知的財産に関する分野のプロフェッショナルは、多くの企業で必要とされています。「知的財産管理技能検定」はこれからどんどん需要が伸びていくほか、学生のうちに取得しておけば、就職活動にも有利になる可能性があります。この記事では、主に3級と2級の試験形式や難易度、合格率などをわかりやすく解説。またおすすめのテキストも紹介するので、チェックしてみてください。
「知的財産管理技能検定」は、企業などの経営資源となる知的財産を管理、活用できるスキルを評価するもの。「知財技能士」とも略されます。もともとは民間資格でしたが、2008年に国家資格として認められました。
知的財産とは、著作物や商標、発明など、形はないけれども価値のあるもの。AIやIoTの発展で人々のライフスタイルもビジネスモデルも変化していく現代において、これらの知的財産をいかに活用していくかがビジネスにおいて重要になります。今後、より一層需要が伸びていく資格だといえるでしょう。
また法務部や特許部などでの仕事に興味がある場合は、学生のうちに取得をしておくと就職活動の際に自分を売り込む材料になります。
「知的財産管理技能検定」には、3~1級があり、すべての級で学科試験と実技試験があります。
学科試験はマークシート方式。3級は3択、2級と1級は4択です。技術試験は3級と2級が記述の筆記試験、1級が筆記試験と口頭試問になっています。
問題数は、3級は学科試験と実技試験ともに30問。2級は学科試験と実技試験ともに40問。1級は学科試験が45問、実技試験が5問です。
では「知的財産管理技能検定」の受験資格を紹介していきます。他の国家試験と比較すると、ハードルが低いのが特徴です。
3級の受験資格は
2級の受験資格は
上記のうち、ひとつでも当てはまっていれば受験することができます。
1級の受験資格は
上記のうち、ひとつでも当てはまっていれば受験することができます。
「知的財産管理技能検定」の合格基準は、「満点の〇%以上」と表記されます。
3級の合格点は、学科試験が満点の70%で、実技試験も満点の70%。2級の合格点は、学科試験が満点の80%で、実技試験も満点の80%です。
では3級と2級の受験者数と合格者数、合格率を見ていきましょう。
3級 学科試験
2019年 受験者数:9,231 合格者数:6,192 合格率:67.1%
2018年 受験者数:9,511 合格者数:5,727 合格率:60.2%
2017年 受験者数:9,277 合格者数:6,062 合格率:65.3%
3級 実技試験
2019年 受験者数:8,608 合格者数:6,425 合格率:74.6%
2018年 受験者数:9,205 合格者数:6,201 合格率:67.4%
2017年 受験者数:9,291 合格者数:6,310 合格率:67.9%
2級 学科試験
2019年 受験者数:5,747 合格者数:2,500 合格率:43.5%
2018年 受験者数:5,952 合格者数:2,716 合格率:45.6%
2017年 受験者数:5,605 合格者数:2,448 合格率:43.7%
2級 実技試験
2019年 受験者数:5,912 合格者数:2,501 合格率:42.3%
2018年 受験者数:5,345 合格者数:1,535 合格率:28.7%
2017年 受験者数:5,910 合格者数:2,674 合格率:45.2%
「知的財産管理技能検定」合格のために必要な勉強時間は、
3級の場合、1日1時間を勉強する時間に充てれば、2ヶ月ほどで取得が可能です。
その一方で2級になると合格点が満点の80%にあがるため、基礎だけでなく細かいところまでしっかりと勉強する必要があります。無理のない学習計画を立てて、合格を目指しましょう。
「知的財産管理技能検定」の過去問は、公式サイトから無料で手に入れることができます。テキストなどで勉強をしたら、過去問を解いて本番形式に慣れましょう。
「知的財産管理技能検定」は、3月・7月・11月と年に3回実施されます。細かい日程については毎年変動があるので、公式サイトで確認してください。
2020年は、3月15日に予定されていた試験は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から中止になりました。残りは7月19日(日)と11月14日(土)に予定されています。
申し込みは公式サイト上からでき、試験日の約5ヶ月に開始、約1ヶ月前に締め切ります。
また受験料は、学科試験と実技試験を別々に支払う必要があります。
知的財産管理技能検定の合格発表は、受験から約2ヶ月後。試験当日に使った問題は持ち帰ることができるので、終わったら自己採点をしてみましょう。
- 著者
- 知的財産教育協会
- 出版日
知的財産教育協会が出版している公式テキスト。本作を読み込めば合格点を狙えるよう、内容が充実しています。
「事例とQuestion」「Lesson」「正解と解説」と項目が分けられていて、状況を考え、必要となる知識を学び、アウトプットするという学習効率を重視した構成になっているのもポイント。
「知的財産管理技能検定」を受験する際は、必ず手に取りたい一冊だといえるでしょう。
- 著者
- ["塩島 武徳", "スタディング"]
- 出版日
「知的財産管理技能検定」の2級と3級の内容を1度に学べる本。実は2級と3級は共通する項目も多いので、同時に勉強することで効率よく知的財産管理に関する知識を身に着けることができるのです。
たとえば2級から受験をしたいけど、3級の知識もあわせて勉強したい人などにおすすめ。「知的財産管理技能検定」の学び方や勉強の進め方なども載っているので、初学者にもよいでしょう。