2013年に連載が始まり、全30巻で完結している本作。タイトル通り、監察医を主人公にしたミステリー作品です。監修に本職の法医学者を迎えていることもあり、本格的な法医学の知識と事件や事故を通して描かれる人間ドラマが魅力の本作は、2019年にテレビドラマ化が決定しました。 今回は、そんな本作のあらすじと見どころをご紹介します。無料のスマホアプリでも読むことができるので、まずはそちらからどうぞ。
興雲大学の法医学教室に勤務する山田朝顔は、新人の法医学者です。
新人とはいえ、法医学者としての技量や知識は周りを感心させるほどの優秀な人材。さらに、自分よりも人のことを考えるような優しい女性です。そんな優しく優秀な朝顔は、遺体の死因を特定することを信念としていました。
彼女には、刑事の山田万平という父親がいます。万平もまた、刑事として法医学者の娘とは違う視点から、遺体の真実を解き明かそうとしていきます。
本作は、そんな親子2人を中心に、様々な理由でやってくる遺体の真実を解き明かしていく物語です。
- 著者
- ["香川 まさひと", "木村 直巳"]
- 出版日
第1シリーズとして、2019年夏にドラマ化された本作。
法医学者の山田朝顔役を、「のだめカンタービレ」などで知られる上野樹里、父親の山田万平役を、初共演となる時任三郎が演じます。
さらに第2シリーズが、2020年に放送されました!
原作に登場する事件は多くありますが、テレビドラマではそのうちのどんな事件がピックアップされて描かれていくのか、その辺りにも注目してみたいところですね。
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ついつい画面越しに「こんな子いるいる!」と頷いてしまうほど、自然に感じられる演技が魅力の女優・上野樹里。代表作『スウィングガールズ』では、違和感なくどこにでもいる田舎の女の子を演じています。どんな役でも自然体でこなせてしまう上野樹里は、実写化作品にも多く出演しています。 この記事では上野樹里が演じた役柄と作品について紹介します。
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法医学者として働く朝顔が、法医学の知識や技術を駆使して、様々な謎を解き明かしていく物語。
そのため、多くの物語は変死した遺体を検死するところから始まります。
法医学者のもとへ運ばれてくる遺体は、いずれも死因がわかっていません。事故、自殺、他殺、病死など……もし解剖してもわからなかったら、死因不詳ということになってしまいます。
それはつまり、その人がどういう最期を迎えたのか、それまでどんなふうに過ごしてきたのかなどもわからないまま、この世で生きていた証を残すこともできないということを意味していました。朝顔は、それだけは絶対にしない、絶対に死因を明らかにして生きた証をこの世に残すということを心に決めているのです。
そのために彼女が披露する法医学の知識はいずれも緻密で、詳細に描かれていきます。本作を読めば、解剖するシーンなども含め、監察医という仕事がどんなものか、周りにどんな人がいて、どういうふうに働いているのかなどもよくわかるでしょう。
監察医というのは、遺体を解剖し死因を突き止めることが仕事です。テレビドラマなどでもよく出てくる職業なので、何となく知っているという方も多いのではないでしょうか。
しかし朝顔は、解剖だけでは終わりません。解剖してもわからなかったことがあれば、実際に遺体が発見された場所に行ったり、自ら足を運んで死因を特定させます。それほどまでにするのは、死んだ原因や状況を知ることは、死者の最期のメッセージを知ることでもあるからです。
ホームレスが不審死したエピソードでは、その病気の特徴から、最期はかなり苦しんだに違いないと推理しました。それなのに、遺体は両手を胸の上に組んでいたのです。七転八倒の苦しみの中、胸の上に手を組むなんてことができるのか……そこから彼女は、ある死者のメッセージを聞き取ることになります。
他にも多くのエピソードがあり、人の最期というものに考えさせられるきっかけになること間違いなしです。
日々遺体と向かい合っている朝顔は、物事を冷静に淡々と考えるようなところもあります。また、彼女は震災で母親を失い、いまだ行方不明という癒えない傷を抱えていました。
そんな深い悲しみを忘れようとするかのように仕事に打ち込んでいる彼女は、まさに仕事一筋に見えます。しかし、物語が進んでいくにつれ、刑事の桑原という男性に心を開いていくように。真面目で実直な桑原もまた、しだいに朝顔に好意を持っていくように。しかし桑原には、死別した前妻がいました。
しかもその前妻は、犬井という男に殺されていたのです。朝顔と桑原は紆余曲折を経てお互いの気持ちを確認し合うことになりますが、この犬井という存在が2人の幸せの前に立ちふさがることになります。
最後にこの3人が迎える結末は、多くの読者の想像を裏切るものになっているでしょう。ぜひ朝顔と桑原の恋愛、そして犬井との決着を確認してみてください。
この話に至るまでの間に、朝顔は桑原と結ばれ、妊娠し、我が子が誕生しています。
母親を失った悲しみが完全に癒えることはなくても、新しい家族や、これまでの出会いや経験を経て、朝顔や万平がどういうふうに変わってきたのかがよくわかるようになっているので、1巻から読んできた方にとってはとても感動できる話といえるでしょう。
- 著者
- ["香川まさひと", "木村直巳", "佐藤喜宣"]
- 出版日
全30巻で完結している本作。2006年に連載が始まり、2013年に完結している大長編の本作の最期は、アッと驚くものというよりも、温かさを感じさせるもの。これまで数々の事件や人と、監察医という職業を通して触れ合ってきた朝顔が、これまでを思い返しながら、また新たな日常を進んでいくという形になっています。
テレビドラマでは、母を亡くした災害が阪神淡路大震災ではなく東日本大震災になっているなど、原作とは違った設定を入れられていることがすでにわかっています。そのため、テレビドラマの最終話も原作と異なることは考えられます。その辺りもぜひ、原作を読んでテレビドラマと比較してみるのも面白いかもしれません。
「一番好きな言葉を並べなさい」
「おかあさん」
(『監察医朝顔』1巻より引用)
母親を殺され、残されてしまった幼い男の子と朝顔の会話です。最初は自殺と思われていた母親の死が、朝顔と万平の活躍によって他殺と分かった事件。
ひらがなを並べて覚えるオモチャが鑑定から戻ってきた際に、朝顔と男の子の会話が上記のものでした。一番好きなのにもう二度と戻らない…男の子の無邪気さがより切なさを増幅させていて、悲しく心を突く台詞です。
「あなたは死んだお父さんをもう一度死なせるつもりなんですか?」
(『監察医朝顔』1巻より引用)
不審死したホームレスの男性の身元を確認してきた娘に朝顔が言った言葉です。娘は頑なに父親であることを認めません。それには、過去の父親と娘の確執が関係していました。
同じように親を亡くしている朝顔は「死んだ人は、生きている人の心の中に生きているのだ」と語ります。彼女が父親だと認めないということは、もう一度父親を死なせることなのだと。死んだ人の生きた証をこの世に残すも失くすも生きている人次第であるということを教えてくれる名言です。
「地獄に付き物の“鬼”はいませんでしたもの」
(『監察医朝顔』1巻より引用)
阪神淡路大震災で母親を亡くしている朝顔。
震災に巻き込まれた知らせを聞いて神戸に向かった朝顔が見たものは、まさに地獄絵図。しかし、そこを地獄と思わなかったのは、そこにいたのが被災者に手を差し伸べる多くの人たちだったからです。現実でも災害の多い今、さりげなく登場する台詞ですが、とても心に残るものとなっています。
「存在しねえ?
…つまり殺すにも値しねえってことかよ?
…そいつは地獄だ…」
(『監察医朝顔』1巻より引用)
アパートの一室で不審死をした女性。
一見すると自殺と思われるその女性は、職場でいじめにあっていたということがわかりました。周りからの無視。自分をまるまる無視されるつらさは、殺されるよりもつらい、まさに生き地獄なのかもしれません。万平のセリフですが、無視の辛さを突き付けられる一言です。
「私の母さんは心の中にはいる」
(『監察医朝顔』5巻より引用)
父の万平とともに定期的に訪れる神戸。それは、母親が亡くなった場所でもあります。母親の知合いが、「神戸は辛い場所なのに、来てもらってごめんね」というと、「天職を見つけた場所でもある」と朝顔は前向きに答えます。
彼女は、物語の序盤では母親のことを思い出して挫けることもありました。しかし、仕事を通して様々な人と関わるうちに、精神的に強くなっていくことがわかります。このセリフは、彼女が母親の死を受け入れ、前向きになったことを表す一言です。
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2019年の夏に放送された月9ドラマ『監察医朝顔』が、2020年秋・冬期に『監察医朝顔2』として帰ってきます! 月9初の2クール連続放送となるこの作品は前作で夏ドラマ最高視聴率を記録し、多くの感動を呼びました。 続編ドラマではどんな展開になるのか?前クールの内容を振り返り、原作漫画との比較も交えつつ『監察医朝顔2』の内容を予想してみましょう!(※原作ネタバレ注意!)
いかがでしたか? 絵柄はどこか昔っぽさを感じるところもあり、凄惨な事件や事故でもどこか淡々とした印象がある本作ですが、それがまたリアリティを感じさせるものにもなっています。ミステリーとしてはもちろん、監察医というお仕事ものの漫画としても読めるので、あまり知らない職業を知ってみたいなという時にもオススメです。