多くの企業が資格取得を奨励している「日商簿記検定」。学生のうちに取得をしていれば、就職に役立つともいわれています。この記事では、種類や各級の難易度、具体的な勉強時間、合格率などをわかりやすく解説していきます。
簿記検定とは、その名のとおり「簿記」の能力を確認する検定試験のことです。
日本では「日商簿記検定」「全商簿記検定」「全経簿記検定」の3種類が実施されていて、それぞれ日本商工会議所、全国商業高等学校協会、全国経理教育協会が主催しています。
一般的に「日商簿記検定」は社会人や大学生、「全商簿記検定」は商業高校の生徒、「全経簿記検定」は経理専門学校の生徒が受験します。ただ受験資格などが必要なわけではないので、誰でも全種類自由に受験することが可能です。
なかでも日本商工会議所が主催する「日商簿記検定」は、より実務的な内容が出題されるため、2級以上を取得すれば就活にも有利に。また実務のスキルを高めることができるので、就活生に限らず多くの社会人が受験する人気の検定試験になっています。
そもそも「簿記」とはどのような技能なのでしょうか。商工会議所のホームページには、
企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です
と記されています。
つまり、ある期間中のお金の出し入れを記録・整理し、資金が何に用いられ、どのように増減したかをわかりやすくまとめる技能だといえるでしょう。
この「簿記」の能力は、社会人に求められるさまざまなスキルの根底に関わってくるため、経理を担当する人物に限らず全社会人に必要な能力として注目を集めています。
たとえば「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」などのいわゆる「財務諸表」を読み解くことができると、企業経営の状況を分析する力を深めることができるでしょう。
具体的な根拠にもとづいて状況を把握すれば、具体的なプランニングもしやすくなります。また日常業務のコストを把握することは、業務のブラッシュアップにも役立つでしょう。
近年ではさまざまな企業が「簿記検定」の資格取得を奨励しています。また大学や短大など教育機関では、「簿記検定」の合格を単位取得の条件にしている授業もあり、その重要度がうかがえます。
「簿記検定」に取り組むことは、進路を考える際の適性判断の一助になるほか、資格を取得すれば就活時のアピールポイントにもなるので、多くの社会人や学生が受験しているのです。
ではもっとも受験者数が多い「日商簿記検定」の、各級の具体的な難易度や、試験内容などを紹介していきます。
まず「日商簿記検定」は、難易度の高い順に1級、2級、3級、簿記初級、原価計算初級の5つに分かれています。
また試験範囲と試験時間は、
となっています。詳細はホームページ「商工会議所の検定試験」内の「簿記」ページにある、出題区分表にて好評されているのでご確認ください。
また合格するために必要な勉強時間は、
だそうです。
簿記初級と原価計算初級については、簿記初心者のために敷居を低く設定した試験のため、基本的な知識を理解していれば、比較的簡単に合格することができるでしょう。
しかし3級以上の合格を目指すのであるならば、腰をすえてじっくりと勉強する必要があります。上記はあくまで目安で、まったくの初心者から勉強するのか、独学なのか講座を受講するのかなどによっても変わりますが、これから「簿記検定」の合格を目指す方は参考にしてみてください。
2019年度の、「日商簿記検定」各級の実受験者数と合格率は以下のとおりです。
第153回 受験者数:7,520 合格者数:735 合格率:9.8%
第152回 受験者数:6,788 合格者数:575 合格率:8.5%
第151回 受験者数:7,588 合格者数:680 合格率:9.0%
第153回 受験者数:48,744 合格者数:13,915 合格率:27.1%
第152回 受験者数:41,995 合格者数:10,666 合格率:25.4%
第151回 受験者数:49,776 合格者数:6,297 合格率:12.7%
第153回 受験者数:80,130 合格者数:34,519 合格率:43.1%
第152回 受験者数:72,435 合格者数:40,624 合格率:56.1%
第151回 受験者数:80,360 合格者数:44,302 合格率:55.1%
2019年4月1日~2019年11月30日 受験者数:2,855 合格者数:1,751 合格率:61.3%
2018年4月1日~2019年3月31日 受験者数:4,182 合格者数:2,421 合格率:57.9%
2017年4月1日~2018年3月31日 受験者数:4,167 合格者数:2,243 合格率:53.8%
2019年4月1日~2019年11月30日 受験者数:1,211 合格者数:1,127 合格率:93.1%
2018年4月1日~2019年3月31日 受験者数:2,098 合格者数:1,954 合格率:93.1%
(「商工会議所の検定試験」内、「受験者データ」より引用)
最後に、「日商簿記検定」各級の試験日程と受験料を紹介します。
2020年度は
が受験日です。各級ともに年に複数回受験できるので、これを踏まえて計画的に学習計画を立てるとよいでしょう。
なお、簿記初級と原価計算初級の試験は、各都道府県の試験会場でインターネット受験を実施しています。受験日は試験会場ごとに異なりますが、毎月第3金曜日が「商工会議所ネット試験統一試験日」です。
受験料は以下のとおりです。
- 著者
- 滝澤 ななみ
- 出版日
- 2020-02-19
本作は、2004年に初版が刊行されて以来、累計発行部数300万部を誇る参考書の代表格。
図表やイラストがふんだんに使われたわかりやすいテキストと、最新の試験傾向を反映した問題集がセットで付いているので、この一冊で効率的に簿記検定の学習ができるでしょう。
また、学習内容を確認する本番形式のチェックテストや、解き方を解説する動画もついているため、実践的な試験対策ができるのもポイントです。
- 著者
- 桑原知之
- 出版日
- 2019-04-22
「日商簿記検定」の3級では、例年第1問で「仕訳」の問題が出されます。本作は、なんと脳科学を応用して「仕訳」の効率的な学習を目指すユニークな参考書です。
まず、脳は画像で記憶する、という知見から、場面のイメージが浮かぶように取引をイラスト化。さらに忘却曲線対策で確認問題も充実、少しずつ形式を変えながら学習内容を再出題することで、アウトプットによる記憶の定着を図ります。
出題傾向の高いものをさまざまなパターンで学べるのも嬉しいポイント。コンパクトなサイズなので持ち運びにも最適です。