先日、フラれた。

私はお酒に弱くて、粗相をしてしまうと大変だから、人が大勢いる場所では飲まないようにしている。でも、今はこんな状況だから、家にいると鬱々してしまって、アルコール度数の低い缶チューハイを一本飲んで、少し気持ちをふわふわさせていた。

その日は、いろんなお酒に挑戦しようと思い、ハイボールを買って、家で飲みながら映画を観ていた。ふむふむ、ハイボールはこんな味なのか、とだんだん気持ちが良くなって、寂しくなってきて、好きな人に連絡をとった。「げんき?」と。

お酒を飲むと好きな人に連絡したくなりますよね、なりませんか?

そして返事がきた。好きな人から返事がくるだけで、幸せだ。

「昔付き合ってた人が忘れられない、別れます」

突然すぎて言われた意味がよくわからなかった。

なんで今言うんだろう。そんなことってあるのだろうか。ひどすぎる。

別れようじゃないんだね。別れますだもんね、もうあなたの中で決定事項なんだね。

突然の出来事に体と心がついていけず、震えが止まらなくなり、息が深く吸えなくなってきた。

一緒にいた期間はなんだったんだろう。頭の中にはずっと前の人がいたのかな。

ショックを受けた私は、結構暴走した。してしまった。「あなたのこういうところがまじでださかったし、今後のために忠告しておくけど、あれはまじでやめたほうがいいよ」と相手のことを傷つけまくった。反撃はされなかった。

だんだん、気持ち悪くなってきた。私は吐いたりすることが苦手だから、吐きたいけど吐けないという状況になった。私は「失恋ってめちゃくちゃショックだと吐きたくなるんだな」と感慨深かったけど、その人には酔ったからだと言われた。

吐くに吐けないイライラを相手にぶつけまくった。何度も「もう寝たい」と言われたけれど、振ったくせに寝たいって何だよ、私はよー、こんなにしんどい思いをしてるのに、寝たいなんて、私の前でよく言えるよな、コノヤローと思ったし、伝えた。3時過ぎに会話が終わった。

短い間だったけど、本当に好きだった。涙の前に色んな気持ちが溢れてきて戻した。すごくスッキリした。

次の日に、大事な信頼してる人にLINEした。その人の言葉が胸に滲みて泣いた。

その後、失恋の歌を聴きまくった。めちゃくちゃ泣いた。恋愛すると自分のテーマソングみたいなものを作りたくなるのはどういう心理なんだろうか(すこし恥ずかしい)。

今まで恋愛ドラマや映画のことを少し斜めに見ていたけれど、好きな人ができたら毎日がすごく楽しいし、空が青くて最高!とか思うし、失恋したら死にたくなるし、絶望するし、いろんな気持ちを実感した。

孤独を癒してくれるのは音楽や本や映画やドラマ、今は行けないけど演劇だったり、美味しいごはんだったり、周りの人たちだったりするわけで、私はそんな孤独や悲しみに少しでも寄り添える人間になりたいと心から思った。まだショックは癒えないけど、いろんなことに気付かされたから、これもこれで悪くないなと思えた。またどこかで見かけることができたら。

ハゴロモ

著者
よしもと ばなな
出版日
2006-06-28

この本は、8年の恋が終わり失恋した主人公が、大きな川のある自分の田舎に帰り、家族や知人に会ったり、不思議な縁で繋がっていた人にもう一度出会いなおしたり、人に助けられたり、助けたりしながら、人や時間や川の優しさに触れて、孤独や寂しさや後悔などの傷を少しずつ癒していくお話です。

社会情勢やコロナやそれにまつわる様々なことで傷ついている人たちが、今たくさんいらっしゃると思います。旅をしたり、人と触れ合ったり、美味しいごはんを食べに行ったり、普段ならそういうことで気持ちを発散していたけれど、発散させる場所がなくなってしまった。一週間声も出さずに過ごしたり、「世界はこんななのに自分はこのままでいいんだろうか」とどうしようもなくなったり、夜中に誰かと話したくて連絡先をスクロールしてみたけれど誰に連絡していいのか分からなくなって途方に暮れてしまったり、そんなときに温かいお茶と一緒に読んでみてはいかがでしょうか。

この本には読む人を故意に傷つけるようなものは出てこないし、登場人物たちは何かしら悲しみを抱えて生きています。「いつまでくよくよしてるんだ! 早く立ち上がれ!」の暴力のような叱咤激励も出てきません。人は傷を治すにはそれなりの時間が必要だし、それでいいのだと肯定してくれます。だから、安心して世界のことを忘れることができます。

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