『血と灰の女王』作品のあらすじと魅力をネタバレ紹介!途中でやめるのはもったいない?

更新:2023.3.9

表現コードギリギリで描かれ、「マンガワン」の看板作品と言われる本作。衝撃な展開がテンポよく描かれ、ページをめくる手が止まらなくなってしまうでしょう。しかしその裏で、1話で読むのをやめてしまったという人が多くいるのも事実です。 この記事では、なぜ読み進めづらいのか?ということに触れながら、作品の魅力を紹介したいと思います。画像つきで紹介していきますので、一部ネタバレを含むことがあります。苦手な方は、ご注意ください。

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辛くても見て欲しい!『血と灰の女王』途中で離脱しちゃうワケ

2019年11月現在、8巻まで発売されている『血と灰の女王』という漫画を知っていますか?「最初だけ読んだけど、離脱した……」という感想を多く見かけます。でも、途中でやめるのは実にもったいない作品なんです!

途中で読むのをやめてしまった人の感想を見てみましょう。 
 

  • 「猫の命が奪われるシーンで心が折れた……」
     
  • 「主人公の親友が早い段階で死ぬのが辛い……」
     
  • 「ページをめくるのがしんどくなる。」
     

その気持ち、分かります。「ダークファンタジー作品」と公式から書かれているので、ある程度過激な描写はあるのだろうと予想して読み始めたのですが、グロいシーンがこんなにあるとは……!

しかしそこを乗り越えると、作品はぐんと面白くなっていきました。そこで気づいたのは、「グロい描写には理由があった」ということ。

この記事では、そんな本作の魅力をお伝えしたいと思います。

『血と灰の女王』は、ヴァンパイアたちが命をかけて、「ヴァンパイアの王」になるためバトルをくり広げる作品。過激なバトルの裏には、登場キャラクターたちの抱える闇や過去の背景などが、じつに丁寧に描かれています。

彼らが過ごしてきた背景は、とても身近なものから、現代を反映したかのような社会問題まで、幅広く設定されています。

そんな過去に抗うように、壮絶なバトルをくり広げるキャラクターたち。過激な表現があるからこそ、彼らの「本気」が伝わってきます。

本作は、3巻まで読み進めると、各キャラクターの過去が明かされ始め、ページをめくる手が止まらなくなります。

それでは、本作の見所となるところを紹介したいと思います。まずは作品のあらすじを振り返ってみましょう。


『血と灰の女王』については以下の記事でも紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。

『血と灰の女王』が無料!隠れた名作をおすすめしたい!【ネタバレ注意】

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スマホアプリ「マンガワン」で連載されている『血と灰の女王』。2017年11月時点でまだ単行本は3巻しか出ていないものの、圧倒的な画力とキャラクターの魅力により、瞬く間に人気作品となりました。今回はそんな『血と灰の女王』をネタバレ込みでご紹介します。

選ばれし者がヴァンパイアになる?その条件とは……【あらすじ】

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出典:『血と灰の女王』1巻

本作の舞台は、富士山が噴火した影響で、火山灰が降り続いている日本。その灰を被った一部の人間は、「ヴァンパイア」となり、人間を簡単に殺すことができる強大な力を持つことができます。

本作の主人公・佐神善(さがみ ぜん)も、この能力を身につけた者の1人。そんな彼の元に、ヴァンパイアの王を目指す少女・ドミノが現れ、ヴァンパイアの戦いに巻き込まれます。

誰かが止めないと、罪のない人が殺される……。

その姿を目の当たりにした善は、大切な人を守るために、ヴァンパイアとなって闘うことを決意します。

そして、自分の親友の兄・狩野京児(かりのきょうじ)と3人で「チームドミノ」を結成。世界を変えることができるといわれる「ヴァンパイアの王」を目指して、壮絶なバトルがスタートします。

ここまでが、『血と灰の女王』の序盤のあらすじ。善が戦いを決心するまでが細かく描かれています。ヴァンパイアとなって戦うことを決めた善でしたが、優しさ故に敵の命すら奪うことに躊躇していました。

第1巻を読み終えたとき、「この後に善が精神的にも強くなり、三人で強敵を一人ずつ倒していくのかな」とぼんやり予想していました。

しかし、物語が進むにつれて予想とはまったく異なる展開が待ち受けていました。

まずヴァンパイア同士の戦いは、個人戦ではなくチーム対抗戦。一番強いチームのリーダーがヴァンパイアの王になります。

そして、それぞれのチームをまとめている強力なヴァンパイアは「真祖」と呼ばれます。2019年11月現在、判明している真祖は三人。ドミノもそのうちの一人です。真祖についての詳しいことは8巻以降、徐々に明かされていきます。

来たる決戦の日に向けて、ドミノチームは少しずつ新たなメンバーを加え、勢力を増していきます。

新しく加わるのは、善の幼い頃の友人・七原健(ななはらけん)と、日ノ元明(ひのもとあきら)という女子高生。彼らも壮絶な過去を持った者たちです。

しかし、それでも他のチームに比べるとまだまだ人数の少ないドミノたちは、他の真祖チームと敵対するだけでなく、協力関係を結ぶという、驚きの展開も!

そこから、協力し合うチームに友達ができたり、実力を見せあうために「御前試合」なるものが開催されたり……テンポのよい展開と、予想外の展開に驚かされること間違いありません。

作品の魅力1:ヴァンパイアたちが戦う理由。世の中を変えるのは誰だ?

キャラクターたちの「心の変化」は、本作の見所です。「登場人物たちの行動に、深く考えさせられる」という感想も多くあります。
 

彼らは「自分の善悪」という意志を持ち、「悪」を淘汰するために戦います。各キャラクターのもつ善悪の基準は、彼らの過去に基づいているため、一人として同じ人はいません。

そんなことから、味方同士でもぶつかり合うことが少なくありません。しかしそれがあるからこそ、お互いへの理解を深め、息のあった戦いを見せてくれるのです。

とくに七原健のエピソードは、深く考えさせられます。

出典:『血と灰の女王』4巻

親から虐待を受けていた七原は、自分のような人がいない世界を望みます。

ヴァンパイアになる前は、自分の力では何もできないとくすぶっていましたが、小学生の頃から弱者に対する思いやりは忘れていませんでした。そんな彼は、ヴァンパイアの力を持ったことを喜びます。

最初に出会った真祖は日ノ元士郎という男。しかし彼に裏切られたことを知った健は、「平等に評価される世界」を実現するため、ドミノたちとともに戦うことになります。

そしてもう一つのポイント。それは彼らの能力です。健の能力は、仲間を加速させることで威力を発揮します。仲間思いの彼らしい能力といえるでしょう。

キャラクターたちの能力は、それぞれの過去や性格に、深く関連しているのでしょう。もしかしたらこの能力に、深いメッセージが隠されているのかもしれません……。

彼らは「なぜ闘うのか?」というところにも、ぜひ注目してみてください。

 

作品の魅力2:徐々に強くなるチーム・ドミノ!

本作のキーパーソンであろう善と京児。彼らが出会ったとき、善からみた京児の印象は最悪でした。「命を奪うことに快楽を感じる」と話す京児に、善は不快感を露わにします。

出典:『血と灰の女王』1巻

悪役級の京児の態度に、読者もきっと困惑するでしょう。

しかし京児に対する印象は、善も読者も徐々に変化していきます。

とくに印象的なのは、双子のヴァンパイア・マルタ、クレタとの闘い。自分たちの実力以上の敵を相手に、接近戦で戦う京児。この戦法にはかなりのリスクがあるのですが……。
 

出典:『血と灰の女王』3巻
出典:『血と灰の女王』3巻

傷を負った善のことを思いやり、短期間で決着をつけるための戦い方だったのです……!

バトルを通して信頼が生まれ、ドミノチームはどんどん成長していきます。このチームの成長は、『血と灰の女王』の醍醐味。チーム戦ならではの感動があります。

また、これから迎える真祖との激しい戦いで勝つために、個人の能力も鍛えます。

その様子が描かれているのが「創血式」と呼ばれる儀式。これは、ヴァンパイアたちの能力をあげるために内なる自分と戦います。

自分の心に潜む「もっとも暗い部分」と向き合い、それを乗り越えることで新しい力が得られるのですが、ここでもキャラの重要な過去が明かされていきます。

成長に必要なものは一体何なのか。簡単に答えが出せる問いではありません。

仲間や自分自身と向き合いながら、強くなっていく善たち。キャラクターが強くなり、強敵に立ち向かっていく姿にワクワクします。


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『血と灰の女王』は、3巻まで読んでほしい!

最初にもお伝えしましたが、1巻だけでやめてしまうのは本当にもったいない作品です。

ストーリーが進むにつれて、本作の伝えたいメッセージが少しずつ明らかになっていきます。2019年11月現在では、マンガワン というアプリの看板作品とも謳われているほどです。

個人的には、単行本の3巻、善と京児の共闘シーンから、本作の面白さに目覚めたと思います。

『血と灰の女王』で描かれているのは「答えのない問い」。読者の皆さんの立場・考え方・過去の経験で、捉え方は変わるでしょう。誰が正しいとも言えない展開に、続きが待ち遠しくなる作品です。

これからも見逃せない展開が予想される本作。今からでも間に合います。迷ったらぜひ読んでみるのをおすすめします。

著者
バコ ハジメ
出版日
2017-05-12
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