データを読み取り、分析するデータサイエンスの知識を身につけられる「統計検定」。AIの発達にともない、将来性のある資格だとされています。この記事では、資格の魅力や試験内容、難易度などをわかりやすく解説。おすすめの参考書や問題集も紹介していきます。
「統計検定」は、統計に関する知識や活用力を問う試験として、一般社団法人日本統計学会が主催している民間の資格です。
難易度別に4級、3級、2級、準1級、1級の5種類が用意されています。4級と3級はデータの読み取り方やまとめ方などの基礎知識が中心の試験。難易度は高くなく、学生や文系の方も多く受験しています。
2級以上を取得すると、データサイエンティストなど、統計学のプロとしても働けるようになり、仕事に活かすことができるでしょう。
統計検定で身に着けられる統計学などの知識は、医療・金融・研究開発・市場調査などさまざまな分野で活用できるものです。今後AIの発達、導入が増えることが予想されることにともない、統計処理やデータ解析などの知識をもっている人は重宝されるはず。将来性のある資格だといえます。
統計検定を活かせる職種として、データサイエンティストが挙げられます。データサイエンティストとは、データを読み取って分析や解析をし、その結果をビジネスに活用する職業のこと。さまざまな情報がデータ化される現代社会で、注目されている仕事です。先述したとおり、AIの発達、導入が増えていることも、データ活用の後押しをしているといえるでしょう。
同様に、データアナリストやデータディレクター、AI関係の営業、エンジニアなどでも、統計検定を活かせます。
特に未経験で転職をする際は、統計検定を取得していることが信頼度に大きく関わります。2級以上を求められることが多いので、まずは2級の合格を目指すとよいでしょう。
統計検定には特別な受験資格はなく、誰でも、どの級からでも受けることができます。では各級の試験内容を紹介していきましょう。
4級
統計学に初めて触れる人、これまで統計の勉強をまったくしたことがない人におすすめ。データの種類、表・グラフの活用方法などの基礎部分が出題されます。円グラフや棒グラフなど、基本的なグラフの読み方や用語を理解できるようになるでしょう。
試験はマークシート形式。4択または5択の選択問題が約30問用意されています。試験時間は60分、100点中70点以上で合格です。
3級
高校レベルのデータ分析の概念や、身近な問題に活かす力が求められます。3級を取得することで、標本調査やデータの散らばりの指標に関する知識が身に着けられるでしょう。ここでようやく統計学の基礎を身に着けたといえるレベル。まずは3級まで取得することを目指してみてください。
試験は4級と同じくマークシート形式。4択または5択の選択問題が約30問用意されています。試験時間は60分、100点中70点以上を取れば合格です。文系の人でも、高校レベルの知識で受験ができるため、3級から受験する人も多いようです。
2級
データから情報を抽出する方法や、統計ソフトウェアの活用方法などが問われる試験です。大学基礎科目レベルの知識を求められるので、経済学などを専攻している人はそこまで難しく感じないかもしれません。
試験はマークシート形式、4択または5択の選択問題が約35問用意されています。試験時間は90分、100点中70点以上で合格です。
準1級
2級で問われる大学基礎科目レベルの応用が出題されます。統計学に関する基礎知識に加え、データの収集や統計の手法など、実践的な力が問われます。
マークシート形式だけでなく、部分記述や論述問題も出題。試験時間は120分、合格基準は公表されていません。
1級
準1級までの知識を身につけたうえで、その知識を発展させ、さまざまな分野でデータ解析をする能力が問われます。大学では、専門分野修了程度のレベルだといえるでしょう。
「統計数理」と「統計応用」の2科目があり、解答は論述形式です。
「統計数理」では全5問から3問を選択。「統計応用」では、人文科学・社会科学・理工学・医薬生物学の4分野から1つを選択し、全5問から3問に解答します。試験時間はそれぞれ90分。「統計数理」と「統計応用」の2科目で合格しなければなりません。
では4級から1級までの受験者数、合格者数、合格率をそれぞれ紹介していきます。
4級
3級
2級
準1級
1級 統計応用
1級 統計数理
4級、3級は難易度も高くなく、初めて受験をする人でも合格を狙えるでしょう。準1級や1級では合格率がぐっと低くなるので、理系の人や経験者でもしっかりと対策をとることが重要です。
- 著者
- 本丸 諒
- 出版日
統計学に苦手意識のある文系向けに作られた参考書です。
分散や正規分布、回帰分析など、これまで勉強をしたことがない内容でも中学数学レベルで理解できるよう、やさしく解説してくれています。
統計学は理系のものだと敬遠していたけれど、すんなり勉強に入ることができたと評判。文系の人に特におすすめの参考書です。
- 著者
- 日本統計学会
- 出版日
統計検定を主催している日本統計学会が出版している過去問題集です。
3年間、計6回の試験で実際に出題された問題がすべて収録されているので、試験対策にばっちり。参考書で知識をインプットした後に、過去問でアウトプットをすれば効率よく勉強できるでしょう。
また、わからなかった問題を反復して解くことも大切。身に着けた知識を、実践に近いかたちで磨きたい人におすすめです。