幅広い世代から支持され、海外での人気も高い漫画『ONE PIECE』。主人公のモンキー・D・ルフィと仲間たちが「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を目指し大海原を航海するアクションアドベンチャーです。ここでは、ルフィが率いる麦わらの一味のメンバーで船医でもあるトニートニー・チョッパーを紹介します。
※2018年時点のデータです
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2000-12-04
小さな体に短い手足、クリクリの丸目に青い鼻。帽子をかぶり、リュックを背負って二足歩行するかわいいルックスから、一味のマスコット的な存在のチョッパー。犬やタヌキなどに間違えられますが、立派な大きさの角が生えているトナカイです。
性格は非常に優しく仲間思いですが、気が小さく何か起こるとすぐ物陰に隠れてしまいます。また人に褒められたり、おだてられると嬉しさを隠すために啖呵を切ってしまう照れ屋な一面も。一味のメンバーではロビンと仲良しで、精神年齢が低く、人間の女性に対して下心が無いため、チョッパーとロビンは一緒にお風呂に入ったりもします。
そんな彼ですが医者としての腕前は一流で、相手が誰であろうと怪我人は絶対に助けるという強い意志を持っています。医者といっても一応海賊なので手配書は配られていますが、麦わらの一味のペットと思われているのか……懸賞額は100ベリーという低さです。
また、原作とは内容が少し異なりますが、チョッパーがルフィ達と出会い仲間になるまでのストーリーを描いた映画『ONE PIECE THE MOVIE エピソードオブチョッパー+ 冬に咲く、奇跡の桜』は、2008年3月1日に公開されました。
チョッパーは冬島編でルフィ達と出会い仲間となり、後に様々な敵と戦いながら航海をしていきます。ここでは、麦わらの一味の仲間になるまでの過程をご紹介。
麦わらの一味は航海している途中、仲間のナミが謎の高熱で倒れたため、冬島と呼ばれるドラム王国に上陸し医者を探します。そこで出会ったのが医者のDr.くれはと助手のチョッパーでした。
そしてチョッパーが「ヒトヒトの実」を食べ、動物が人間のようになる能力を持ったトナカイであることを知ります。もともと船医を必要としていた事もあり、彼の事を気に入ったルフィは仲間にしようと決めました。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2001-02-02
しかし、そこに元国王だったワポルという男が、再び国王になるために戻ってきます。そして、元々自分が暮らしていたDr.くれはの城を攻め込んできたのです。ワポルは城に掲げてある見慣れぬ海賊旗を破壊しようとします。チョッパーは思わず叫びました。
「ドクターの掲げた信念は、絶対に下させないっ!」
(『ONE PIECE』17巻より引用)
その海賊旗は、今は亡きチョッパーが尊敬する恩人・Dr.ヒルルクの物でした。ワポルは銃で海賊旗を撃ち抜きます。海賊旗の大切さを知るルフィは激怒し、ワポルを殴り飛ばしました。
そしてチョッパーは、ワポルの部下チェスマリーモと戦うことに。恩師をバカにされたことに怒ったチョッパーは「ドクターの生き方を笑ったお前らを、おれが許さない!」と言い放ち、見事勝利しました。
戦いが終わり、ルフィはあらためてチョッパーを仲間に誘います。海賊になってみたい思いはありましたが、自分はトナカイでも人間でもないバケモノだから、本当の仲間になんてなれないと断りました。しかしルフィは意に介さず、こう続けるのです。
「うるせェ!!!いこう!!!!」
(『ONE PIECE』17巻より引用)
自分を必要としてくれるルフィの言葉に海に出る決意をするチョッパー。Dr.くれはに別れを告げ、麦わらの一味の5人目のメンバーになりました。
麦わらの一味を紹介した<漫画「ワンピース」麦わら海賊団メンバー一覧!ついにジンベエが加入!?>もあわせて覧ください。
チョッパーには悲しく切ない過去があります。そこには、医者を目指すキッカケになった恩師Dr.ヒルルクの存在がありました。ここでは『ONE PIECE』のなかでも「泣ける」と言われるチョッパーの過去について紹介します。
彼は生まれた時から青鼻のトナカイだったせいで、親からも仲間からも気味悪がられ群れから離れて行動していました。そこでヒトヒトの実を食べてしまい、トナカイ人間になってしまいます。
ついにトナカイの群れに入れなくなり人間に寄っていきますが、見た目から人間でもトナカイでもないバケモノ扱いをされ猟銃で撃たれてしまいました。そんな時に出会ったのがDr.ヒルルクでした。彼はチョッパーをバケモノ扱いせず接してくれる唯一の存在だったのです。
それから楽しい毎日を過ごしていましたが、ある日突然追い出されたチョッパー。実は、Dr.ヒルルクは不治の病にかかっており、自分が死ぬことが分かっていました。絶望を味あわせたくなかった彼は、チョッパーに冷たく当たったのです。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2000-12-04
そして自身も死ぬ前にやらなければいけない事がありました。彼は昔、偶然目にした山いっぱいに咲いた鮮やかな桜に感動したことで病気が治った経験があったのです。その奇跡の桜を、故郷である冬島に咲かせようとしていました。ヒルルクは命をかけ30年間もこの研究を続けてきたのです。
一方彼の病を知ったチョッパーは、ボロボロになりながら万能薬だと思っているアミウダケを摂ってヒルルクに渡します。実際は猛毒だと分かっていながらも、チョッパーの優しさに感謝しヒルルクはそれを飲みました。
残された時間が少ないヒルルクは、知人の医者であるドクトリーヌことDr.くれはに、自分の亡き後にチョッパーを医者にしてやってくれと頼みます。そして無免許で医療行為などを繰り返していたヒルルクは、その当時医者狩りをしていた国王であるワポルにおびき出され、その場で命を絶ちました。
全てを知らされたチョッパーは、大粒の涙を流しながらDr.くれはに頼むのです。
「医者を教えてぐだざい、何でも治せる医者になるんだ!」
(『ONE PIECE』16巻参照)
Dr.くれはの弟子になったチョッパーは「世の中に治せない病気は無い」というヒルルクの信念を受け継いでいきます。
ヒルルクは冬島に桜を咲かせる事はできませんでした。しかし後にチョッパーが海に出る際に、Dr.くれはの演出で険しい崖や雪をライトで照らし桜に見立て、冬島に奇跡の桜を出現させ見送りました。
麦わらの一味の中では体が小さく非力なイメージのチョッパーですが、様々な技があり日々進化しています。ここでは、チョッパーの必殺技について紹介します。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2006-07-04
チョッパーが食べた悪魔の実は動物が人間のようになるヒトヒトの実ですが、能力の基本的な形態は3つ。
体が大きく変化し、トナカイ本来の姿になる脚力強化(ウォークポイント)。大柄な体になりパワーアップする重量強化(ヘビーポイント)。体は元のままだが、思考力や集中力など頭脳がパワーアップする頭脳強化(ブレーンポイント)があります。
さらにチョッパーが編み出した「ランブルボール」という薬を飲む事で、3分間だけ新たな形態変化が可能になりました。長い毛で全身を覆いクッション替わりにすることで防御力を高める毛皮強化(ガードポイント)が4つめの形態です。
しかし1度使用すると6時間の間隔を空けなければならず、もし2回使用すると変形に支障をきたしコントロールが効かなくなります。3回使用したエニエス・ロビー編では、理性を失い巨大なバケモノとなり暴走しました。
修行を行ったあとは、コントロールできるようになったので、もしかすると能力の覚醒に近づいているのかも知れません。
守られているばかりではなく、麦わらの一味の仲間として皆の力になりたいという気持ちがチョッパーを強く成長させたのでしょう。
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『ONE PIECE』のキャラクターのなかでも見た目や性格などからとても人気の高いチョッパーですが、時に可愛く時にかっこいい名言があります。ここではその中から5つを紹介します。
「おれが”万能薬”になるんだ!
何でも治ぜる医者になるんだ!
だっでごの世に治ぜない病気はないんだがら!」
(『ONE PIECE』17巻参照)
病気を患うヒルルクに毒キノコと万能薬を間違えて渡してしまったチョッパー。2度と同じ過ちを起こさないようにDr.くれはに医療を教えてもらえるように頼むシーンです。
自分のせいで尊敬する人の寿命を縮めてしまった後悔を胸に刻み、自分自身が万能薬となるような医者になる事を誓います。誰であっても傷ついている人は助ける、という彼の原点となったできごとでした。
「バ...バカヤロー
そんなのほめられても嬉しくねェよ!! コノヤローが」
(『ONE PIECE』17巻参照)
チョッパーが動物と話せる能力がある事を知ったナミに「すごーい、チョッパー!医術に加えてそんな能力もあるなんて!」と褒められた際に返したセリフです。チョッパーの照れ隠しのお決まりのセリフです。言葉だけでは可愛さが伝わらないと思うので、ぜひ読んでみてください。
「おれの名前はトニートニー・チョッパー!!!
世界で一番偉大な医者がくれた名前だ!!!」
(『ONE PIECE』17巻より引用)
ワポルの部下チェスマリーモに言ったセリフです。尊敬するヒルルクの魂である海賊旗を撃たれ、バカにされ笑われた事にチョッパーが怒り叫びました。
さらに「ドクターの生き方を笑ったお前らを、おれが許さない!」と言いチェスマリーモを倒しました。ヒルルクを尊敬するチョッパーの思いと、覚悟が伝わってくるシーンです。(トニートニー・チョッパーはヒルルクが付けてくれた名前です)
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-11-04
「そうだよトナカイだ!!!
でも!!! 男だ!!!!」
(『ONE PIECE』17巻参照)
ワポル達との戦いで、力を貸してくれたルフィに惹かれ麦わらの一味に入ることを決意したチョッパーでしたが、ドクトリーヌはチョッパーの身を心配し猛反対します。
しかしチョッパーの意志は固く、覚悟を決め彼女に反論したときの言葉です。最後にドクトリーヌは「さぁ・・行っといで、バカ息子・・・」と小さく呟きました。
「お前の力になれるなら、
おれは本物の怪物にだってなりたい...!!! 」
(『ONE PIECE』60巻参照)
マリンフォード編で、義兄のエースを殺されたルフィの事を思い心の中で出た言葉です。出会った時から何の偏見も持たず海賊に誘ってくれたルフィが辛いときに、何も出来ない自分の無力さを感じていました。
そして少しでもルフィの力になれるよう、強くなることを決意するのです。ルフィのために行動するチョッパーは、どんどん強くなっていきます。
気弱で基本的には争いを避けたがるチョッパーですが、ここぞという時には男らしさを見せてくれるキャラです。特に自分の生き方や価値観を変えてくれたヒルルクとルフィには強い憧れや信頼感、尊敬の念を感じます。それを隠そうとしないチョッパーの素直さもよく分かります。
いかがだったでしょうか。体は小さくても大きな夢と曲げる事のない志を持ったチョッパーの魅力は伝わったでしょうか。今や海賊としても医者としても一人前に成長したチョッパーに興味を持った人は、ぜひ『ONE PIECE』を読んでみてください。