「メンタルヘルス・マネジメント検定」とは。内容、難易度、おすすめテキストなどを紹介

更新:2021.11.21

現代の日本では、仕事や職業生活に不安や悩み、過大なストレスを抱えている人が増加傾向にあります。心の不調によって休職や離職を余儀なくされる人も少なくはありません。そんななか、最近注目を集めているのが「メンタルヘルス・マネジメント検定」です。この記事では、検定の種類や難易度、具体的な勉強時間や合格率などについて、わかりやすく解説していきます。

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「メンタルヘルス・マネジメント検定」とは。就職には役に立つ?

 

メンタルヘルス・マネジメント検定とは、働く人々の心の不調を未然に防ぎ、健康を増進することを目的に、知識・技術・態度を理解し習得する公的資格です。民間の検定試験のため、就職活動や転職活動に必ず役立つわけではありませんが、自身のメンタルヘルスケアや、就職して管理職に就いた時などに活かせるでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント検定の試験は2006年から始まり、受験者数は年々増加していて、その数は年間2万人弱。

通信で受験することはができないため、下記の主要都市に出向いて受験する必要があります。Ⅱ種とⅢ種は年2回、Ⅰ種は年に1回実施されています。

メンタルヘルス・マネジメント検定試験を実施している主要都市

札幌、仙台、新潟、さいたま、千葉、東京、横浜、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡

「メンタルヘルス・マネジメント検定」Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種それぞれの試験内容など特徴を解説!

 

メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、その目的に応じてⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種と3種類に分けられています。それぞれどのような人が受けるべき試験なのか、見ていきましょう。

まずⅢ種は、セルフケアコースです。対象は一般社員で、自分自身のストレスの度合いや状況を把握し、自分でケアできるようにメンタルヘルスケアの基本的な知識を学ぶことになります。

Ⅱ種はラインケアコースです。対象となるのは管理職の人。普段から部下が不調に陥らないようにするだけでなく、実際に不調が生じてしまった場合の対応策まで、職場における部下の心の健康管理を包括的に扱える知識を学びます。

Ⅰ種はマスターコースです。対象となるのは人事労務管理者や経営幹部の人。自身が所属する企業の人事戦略や方針を十分に理解したうえで、メンタルヘルスケアの企画・立案・実施をします。また産業保健スタッフや他の専門機関と連携し、従業員への教育や研修をできるようになります。

またメンタルヘルス・マネジメント検定試験は、独学で知識をつければ取得できるのも魅力のひとつ。各コースの受験料は以下のとおりです。

  • Ⅲ種セルフケアコース:4,400円
  • Ⅱ種ラインケアコース:6,600円
  • Ⅰ種マスターコース:11,000円

「メンタルヘルス・マネジメント検定」Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種それぞれの難易度、合格率は?

 

メンタルヘルス・マネジメント検定は、いずれの種類も特別な受験資格はなく、学歴・経歴・年齢を問わずに受験することができます。それぞれの具体的な難易度や合格率を見ていきましょう。

Ⅲ種の難易度・合格率

メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅲ種の合格率は80%前後となっていて、3種類のなかでは比較的取得しやすいです。全問マーク式で50問、ストレスケアに関する基本的な問題が出題され、100点満点中70点以上で合格となります。個人差がありますが、公式テキストや過去問を中心に30~50時間ほど勉強すれば受かるといわれています。Ⅲ種は独学で勉強し、受験する人が多いようです。

Ⅱ種の難易度・合格率

メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の合格率は50%前後となっていて、Ⅲ種と比べると下がります。 Ⅲ種と同様全問マーク式で50問ですが、Ⅲ種よりもより応用的な問題が出題され、100点満点中70点以上で合格となります。個人差がありますが、50~80時間程度勉強すれば受かるといわれています。勉強する範囲がⅢ種と被ることから、Ⅲ種と併願して受ける人もいるようです。

Ⅰ種の難易度・合格率

メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種の合格率は20%を切り、3種類のなかでは最難関です。類似資格である臨床心理士の平均合格率が約60%なのを考えると、合格率の低さが際立っています。社内の人事管理に関する問題から、社員が相談できる体制の確立、メンタルヘルスケアに関する職場の意識情勢など、幅広く出題されます。

また回答形式もⅢ種・Ⅱ種とは異なり、マーク式で50問と記述式の問題が出題され、マーク式が100点満点中70点以上、記述式が50点満点中25点以上とることが求められます。個人差がありますが、80~120時間ほど勉強すれば受かるそうです。

Ⅱ種のラインコースとⅠ種のマスターコースについては、商工会議所が主催する受験対策講座が設けられています。この講座は問題演習を交えながら、要点をわかりやすく解説してもらえるもので、Ⅱ種は1日、Ⅰ種は4日間おこなわれ、1日からの受講も可能です。

Ⅰ種は独学でも合格できる可能性が高いですが、難易度がグッと上がることから、不安な人はこのような受験対策講座を受講するとよいでしょう。

「メンタルヘルス・マネジメント検定」のおすすめのテキストを紹介!①

著者
["大阪商工会議所"]
出版日

 

メンタルヘルス・マネジメント検定を受けようと思ったけれど、最初に何から始めたらいいかわからない方は、こちらのテキストを教科書代わりに使うのがよいでしょう。

Ⅲ種メンタルヘルス・マネジメント検定の範囲に含まれる知識がすべて詰め込まれており、わかりやすくまとめられているので、独学で勉強する人でも無理なく学べます。検定試験の問題は、ほぼ公式テキストの内容から出題されるので、持っておきたい一冊です。

ちなみに中古テキストも市場に多く出回っていますが、古いものを使用すると法改正が反映されていない可能性が高いです。テキストの内容が頻繁に改定されているため、最新のものを使うのが無難でしょう。

「メンタルヘルス・マネジメント検定」のおすすめテキストを紹介!②

著者
["梅澤 志乃"]
出版日

 

公式テキストでひと通り勉強した後は、過去問を解くことをおすすめします。こちらの過去問題集は、直近10回分の試験問題を厳選し、公式テキストに沿って分類したうえで詳細に解説したものです。

テキストの理解度を確認するだけでなく、試験の直前対策にもよいでしょう。メンタルヘルス・マネジメント検定は毎年の出題傾向が似ているので、過去問をしっかりとやりこむことが合格への近道といえます。

自分自身や周囲の人の心の不調に気づき、正しく対処する方法を身につけた有資格者は、今後ますます企業などから求められることが予想されます。「仕事のストレスから身を守りたい」「部下のメンタルヘルスケアをしたい」と感じている方は、ぜひメンタルヘルス・マネジメント検定の資格取得にチャレンジしてみてくださいね。

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