シリーズ累計発行部数30万部突破し、2020年にはアニメも放送された『グレイプニル』 本作のタイトルになっている「グレイプニル」とは、北欧神話の「足を捕縛する魔法の器具」のこと。猫の足音、女の髭、岩の根など、6つのパーツで作られたとされています。 好奇心をくすぐられるタイトルであり、ストーリーはSF青春バトル&ラブコメ漫画です。しかし、ダークな一面も。命懸けで戦う姿はグロテスクでありながら深みがある作品です。アニメ化が決定し注目が集まる『グレイプニル』の見所を、最新巻まで紹介していきます。
成績優秀でありながら、とくにやりたいこともなく、周りに合わせて生きてきた高校生の加賀谷修一(かがやしゅういち)。一見すると「普通の人」の彼が、なぜか「バケモノに変身してしまう」ことで、物語は始まります。
人間が変身するといえば、オオカミ人間や人魚などを想像しますが、修一の場合は「犬の着ぐるみ」でした。しかも、ゆるキャラ風の不気味な風貌。
なぜ変身する身体になってしまったのか、自分は普通の人間ではないのだろうか……。そんな疑問にとらわれ、力の使い方もわからないままですが、悩みながらも平穏な日々を過ごしていました。
しかしある日、青木紅愛(クレア)という少女を火事の中から助けたことによって、日常は大きく変化していきます。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
- 2016-03-18
主人公は着ぐるみに変身することで、普段では考えられない力を手に入れますが、本来はそれだけではありません。着ぐるみの力を最大限に引き出すために、じつはクレアの存在が必要なのです。
具体的には、彼女が着ぐるみの中に入ること。しかもロボットに操縦士がいるように、彼女のほうが着ぐるみを使いこなしてしまいます。
主人公が着ぐるみに変身し、女の子が「彼の中に入る」というエロティックさも感じられる設定。また、細部までこだわったバイオレンスシーンが、『グレイプニル』の魅力となっています。そしてキャラクターたちの葛藤や、グロテスクなシーンが見所のひとつ。
本作は、2015年から連載がスタートし、2020年2月にアニメ化。
現在では各種動画サイトで全話観ることができます。気になる方は、TVアニメ「グレイプニル」公式サイトをご覧ください。
『グレイプニル』の作者・武田すんは、秋田県出身、埼玉在住の漫画家です。「典型的な引きこもり」と自称しており、ゲームや絵を描くことが好きなインドアな人物のようです。
ゲームでは格闘モノ、またRPG全般が好きとのこと。『グレイプニル』では、変身した敵と闘う展開も多いので、作者の好きなゲーム要素が入っているのかもしれませんね。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
- 2006-06-27
そして本作は、これまでの作品(『あるいて一歩‼』『世界の果てで愛しましょう』『ハルとナツ』など)とはまったく作風が異なります。
かわいい女の子が登場する点は共通していますが、暗い雰囲気にはならない作品が大半でした。
『グレイプニル』は、グロテスクな展開もある、これまでのファンを驚かせるようなダークファンタジー作品。かわいい女の子とダークな世界観は、より読者を惹きつけるでしょう。武田すんの新境地に、期待が高まります。
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まずは、本作の登場人物たちを紹介します。
加賀谷修一(かがやしゅういち)/CV:花江夏樹
どちらかといえば賢く、ちょっと気弱な「普通」の高校生。なぜか、ゆるキャラ系の犬の着ぐるみに変身できる能力を身につけることに……。そしてクレアと知り合うことで、得体の知れないバケモノとの戦いが始まります。
なぜ着ぐるみに変身するようになったのか?という謎を追いながら、戦いの中で自分の運命を受け止めて、少しずつ成長していく姿に注目です。
青木紅愛(クレア)/CV:東山奈央
修一が、近所で起きた火事の中から助け出した少女。消息不明になってしまった姉(変身できる能力がある)を探すため、同じ能力を持つ人間を探していたところ、修一と出会います。
彼女は変身できないものの、意志の強さやバイタリティでは、他の者を凌駕する人物。修一とともに戦っていくことによって、どのように心境が変化していくのか。また、さまざまな試練に対して、どのように立ち向かっていくのか注目です。
青木江麗奈(エレナ)/CV: 花澤香菜
クレアの姉で、親を殺して失踪した人物。修一とクレアが戦いに巻き込まれた「とある理由」にも関係しているようです。
修一に好意を抱いていますが、ある一線を越えると、まったく話の通じない人物に……。隠し持っている狂気があふれ出し、それによってじつは何度も殺人を犯しています。
着ぐるみに変身する能力を持っている、主人公の修一。なぜ自分にその力が備わっているのか、何をするべきなのかもわからず、友達とは違う自分に戸惑っていました。
そんな状況の中、近所で火事が起こります。着ぐるみの能力により優れた嗅覚を持つ彼は、火の中に「少女が取り残されている」ことに気づき……。
周りに人がいないことを確かめた修一は、変身した犬の着ぐるみの姿で、女の子を無事に救出。そして、彼女の匂いに何かを感じますが、我に返りすぐにその場を立ち去ります。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
- 2016-03-18
そのときに携帯を落としてしまい、火事から救われた青木紅愛(クレア)が届けに来たことから、物語が動き始めます。修一が変身するきっかけとなった、「コイン」を巡る戦いに巻き込まれていくのです。
戦いの最中、着ぐるみとなった修一の背中に、「ファスナー」があることを見つけるクレア。ファスナーを開けると、そこには人が入れる空間がありました。そこから彼女が修一の中に入り、「着ぐるみの中で一体となる」という戦い方が編み出されるのでした。
1巻では、謎に包まれた物語が少しずつ動き始めます。肉体を受け入れることで互いの自我をも重ね合わせ、強さを手にするという、奇妙な2人の関係性に引き込まれるでしょう。
クレアは何事にも積極的で、戦闘能力も高い女の子です。1巻で着ぐるみの中に空間があると知り、「秘密をバラされたくなかったら、私に協力してね」と脅してきます。
着ぐるみの中に入って、修一の身体を動かせることがわかったクレアは、あらためて何ができて何ができないのかを確かめます。
その過程で、修一の中はヌルヌルしているからと裸になるのですが、彼の提案でどうにかスクール水着で入ることに落ち着きました。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
- 2016-10-20
1巻でベールに包まれていた謎が、2巻では少しずつ判明していきます。
着ぐるみは修一のものですが、クレアが入り込むことで力は増大することがわかり、最強のバケモノの誕生となります。そんなとき、2人の前に「別のモノ」に変身するバケモノが現れて……⁉
2巻では、なぜ修一は変身する能力を身に付けてしまったのか?という謎に迫る展開が必見です。
また、クレアの姉・エレナや謎の宇宙人も新たに登場し、謎はますます深まります。戦いの渦中にどんどん巻き込まれることで、鮮やかで派手になっていくバトルシーンや、修一の主人公としての成長。そして、欠かせないお色気シーンも満載の内容です。
修一が変身していた原因は、宇宙人がばらまいた「コイン」でした。
コインの中には、宇宙人の同胞のデータが入っていて、仲間を助けるためにコインを探していると宇宙人は語ります。そして、もしコインを100枚集めてくれれば、強大な力を与えるというのです。
その謎のコインを集めるために、修一とクレアは山に向かいますが、まったく手掛かりはない状態……。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
- 2017-04-20
大きな謎が明かされ、目的が明確になった3巻。修一とクレアのやりとりと、新たな敵の登場が見所です。
2人の敵となるのは、同じくコインを探しているバケモノ。「どう対処するかは出会ってから考えよう」というクレアに押し切られる形で、2人は合体して山中を進みます。
そこで最初に出会ったのは、コインを集めているのではなく、「自分の強さを確かめたい」というバケモノでした。
そのバケモノだけでなく、ほかにも鮮烈な敵が続々と登場し、巻末では絶体絶命のピンチに直面することに……。強気で前進するクレアと、平和主義で奥手な修一。彼らは次々と立ちはだかる困難に対して、どのような決断を下すのでしょうか。
コインを巡る戦いがますます過激化しますが、修一とクレアは別行動をとることに……。
代わりに修一の中に入っているのは、吉岡千尋という女の子。2人は山の中で、強力な能力を持った少年・スバルが操る「巨人」に、握りつぶされてしまいます。
- 著者
- 武田すん
- 出版日
- 2017-11-20
4巻では、登場人物たちの心理描写と、修一が「とある重要人物」に出会うシーンが見所です。
ギリギリの状態でどうにか起き上がり、修復されていく修一の身体。それはいつしか、千尋と同じような身長の「猫のバケモノ」となりました。猫となった身体は前よりも強くなっており、スバルも本気を出します。
しかし、その戦いに意外な人物が仲裁として現れるのです。3巻で登場したキャラクターたちが、ストーリーに関わってくる流れにも注目です。
また、修一と合体して戦っていた千尋に、嫉妬するクレア……。登場人物の感情の揺れ動きも見所のひとつ。人間味があり、読んでいて苦しい展開ながらも、共感できる要素が満載です。
4巻で新しい力を得た修一ですが、気弱な彼はその力を使わずに、通常の能力で戦い続けます。
一方、コインを巡る戦いはどんどん緊迫し、クレアの才能も開花。強敵にも果敢に立ち向かい、打破していきます。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
- 2018-06-20
4巻で描かれたグロテスクな展開と心理描写が、5巻ではさらに完成度を増します。
バケモノとはいえ、本来は普通の人間。登場人物たちは戦いに参加しながらも、普通の人間としての心を持ち続けています。しかし、彼らは生死を分ける戦いをしながら、その残酷さを実感していませんでした。
5巻では、そんな人間らしさと残酷さが戦いによって表現され、美しいとすら感じてしまいます。ピンチあり、罠あり、復讐ありと、次々と展開するスピード感があり、一気に読み進めてしまうでしょう。
戦いがハードになるにつれてより輝く、作者の言葉のセンスや描写力に脱帽です!
修一は戦いの中で、自分の運命に対して覚悟を決めて、戦闘能力もどんどん上がっていました。
一方、彼には失っている記憶があり、その中に「世界の異変」の原因があるかもしれないと気づき……。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
- 2019-03-19
6巻では、修一の過去が少しずつ明らかになっていきます。
また宇宙船が墜落した山奥深くで、コインを守る1人の少年・海斗の存在も、ストーリーの鍵です。彼はなぜそこにいて、コインを守るのでしょうか。そして、もうひとりの重要人物……失踪してしまった「ほのか」とは?
悲しい過去から新しい真実が浮かび上がり、これまでの謎が少しずつ明らかに。しかし、宇宙人に関して「まだ明かされていない真実」があると暗示され、物語がラストに向けて加速していきます。
7巻では、修一とクレア、そして海斗と直人の軸に分かれて物語が進みます。
ここまでで、修一、海斗、直人、ほのか、エレナ、愛子が同じ山田塾の生徒だったということが分かっています。そしてそもそものこの戦いの発端は、直人が、ほのかを殺したことから始まっていました。
殺した理由などは実際に作品をお読みいただければと思いますが、亡くなったほのかを生き返らせるために海斗はコインを100枚集めたのでした。そして現に彼女は生き返っています。
そして7巻ではこの戦いの始まりともいえる海斗と直人が直接対決をします。しかし海斗の力は圧倒的で……。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
- 2019-12-20
また、7巻は海斗と直人の直接対決だけでなく、海斗と修一、クレアの対決も見所。修一と海斗の過去が絡まりあい、迫力のバトル展開に切なさも入り交じります。また、その際のエログロな展開もお見逃しなく。
7巻の最後には、海斗がクレアに意味深なことを言い残します。エレナが修一、クレアの記憶を亡くしたことも分かっていますが、果たして3人の過去には何があったのでしょうか。
また、圧倒的な海斗、ほのかの力の前に、修一たちはどう立ち向かうのでしょうか。物語がクライマックスに向けてスピード感を増しています!
8巻では、海斗に対抗する方法を見つけられない修一とクレアたちでしたが、修一の記憶がエレナに奪われたことがわかっていたので、エレナをおびき出し、記憶を消した理由や、隠している秘密について問い詰めます。
しかし、エレナは一切真実を語らず、「事件にかかわらないように」と修一とクレアに忠告します。修一とクレアは忠告を聞き入れることなく、エレナと戦うことになります。
修一とクレアは小柳や陽太の力を借りながらエレナ相手に善戦し、ついには抑え込むことに成功しました。
小柳の能力により、がつけなくなったエレナは、ほのかについて話し始めます。エレナは、今のほのかは"ほのか"ではなく、彼女が消えてできた“穴”と表現し、「自分の空白を埋めるために他人をその穴に引きずり込む」ものだと表現しました。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
後半、森へと戻ってきた修一とクレアは、全身にやけどを負った円と遭遇します。円は持っていたコインを小柳グループの一員である池内に渡していました。奇跡的に生きていた池内は、大きな力を手に入れ、目つきが変わります。
今後、修一やクレアの味方となってくれるのか、今後の池内の動きにも注目です!
9巻では、かつて修一、エレナ、海斗、ほのかが友達であったことや、ほのかの死、そして海斗がコインを集めて生き返らせようとしたことなど、過去に起こったエピソードが語られていきます。
さらに、千尋と完全に合体した修一は、消された記憶を追体験することに、その中でエレナとかつて合体していたことを思い出します。
過去、合体した修一とエレナは二人で海斗を倒そうとしましたが、生き返らされたほのかによって阻止されていたのでした。
- 著者
- 武田 すん
- 出版日
今巻で、怪物と化したほのかは、人間を次々と消し去り世界を滅びへと誘う「虚無」そのものであることがわかりました。
海斗が苦しむことを望み、絶望を生み続けるほのかを止めることができるのか。
そして、エレナに記憶を消された理由もまだ明かされてはいないので、次巻からも目が離せません!
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- 著者
- 鬼頭 莫宏
- 出版日
- 2017-06-23
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- 著者
- つくし あきひと
- 出版日
- 2013-07-31
まだ明らかにされない謎もあり、想像を巡らせながら次巻を待つ読者も多いはず。クライマックスに向けて大きな盛り上がりを見せているので、ぜひお楽しみに。