5分でわかる公認会計士!仕事内容や税理士との違い、試験の難易度などを解説

更新:2021.11.22

弁護士と並ぶ国内最高峰の国家資格「公認会計士」。利害関係者が投資や融資を適切に実行できるよう、公正な立場で会計書類の監査をする重要な存在です。この記事では、仕事内容や税理士との違い、就職先、試験の難易度などをわかりやすく解説していきます。おすすえの関連書籍も紹介するので、参考にしてみてください。

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公認会計士とは。仕事内容や税理士との違いを解説!

 

公認会計士はさまざまな分野で活躍できる仕事ですが、「財務諸表監査」という独占業務があります。

財務諸表監査とは、企業の経営成績などを表す会計書類が正しく作成されているかを、第三者的な立場で判断し、チェックすることです。

決算書などの財務諸表は、作成責任は経営者にあり、監査制人は監査人にあるという二重責任によって成り立っています。公認会計士が監査をすることで、嘘や間違いのない情報を提供し、投資家や融資をおこなう利害関係者は信頼性の高い情報を得ることができ、さまざまな取引をすることができるのです。

たとえば企業のHPに掲載されている「決算報告」でも、根拠となる計算方法や会計書類の作成などを監査し、その正当性を証明しています。

たびたび税理士と混同されることがありますが、公認会計士の主なクライアントは大企業。公正中立な立場で会計監査を実施し、監査責任を負います。一方で税理士の主なクライアントは、個人や中小企業。その代理人となり、税務申告などをおこないます。

ちなみに公認会計士になると、税理士登録をすることもできます。

 

公認会計士の就職先は?年収とともに解説

 

公認会計士の試験に合格すると、「公認会計士準会員」の資格を取得できます。ここから正式な会員になるには、約3年をかけて実務補修所に通わなければなりません。

監査法人や会計専門職に就職した場合は、実務補助経験を積みながら、実務補修所へ通うことが多いようです。補修所の授業日を優先した業務時間を組んでもらえるでしょう。

実務補修所で修了考査に合格して、晴れて公認会計士となることができます。

その後の就職先としては、およそ半数が監査法人でキャリアアップ、残りの半数が事務所の設立やコンサルティング業界などにキャリアチェンジするそう。金融機関や不動産業界の投資部門、世界への工場進出など、スケールの大きな仕事に関わっていくことも可能です。どんな会計士になりたいのか、どのような形で社会に貢献したいのか、しっかりとビジョンをもつことが大切でしょう。

また公認会計士は、高度な専門知識を提供できるため、年収が高いのも特徴です。少なくても600万円前後、多ければ1500万円を超えるといわれています。

 

公認会計士試験の制度や内容、受験資格などを解説

 

公認会計士の試験は、例年5月と12月に短答式試験、8月に論文式試験が実施されています。特別な受験資格は必要ありません。

1度短答式試験に合格すると、2年間は受験を免除されるので、その期間は論文式試験の合格に向けて集中できる仕組みです。

また論文式試験には、一部科目免除制度があります。合格科目は2年間免除となるので、次に受けるのは前回不合格になった科目のみとなります。

短答式試験

マークシート択一式です。

必須科目:企業法、管理会計論、監査論、財務会計論

それぞれの科目で4割以上得点、なおかつ総合で6~7割得点がボーダーラインです。

論文式試験

3日間かけて、科目別に筆記試験がおこなわれます。

必須科目:会計学、監査論、企業法、租税法

選択科目:経営学、経済学、民法、統計学からどれか1つ

それぞれの科目で4割以上得点、なおかつ総合で5割以上または審査会の決めた基準点がボーダーラインです。

 

公認会計士試験は独学で合格できる?難易度、合格率、勉強時間などを解説

 

弁護士と並ぶ最難関資格といわれる公認会計士。学習時間は4000時間以上といわれています。

短答式試験

  • 2018年第1回 受験者数:6569 合格者数:1090 合格率:16.5%
  • 2018年第2回 受験者数:5346 合格者数:975 合格率:18.2%
  • 2019年第1回 受験者数:6610 合格者数:1097 合格率:16.5%
  • 2019年第2回 受験者数:5604 合格者数:709 合格率:12.6%

合格率は10~18%と年度により異なっています。第1回(5月)と第2回(12回)で受験者数に幅がありますが、5月に短答式試験に合格しても8月の論文式試験まで時間がないため、12月の合格を目標にする人が多いようです。

論文式試験

  • 2017年 受験者数:3306 合格者数:1231 合格率:37.2%
  • 2018年 受験者数:3678 合格者数:1305 合格率:35.4%
  • 2019年 受験者数:3792 合格者数:1337 合格率:35.2%

合格率は35%前後。論文式試験にたどりつけば、3人に1人は合格していることになります。

短答式試験と論文式試験、そして実務補修所の修了考査に合格するまでは、長い道のり。モチベーションを維持することも重要です。

公認会計士の仕事内容と魅力がわかるおすすめ本

著者
国見 健介
出版日

 

公認会計士に関する知識がまったくない人にもおすすめの作品です。作者は、公認会計士の講座で教鞭をとっているほか、試験合格後のキャリア支援コミュニティなどを立ち上げている人物。多くの合格者を間近で見ているからこそ書ける内容だといえるでしょう。

前半では、試験に合格するまでの道のりや学習上の注意点を、後半では仕事内容やキャリアプランを紹介しています。仕事をするうえでの本音や業界情報も載っていて、読みごたえがあるでしょう。

具体的なイメージがわくので、勉強中の人が読んでもモチベーションが上がるはずです。

公認会計士試験の独学合格を目指す人におすすめの本

著者
中尾 宏規
出版日

 

24週間の独学で公認会計士試験に合格した作者が、その学習法を教えてくれる作品です。

リアルな体験記ですが、天才的な側面もあるため、すべてを単純に真似することは難しいかもしれません。それでも、勉強を進めていくうえでの考え方自体は参考になるはず。暗記のロジックなど、効率よく学習を進められるテクニックが詰まっているので、自分にあうやり方を取り入れるといいでしょう。

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