中小企業診断士とは。試験内容や科目、難易度、独学に役立つテキスト等も紹介

更新:2020.4.2 作成:2020.4.2

国家資格のひとつで、中小企業の問題点を分析し、課題解決の手助けをおこなう「中小企業診断士」。2016年には、日経新聞で「新たに取得したい資格」第1位として紹介されるなど、注目が集まっています。この記事では、具体的な試験内容や科目、難易度、さらには独学で勉強する際にも役立つテキストなどを紹介していきます。

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中小企業診断士とは。取得するとどんな力が身に着く?年収は?

 

中小企業診断士とは、中小企業の問題点を分析し、課題解決の手助けをおこなう資格をもつ人のこと。企業の状況を把握して具体的なプランニングをするためには、経営に関わるさまざまな能力が不可欠です。

そのため中小企業診断士の1次試験は、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理(オペレーション・マネジメント)」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」という7科目から出題されるなど、資格取得のために幅広い知識を要求されます。

中小企業診断士の資格を取得するためには、平均して1~3年ほどかかるそう。けっして簡単に取得できるわけではありませんが、その分取得をすれば、経営全般に関わる能力を高めることができるでしょう。

日本に存在するほとんどの企業が中小企業であることから、中小企業診断士の需要は高まり続けています。企業に所属して自社の経営診断に従事する「企業内診断士」だけでなく、独立して複数の企業とコンサルティング契約を結ぶ「独立診断士」の道を選ぶ人も多いそう。業界を選ばずに活躍できる資格だといえます。

多様な就業形態があるため、中小企業診断士の年収は一概にいうことはできません。平均年収は700万~800万円といわれていて、独立診断士のなかにはこれ以上に稼いでいる方もいるようです。

中小企業診断士試験の内容や科目、受験資格などを紹介

 

では中小企業診断士の試験について紹介していきます。

まず受験をするにあたって必要な資格はありません。学歴や年齢、性別を問わず、誰でも試験を受けることができます。ただ幅広い内容から出題されるため、一定のキャリアや知識を積んだ人が受けることが多いようです。

中小企業診断協会が実施する1次試験に合格した後は、

  • 中小企業診断協会が実施する2次試験に合格し、さらに実務補習を修了するか、診断実務に従事する
  • 中小企業基盤整備機構、または登録養成機関が実施する養成課程を修了する

上記のどちらかを経て、中小企業診断士として登録されることになります。

では試験の具体的な内容を見ていきましょう。中小企業診断士試験の1次試験は2日間に分かれていて、問題はマークシート方式です。

1日目

  • 「経済学・経済政策」(60分)
  • 「財務・会計」(60分)
  • 「企業経営理論」(90分)
  • 「運営管理(オペレーション・マネジメント)」(90分)

2日目

  • 「経営法務」(60分)
  • 「経営情報システム」(60分)
  • 「中小企業経営・中小企業政策」(90分)

2次試験は、筆記・口述方式です。中小企業を診断する能力や助言する能力を確認するため、実務の事例に即した記述問題が出題されます。さらにその合格者には、出題内容を踏まえた面接がおこなわれます。
 

記述問題で出題される事例は4種類です。

  • 組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
  • マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
  • 生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
  • 財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

中小企業診断士試験の難易度は?合格点や合格率、平均的な勉強時間を紹介

 

幅広い範囲から出題される中小企業診断士試験は、比較的難易度が高いです。

1次試験は先に紹介した7科目すべてに合格する必要があり、合格基準は総得点の約6割。ただし1度にすべての科目に合格しなくても3年間の有効期間があり、翌年度、翌々年度の試験では、合格した科目の受験を免除申請することができます。

また合格点は総得点の6割なので、仮に6割を下回る科目があったとしても、ほかの科目で高得点をとれば合格できるのです。

中小企業診断協会が公表している1次試験の合格率は、以下のとおりです。

  • 2019年 受験者数:17386 合格者数:4444 合格率:30.2%
  • 2018年 受験者数:16434 合格者数:3236 合格率:23.5%
  • 2017年 受験者数:16681 合格者数:3106 合格率:21.7%

2次試験の合格基準も、総得点の6割以上をとり、かつ4割未満の科目がひとつも無い、というもの。

2次試験合格率は以下のとおりです。

  • 2019年 受験者数:5966 合格者数:1088 合格率:18.3%
  • 2018年 受験者数:4829 合格者数:905 合格率:18.8%
  • 2017年 受験者数:4289 合格者数:828 合格率:19.4%

最後に合格までに必要な勉強時間ですが、一般的に1次試験対策に約800時間、2次試験対策に約200時間、合計約1000時間が必要だといわれています。仮に週10時間勉強した場合、2年ほどかかる計算です。

もちろん実際の勉強時間は個々の状況によって異なりますが、資格取得を目指す方は、長期間にわたる努力が必要になるでしょう。

中小企業診断士試験は独学でも合格できる?おすすめテキスト1

著者
["TAC中小企業診断士講座", "小口 真和", "鈴木 伸介", "仲田 俊一", "夏原 馨", "松本 真也", "滝澤 ななみ"]
出版日

 

中小企業診断士試験は出題範囲が広いだけに、出題内容の理解や整理が重要です。独学でも使いやすい、おすすめのテキストを紹介します。

まずは資格取得の専門予備校「TAC」が作成した本作です。

冒頭で学習の全体像を提示してくれているので、どのような段階を経て知識を深めていけばよいのか、確認しながら学べるのがよいでしょう。フルカラーで印刷されていて、見やすいのも特徴です。

さらに、過去5年間の過去問を踏まえ、どのような内容が出題されやすいかを明示。おさえるべき内容を本文に、応用や補足など発展的な内容を脚注にまわすことで、効率よく勉強できます。

上下巻の2巻構成になっていて、上巻は企業経営理論、財務・会計、運営管理。下巻は経済学・経済政策、経営情報システム、経営法務、中小企業経営・中小企業政策が収録されています。それぞれの科目ごとに分冊できるようになっているので、持ち歩きにもおすすめです。

中小企業診断士試験は独学でも合格できる?おすすめテキスト2

著者
["金城 順之介", "LEC東京リーガルマインド"]
出版日

 

資格専門学校「LEC」の人気講師がまとめたテキストです。タイトルのとおり、初学者が中小企業診断士の勉強を始めるのに適しています。

学習内容を厳選し、1次試験と2次試験に共通している内容を中心にピックアップ。見開きに1項目がまとめられていて、頻出事項を重点的に学べるよう作られているのが魅力です。

解説とケーススタディがセットになっているので、実践的に理解できるように配慮されているのもポイントです。

中小企業診断士試験は独学でも合格できる?おすすめテキスト3

著者
美帆子, 野網
出版日

 

初学者でも全体像が把握しやすいよう、ひとつの論点を1枚にまとめたまとめシートが特徴的。科目の傾向や勉強方法も紹介されているので、計画的に試験対策に取り組めるよう作られたテキストです。

さらに購入特典として、本作のまとめシートをPDF化したものや、論点別過去問集をダウンロードすることもできるため、暗記や過去問対策にも役立ちます。

前後編の2冊構成になっていて、前編は企業経営理論、財務・会計、運営管理。後編は経済学・経済政策、経営情報システム、経営法務、中小企業経営・政策の範囲が収録されています。