『ドーベルマン刑事』5つの事実!おすすめエピソード、結末もネタバレ紹介!

更新:2021.1.8 作成:2019.9.29

『ドーベルマン刑事』は1970年代に「週刊少年ジャンプ」で連載されていた漫画です。毎回のように凶悪犯罪が発生し、主人公がマグナムリボルバー銃で解決するという、バイオレンスアクション作品。少年漫画とは思えない迫力とグロさが魅力です。 本作はスマホの無料アプリでも読むことができるので、気になった方はそちらもご利用ください。下のボタンから簡単にアプリに移動できます。

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『ドーベルマン刑事』が面白い!ぶっ飛んだ名作!【あらすじ】

羽田空港で脱走した凶悪犯によるハイジャック事件が発生。犯人の要求は、自分に重傷を負わせた刑事の身柄を渡すことでした。

刑事の名前は加納錠治(かのうじょうじ)。要求通りに丸腰で空港に現れた加納は、隙を突いて犯人に襲いかかり、そのまま武器を奪って容赦なく射殺してしまいます。

ハイジャック、銀行強盗、爆弾テロ……。日々激化、多様化する犯罪に対処すべく警視庁には、凶悪犯罪専門の特別犯罪課(通称・特犯課)が設立されました。加納はたった1人の特犯課刑事で、「ドーベルマン」の異名を持つ危険で獰猛な男です。

本作は、1話完結型が中心のバイオレンスアクション漫画です。時代背景は連載時期と同一の70年代のため古く感じることもありますが、倫理や感情に訴える場面時代を超えて楽しめます。

著者
平松 伸二
出版日
1976-09-30

作者・武論尊、作画・平松伸二とは

作者の武論尊(ぶろんそん)は、長野県出身の72歳(2019年現在)の漫画原作者です。

中学卒業後に航空自衛隊で7年間勤務し、除隊後に自衛隊の縁で本宮ひろ志のアシスタントとなります。しかし、作画が得意でなかったために、原作者の道へと進むことになります。

その後、1972年には作画担当のハセベ陽と組み「週刊少年ジャンプ」でデビュー。今回ご紹介する『ドーベルマン刑事』がヒットし、後の代表作『北斗の拳』に繋がっていきました。

漫画原作者としては劇画風の濃い絵柄と相性が良く、過度な暴力の目立つアクションが得意。ハードボイルドをメインとした人情話にも定評があります。

著者
原 哲夫
出版日
2006-04-01

平松伸二(ひらまつしんじ)は1955年8月22日生まれ、64歳の男性漫画家です。配偶者は漫画原作者の安江うに。

デビュー作は高校1年生の時に「週刊少年ジャンプ」に掲載された『勝負』です。在学中に数本の読み切りを発表、後に上京して中島徳博のアシスタントを務めてから、1974年に『ドーベルマン刑事』で連載デビューしました。

代表作は法で裁けない悪を討つ『ブラック・エンジェルズ』、殺人許可証を持つ忍者が闇の組織と戦う『マーダーライセンス牙』など。

平松作品は総じて苛烈な正義で悪を滅ぼす作品が多く、残虐描写が魅力ではありますが、同時にグロさのせいで好みが分かれる作風となっています。一方でセクシー描写の多い格闘技漫画なども出しています。

平松伸二の作品を紹介した<平松伸二のおすすめ漫画5選!刑事から力士まで男気あふれる主人公たち!>もあわせてご覧ください。

冷静だけど、子供には優しいギャップ!魅力的な登場人物

本作の目玉はやはり、タイトルにもなっている「ドーベルマン」こと加納錠治です。

犯罪と犯罪者を過剰に憎む22歳の若き刑事。愛銃のニュースーパーブラックホークがトレードマークです。映画版は千葉真一、TVドラマ版は黒沢年男、Vシネマ版で竹内力が演じました。

アメリカンバイクの代名詞ハーレーダビッドソンが愛車ですが、普通自動車から特殊車両まで幅広く乗りこなす技術があります。柔道や剣道などは無段とされていますが、凄まじい身体能力を誇っており、特に射撃技術は作中でも最高です。

警察内外で恐れられていますが、孤児院出身のせいか子供や親子連れには優しく振る舞います。シェパード種の警察犬・エルフとの友情を超えた信頼関係も見逃せません。

事件解決にはあらゆるものを犠牲にし、証拠固めよりも勘によって犯人を追い詰める非情なキャラ。元々は人道主義の平和主義者だったのですが、自分のミスで先輩と子供を犠牲にしてしまった過去があります。そのことを後悔し、現在の冷徹な性格になりました。

主役の彼がいてこその本作ですが、脇を固めるキャラにも魅力的な人物が何人も登場します。

特犯課の上司で、序盤から加納の理解者として描かれる西谷博。TVドラマ版では夏木陽介が演じました。加納とは逆に温厚な人物ですが、いざという時の決断力と行動力は加納以上かも知れません。

宮武鉄二は加納のライバル的ポジションです。大阪府警の暴力団担当でしたが、加納の噂を聞きつけて東京に移ってきました。半纏や下駄、長楊枝がトレードマーク。加納に負けず劣らずの無茶苦茶な刑事で、先走りやすいことを除けばかなりの使い手です。愛銃は特製のオートマグ。

殺伐とした本作におけるヒロイン格の1人、強い正義感を備えた婦警の三森竜子(みもりりゅうこ)。最初は特犯課に配属されるも、危険な捜査に向かないとされて別の部署に異動されました。たびたび登場する準レギュラーで、後に加納とは恋仲になります。

もう1人のヒロインといえるのが綾川沙樹です。特犯課のお茶汲み係ですが、女の勘で加納や宮武の危機を救うことも。連載当時に活躍していたアイドル・榊原郁恵がモデルで、綾川の登場が低迷していた本作の人気を回復させるのに一役買ったとも言われています。

『ドーベルマン刑事』の魅力を考察1:信念は絶対に曲げない、狂犬の活躍!

主人公の加納は犯罪者に憎まれ、市民に恐れられ、ついには身内からも煙たがれるようになった男。どんな凶悪犯罪も解決するものの、最後には銃撃戦で犠牲を出してしまうため、付けられたあだ名が「ドーベルマン」あるいは「狂犬」なのです。

凶悪犯罪と見れば猟犬の如く追跡し、どんな立場や境遇であろうと必ず仕留めます。加納の過激なまでの捜査は絶対にブレることはありません。そのやり方は、作中でもマスコミの槍玉に挙がっています。

ところが加納は、犯罪者に容赦しないという信念を一切曲げません。犯罪者やマスコミに嫌われるのは、むしろ都合がいいという態度まで見せるのです。おそらく彼の存在自体が犯罪への抑止力になるからでしょう。

この首尾一貫した姿勢のおかげで、どんな過酷で危険な事件でも加納なら必ずなんとかしてくれるという信頼感があります。それが本作の魅力の1つなのです。

『ドーベルマン刑事』の魅力を考察2:グロイ展開が、怖いながらも引き込まれる!

『ドーベルマン刑事』の売りはバイオレンスアクションです。そのバイオレンス部分は、2019年現在の表現への規制などからすると、おそらく青年誌でしか不可能なレベルのグロテスクな描写が描かれます。

銃弾で心臓を撃ち抜く描写は、本作の基準では残酷の域にすら達していません。手足が吹き飛ぶのも可愛げのある方です。目は飛び出て、頭は割れ、脳みそが吹き飛ぶのが日常茶飯事……。爆弾に巻き込まれて爆死したり、ガソリンで焼死したり、死亡パターンが豊富となっています。

他には重い病気や麻薬を打たれて中毒症状が出たりも……。目を背けたくなる惨状がずらりと勢揃いし、劇画調に描かれているため、かなりの迫力です。2019年の現代では、「週刊少年ジャンプ」で連載できていたとは思えません。

しかしグロテスクな表現だけを売りにしているわけではありません。本作は面白いのです。考察1で触れたように、加納はどんな凶悪犯罪にも敢然と立ち向かい、作中でゲスな行為を働いた悪役は必ず報いを受けます。そこにある種の爽快感が感じられて、読んでいるとどんどん引き込まれていくのです。

『ドーベルマン刑事』の魅力を考察3:洋画並みのド派手な拳銃アクション!

本編では様々な銃器が出てきますが、特に目を引くのは加納の愛銃、44マグナム弾を使用するニュースーパーブラックホークの7.5インチモデルです。加納は曲芸のような精密射撃や狙撃などもこなし、凶悪な犯罪者に対抗します。まるでハリウッド映画のような迫力のあるアクションシーンと、当時としては目新しい銃器が目白押しで、読者を楽しませました。

挑戦的なガンアクションが多い反面、誤りや錯誤もちらほらあるのがご愛敬。

たとえばニュースーパーブラックホークの「ニュー」はおそらく新製品の「ニュー」の見間違いですし、本来固定式弾倉のはずが第1話でスイングアウトしたりしています。またハンディーショットガンという凶悪な銃に至っては完全に架空の代物で、短く切り詰めた改造ショットガンを誤解したのでしょう。

今はインターネット上でどんな情報も調べられますが、70年代はそうもいかなかったのでしょう。このような、ちょっとおかしな部分も含めて楽しめます。

『ドーベルマン刑事』の魅力を考察4:名言ランキングベスト3!

 

本作の面白さは独特な台詞回しにもあります。激しいアクションとともに、格好いい口上を決めてくれるのはとても魅力的です。作中から選りすぐった名言を3つご紹介したいと思います。

第3位:

「武器はひとつの権力だ……
それをもたされている警官てのは
よっぽど自分にきびしくなければ……
人間だからという甘えは
…………
許されん…!!」
(『ドーベルマン刑事』6巻より引用)

 

警察を逆恨みした元活動家の男が、機動隊の特殊車両を奪った事件での台詞です。加納の上司の西谷は、警察の武器が不幸を生んでしまったことに対して戒めとして呟きました。本編では毎回銃撃戦が発生していますが、しっかり銃を持つことへの責任と義務も描写されているのです。

第2位:

「おれは刑事だ!
そんなことを考えてたら仕事にならん
刑事にゃ過去は必要ねえのさ!」
(『ドーベルマン刑事』12巻より引用)

 

警視庁移転の日、どさくさに紛れて留置場から男が脱走しました。拳銃で武装した男が婦警を人質に取りますが、加納は躊躇せず発砲します。男は死の間際に加納を人殺しと罵りました。西谷をはじめとする同僚たちがなんとも思わないのかと問うと、加納は上記の名言で返したのです。これは刑事の仕事をまっとうする意志の籠もった台詞なのです。

第1位:

「ド外道が~~~!!」
(『ドーベルマン刑事』より引用)

これこそドーベルマン刑事の真骨頂、加納の決め台詞であり、加納そのものと言ってもいい名言です。本編では何度も出てきます。とんでもない凶悪犯を前にした時、沸点を超えた加納は犯人を人の道を外れた「外道」と罵るのです。応用として「外道に人権はない」といった風に言ってのけるシーンも痺れます。

『ドーベルマン刑事』の魅力を考察5:トラウマを抱えるような悲しい展開も?赤ちゃんが…

著者
["平松 伸二", "武論尊"]
出版日

激しいアクションだけでなく、倫理的に考えさせられるエピソードもあります。6巻に収録されている「汚れた制服!!」もその1つ。

加納が取り締まった男が、1年かけて更正した姿で登場します。彼は更正後に結婚し、もうじき子供が生まれるとあって、幸せの絶頂にありました。しかし、早産で奥さんの命と引き換えに生まれた赤ちゃんを見て、彼は絶望しました。

先天性の梅毒だったのです。赤ちゃんの小さな全身にドス黒い腫瘍が浮き出て、かなりグロい表現がされます。

梅毒は口腔や性器といった粘膜から感染する細菌性の病気です。愛の営みが引き起こした最悪の事態ですが、ストーリーはここからさらなる悲劇に繋がっていきます。

報われない結末にいろいろと考えさせられるお話です。

『ドーベルマン刑事』おすすめエピソード:沖縄コネクション!

東京近傍で急激に増加し始めた麻薬事件。加納と馴染みの麻薬課刑事・岩尾は懸命の捜査を続け、タイから日本に持ち込まれる中継地点の割り出しに、あと少しのところまで迫っていました。その矢先、岩尾は奥さんを麻薬漬けにされた上、刺客に殺されてしまいます。

著者
平松 伸二
出版日
1977-06-30

加納は岩尾の残した手がかりで沖縄へと飛ぶものの、恐るべきことが判明しました。刺客はグッドナイトジョーと呼ばれる元米兵の黒人で、なんと麻薬の中継に在日米軍が絡んでいたのです……。

本作の最長エピソードであり、同時にもっとも重い話でもあります。米国統治時代の沖縄の雰囲気が反映され、当時の苦しさの一端が伝わってくるようです。

ただでさえ重いのに、さらに加納が現地で出会う当間兄妹が米軍の凄惨なレイプ被害に遭ってしまいます。読者は漏れなく怒り狂う加納に共感しながら読み進めることになるでしょう。

『ドーベルマン刑事』おすすめエピソード:特科車輛隊S班!

「特科車輛隊S班」は警視庁の誇る爆弾処理班です。S班の熟練の海老川と若い柳橋は、失敗知らずの名コンビでした。ところが柳橋のミスが原因で海老川が爆死して以来、柳橋は爆弾を触ることができなくなり新宿署へ配置転換されました。

著者
平松 伸二
出版日
1978-12-31

柳橋の新宿署配属当日、運命のいたずらか宮武の元に爆弾が届けられ、柳橋は否応なく爆弾に立ち向かわなければ行けなくなります。

加納よりもゲストキャラの活躍が光るエピソードです。海老川の件がトラウマになっている柳橋を叱咤し、立ち直らせる加納の姿がどこか感動的。加納のやることなのでかなりスパルタですが、普段とはちょっと違う一面が興味深いです。

『ドーベルマン刑事』最終回はどうなる?悲惨な結末……【ネタバレ注意】

事件を通して加納は竜子と心を通わせ、お互いに惹かれて行きました。周囲がやきもきする中、事件が発生します。自衛隊員になりすました過激派が、拘置所の仲間を助けるために戦車を乗っ取ったのです。

著者
平松 伸二
出版日
1981-08-15

警察が手出しできない戦車相手に、加納は機転を利かせて下水道から潜り込み爆破に成功。生還した加納が竜子にプロポーズして、2人は晴れて結婚することに。ところが結婚式当日、過激派の生き残りが加納の前に現れて……。

『ドーベルマン刑事』最後の事件は、加納を狙う過激派の襲撃でした。最終回にしてあまりにも理不尽な不意打ち。加納はこれまでどんな重傷でも生存してきましたが、至近距離から連射という致命傷を負ってしまいます。

不死身の男は、どんな結末を迎えるのか?竜子との結婚式はどうなのるのか?どのような結末となるかは実際に本編を読むことをおすすめします。

本作は「週刊少年ジャンプ」で掲載されていたとは思えない攻めの姿勢が感じられます。ぜひ昭和の名作漫画に触れてみてください。