学。同じ高校に十二支が4人もいるという不思議な状態に戸惑う彼らですが、そこには何やら思惑がありそうです。そして、今まで見え隠れしていた草摩の当主であり、絶対的な存在・慊人(あきと)が、透の前に現れました。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2015-09-04
撥春、慊人が登場する2巻です。ここから変わりつつある物語の様子にさらに引き込まれていきます。
二重人格の撥春は、ぼけっとした静かなモードと、戦闘心丸出しのモードがあります。そのギャップが魅力的。見た目は誰よりも大人びているのに、初登場時はなんと中学生という恐ろしさです。
また慊人は、物語のなかで最も重要といえるほどのキーパーソン。透に対して酷いことを言い放つ慊人……。慊人の抱える闇が見え隠れし、ハラハラドキドキの展開が気になって仕方ない内容です。
透、由希、夾、はとり、紫呉たちは、草摩家の別荘でGWを過ごすことに。はしゃぐ透を、由希と夾は穏やかな気持ちで見つめます。
今回の十二支メンバーの初登場は、由希の実の兄・綾女(あやめ)です。由希とはまったく違う性格に透もはじめは戸惑いますが、しだいに打ち解けていきます。
そして、夾や由希の師匠である藉真(かずま)が、紫呉たちの家へと訪れました。彼はある理由から夾の父親代わりを務めており、再び一緒に暮らそうと彼に言い出します。
しかし、藉真はそれを拒否。さらに、夾の悲しく、おぞましい過去が明かされ、透はその光景を目の当たりにすることになるのです。
さらに、もう1人の十二支メンバー・杞紗(きさ)も登場。実は、彼女はある事情により、口がきけなくなってしまっており……。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2015-10-20
3巻は、初登場の綾女と、夾の過去、笑える展開と泣ける話に引き込まれる内容です。
綾女はナルシストでマイワールドが強く、人の意見を聞いているようで聞いていなく、すべて自分都合に変えてしまうという強者。由希に嫌がられてもおかまいなしで絡む様子は、微笑ましくもあります。
紫呉、はとり、綾女は同学年。学生時代もともにしており、その様子はまさにイケメン3人衆で、心が踊ることでしょう。
また、そんな明るい話もありますが、3巻のもうひとつの見所は夾の過去。涙なしでは語れない内容で、猫の呪いである驚異的な変幻姿には、つい目を伏せてしまいそうになります。そんな様子を見たあとの透と楽羅にも、また泣けてくるはずです。
4巻で登場するのは、杞紗のことが大好きだけど素直になれない男の子・燈路(ひろ)。杞紗が透に懐いていることに嫉妬して、透へのあたりが強く、なにかと突っかかっていきます。
燈路の生意気さは、可愛さを通り越して、思わずイライラすることも……。しかし、彼の愛嬌と杞紗へ淡い恋心を見ると、ついこの生意気さえも愛らしく思えてくる人物です。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2015-11-20
しかし燈路は、杞紗の過去に大きな後悔を抱え続けてきた複雑な人物でもありました。それは、彼女が話せなくなってしまった原因の、いじめについてでした。そのことへの燈路の葛藤も、本巻の見所の1つです。
さらに、女性と見間違うほど可愛らしい見た目の青年で、とても小心者の利津(りつ)も登場。残す十二支メンバーもわずかとなってきました。
4巻の見所は、透の優しさで、新しく登場したキャラたちも荒んだ心や寂しい心に温かい燈を灯していく様子。それらを見守る由希や夾の気持ちにも変化が表れているところも見所。
透の優しさに感化され、彼女に惹かれていくという恋愛展開もドキドキです。しかし杞紗と透の鈍感さが凄まじく、本作の男性陣が哀れすぎて、もはや笑ってしまいます……。
由希が、生徒会の一員に仲間入り。そこには十二支メンバーにも負けないくらい、個性豊かな役員達がいました。
さらに、元レディースでありながら、透のことをとても大事に思っている友人・魚ちゃんに、恋の季節が到来。そして、電波魔女と呼ばれる花ちゃんの過去も明らかになるのです。
高校の夏休み、再度草摩家の別荘に行くことになった透と十二支メンバー……しかし、その近くには慊人もおり、楽しい旅行がそれだけではなくなってしまいます。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2015-12-18
由希の生徒会メンバーは、これからの物語で十二支メンバーと同じくらい重要になっていく人たちです。そして由希が変わる最後のきっかけでもあり、彼の心の変化に微笑ましさを感じることでしょう。
そんな5巻は、魚ちゃん、花ちゃんの過去が見所。キャラが強い彼女たちだけあり、なかなか一筋縄ではいきません。しかし2人に共通点もあり、それは透に救われたということ。どうしてここまで2人が透中心に動くのかが、本巻を読めばよくわかるはずです。
また、魚ちゃんの想い人「クレノ」にも注目。実は彼、ある重要な人物なのです。謎に包まれた彼に、良くも悪くも、この先の展開を期待せざるを得ません。
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1974年創刊の少女漫画雑誌「花とゆめ」。少女漫画と言えど、老若男女問わず魅了する作品が多く掲載されてきています。その中から、時に血湧き肉躍り、時に泣け、時に考えさせられるおすすめの作品をご紹介します。
別荘旅行では十二支メンバーとの物語はさらに進み、残された2人のうちの1人・依鈴(いすず)が登場。透と出会います。そして慊人と由希の問題、慊人と夾の確執など、草摩家の抱える闇、彼らの過去が次々と明らかになり……。
それには、はとりや紫呉をはじめ、紅葉など、みんながみんな思うところがあり、これまで苦しめられてきていたのでした。
別荘編も終わると、ついに新学期を迎え、生徒会メンバーが勢ぞろい。由希が彼らと過ごすことが多くなる一方、透は十二支の呪いを解くための行動に出始めるのです。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2016-01-20
シリアスな展開が続く6巻。見所は、慊人の存在です。
やっと登場した依鈴はぶっきらぼうですが、妖艶で美しく、本当はとても優しい性格の女の子。彼女には虐待されていた過去があり、その時救ってくれたのが撥春でした。その後2人は付き合うのですが、ある出来事がきっかけで引き離されてしまうのです。
そこに関わっていたのが、慊人。
それを知った依鈴は、ある目的のために行動を始めます。彼女と透の動きは今後の展開を大きく左右していくので、まさに見逃せません。
また、慊人が大々的に彼らの目の前に現れ、今まで草摩の本家でどのように過ごしてきたか明らかになります。しかし紫呉とはとりの意味深な会話によって、慊人との関係の謎はさらに深まっていくのです。
また、本巻では夾の心の動きにも注目。恋を自覚した彼の狂おしい心情に、読んでいて思わず胸を締め付けられるでしょう。
高校生活も大詰めになってきた透達は、進路の問題に悩まされます。特に由希は自分の意見を聞き入れてくれない母の存在に悩み、行動しようと試みますがうまくいきません。しかし、そこで、綾女が初めて兄らしいことをするのです。
一方で透は、魚ちゃんの想い人の「クレノ」が実は草摩家にいる「紅野」と同一人物ではないかと考え、1人で草摩の本家へと訪れます。
また、依鈴は十二支の呪いを解こうと奮闘しますが、体の調子が悪いまま行動していたせいで倒れてしまいました。透は彼女が呪いを解こうとしていることを知り、ますます草摩への思いを強くします。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2016-02-19
それぞれの事情がからみ合い、思いが変化していく7巻。
由希においては、徐々に草摩家との確執から解放されていく様子が描かれていきます。いつも何かを諦めていた彼が、やっと自分の思いを口にして行動しようする姿に、強く胸を打たれるはずです。
大人に忌み嫌われる十二支の宿命を背負った子供たちが、自身の運命へと抗おうとしている姿が感動的な内容です。
由希が今まで秘めてきた透への思いを、ついに他人に明かします。明かした相手は、生徒会でともに役員をしている真鍋翔(まなべ かける)です。由希は常にみんなの憧れでいましたが、彼と出会い、完璧すぎるイメージが徐々に変わってきていました。
由希の物語が大きく動き出した、そんな印象を抱く内容です。
そして物語は、文化祭シーズン。透達のクラスは劇をやることになるのですが……。そこでも一波乱が起きます。ここまでシリアス続きだったので、久しぶりのラブコメ展開です。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2016-03-18
しかし8巻でもやはりシリアスなパートも描かれます。透の母・今日子の話が語られるのです。
実は昔、夾は今日子と会っていて、その時から透のことを知っていたのでした。しかしその後起きた今日子の事故によって、彼は心に闇を抱えることになってしまったのです。果たして、その理由とは……。
今日子の過去編では、透の父であり、今日子が愛した夫・勝也が登場します。この2人の出会いからの馴れ初めはキュンキュンできる内容で、見応え抜群。透の口調の由来もわかって、本田家についても知ることが出来るパートです。
物語は、だんだんとクライマックスへと向かっていきます。
由希には新たな気持ち、恋心の芽生えが感じられる展開が見られます。その人物は翔の妹で、同じ生徒会メンバー・真知(まち)。実は彼女もまた、辛い過去を抱えていた人物でした。
一方で、透は魚ちゃんの想いが込められたDVDを紅野に渡した際に、草摩に関係するとんでもない事実を聞かされます。そして、これを機に依鈴と花ちゃんが行動し、草摩の問題も大きく動いていくのです。
依鈴は、紅野へと透のことについて聞こうと草摩本家にいきますが、行方不明になってしまいます。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2016-04-20
続編の漫画『フルーツバスケットanother』でも重要になってくる由希と真知の関係が、ここから始まります。由希にとって、草摩家と透がすべてでしたが、そこにまた大事にしたいと思う人物、翔と真知が入ってきたのです。高校生の男の子らしい、可愛い心情を垣間見ることができます。
草摩問題に関しては、涙が止まらない展開です。紅野の告白により事態は急激に変化し、ボロボロと崩れる十二支の関係に、悲しみが込み上げてきます。自分の本心を押し殺してきたのであろう紅野の思いが切なすぎる内容です。
夾と透……この2人に新たな問題が直面します。もともと透の母・今日子も含め、彼らの関係は一筋縄ではいかないものでした。それゆえに透は夾が好きだと自覚すればするほど、同じように大好きだった母の存在が薄れてしまうような恐怖感に晒されるのです。
また、十二支の呪いは最終段階へと進み、慊人の葛藤が描かれます。紅野の秘密が、次々と周りを巻き込んでいくのです。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2016-05-20
夾の溢れ続ける透への愛情は、読者の心をも打ちます。ここで最初の頃と読み比べると、夾の笑顔、透の恋心、すべてにおいてよい方向に変わってきているのが感じられるでしょう。その変化の様子の見事さと、最初からしっかりと描かれていた兆しには、作者・高月奈月の力を感じることでしょう。
しかし本巻では微笑ましい場面だけではなく、重く、苦しい展開も続きます。愛し合っているのに悲しい。そんな透と夾の心情に、胸が締め付けられるはずです。クライマックスへ向けて、どのような展開を見せるのでしょうか。
今日子の死の原因……今まで夾が隠してきた秘密が、ついに透に明かされました。過去に縛られ、なかなか幸せになれない2人ですが、由希が彼らの心を大きく動かす行動に出ます。
一方、慊人はずっとそばにいた紅野を刃物で刺し、逃げてきたところで透と出会い、ついに2人の対峙が描かれます。それと同時に、十二支の呪いにも、ある変化が訪れるのでした。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2016-06-20
夾の辛い気持ちと過去の重さに胸を締め付けられる部分がありながらも、由希の優しさや透の強さに感動する11巻。本田家の祖父の何気ない一言に背中を押された夾は、多くの人の力を胸に、透へと向き合うことを決意します。
しかし、やっと2人が幸せになれると喜ぶのも束の間、慊人の悲しみに涙が止まらなくなる展開がくり広げられます。十二支の呪いが解けるとは、どういうことなのか。彼女の過去の悲しみとともに、さまざまな感情が混ざり合い、この作品のテーマの深さを感じることでしょう。
ひたすら重かったここまでの展開に、一筋の光が降り注ぐ11巻。ついに、次巻で完結です。
事故にあった透でしたが、無事に慊人との問題も解決し、物語は明るい未来へと向かっていきます。最後の最後で、主人公・透、夾や由希、そして草摩家の人々みんなが、それぞれの幸せの形を手に入れるのです。
そして高校も卒業の時期となり、彼らの進む道はどうなっていくのでしょうか……。名作少女漫画、ついに最終巻です。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2016-07-20
透をはじめ、夾も由希も、そして紫呉も、さまざまな登場人物が多くの問題を抱え、苦しめられてきました。しかし結果として、それぞれにとって1番よい形の幸せを手に入れることができたといえるでしょう。当初から考えるとかなり意外なカップルもいるので、要注目です。
さらに驚くのは、なんといっても慊人の変化でしょう。始めの頃とはまったくイメージが異なる人物になります。さまざまな登場人物を苦しめてきた彼ですが、実は本人もたくさん苦しんできた人物なのでした。一体どのような変化を遂げたのか、ぜひ本編でご確認ください。
それぞれ幸せを掴んだ彼らの様子に、読者も同じように幸せな気持ちに溢れる最終回。最後に描かれるエピローグも必見。そこで描かれる未来の姿は、幸せと希望を感じさせてくれるでしょう。
主人公、本田透は海原高校に通う天涯孤独の女子高生。ドジでおっちょこちょい、天然で素直過ぎて騙されやすいのが玉にキズですが、家事が得意で前向き、一途でとても思いやりがある女の子です。
彼女は物語冒頭で、誰にも秘密でテント暮らしをしています。おっちょこちょいなことにそのテントを張った場所が、知らなかったとはいえ草摩家の土地であり、その秘密がクラスメイトの草摩由紀にばれてしまいました。
しかし幸運だったのは、草摩家に居候するという展開になったこと。そうして物語が始まっていくのですが、そもそもなぜ彼女がテント暮らしをしていたのかというと、世話になっていたお宅が改築することとなり、それまで友人宅で過ごして欲しいと祖父から頼まれていたためでした。そこで「迷惑をかけたくないから」と友人にも頼まず、「頼める友人がいない」と祖父にも告げないで、一人で無理をして頑張ってしまっていたのです。
それが本田透です。しかしそれを本人はまったく苦だと思っていません。本人いわく、もっと辛いことを知っている。それはお母さんが亡くなった日の朝、起きられなくて「行ってらっしゃい」が言えなかったこと。幼い頃に父も亡くしている彼女は、大切なお母さんを失うことをずっと恐れていましたが、そのお母さんを失ってしまいます。それでも前向きに生きて、「自分は大好きな人達がいて幸せ」といつも笑顔を絶やしません。お母さんから受け取った愛や言葉を自分なりに解釈し、新しい言葉を紡ぎます。
誰にも分け隔てなく、どんな相手でも信じようとするその姿に、多くのキャラクター達が心を癒されていきます。そして彼女は“大切な人”のためにある呪いを解こうと一人決意するのでした。
草摩由希は、透の通う海原高校で王子様的存在の美少年。
灰色の髪に女性的な綺麗な顔立ち、成績優秀、スポーツ万能、上品な仕草と誰にも分け隔てなく優しい人柄。その完璧過ぎる様はどこか人を寄せ付けない、彼はまさに王子様!
ということで、海原高校にはプリンス・ユキ(通称プリユキ)なるファンクラブまで存在しています。彼の時折見せる王子様的台詞や仕草には読者もドキドキです。しかしそれは由希の外での仮の姿。
本当の彼は草摩家に代々伝わる物の怪憑きの呪いによってねずみに憑かれており、異性に抱きつかれるとねずみに変身してしまいます。それゆえに王子様キャラで人を寄せ付けないことで自身の秘密を隠していだけなのでした。
趣味は家庭菜園。不器用で料理・掃除・洗濯はまったくできません。女顔にコンプレックスを持っています。そして敵意ある者、悪意ある者は一刀両断、容赦なく切り捨てます。個性的な草摩家のキャラクター達の中では“一番”に宴会に訪れた“ねずみ”という“特別”な存在ではありますが、性格は常識的でまともなため、つっこみ役になることが多いです。臆病でシャイなところもありますが、複雑な関係の夾の前では笑うのも嫌だし、弱みを見せるのも嫌。まさに猫とねずみ、いつも喧嘩ばかりしています。
草摩家でねずみとして“特別”扱いを受けてきた彼は、草摩家当主の”お気に入り”でした。それが彼の一番の不運だったかもしれません。当主に幼い頃から呪いのような言葉の虐めを受けてきたため、本当は自分に自信もありません。十二支では仲間はずれ、草摩家では爪弾きにされている夾に、かえって憧れを持っています。呪いのせいで幼い頃友人達を失ったトラウマもある彼にとって、透は初めてできた特別な存在。透から貰った愛情を勇気と自信に変えて、草摩家に囚われた自分と決別しようと誓います。
夾(きょう)の信念は由希を倒すこと!
そのために山で修業したり、バトルや戦い、競争と聞くとすぐに熱くなったりしてしまう、ちょっとワイルドなイケメンです。不器用なりにさり気なく透を守ろうとする姿はとても頼もしく、きっと読者をキュンとさせてくれることでしょう。
夾には猫の物の怪が憑いており、異性に抱き着かれると猫になってしまいます。しかも十二支ではない異形であるため、草摩家では爪弾きにされています。そのために物の怪憑きで一番”特別な存在”、猫を騙した”ねずみ”の由希を倒し草摩家に自分を認めさせようと奮闘しているのです。
実父と不仲であり、かわりに空手の師匠を父のように慕っています。もともと男子校に通っており、体質のせいで女性と関わってこなかったため、女性が苦手。また、修行ばっかりしているので世間知らずでちょっとおバカなところがあります。でも基本的には常識人なので、どちらかというと由希と同じく彼もつっこみ役になりがちですね。
人見知りも激しいですが、本来の熱い性格から目立ちやすく親しみやすいので、周囲にはすぐに人が集まる人気者体質です。しかし本人はそんなことにはあまり気付いておらず、猫として見下され、非難され、多くのものを失ってきたゆえに、異形の自分を数珠に封印して、誰にも見せないようにと心を閉ざしています。そんな彼の心を開いたのが、十二支の昔話で猫が一番好きだという透でした。
初めは由希を倒そうと熱くなるあまり周囲が見えず、透に怪我をさせてしまうこともありましたが、それでも猫の自分と仲良くなりたいと言ってくれた彼女の優しさに触れて、不器用ながらも自分の気持ちを伝えようと一生懸命な彼の姿を応援したくなることでしょう。
また、彼が由希を目の敵にするには、由希がねずみという特別な存在であること以外に重大な理由がありました。
はじめて透が草摩家を訪れたときに現れたのが紫呉(しぐれ)でした。彼は草摩由希の従兄。年上であることから、由希たちを諭すような場面も多々見られます。草摩家の皆にとっては保護者のような立ち位置になっているのです。
彼の職業は小説家。作家っぽい、という理由で普段から和服を着ています。真面目な発言もありますが、飄々としていて、ふざけた言動も多く見られます。そのギャップにキュンとするファンも多いでしょう。
本心を語ることはあまり多くなく、特に謎めいた人物。彼には戌(いぬ)の怪が憑いています。十二支の呪いについて、彼はよく知っているようですが……。のちに登場する慊人(あきと)との関係も謎が深く、秘密が明らかになるまで見逃せない展開が続きます。
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少女漫画界屈指の、優しいラブコメディ。 テント暮らしをしていた女子高生・本田透は、ひょんなことから学園のアイドル・草摩由希の家に拾われます。しかし、草摩家には皆不思議な秘密があり……? そして、その後を描いた続編「another」では『フルーツバスケット』のあのキャラクター達にまた会える!? この記事では2つの作品の魅力を一挙にご紹介していきます!本作は続編までスマホのアプリで無料配信されていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。