自然エネルギー発電など新しいカタチの電気が増えている現代。電気の仕組みを支える国家資格「電験三種」が注目を集めています。この記事では、仕事や試験の内容、難易度などを解説。独学におすすめの参考書や問題集も紹介するので、チェックしてみてください。
「電験三種」とは、第三種電気主任技術者の試験の通称で、電気の保安監督業務を担う国家資格です。
仕事の内容は、電気設備の点検や保守、配線のチェック、非常時の動作テストなどさまざま。建物などの電気設備を監督し、平常時にも非常時にも専門の技術で人々の生活を守ります。
建物内の配電や配線を管理するので、施設がある限りは仕事があるため、職業としての安定性は高いといえるでしょう。
また「電験三種」の資格をもっている人は、監督という立場になるため、現場で直接作業をするわけではありません。高齢になっても長く働けるというメリットがあります。ただし電気系統の事故は作業員の命に係わるので、責任は重く、重要な立場でもあるのです。
近年は、太陽光発電をはじめとした自然エネルギー系の発電所が続々と設置されていて、注目度はさらに高まっています。
電気技術者試験センターのHPによると、「電験三種」の仕事は次のように説明されています。
電気主任技術者になれば、発電所や変電所、それに工場、ビルなどの受電設備や配線など、電気設備の保安監督という仕事に従事することができます。電気主任技術者は社会的評価が高い資格と言えるでしょう。 電気設備を設けている事業主は、工事・保守や運用などの保安の監督者として、電気主任技術者を選任しなければならないことが法令で義務づけられています。(「一般財団法人 電気技術者試験センターHP」より引用)
このように、活躍の場は幅広く、暮らしのなかで欠かせない存在であることがわかります。
では「電験三種」の試験内容を見ていきましょう。三種、二種、一種とありますが、ここでは最初にチャレンジするべき三種を紹介します。
試験では、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物に関する知識が問われます。
試験は4科目です。
このように範囲が幅広いため、自分の得意な科目が何なのか、どこから学習すれば効率よく勉強できるのかを知る必要があるでしょう。
「電験三種」の試験を受けるにあたって知っておきたいのが、「科目合格制度」です。
これは、先述した4科目すべてに1度で合格しなくてもよいというもの。1度合格した科目は翌々年度まで受験を免除されるので、3年間で4科目に合格すればよいのです。
全科目の合格率は10%を切っていますが、科目合格率は30%前後になっています。
2019年度
受験者数:41,543 4科目合格者数:3,879 4科目合格率:9.3%
科目合格者数:13,318 科目合格率:32.1%
「電験三種」の受験者層は、20代がボリュームゾーンとなっていて、30代、40代と続きます。初学者や別業界からの受験者は20代に多く、その一方で業界内の受験者は、年齢層が幅広く50代以上の方もチャレンジしているようです。
- 著者
- ["TAC出版開発グループ", "滝澤 ななみ", "澤田 隆治", "青野 晃", "田中 真実", "浅井 啓介"]
- 出版日
高校物理レベルの電気基礎からはじまる、超入門書です。
「電験三種」試験の全体像を、初心者でも把握できるように構成されているのが魅力的。イラストつきのシンプルでわかりやすい解説は、文系出身者でもスムーズに読み進められると好評です。基本に忠実な内容で、誰もが挫折せずに読み進めていける構成になっています。
「電験三種」の試験に興味をもったら、まず最初に手に取っていただきたい一冊です。
- 著者
- 見上 勝清
- 出版日
「電験三種」の試験を志したことのある人に注目されている一冊。回路図など必要な図がしっかりと組み込まれ、読みやすくメリハリのある構成になっています。
文系出身者の場合、解説で数式が省略されているとその時点で理解が止まってしまいますが、省略することなく答えまで導いてくれるのも嬉しいポイント。 親切な解説にファンが続出しています。
- 著者
- ["ユーキャン 電験三種試験研究会", "ユーキャン 電験三種試験研究会"]
- 出版日
細かい解説までしっかり記載されているのが魅力の、過去問題集です。基礎を一通り学んだ方におすすめの一冊だといえるでしょう。
ボリュームの多い試験勉強を効率化すべく、過去問のなかから良質な問題を抜粋。さらに分冊できるため持ち歩きもしやすく、隙間時間の勉強にも便利です。4科目の一発合格を目指す人にもおすすめできます。