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史上最も謎多き人物、シェイクスピアの真実は「7人説」にあり?驚きの仮説とは

更新:2020.12.1 作成:2020.4.9

あの有名なシェイクスピアは、実は7人いた!?『BECK』の作者・ハロルド作石が送る、これまでのシェイクスピアの常識を覆した歴史漫画『7人のシェイクスピア』。 当時のイギリスは、演劇ブーム。そこに超新星のようにあらわれ一躍人気となった文豪がシェイクスピアです。しかし彼の出自と背景にはいまだに、不明なままのことばかり。 本作は「いったいシェイクスピアとは何者だったのか」という謎を解き明かす物語なのです。16世紀ロンドンの時代背景や第二部のサブタイトルに隠された伏線などを交えつつ、その魅力についてご紹介します。

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『7人のシェイクスピア』が面白い!あなたの知らない、シェイクスピアの真実?

『7人のシェイクスピア』が面白い!あなたの知らない、シェイクスピアの真実?
出典:『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』1巻

史上最も謎の多い人物とされる男・シェイクスピア。本作は「シェイクスピアは7人いた」という驚きの仮設を元に描かれた物語です。

ではその7人とはどういった人物なのか。彼らが人気作家を目指す姿を描いたハロルド作石著の歴史漫画です。

主人公のランス・カーター(ウィリアム・シェイクスピア)、ランスの幼馴染兼友人のワース・ヒューズ(ジョン・クルーム)、ランスの6人の仲間を軸に物語が展開されます。

シェイクスピアが平民から、上流階級へ転身するまでの道のりを、コメディとシリアスを交えつつ描いています。

本作ではシェイクスピアの生きた16世紀ロンドンの時代背景を、階級社会やカトリック教への弾圧にいたるまで緻密に描写。まるで実際に歴史を見てきたかのようなリアリティがあります。

創作としてのファンタジー要素や王道展開も多少組み込まれていますが、それらの要素が史実と違和感なくすり合わされており、読者に「本当にシェイクスピアは7人いたのかもしれない」と思わせるような妙な説得感を持たせています。

また、主人公のランスがよい男なのも、この作品の大きな魅力のひとつ。彼の誰にでも真っ直ぐ向き合う人当たりのよい性格と、創作への揺るぎない情熱に惹きつけられ、読めば読むほどシェイクスピアのファンになっていくことでしょう。

ランスたちが世界の理不尽に「創作」で真っ向から抗い、人気作家としての地位を勝ち取っていく姿はとても熱く、結末が分かっていてもつい夢中になって応援してしまいます。

本作の世界観や戯曲の用語も分かりやすく解説されており、シェイクスピアにあまり詳しくない人にもおすすめできる作品です。

この記事では、シェイクスピアのこれまでの常識を覆す本作の魅力について、シェイクスピアの謎や16世紀ロンドンの時代背景を交えつつご紹介します。

そもそもシェイクスピアはなぜ謎めいた存在だとされているのか

そもそもシェイクスピアはなぜ謎めいた存在だとされているのか
出典:wikipedia,2020.2.27,http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=1619606

なぜシェイクスピアは謎めいた存在だとされているのか、それは彼の生い立ちや経歴が彼の華麗なる作家人生とあまりに大きくかけ離れていることにあります。

シェイクスピアは1564年、ロンドンから遠く離れた田舎街・ストラッドフォードの平凡な家に生まれました。シェイクスピアは家を支えるため、中学卒業後は大学にも行かずに働き続け、18歳の頃に8歳年上の女性・アンと結婚して3人の子供をもうけます。

ところが8年後、彼は突如ロンドンの表舞台に俳優として現れ、その後人気作家として華麗なる転身を遂げます。

シェイクスピアの戯曲には、宮廷社会や医学、海外事情など複数の専門知識・経験が織り込まれており、当時の社会でもトップレベルの教養や知識がなければ到底書くことができない作品でした。さらにシェイクスピアは、数千もの造語を作ったとされています。

しかし、シェイクスピア自身は中卒の平民であり、一度も海外に行ったことがありません。田舎町で家族と平凡な暮らしをしていた無学の彼が、非常に高い知識・教養が求められる戯曲を書くことができたのでしょうか。

さらに重要なのが、シェイクスピアの直筆原稿がひとつも見つかっていないという点。彼の遺言状にも蔵書や著作に関わる内容は一切書いておらず、シェイクスピアが書いたという証拠がどこにも存在しないのです。

以上の2点から、シェイクスピアは誰かのゴーストライターで実際には作品を書いておらず、真の作者は別にいるのではないのかという説が浮上したのです。

シェイクスピアの正体については諸説あり、本作のように複数人で書いていたとする説や、妻のアン説、当時の人気作家だったクリストファー・マーロウ説、時の外交官や貴族が書いていたとする説などさまざま。

しかし、どの説もこれといった確証がなく、シェイクスピアの正体は未だ多くの謎に包まれています。

ゴーストライター疑惑のあるシェイクスピアですが、俳優としての才能や活躍は本物であり、彼がロンドン中を沸かせた稀代のエンターテイナーであったことは揺るぎない事実でしょう。

当時の格差社会を克明に描く

本作では、シェイクスピアの活躍した16世紀のロンドンの格差社会を克明に描いています。

16世紀のロンドンは格差社会が酷く、貴族が贅を楽しむ一方で、庶民は貧しい生活を強いられていました。身分を固定された庶民にとって、大衆の人気娯楽だった芝居で人気作家になることが、貧困を抜け出すための唯一のチャンスだったのです。

ですが、劇作家として成功するのは並大抵のことではなく、人気作家になれる人間はほんの一握り。役者はさらに悲惨で、大貴族の庇護のある劇団に所属しなければ、浮浪者とみなされて公衆の面前で鞭打ちや耳に焼印などの罰に処されてしまいます。

本作に登場する7人のシェイクスピアも例に漏れず格差社会で苦しんでおり、自分たちの望むものを手に入れるため人気作家を目指しています。

著者
ハロルド 作石
出版日
2018-12-06

ランスとワースはカトリック教徒でしたが、周囲の悪意によって鹿泥棒の汚名を着せられ、自由を得るために故郷を出奔。カトリックへの弾圧から逃れるため名前を変えて生活しています。

ヒロインのリーは、未来予知の能力を持つ不思議な中国人少女。能力によるトラブルで他人に疎まれ、気を病んだ父に喉を焼印で潰されてしまいます。

その後、移住先のチャイナタウンで長雨を止めるための生贄にされますが、洪水でチャイナタウンは壊滅。川岸に流れ着いていたところをランスに助けられます。

ミル(トマス・ラドクリフ)はカトリック派の元司祭でしたが、カトリックへの弾圧で司祭の立場を追われ、師のベル司祭を失くしています。

トマス・ソープはケンブリッジ大学に行くほどの秀才ですが、顔の大きなあざのせいで格式ある書店で働くことができません。

ケインはロンドン出身の貧しい少年で、酒乱の父親の酒を買う金銭を盗もうとしたところをランスに救われました。母親のアンを父親の暴力から守るため、母親とともにランスたちの屋敷に身を寄せています。

アンは没落したジェントルマン一家の四女で、DV夫に浮気を疑われて殺されそうになったところを息子のケインに連れ出されました。

7人のシェイクスピアは、自分たちの望むものを手に入れるために人気作家を目指し、どんな困難のなかでも諦めずに進み続けます。

シェイクスピアの創作活動は、絶対的格差社会との戦いでもあったのです。彼らの戦いは、厳しい現代社会で生きる私たち読者を勇気づけてくれるでしょう。

宗教改革についての生々しい描写。カトリックへの弾圧

宗教改革についての生々しい描写。カトリックへの弾圧
出典:『7人のシェイクスピア』5巻

16世紀のイギリスでは、カトリック信徒は激しい弾圧を受けていました。これは、国の宗教が当時の為政者によって「イギリス国教会」に変えられたことに起因しています。

当時国王だったヘンリー8世は愛人と結婚しようとしますが、カトリック教では離婚が禁じられていたため、新しく作ったイギリス国教会を無理やり国の宗教にしました。

カトリック教徒は酷い迫害を受け、秘密警察に捕らえられた者は激しい拷問の後、四ツ裂きやさらし首にされました。カトリック教徒への弾圧はあまりにも非人道的なもので、作中では晒し首になった人や司祭への激しい拷問などが克明に描かれています。

過去のロンドンでは、カトリックの弾圧を含め信教差別による弾圧や迫害が宗教改革のたびに起こり、凄惨な歴史が何度も繰り返されてきました。ランス、ワース、ミルもカトリックへの弾圧に苦しめられており、彼らは密告に警戒しつつ活動しています。

人類の負の歴史であるカトリックへの弾圧は、本作を語る上で欠かせない重要なテーマの一つです。理不尽な弾圧にランスたちはいかに抗ったのか、ぜひ本作を読んで確かめてみてください。

タイトル『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』に隠された伏線が気になる!

『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』の「NON SANZ DROICT」は、ラテン語で「権利なきに非ず」という意味を持つ言葉で、現代的に言うと「権利がないわけではない」となります。

シェイクスピアは上流支配階級のジェントルマンになった後、シェイクスピア家の紋章にこの言葉ををつけました。平民から貴族へ転身を遂げた彼の人生を表したかのような言葉ですが、サブタイトルの「NON SANZ DROICT」には、他にも何かしらの重要な伏線が隠されている可能性が考えられます。

『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』はシェイクスピアが紋章の申請を始める8年前から物語が始まり、その8年の間に『ロミオとジュリエット』や『オセロ』など、今日でも有名な戯曲の数々が発表されています。

シェイクスピアはいかにして人気作家となり、ジェントルマンの階級に登りつめたのか、「NON SANZ DROICT」に隠された本当の意味は、今後の物語でいずれ明かされていくことでしょう。

タイトル『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』に隠された伏線が気になる!

『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』の「NON SANZ DROICT」は、ラテン語で「権利なきに非ず」という意味を持つ言葉で、現代的に言うと「権利がないわけではない」となります。

シェイクスピアは上流支配階級のジェントルマンになった後、シェイクスピア家の紋章にこの言葉ををつけました。平民から貴族へ転身を遂げた彼の人生を表したかのような言葉ですが、サブタイトルの「NON SANZ DROICT」には、他にも何かしらの重要な伏線が隠されている可能性が考えられます。

『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』はシェイクスピアが紋章の申請を始める8年前から物語が始まり、その8年の間に『ロミオとジュリエット』や『オセロ』など、今日でも有名な戯曲の数々が発表されています。

シェイクスピアはいかにして人気作家となり、ジェントルマンの階級に登りつめたのか、「NON SANZ DROICT」に隠された本当の意味は、今後の物語でいずれ明かされていくことでしょう。

著者
ハロルド 作石
出版日
2017-11-06

ちなみに『7人のシェイクスピア』は移籍して「NON SANZ DROICT」になったけど、2部から読んでもおすすめ!

『7人のシェイクスピア』は「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて2010年から2011年まで連載され、2011年50号で第一部が完結。

その後「週刊ヤングマガジン」に移籍し、2016年12月から第二部の『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』を連載しています。

第一部は1600年のロンドン、権力者が芝居を取り締まろうとする風潮が強まる時代でなおも根強い人気を誇るシェイクスピアの『ハムレット』の原本を、トマスが売ろうとしていたところから始まります。

その後舞台が移り変わり、1587年のランスとリーの出会いの物語や、ランスとワースの少年時代が描かれます。第一部終盤で再び時が1587年に戻り、ランス、ワース、リー、ミルの4人がロンドン行きを決意するところで一部は完結します。

第二部はランスたちがトマスの用意したロンドンの屋敷に移った1588年から始まります。ランスは大御所のストレンジ卿一座のジェームズ・バーベッジへ『オデット』の脚本を持ち込みますが、「まるで5年前の作品だ」と一蹴されます。

ロンドンでは『オデット』のような喜劇は時代遅れとされ、海軍大臣一座の劇作家のクリストファー・マーロウが手掛ける大スケールな演出と残虐な芝居が人気を得ていました。

その後も持ち込みがうまくいかず、自分の学識や素養のなさを痛感するランスですが、リーの台詞の力を信じて進み続け、やがてケインやアンと出会います。

ランスはトマスが提供してくれた情報からヒントを得て、6人の仲間とともに『ヴェニスの商人』を完成。『ヴェニスの商人』はストレンジ卿一座での上演が決定し、ランスは再び作家として生きる決意をしますが、その先には海軍大臣一座との壮絶な戦いが待っていました。

第二部は第一部から舞台が大きく変わり、サブキャラクターも一新されているため、第一部を読んでいない人でも違和感なく第二部から入ることができます。

第一部は全体的にシリアスな作風、第二部は少年漫画のような明るく快活な作風となっています。第一部と第二部のどちらから読んでも問題なく楽しめるので、ぜひ気になった方から読んでみましょう。

『7人のシェイクスピア』作者、ハロルド吹石にハマったら他の作品もおすすめ!

作者のハロルド作石は、1988年に『ゴリラーマン』でデビューした漫画家。独特のユーモアセンスや、シリアスとコメディを混在させた作風が特徴です。

プロレスと格闘技の大ファンであり、作品の随所にプロレスに関する少ネタを取り入れたり、漫画の背景に他作品のキャラやプロレスラーを登場させたりしています。ちなみにペンネームは、プロレスラーの「坂田ハロルド」が由来なのだそう。

ジャンルの引き出しも多く、格闘漫画から歴史漫画まで幅広くカバーしています。

彼の作品で『七人のシェイクスピア』の他におすすめしたいのが、『ゴリラーマン』と『BECK』です。

著者
ハロルド 作石
出版日
2000-02-15

『ゴリラーマン』は作者のユーモアセンスが効いた、理屈抜きでシンプルに笑わせてくれるギャグ漫画です。

『BECK』は音楽好きにおすすめの少年バンド漫画で、リアルな演奏描写や細かな音楽ネタなど音楽好きにとってたまらない要素がたくさん詰まっています。

ハロルド作石は観察眼の鋭さと臨場感あるシーンの描写に定評があり、『BECK』では、ライブビデオをそのまま切り取ったかのようなシーンで多くの読者を魅了しました。

作者は他にも複数のジャンルで漫画作品を描いているので、気になった方はこちらの記事からも彼の魅力をしることができます。

ハロルド作石のおすすめ漫画5作品!漫画家漫画『RiN』で大人気!https://honcierge.jp/articles/shelf_story/1640

シェイクスピアの正体を「7人のグループ説」という斬新な切り口で描いた文豪サクセスストーリー。シェイクスピア初心者にこそおすすめしたい歴史漫画です。